仮面ライダー〜アサシン〜ゴースト   作:ファルコン・Σ

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引力の時間

「じゃあ磯貝とメグが眼魂を持っていたんだね」

 

七月末、タケルは買い出し先で岡野と出会い、先日のことを話していた。

 

「これからの偉人は俺を試してくることもあるかもしれないな…………」

 

「けどこれで十人! あと八ヶ月で五人! 大分いいペースじゃない?」

 

「ああ。あとは……04、08、11、13、14だ」

 

もはやここまでくればE組の生徒から英雄眼魂が誕生することは明白である。

 

「私にも英雄眼魂があったりするのかな」

 

「確かにあるかもな。ひなたさんならどんな英雄がいい?」

 

「ん~~……巴御前とか」

 

「なかなか渋いね………」

 

しかし男勝りで戦闘力も高い岡野らしいといえばらしいと言える。

 

「待ってよ~~~!」

 

と、何やら聞き覚えのある声が聞こえた。

二人が振り向くとそこには矢田がおり、全力で何かを追いかけていた。

 

「矢田っち? 何してるんだろ………」

 

「! 眼魂だ!!」

 

「えっ、嘘!?」

 

「! 村松! いいところに!!」

 

「あん?」

 

たまたま居合わせた村松に買ったものを預ける。

 

「おい神代!? って岡野まで!!」

 

「ごめん村松! 少しだけ持ってて!!」

 

「おいぃ!? ちょ、待てや!」

 

 

眼魂を追いかける矢田を追いかけるタケルと岡野、そしてそれを追う村松。

謎の光景が出来上がっていた。

 

「待ってってば~!」

 

「矢田っちあんなに速かったっけ!?」

 

「眼魂を持ってた人の身体能力が上がるっていうのはよくあることなんだよ!」

 

「お前ら状況を説明しろよ!!」

 

しかし逃げる眼魂。

と、その前に菅谷創介が出てきた。

 

「菅谷君!」

 

「ん? 矢田………ってなんだその状況!?」

 

「その眼魂を捕まえて!!」

 

「は? 眼魂………ぐはっ!?」

 

なんと眼魂は菅谷に体当たり、なおも逃げ出した。

 

「菅谷大丈夫!?」

 

「悪い!! 後で事情説明する!!」

 

その脇を駆け抜けていくタケルと岡野。

 

「なんなんだ一体……」

 

「おい菅谷。手伝え」

 

「村松………何が起きたんだ?」

 

「知るかよオレが聞きてぇよ」

 

 

 

「たあーーっ!!」

 

ジャンプで眼魂をキャッチ。

ズシャーッとずべる矢田だが手にはしっかり眼魂が握られていた。主に胸へのダメージが心配だが。

 

「矢田っち大丈夫!?」

 

「思いっきりずべったな………」

 

「いたたた……あれ? タケル君にひなたちゃん? って村松君も」

 

「気づいてなかったのかよ……」

 

荷物の半分を菅谷に運ばせた村松が疲れた様子で言った。

 

「矢田。何があったのか教えてくれよ」

 

「あ、うん。はいこれ」

 

矢田が見せたのは水色の眼魂。

ニュートン眼魂だった。

 

◎◎◎◎◎

 

少し時間を遡る。

矢田は片岡と共に映画を見に行っていた。

その後、時間があるということで少しお茶をすることになったそうだ。

 

「あ、そうだ矢田さん」

 

「ん。どうしたのメグメグ」

 

「実はこの間ね、私にも眼魂が発現したの」

 

「え! そうなの!?」

 

「うん。ちょっと待ってて」

 

と、片岡がヒミコ眼魂を取り出した。

その時である。

 

「わあヒミコかぁ。メグにピッタリかも」

 

「!? 矢田さん……なんか光ってるよ?」

 

「え?」

 

と、矢田から突然ニュートン眼魂が飛び出し、逃げ出した。

 

「わ、私にも眼魂が!?」

 

「……お、追わなくていいの?」

 

「そ、そうだね!! ごめんメグまたね!!」

 

そして逃げるニュートン眼魂を追いかけて今にいたるというわけだ。

 

「眼魂が逃げるのか……」

 

「今までも勝手に動いたことはあったけど、逃げるってどういうこと?」

 

