仮面ライダー〜アサシン〜ゴースト   作:ファルコン・Σ

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勝負! カルマVSグリップ!

四階、階段手前。

 

「ふん! やっ!」

 

「るあっ!!」

 

リョウマ磯貝とヒミコ片岡が眼魔コマンドを全滅させた。

 

「やるな二人とも!」

 

「タケルにばかり負担はかけさせられないからな」

 

さて、四階も突破して五階の展望回廊。

そこに居たのはロングコートの男性。

 

「…………あの雰囲気」

 

「ああ。いい加減見分けがつくようになったわ」

 

どう見ても「殺る側」の人間である。

と、

 

 

ビシッ!!

 

 

男性が背後のガラスを握力だけで破砕した。

 

「………つまらぬ。足音を聞く限り……手強いと思える者が一人も居らぬ。精鋭部隊出身の引率の教師もいる筈なのぬ……だ…」

 

男性が指で出てくるように促す。

存在がばれている以上不意討ちなども通じないので大人しく従う。

それより………。

 

「"ぬ"多くねおじさん?」

 

「(言った!!)」

 

「(良かったカルマがいて!!)」

 

「…………ぬをつけるとサムライっぽい口調になると小耳に挟んだ。かっこ良さそうだから試してみたぬ」

 

どうやら外国の人のようだ。

コードネーム、グリップ。その武器は圧倒的な握力。人の頭蓋骨程度なら簡単に握りつぶせるという。

 

「だが面白いものでぬ。人殺しのための力を鍛えるほど……暗殺以外にも試してみたくなる。すなわち闘い、強い敵との殺し合いだ」

 

「………………!」

 

烏間が動けない以上、タケルがやらなければならないが、連続で二回変身したタケルも疲労が溜まっている。

 

「………がっかりぬ。お目当てがこのザマでは試す気も失せた」

 

と、グリップは携帯で仲間に連絡を取ろうとする。

しかし、その携帯を植木でカルマが破壊した。

 

「ねえおじさんぬ。意外とプロってフツーなんだね。ガラスとか頭蓋骨なら俺でも割れるよ。ていうか、速攻仲間呼んじゃうあたり、中坊とタイマン張るのも怖い人?」

 

「! よせ、無謀……」

 

「ストップです烏間先生。アゴが引けている」

 

今までのカルマならば余裕をひけらかして顎を突きだし、相手を見下す構えをしていたが、今は目をまっすぐ油断なく正面から見据えている。

 

「大丈夫なのかな……」

 

「問題ないさ。生身ならカルマは………俺より強い」

 

タケルも、そう評した直後、闘いが始まった。

 

降り下ろした植木をグリップは容易く握り潰す。

 

「柔い。もっと良い武器を探すべきだぬ」

 

「必要ないね」

 

迫るグリップの掌。

身を逸らし、手で弾いて軌道を変え、手首を掴んで受け止める。

 

「(一度掴まれたらゲームオーバー。普通に考えて無理ゲーだけど、立場が逆なだけでいつもやってんだよねその無理ゲー)」

 

「すごい……全部避けるか捌いてる」

 

「烏間先生の防御テクニックですねぇ」

 

殺し屋にとって防御は優先度が低いため、授業では教えられていない。

烏間の動きを目で見て盗んだのだろう。

カルマの戦闘センスはタケルと同等なのだ。

 

「…………どうした? 攻撃しなくては永久にここを抜けれぬぞ」

 

「どうかな~~あんたを引き付けるだけ引き付けといてそのスキに皆がちょっとずつ抜けるってのもアリかと思って」

 

「………………」

 

「……安心しなよ。そんなコスいことは無しだ。あんたに合わせて正々堂々、素手のタイマンで決着つけるよ」

 

「……良い顔だぬ。少年戦士よ。お前とならやれそうぬ。暗殺家業では味わえないフェアな闘いが」

 

カルマが仕掛ける。

ジャンプしての飛び蹴り。更に拳と目潰しを放って牽制をしつつ、グリップの右足に強い一撃!

