仮面ライダー〜アサシン〜ゴースト   作:ファルコン・Σ

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ゴーストは一番好きなライダーです。
暗殺教室完結記念も含めて書きたくなりました。

独自設定だったりスペクターやネクロムは登場しなかったり(暗殺教室のストーリー的に一人じゃないと難しいので)といったとこはありますが読んでいただけると幸いです


変身! 幽霊の転入生!

暗殺者は、一度死んで、蘇る。

 

これは、とある隔離校舎で起きた、一年間の物語。

 

 

3月末。

 

「………はあ……はあ……」

 

東京都椚ヶ丘市の郊外の森で一人の少年が傷つき倒れていた。

既に瀕死の重体であり、呼吸もままならないが傍目にはその原因は分からないだろう。

 

『そろそろ諦めたらどうだ。貴様では拙者には勝てない』

 

「くっ………!」

 

そんな少年の前には刀を持った怪人がいた。

何処か戦国時代の剣豪、佐々木小次郎を思わせるこの怪人こそ、少年を追い詰めた存在である。

 

少年は、四月から中学三年生になる。

その為に今日はノートなどを新調する為に買い物に出掛けていたのだ。

その道中、この怪人が街で暴れている所を目撃。彼以外の人間には怪人が見えていないらしく、原因不明の破壊現象に慌てていた。

何故か怪人が見えた少年は親子連れに襲いかかった怪人に咄嗟に飛びかかり、標的を自分に変えた怪人を一先ず街から離れた森の方まで誘導したのだが、

 

『対した実力も無くてこのような無様な真似を晒すとは。情けない武士道だな』

 

「………罪も……ない…人達や、街を……破壊す…るよう…な……お前に、武士道…を…語る……資格は、無い…!」

 

死に体になりながらも体に鞭打って立ち上がる少年は、その命を燃やして叫ぶ。

 

「武士って…いうのは……"宮本武蔵"の……ように……自分の、義を、貫く人のことを言うんだ!!」

 

『ふん。吠えた所で何ができる。もういい。死ね』

 

怪人が刀を振り上げ、その凶刃が少年に降りかかり、

 

「ぐっ、ああっ……!」

 

切り裂かれた少年は、死んだ。

 

◎◎◎◎◎

 

四月初め。

この街の進学校である椚ヶ丘学園には旧校舎が存在する。

裏山の上に位置するこの校舎は成績不良や非行によって落ちこぼれた生徒達のクラス、E組の為のものである。

劣悪な建物の中の教室。

 

「起立、気を付け」

 

そこで今日も、

 

「礼!!」

 

銃声が鳴り響く。

 

椚ヶ丘中学三年E組は暗殺教室。

月を爆破し、一年後に地球も破壊するという謎の触手超生物、通称殺せんせー。

マッハ20で動き、どんな兵器も通じないこの生物は何故かこのクラスの担任教師をしている。

そしてクラスの生徒達にはこの生物を暗殺する義務が与えられた。

新学期になって1週間。未だに決定的なダメージは与えられていない。

 

「本日も被弾無し。まだまだのようですねえ。しかし欠席無しは素晴らしいことです」

 

出席点呼が終わり、その間全ての弾幕を避けきった殺せんせーはニヤニヤと笑う。

腹立たしいが事実避けているので何も言えない。

そんな疲弊した空気も次の殺せんせーの発言で吹っ飛ぶ。

 

「さて、実は今日はこのクラスに転校生がやってきます」

 

「「「転校生!?」」」

 

と、状況を俯瞰していた防衛省特務部でありこのクラスで体育も担当する烏間惟臣が口を開いた。

 

「その生徒は少し訳ありでな。元々はこの学校の生徒だがやむを得ない状況になってこのクラスになった」

 

「では、入ってきてください」

 

やや軋むドアがゆっくりと開き、長い黒髪を後ろで束ねた少年が入ってきた。

 

「今日からこのクラスでお世話になります。神代タケルです。よろしくお願いします」

 

「「「!?」」」

 

