仮面ライダー〜アサシン〜ゴースト   作:ファルコン・Σ

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和解! イトナの心を開け!

「イトナ!!」

 

逃げ出したイトナを追ったタケルは1時間かけてようやく見つけ出した。

 

「神代……タケ…ル……ノブナガを、かえせ……!」

 

「悪いけどそれは出来ないな。今の暴走したお前じゃ余計にだ」

 

「うる…さい……! がぁぁぁぁぁぁ!!」

 

[カイガン! ヒミコ! 未来を予告! 邪馬台国!]

 

イトナの触手をヒミコパーカーゴーストが防ぎ、タケルに被さる。

 

「効くかは分からないけど………邪気浄化!!」

 

サングラスラッシャーを華麗に振るって舞い、浄化のオーラを放つヒミコゴースト。

一瞬のイトナの苦痛な表情が和らいだかと思ったがすぐに戻ってしまった。

 

「やっぱり駄目か……!」

 

「その力が……憎い……!」

 

「はっ!! とおっ!!」

 

触手を捌くヒミコゴースト。

しかし徐々に圧されていく。

 

「ならこっちはどうだ!!」

 

[カイガン! ベートーベン! 曲名! 運命! ジャジャジャジャーン!]

 

ベートーベンにチェンジ。

ガンガンセイバーの薙刀モードを振るって音波を飛ばし、触手を押し返す。

 

「はっ!! ピアニッシモ!! そしてプレスト!!」

 

「うぐぁぁああっ!?」

 

音波攻撃を食らったイトナは倒れ付した。

 

「………イトナ…」

 

「ぐああああぁぁ!!」

 

しかし、起き上がったかと思えば二度逃走する。

 

「くそ!! またか!!」

 

◎◎◎◎◎

 

翌日、つんと口を尖らせていた殺せんせーに必死でご機嫌とりをする生徒達の姿があった。

しかし、イトナを追っているタケルの姿はなかった。

 

深夜、静まった街でイトナはとある携帯ショップの前に立った。

 

「はあ……はあ………ッアアアアア!!」

 

触手を振るって携帯ショップを破壊する。

と、そこでタケルが現れた。

 

「くそ!! 遅かった」

 

「おまえ……!」

 

[カイガン! リョウマ! 目覚めよニッポン!夜明けぜよ!]

 

「はあっ!!」

 

サングラスラッシャーブラスたーモードで射撃するリョウマゴースト。

 

「俺の、邪魔を、するな!!」

 

「やりすぎなんだよ。お前は!!」

 

連射するリョウマゴースト。

しかしイトナは触手で弾き飛ばす。

 

「くそ………!」

 

「痛い……痛い……があっ!!」

 

と、三度離脱するイトナ。

 

「また逃げられた……」

 

変身を解除したタケルは殺せんせーに連絡を取った。

 

「タケル君! 大丈夫ですか!?」

 

「俺は大丈夫です。それよりイトナが次に向かうであろう場所の予測がつきました」

 

「本当ですか!? 分かりました。翌日向かいます」

 

 

 

そして翌日、イトナは別の携帯ショップを襲撃した。

 

「綺麗事も……遠回りも要らない……負け惜しみの強さなんてヘドが出る。………勝ちたい。勝てる強さが………欲しい……」

 

「やっと人間らしい顔が見れましたよ。イトナ君」

 

イトナに声をかけたのは殺せんせー。

その後ろにはE組の皆がいる。

 

「スネて暴れてんじゃねーぞイトナァ。テメーにゃ色んなことされたがよ。水に流してやるからおとなしくついてこいや」

 

「うるさい……勝負だ……今度は……勝つ……」

 

弱った体に鞭打って殺せんせーに向かうイトナ。

 

「もちろん勝負してもいいですがお互い国家機密の身。何処かの空き地でやりませんか? それが終わったらそこでバーベキューでも食べながら皆で先生の殺し方を勉強しましょう」

 

殺せんせーが取り出した串に思わずイトナの腹がなる。

 