「さあ…………」

 

「ニュートンは卑弥呼が苦手なんじゃないか?」

 

と、菅谷が声を出した。

 

「苦手?」

 

「ニュートンは理論主義なんだろ? 神秘的な力で国を納めていた卑弥呼とは相性が悪いんじゃないか?」

 

と、ニュートン眼魂がカタカタと揺れた。

 

「………そうみてぇだな」

 

「参ったな…………」

 

偉人に認められる方がまだマシかもしれない。

今回に関しては偉人そのものの気持ち次第なのだ。

 

「………じゃあ俺は行くわ。家の手伝いしねーといけねーし」

 

「分かった。またな村松」

 

村松が去り、四人が残った。

 

「で、どうする?」

 

「………私はニュートンをタケル君に渡してもいいんだけど………」

 

「ニュートン本人がいいのかだよね………」

 

と、エジソン眼魂が机の上に乗る。

 

「エジソン?」

 

カタカタ、カタカタと動く眼魂。

 

「…………何してるの?」

 

「多分理系の偉人同士だから説得しているっぽい?」

 

やがて会話が終わったらしく、ニュートン眼魂はタケルの手に収まった。

 

『He say ヒミコとの関係は改善できないが神代タケルには力を貸すとのこと』

 

「あ、そうですか………」

 

まあ何はともあれ十一個目の眼魂を手に入れた訳である。

その時、コブラケータイに着信が入った。

 

「あ、渚からだ。もしもし?」

 

「タケル君!! 助けて! 眼魔が!!」

 

「!? 場所は!?」

 

「E組の校舎!」

 

「分かった! すぐに行く!」

 

タケルはマシンゴーストライカーを召喚、ヘルメットを着けて乗った。

 

「行ってくる!」

 

「おう! 気を付けてな!!」

 

マシンゴーストライカーで山に向かうタケル。

と、山を見ていた岡野が何かに気づいた。

 

「うちの山………あんなに高かったっけ……?」

 

「嫌な予感がする………私達も行こう!!」

 

◎◎◎◎◎

 

岡野の目は間違いなかった。

タケルが着いたとき、なんと山は宙に浮かんでいたのだ。

 

「なんだこれ………!」

 

早急にコブラケータイで渚に連絡するタケル。

と、数秒で繋がった。

 

「渚! 何があった!!」

 

「タケル君! 眼魔は何処かに行ったけど地震が……!」

 

「地震ってレベルじゃないぞ!? 山が浮いてるんだ!!」

 

「ええっ!?」

 

『ククク。来ましたねぇ』

 

と、背後に現れたのはブック眼魔。

 

「お前が山を飛ばしたのか」

 

『その通り。この山を街に落とせば何百と行った人間を一気に始末できるのです』

 

「なんだって!?」

 

今までの眼魔とは比較にならない被害が起こりかねない。

 

『全てはイレーザー様の計画の為、大量の人間の魂を得られれば計画は大いに進められるでしょう』

 

「そんなこと許さない! お前もそのイレーザーって奴にも好きにさせてたまるか!」

 

[カイガン! オレ! レッツゴー! 覚悟! ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!]

 

ゴーストに変身したタケルはガンガンセイバーを持ってブック眼魔に斬りかかる。

 

「はっ! でやっ!!」

 

『フフフ。此方ですよ』

 

「くそ! ちょこまかと!」

 

ひらひらと避けるブック眼魔にイライラするゴースト。

 

『くらいなさい!』

 

「うあっ!!」

 

ブック眼魔のパンチを食らって吹き飛ばされた。

そうこうしている間にも山はどんどん宙に浮かんでいく。

 

『もう一発!』

 

「!! コンドルデンワー!」

 

と、飛来したコンドルデンワーがブック眼魔に攻撃をしかけた。

 

『何!?』

 

「今だ!」

 

[ダイカイガン!]

 

[オメガブレイク!]