途端、彼らに戦慄が走る。

 

「神代タケルって言ったら元はB組の最優秀成績生徒だろ……?」

 

「素行もいいからA組にも入れるってレベルのタケル君がなんで………?」

 

いい意味で有名人である生徒のE組転入に驚きを隠せない。

 

「…………あの、質問いいですか?」

 

「はい。磯貝君」

 

「神代が転入した理由を教えてもらってもいいでしょうか?」

 

学級委員の磯貝悠馬の問いかけに烏間が戸惑いを見せてからタケルに促す。

 

「………ごめん。今はそれは言えないんだ。しばらくしたら話すから」

 

「だそうです。共に暮らしていく上で分かることもあるでしょう。これから一年、神代君も共に学び、大いに暗殺していきましょう!」

 

◎◎◎◎◎

 

「タケル君の家ってお寺なんだっけ」

 

「うん。父さんの弟子が跡を継いでるんだ」

 

「じゃあ神代も跡を継ぐのか?」

 

「いやどうだろう。父さんは『家に囚われず好きなことをやればいい』って言ってるしお弟子さんもそういうことを言ってくれてるから」

 

性格が良いタケルは早々にクラスとも馴染めていた。

どうやら最初は暗殺はしないつもりらしく、今日はクラスと親しくすることを優先するようだ。

 

「にしてもビックリしたよ。まさかこんな事態になってるとは思わなかったからね………」

 

「でも殺したら百億だぜ!! もしゲットできたらどうするよ?」

 

「ん~~……。特に分からないかな。実感沸かないし」

 

「まあそれもあの先生を殺すことからだけどな」

 

そんな会話をしていると殺せんせーが入ってきて授業が始まった。

 

◎◎◎◎◎

 

そんな転入日から二日。

帰りの下山中に赤羽業が口を開いた。

 

「転入生の神代って変わってるよね」

 

「え、何が?」

 

それを聞いた潮田渚が聞き返す。

 

「なんかさ、烏間先生の授業の時やけに戦い馴れしてたじゃん」

 

「あ、そうかも。他の人と比べても明らかに強いよね」

 

「茅野さんもそう思う? ……けどなんか喧嘩してるって感じじゃないんだよね」

 

実際昨日の授業でタケルはナイフを烏間先生にかすらせることができた。

そして今日、射撃は何発も的の中心に当てていた。

 

「もしかしてそういう習い事とかをしていたんじゃ?」

 

「あり得るね……家もお寺らしいし」

 

「…………あれ?」

 

と、茅野カエデが何かに気づいた。

見ると丁度噂していたタケルが花を持って山の奥に入っていった。

 

「………神代君だ。何してるんだろう」

 

「ちょっと見に行こうか」

 

気づかれない程度の距離を開けて跡を追う三人。

やがてタケルは立ち止まり、地面に花を置くと手を合わせる。

そこには既にかなりの数の花が置かれていた。

 

「………誰かここで亡くなったのかな」

 

「………もしかしてタケル君に縁のある人?」

 

「………そうかもね、ちょっとここにいると悪いから帰ろうか」

 

その言葉に渚と茅野が同意するように頷く。

 

と、その時である。

 

「!!!」

 

突然、タケルが転がるように身を翻す。

そして先ほどまでタケルがいた場所に何者かが襲撃してきた。

 

「な、何!?」

 

「…………」

 

『貴様………!』

 

それは、3月に暴れた刀の怪人だった。

 

「…………お前か」

 

『貴様はあの時拙者が殺した筈だ……!』

 

怪人の言葉に渚達が驚く。

 

「殺した……え……!?」

 

「じゃ、じゃあタケル君は幽霊……!?」

 

一方のタケルはゆっくりと立ち上がる。

 

「……ああ。だけど俺はまだやり残したことがあるんだよ……だからまだ死ねない」

 

『ふん。たかが生き返っただけで何ができる!!』

 

「生き返っただけじゃない……今の俺には力がある!!」

 

そう言うとタケルは腰に手をかざす。するとそこに半透明のベルトが現れる。

続けて取り出した球体のサイドボタンを押す。

 

「………あれ、目玉?」

 

[アーイ! バッチリミナー! バッチリミナー!]