「そのタコしつこいよ~。ひとたび担任になったら地獄のはてまで教えに来るから」

 

「当然ですよ。目の前に生徒がいるのだから……教えたくなるのが先生の本能です」

 

その時。

 

何かが爆発して粉塵が巻き散る。

 

「ゲホッ!! な、なに!?」

 

と、イトナと殺せんせーの触手が解けた。

 

「これが今回の第二の矢。イトナを泳がせたのも予定のうちさ」

 

殺せんせーが弾幕をかわしている隙にイトナがネットに捕らえられ、連れ去られてしまう。

 

「皆さん大丈夫ですか!?」

 

「全員なんとか……」

 

「では先生はイトナ君を助けてきます!」

 

生徒達を気にして回避行動が遅れたのだ。

そんな状況に生徒達の怒りが沸き上がる。

 

「あンの白野郎~……とことん駒にしてくれやがって……!」

 

「………行こう。一泡吹かせてやる」

 

◎◎◎◎◎

 

イトナに追い付いた殺せんせーだが、対先生物質でできたチタンワイヤーに捕らえられたイトナの救出に苦戦していた。

先程の負傷と圧力光線で動きづらい中、イトナを狙う弾をひたすらに防がなければならない。

更に、

 

「やはり眼魔までいましたか……!」

 

銃撃手に混じって眼魔の姿もある。

それらが放つエネルギー弾も殺せんせーは弾く。

 

「(俺は……無力だ……俺は……こんな雑魚たちに負けるのか………)」

 

 

 

ドカッ!!

 

 

 

樹上にいた銃撃手たちが蹴り落とされた。

 

駆けつけたカルマや前原、寺坂が叩き落としたのだ。

更に地面で待ち構えていた部隊が簀巻きにして捕らえる。

 

「眼魔までスタンバイしてるよ」

 

「タケル!! 頼んだ!!」

 

「任せろ!!」

 

イトナの近くに立ったタケル。

その手にはノブナガ眼魂が握られている。

 

「イトナ。本当の英雄の力の使い方を見せてやる。変身!!」

 

[カイガン! ノブナガ! 我の生き様、桶狭間!]

 

ノブナガ魂に変身したゴーストはガンガンハンド銃モードを構える。

 

[ダイカイガン!]

 

と、火縄銃が分裂、全ての射線は眼魔に向けられている。

 

「命…………燃やすぜ!」

 

[オメガスパーク!]

 

発射された弾丸が全ての眼魔を貫く。

そして爆破させた。

 

そして眼魔は全滅、部隊も全員拘束された。

 

「……お前ら…なんで……」

 

「勘違いしないでよね。シロの奴にムカついてただけなんだから」

 

「凛香さんその発言は無意識か……?」

 

セルフツンデレである。

その隙に殺せんせーがネットを根本から外した。

 

「去りなさいシロさん。イトナ君はこちらで引き取ります。貴方はいつも周到な計画を練りますが、生徒達を巻き込めばその計画は台無しになる。当たり前の事に早く気づいた方がいい」

 

「……大層うざったいね……くれてやるよ、そんな子は」

 

と、シロはトラックに乗って去っていった。

 

「「「……………」」」

 

「触手は意思の強さで動かすものです」

 

気絶したイトナを見て殺せんせーは話す。

イトナが力や勝利へ執着している限り、細胞は離れない。

やがては触手もろとも肉体が蒸発してしまうという。

切り離すためには彼の執着心を消さなければならないが………。

 

「そのことなんだけどさ」

 

と、不破が声をかけた。

イトナが携帯ショップを襲ってた理由が気になり、律に調べてもらったところ、イトナはとある町工場の社長の子供だった。

 

その工場は世界的にスマホの部品を提供していたが、一昨年負債によって倒産。社長夫婦は息子を残して雲隠れしたそうだ。

 

「……ケ、つまんねー。それでグレただけって話か」

 

寺坂が口を出した。

 

「皆それぞれ悩みあンだよ。けどそんな悩みとか苦労とか、わりとどーでもよくなったりするんだわ」

 