 

「はあっ!!」

 

ガンガンセイバーで相手を脳天から叩き切る。

が、

 

『残念。それは偽物です』

 

「なっ!?」

 

倒したのは直前で分身したブック眼魔の偽物だったのだ。

 

『ひとつ警告しましょう。私を倒したらあの山を浮かせている力も消え、落下しますよ』

 

「なんだって!?」

 

『もしあの高さから落下したなら貴方の友人は無事ではすみません。貴方の大切な女性もね』

 

「!? 陽菜乃か!?」

 

不自由な二択。眼魔を倒しても倒さなくても命が奪われる。

 

「どうすれば………!」

 

現状を打破できる力。

それを必死に考える。と、

 

「………あった!」

 

[カイガン! ロビンフット! ハロー!アロー!森で会おう!]

 

『友を犠牲に私を倒すつもりかな?』

 

「違うね。俺は全ての命を救う」

 

『できませんねぇ。そもそも貴方は私に勝てない!』

 

大量に分身したブック眼魔が高速で回り、タケルの周囲を取り囲む。

 

「分身には………分身だ!」

 

[ダイカイガン! ロビンフット! オメガドライブ!]

 

と、弓を引き絞るロビンゴーストも分身した。

合計六体のロビンゴーストの矢が全ての眼魔を貫く!

 

[オメガストライク!]

 

『ギャア!! し、しかし………もう、終わりですよ……!』

 

爆発するブック眼魔。

と、岡野達が駆けつけた。

 

「タケル!」

 

「やっぱり山が浮いてる!?」

 

「ヤバイぞ!! これが落ちたら大災害になる!」

 

「俺が止める!」

 

 

 

「うわああああ!!」

 

「ちょ、落ちてるぞこれ!!」

 

「殺せんせーなんとか出来ないのか!?」

 

「流石に無理ですよぉぉ!!」

 

パニックになる渚、杉野、前原、岡島、殺せんせー。

倉橋は目を瞑って彼に祈った。

 

「(タケル……助けて…!)」

 

 

[カイガン! ニュートン! リンゴが落下! 引き寄せまっか~!]

 

ニュートンゴースト。

その左手のグローブは引き付ける引力。右手のグローブは押し返す斥力を放つ。

 

「うぉらあああああああああああ!!!!」

 

[ダイカイガン! ニュートン! オメガドライブ!]

 

落下する山の下に入ったニュートンゴーストは右手を高くかかげ、最大の斥力で落下する山を押し留める!

 

「うおぉ!! あのでかい山を受け止めた!」

 

「タケル君! 早く脱出して! 潰されちゃうよ!」

 

「う、おおおおおおおお!!!」

 

流石に限界があるのかだんだん迫ってくる山。

と、とうとう地面の隙間が無くなってくる。

 

「タケル君!!」

 

ズシャアッ!!!

 

そして、山は静かに地面に下ろされたがタケルはその下敷きになってしまった。

 

「タケル君!!」

 

「待った矢田っち!」

 

「ひなたちゃん!? タケル君が潰されちゃったんだよ!?」

 

「落ち着いて矢田っち。タケルはゴーストだよ?」

 

「……あっ」

 

その言葉の通り、霊体になったゴーストがにゅっと地面から生えてきた。

 

「よし。無事生還!」

 

「………はは。ひやひやさせるぜ」

 

「もう………心配して損した」

 

「タケル~!」

 

と、渚達が降りてきた。

 

「前原!? なんであんたまで!!」

 

「いやぁちょっとな……はは」

 

「タケル……ありがとう」

 

「いいって。怪我はないか陽菜乃?」

 

「うん。大丈夫」

 

「そっか………よかった」

 

 

 

「またしても邪魔をされたか………」

 

そんな光景を見ている者が一人。

 

「計画に邪魔な者は消去しなくてはな………」

 

 

 

神代タケルの所有眼魂

[01 ムサシ(対話済)][02 エジソン(対話済)][03 ロビンフット][04 ニュートン]

[05 ビリー・ザ・キッド][06 ベートーベン(対話済)][07 ベンケイ][09 リョウマ(対話済)]

[10 ヒミコ(対話済)][12 ノブナガ][15 サンゾウ]

=十一個

 

残り四個/八ヶ月




ヒミコが片岡メグなら一番関わりのある人物にするべきだろうと。
で、ニュートンは矢田桃花になりました。
まだ不仲ですけどね………

そして今回の戦いは本編の四話とほとんど同じですね。

宣言、イトナ編入までに全15英雄眼魂を出す!

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