 

「くっ………」

 

背中を見せたチャンスを見て突撃するカルマ。

そんな彼に放たれたのは麻酔ガスだった。

 

「一丁上がりぬ。長引きそうだったんでスモッグの麻酔ガスを試してみることにしたぬ」

 

「き……汚ぇ……そんなもん隠し持っといて何処がフェアだよ」

 

「俺は一度も素手だけだとは言ってないぬ。拘ることに拘りすぎない。それもまたこの仕事を長くやってく秘訣だぬ」

 

頭を掴んでカルマを持ち上げるグリップ。

まさしく絶体絶命である。

 

「至近距離のガス噴射、予期してなければ絶対に防げぬ」

 

ブシュッ。

 

「「「!?」」」

 

「奇遇だね。二人とも同じこと考えてた」

 

カルマが持っていたのもスモッグが所有していたガスだった。

 

「(なぜ……お前がそれを持っているぬ……しかも……何故お前は俺のガスを吸ってないぬ)」

 

自由の効かない体をなんとか動かしてナイフを突き出すグリップ。

しかしそれを掴み、カルマはグリップを地面に叩きつけた。

 

「ほら寺坂早く早く。ガムテと人数使わないとこんなバケモン勝てないって」

 

「へーへー。テメーが素手でタイマンの約束とか、もっと無いわな」

 

一斉に飛びかかる寺坂達。

そしてガムテープで縛り上げた。

 

「何故だ……俺のガス攻撃……お前は読んでいたから吸わなかった。俺は素手しか見せてないのに………」

 

「とーぜんっしょ。素手以外の全部を警戒してたよ」

 

「!?」

 

「あんたが素手の闘いをしたかったのは本トだろうけどこの状況で素手に固執し続けるようじゃプロじゃない。俺らをここで止めるためにはどんな手段でも使うべきだし、俺でもそっちの立場ならそうしてる」

 

カルマはグリップの前に座り、落ち着いた声音で語りかけた。

 

「あんたのプロ意識を信じたんだよ。信じたから警戒してた」

 

期末テストで大きな敗北を経験したカルマは身をもって知った。敗者だって自分と同じ、色々考えて生きている人間なんだと。

 

「それに気づいたものは必然的に勝負の場で相手のことを見くびらないようになる。自分と同じように敵も考えていないか、頑張っていないか。敵の能力や事情をちゃんと見るようになる。敵に対し敬意を持って警戒できる人。戦場ではそういう人を、隙がないと言うのです」

 

カルマは大きく成長し強くなったそんな彼を見てタケルは素直に尊敬する。

 

「カルマは強いよ。俺よりも。技術じゃなくて、心が」

 

ただ戦う者、その自覚があるからこそタケルはカルマに素直にそういえるのだった。

 

「………大した奴だ、少年戦士よ。負けはしたが楽しい時間を過ごせたぬ」

 

「…………え、何言ってんの? 楽しいのこれからじゃん」

 

カルマが取り出したのはわさびとからし。ドSな本性カイガンである。

 

「なにぬ!?」

 

「さっきまではきっちり警戒してたけどこんだけ拘束したら警戒もクソもないよね」

 

「ちょ、待ったカルマ!」

 

「ん~? なにタケル」

 

「ちょっと聞きたいことがあるんだ。なああんた」

 

と、タケルがグリップに問いかけた。

 

「今回の計画に眼魔は関わっているのか?」

 

「眼魔………? それについてはよくわからぬがボスと共に一人の男がいたぬ」

 

「男…………」

 

「どうやら科学者のようだぬ。目的はボスとは異なるようだった。………人を馬鹿にするような目をした不愉快な奴だぬ」

 

「そうか…………よしいいぞカルマ」

 

「なぬ!? 話してやったというのに!!」

 

「はいおじさんぬ始めるよ~~」

 

「モガァァァァァァァァ!!?」

 

グリップの悲鳴を聞きながらタケルは考える。

 

「(このホテルに眼魔を配置したのはその男だろうな………何が目的だ…?)」

 

 

 

神代タケルの所有眼魂

[01 ムサシ(対話済)][02 エジソン(対話済)][06 ベートーベン(対話済)]

[12 ノブナガ][15 サンゾウ]

=五個/十二個(内七個貸し出し中)




グリップ戦は特に変更無いです。

強さ的には
烏間←ゴースト←カルマ←タケル(生身)

烏間先生強ぇ(汗)

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