そういうとイトナの襟を掴む。

 

「俺等んとこでこいつの面倒見させろや。それで死んだらそれまでだろ」

 

◎◎◎◎◎

 

任せろと言った割に、何にも考えていないらしい。

やっていることと言えば村松の実家のラーメン屋で(マズいらしい)ラーメンを食べさせたり、吉田モーターズでバイクに乗せたり、ただ遊んでいるだけだった。

 

「ま、あいつら基本バカだから仕方ないよ」

 

「ただ、あれで正しいとは思うけどね」

 

そうこうしていると触手の発作が起きる。

 

「俺は、適当にやってるお前らと違う……今すぐ、あいつを殺して、勝利を」

 

そんなイトナに動じず、寺坂が前に立つ。

 

「おうイトナ。俺も考えてたよ。あんなタコ今日にでも殺してーってな。でもな、テメーにゃ今すぐ奴を殺すなんて無理なんだよ。無理のあるビジョンなんざ捨てちまいな。楽になるぜ」

 

「うるさい!!」

 

イトナが寺坂に放った触手。しかし、ベンケイの力を使った寺坂はそれを受け止めた。

 

「なぁイトナ。一度や二度負けた位でグレてんじゃねぇ。いつか勝てりゃあいーじゃねーかよ」

 

ゴスッとイトナの頭を殴る寺坂はそのまま続ける。

 

「百回失敗したっていい。3月までにたった一回殺せりゃ……そんだけで俺等の勝ちよ。親の工場なんざそんとき賞金で買い戻しゃ済むだろーが」

 

「………耐えられない。次の勝利のビジョンが出来るまで……俺は何をして過ごせばいい」

 

「ハァ? 今日みてーにバカやって過ごすんだよ。そのために俺等がいるんだろーが」

 

「…………!」

 

寺坂は適当な事を平気でいう。

しかし、そういう言葉こそが力を抜いてくれるのだ。

 

「俺は……焦ってたのか」

 

彼の目から執着の色が消えた。

そんな彼に殺せんせーが近づく。

 

「今なら君を苦しめる触手細胞を取り払えます。大きな力のひとつを失う代わり……多くの仲間を君は得ます。殺しに来てくれますね? 明日から」

 

「……勝手にしろ。この力も兄弟設定ももう飽きた」

 

こうして、堀部イトナはようやくE組に加入することとなった。

 

「これで一件落着だな。次は………俺か」

 

◎◎◎◎◎

 

次の日。

 

「本当に行くんですね? 眼魔の世界に」

 

殺せんせーの確認にタケルは頷く。

 

「どのみち行かないといけないなら、行くしかないでしょう。寺坂が言ったように、失敗を恐れていては進めませんから」

 

「…………そうですね。先生は貴方を止めません。行ってきなさい」

 

「分かった。皆も……行ってくる」

 

「ああ、気を付けてな」

 

「絶対帰って来てね!!」

 

「眼魔なんかに負けるなよ!!」

 

皆からの激励。

そして英雄眼魂を発生させた十五人がそれぞれの眼魂を持って前にかざす。

すると目玉の紋様が浮かびか上がりゲートが開いた。

 

「タケル!」

 

「! 陽菜乃…………」

 

「行ってらっしゃい!!」

 

「………ああ、行ってくる!!」

 

 

 

神代タケルの所有眼魂

[01 ムサシ][02 エジソン][03 ロビンフット][04 ニュートン][05 ビリー・ザ・キッド]

[06 ベートーベン][07 ベンケイ][08 ゴエモン][09 リョウマ][10 ヒミコ]

[11 ツタンカーメン][12 ノブナガ][13 フーディーニ][14 グリム][15 サンゾウ]

=十五個

対話済眼魂=十二個




イトナ編の後半。
序盤は結構ゴーストチェンジが目立ちましたね。

ちょっと出番が少ないのが気になったので。

当初の予定ではここがノブナガゲットのタイミングでした。

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