仮面ライダー〜アサシン〜ゴースト   作:ファルコン・Σ

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告白! 伝わる想いと言葉!

「「「暗殺……肝試し?」」」

 

「先生がお化け役を務めます。久々にたっぷり分身して動きますよぉ」

 

ぐっぐっと体を慣らす殺せんせー。どうやら本気の分身をしてくるようだ。

 

「もちろんお化けは殺してもOK! あ、同じゴーストでもタケル君は殺してはダメですよ」

 

「「「不謹慎だろ!!」」」

 

「まあ既に死んでるから死なないけど」

 

「その返しはどうなのさタケル君………」

 

まあ何はさておき、動けなかった者も憂さ晴らしとしてノリノリだった。

 

「肝試しか……俺はどうしようかな」

 

「まさか脅かす側に回るのか?」

 

「そうだな英雄の皆様にも協力してもらってってアホかッ」

 

『僕なら呪いもかけられるよ?』

 

『妾も術は使える』

 

「やめてくださいツタンカーメンさんヒミコさん」

 

とまあそんな冗談はともかく。

 

「タケル~。私と行こ!」

 

「陽菜乃………ああ、うん。いいよ。行こうか」

 

若干躊躇ってからタケルはその提案を受けた。

 

◎◎◎◎◎

 

他の組がどんどん入っていき、いよいよタケル達の番になった。

 

「足元気を付けてね」

 

「うん。タケルは怖いのとか苦手?」

 

「特には。俺自身が心霊現象だし」

 

「なんか最近持ちネタになってない~?」

 

本人がやってる分には構わないのだが。と、

 

ベンベンベン……

 

「ひゃっ!?」

 

「…………ここは血塗られた悲劇の洞窟。琉球……かつての沖縄で……戦いに敗れた王族達が非業の死を遂げた場所です」

 

恐らくリアリティを出すための作り話だがかなり怖い。

 

「決して二人離れぬよう。一人になればさまよえる魂にとり殺されます」

 

そして殺せんせーはスッと消えた。

 

「び、ビックリしたぁ………ね、タケル」

 

「………………………」

 

「タケル?」

 

「え!? あ、ごめん。さ迷える魂だっけ? あ、なら」

 

と、タケルから飛び出した十三個の眼魂が周囲にふわふわと浮かぶ。

 

「………タケル? 何してるの?」

 

「え? …………あ、いや……英雄の皆さんにも体験してもらおうかと………」

 

「ええ~……?」

 

その後も殺せんせーお手製の驚かしポイント(というなの下世話)を悉く考え事で無視するタケルだった。

あまりに考えすぎて壁をすり抜けたりする始末である。

 

「タケル~。なんか変だよ?」

 

「………なあ、陽菜乃。頼みがあるんだが……」

 

「え、なになに?」

 

 

 

「俺と、縁を切ってくれないか」

 

 

 

衝撃の言葉、思わず倉橋は固まってしまった。

 

「…………なん、で?」

 

「俺は………もう、何回陽菜乃に危険に遭わせたのか分からない。守るとは言ったけど………これ以上の事態が起きたら俺は………」

 

「タケル………」

 

タケルにとって倉橋は立ち直らせてくれた特別大切な人。

だからこそ、これ以上の危険に関わらせたくない。

 

「だから俺とは縁を切ってくれれば陽菜乃が狙われることはないから……」

 

 

「バカ!!」

 

 

パァン!!

 

「ッッ!?」

 

平手打ち。

まさか常に穏やかな倉橋がそんなことをするとは思っていなかったタケルは驚愕の顔をした。

 

「ひ、陽菜乃……?」

 

「確かに今までに危険な目には遭ったよ。けどタケルは私を守ってくれた」

 

「それは……そうだけど」

 

「タケルは私よりもずっと辛いものを背負ってる。だから私はその助けになりたいの」

 

「駄目だよ………陽菜乃は生きてるんだから。死ぬ危険だってあるんだ」

 

「分かってるよ。でも私は逃げたくないの!」

 

「なんで!! 俺はもう死んでるから大丈夫なんだよ!!」

 

「体は死なないかもしれないけど心が無事でいられるとは限らないでしょ。だから私が支えてあげるの」

 

分からなかった。

危険だと言うことが分かっていながらタケルに関わろうという倉橋が分からなかった。

 

「なんで………そこまで」

 

倉橋は少し黙ってから口を開いた。

 

「…………結界を張れるゴーストっていない?」

 

「あ、ああ………ヒミコさん」

 

ヒミコ眼魂が光を放ち、結界を形成する。

誰も入り込めない事を確認してから倉橋は答えた。

 

「あのね。私ね…………」

 

 

 

 

 

「タケルのことが、好きなの」

 

 

 

 

 

「……………え?」

 

「友達としてじゃないよ? 異性として、ね?」

 

「いや、え……? だって陽菜乃は烏間先生が………」

 

「うん。そうだったよ。けどビッチ先生が烏間先生を好きになって………烏間先生も好きだけどビッチ先生も大好きだから」

 

故にキッパリと諦めたのだ。

 

「いや、けど俺は……」

 

「タケルは優しいし、強いし、やらなきゃいけないことに一生懸命だし、それに私を何度も守ってくれた」

 

だから、それに答えたい。

しかし、その想いは友達という関係のままでは留めることが出来なかった。

 

「好きな人を………恋人を思うって、そんなに変なことかな?」

 