 

その目をベルトにセットするとそこから橙色のパーカー型の幽霊が飛び出す。

 

「ゆ、幽霊!?」

 

「ていうかあの音楽何……?」

 

幽霊が飛び回るのと同時に構えたタケルが叫ぶ。

 

「変身!!」

 

[カイガン! オレ! レッツゴー! 覚悟! ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!]

 

ベルトサイドのレバーを入れると幽霊がタケルに被さる。

と、瞬間的にタケルの姿が変わった。

 

やや透けた体に鈍く輝く橙色のパーカー。光る顔からは一本の角が伸びている。

 

『な、なんだ貴様は!?』

 

「俺は、英雄と共に戦う、仮面ライダー……ゴーストだ!!」

 

そう宣言したタケル……ゴーストはフードを外し、顔を顕にした。

 

「仮面……」

 

「ライダー………」

 

「ゴースト……って本当に幽霊だった!?」

 

と、ゴーストが刀怪人に殴りかかった。

顔面に拳を食らった刀怪人は大きくよろめいた。

 

『ぐっ、貴様!!』

 

「先月のリベンジをさせてもらう!!」

 

『嘗めるな!!』

 

反撃の刀に対してベルトから召喚した剣で受け止める。

そして力任せに弾き飛ばし、逆に切り裂いた。

 

『ぐおっ!?』

 

「刀勝負か? 負けないぜ!!」

 

激しく刃を打ち合うゴーストと怪人。

 

「す、凄い」

 

「………やっぱり、本当の戦いをしていたんだな」

 

『ふん!!』

 

「うおっ!?」

 

隙を付かれたゴーストが突きを食らって吹っ飛ぶ。

 

「神代君!?」

 

「っ!? 渚!? なんでここに……!」

 

『邪魔者め……!』

 

と、刀怪人が黒い影のような怪人を複数召喚した。

 

『奴等を消せ!!』

 

「ッ!?」

 

「「渚(君)!」」

 

「不味!!」

 

ゴーストは剣を分割して組み換え、銃に変形させる。

そして敵怪人を次々と撃ち抜いて倒した。

 

「渚!! 離れてろ!!」

 

「わ、分かった!!」

 

渚が離れたのを確認したゴーストは別の赤い目玉を取り出した。

 

「………お前には本当の武士って奴を見せてやるよ」

 

黒い目玉を取り出すとゴーストのパーカー部分が霧散。

代わりに赤い目玉を装填すると刀を携えた真っ赤な幽霊が飛び出した。

 

『まさか、宮本武蔵の眼魂を!?』

 

[カイガン! ムサシ! 決闘、スバッと、超剣豪!]

 

赤い幽霊が被さり、顔が二本の刀を描いたものに変化。

剣を分離させ、二刀流を構えたその姿はまさしく、

 

「剣豪、宮本武蔵……!」

 

「天下無双! かかってこい!!」

 

次々と怪人を斬り倒したムサシゴーストは刀怪人に斬りかかる。

 

『眼魂を寄越せ!!』

 

「そりゃ無理だ。お前は此処で終わりだ!!」

 

[ダイカイガン!!]

 

真っ赤に燃える二刀で鮮やかに切り裂き、最終的に振り上げた二刀を降り下ろす!!

 

[オメガスラッシュ!!]

 

『ぐああああっ!!』

 

両断された刀怪人は燃え上がって爆散した。

 

「………俺の仇はとらせてもらった!!」

 

[オヤスミー]

 

赤い目玉を外したゴーストの姿がタケルに戻る。

 

「か、神代君……?」

 

「………うん。聞きたいこともあるだろうけど………明日でいいかな?」




初変身やムサシ入手の経緯は番外編で書きます

サブタイトルはゴースト風と暗殺教室風を交互に使用するつもりです。

話を書きやすくする為にゴーストの設定は多少改変するつもりなのでご了承を

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