「陽菜乃…………」

 

「もう一度言うよタケル。私は貴方が好き。厳しい戦いで疲れてるタケルを支えたいの」

 

「…………これ以上危険な目にあったとしても?」

 

「タケルの方がよっぽど危険だよ。それに………」

 

と、倉橋は決定的な事を告げた。

 

「それが、私の決めた覚悟だから」

 

「…………陽菜乃」

 

「だからタケル。私の心配じゃなくて、貴方の気持ちで答えて」

 

「………………俺は……」

 

しばらく躊躇してからタケルは答えた。

 

「…………うん。俺も陽菜乃が好きだよ。…………ああ言ったけど、陽菜乃の存在が俺を支えてくれていたんだ」

 

「うん」

 

「…………必ず生き返るからさ。俺を支えてくれないか?」

 

「よろこんで!」

 

ヒミコのおかげで下世話な教師も彼らを見ることはない。

誰も見えない結界の中で、二人の姿が重なった。

 

◎◎◎◎◎

 

手をしっかり繋ぎ、洞窟から出る二人。

と、何故かぐったりしてる殺せんせーとそれを取り囲む生徒達がいた。

 

「な、何があったの」

 

「あ、タケル君、倉橋さん…………えっ?」

 

「なんで手を繋いでるんだ………?」

 

「…………あー。えっとな」

 

気まずそうにしながら頬をかくタケルと満面の笑みで腕に抱きつく倉橋。

それを見て全生徒が「(あっ………)」と察した。

 

「おいおいタケル! 隅に置けないな!!」

 

「ちょ、やめろって」

 

「良かったね陽菜乃ちゃん!!」

 

「うん! ありがと~!」

 

とりあえず、ニヤニヤしてる殺せんせーがうざかったのでガンガンセイバーガンモードで撃っておく。

 

「で、皆は何してたんだ」

 

「下世話な教師に説教してた。あんたらのおかげで回復しちゃったけど」

 

「やっぱりか………」

 

薄々、仕掛けられていた物で察してはいたが、やはりそういう目的があったらしい。

 

「ですがタケル君と倉橋さんが愛でたく!! 先生は嬉しいですよ!!」

 

「小説にしたらツタンカーメンに呪わせた上でサンゾウの説教、グリムに昨日の殺せんせーのビデオを冊子編集してもらいますからね」

 

「ニュヤー!? それは嫌です!!」

 

「なら………分かってますね」

 

ニッコリと笑うタケルにガクガクと頷く殺せんせー。

 

「「「(こ、こえー……!!)」」」

 

 

◎◎◎◎◎

 

その後、皆でイリーナの恋を応援したり、(今度は毒の入ってない)夕飯を食べてから夜に至る。

しかしほぼ一日寝ていた生徒達が中々寝れる訳もなく、殺せんせーも特別にある程度なら起きていることを許可した。

 

「で? なんで倉橋を選んだんだよタケル?」

 

「本当下世話だなお前ら………」

 

英雄眼魂まで話を聞こうと集まっている。

何気に人間味の溢れる英雄達だった。

 

「まあ………支えてくれるって言われたら答えるしかないよなぁ」

 

「まあな~。タケルの境遇って過酷だもんな」

 

「パートナーは大事だと思うよ」

 

「ほら前原もいつまでもフラフラしてないでタケルを見習えよ」

 

「やかましいわ!」

 

笑いの耐えない男子部屋。

と、

 

「タケル君」

 

「お、陽菜乃。どうした?」

 

「ちょっと来てくれないかな?」

 

「ああ。分かった」

 

おお~~と騒ぎだす男子生徒達。

 

「タケル~。倉橋に変なことするなよ~」

 

「ベンケイ、サンゾウ。岡島に説法」

 

「え、ちょ、待って。うああああああぁ~~!」

 

◎◎◎◎◎

 

夜の海が見えるテラスで佇む二人。

 

「で、どうしたんだ陽菜乃」

 

「えっとね、もしタケルが良かったらさ。戻ったらデートしないかな?」

 

「ん。デート?」

 

出掛けた事自体は何回かあるが二人っきり、しかも恋人としては初めての体験である。

 

「……明後日でいいかな? 明日は疲れてそれどころじゃないだろうし」

 

「うん! じゃあ約束ね!」

 

「うん。約束」

 

小指を絡ませて指切りをする二人。

その顔は、二人とも笑顔だった。

 

 

 

「…………とりあえずそこでニヤニヤしている先生は岡島と一緒にベンケイとサンゾウの説法を受けてきてください」

 

「ニュヤァーッ!!」

 

 

 

神代タケルの所有眼魂

[01 ムサシ][02 エジソン][03 ロビンフット][04 ニュートン][05 ビリー・ザ・キッド]

[06 ベートーベン][07 ベンケイ][09 リョウマ][10 ヒミコ]

[11 ツタンカーメン][12 ノブナガ][14 グリム][15 サンゾウ]

=十三個

対話済眼魂=七個




ゆるふわクワガタ可愛いです…………。

とまあそんなこんなで結ばれました。やりました。

最初は仮面ライダーに恋愛を入れるべきか悩んでましたが本家ライダーでも進之介や渡といった前例がありましたし………いいかなと

次回は今回のラストで出たデート回。
その後は残りの眼魂に触れつつ二学期に入り、ゴーストとしての詳細にも詳しく触れていきます。
眼魔の世界とかも、

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