仮面ライダー〜アサシン〜ゴースト   作:ファルコン・Σ

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才能! 教師と生徒と暗殺者!

とある体育の授業中のこと、烏間は生徒達のナイフ訓練を行っていた。

彼の目から見ても生徒達の腕は格段に上がっているようだ。

一部の生徒はどうやらタケルにも特訓をしてもらっているようだ。

 

と、その時。

 

不気味な気配を感じた烏間は思わず本気で防御してしまう。

 

と、それは渚だった。

 

「……!! すまん。ちょっと強く防ぎすぎた。立てるか?」

 

「へーきです」

 

「(………今のは、気のせいか?)」

 

そして授業終了。

とある男がやってきた。

 

「よ、烏間!」

 

「………鷹岡!」

 

鷹岡明、防衛省特務部で烏間とは旧知の関係だった。

 

「やっ! 俺の名前は鷹岡明! 今日から烏間を補佐してここで働く! よろしくなE組の皆!」

 

彼が持ってきたのは高級店のスゥィーツだった。

 

「いいんですか。こんな高いの?」

 

「モノで釣ってるなんて思わないでくれよ。お前らと早く仲良くなりたいんだ。それには……皆で囲んで飯食うのが一番だろ!」

 

近所の父親のような雰囲気の鷹岡にクラスの皆が早速打ち解けていく。

 

「ほら。お前も食え食え!」

 

「あ、ありがとうございま…………」

 

 

 

~おら、もっとしっかり動け!~

 

~父親の言うことが聞けないのか?~

 

 

 

「!!?」

 

「ん、どうした?」

 

「………い、いえ………すみません気分が優れないので………」

 

「ん、そうか」

 

そう言うとタケルは少し鷹岡から距離をとった。

 

「タケルどーしたの?」

 

「いや…………(なんだ今のは……?)」

 

◎◎◎◎◎

 

鷹岡は翌日からE組の体育を担当することになった。

 

「よーし皆集まったな! では今日から新しい体育を始めよう!」

 

完璧に生徒達の心を掴んでいた。

…………タケル以外。

 

「…………………」

 

彼からはどうしても昨日見た景色が離れなかった。

 

「さて! 訓練内容の一新に伴ってE組の時間割も変更になった。これを皆に回してくれ」

 

「………時間割?」

 

それは、明らかに異質な時間割だった。

一日10時間目まで。訓練以外の各授業は一週間に一回か二回。他は全て訓練。

生徒達に戦慄が走る。

 

「このくらいは当然さ。理事長にも話して承諾してもらった。この時間割についてこられればお前らの能力は飛躍的に上がる。では早速……」

 

「ちょっ……待ってくれよ無理だぜこんなの!!」

 

と、前原が抗議した。

 

「勉強の時間これだけじゃ成績落ちるよ! 遊ぶ時間もねーし!! できるわけねーよこんなの!!!」

 

直後、鷹岡は前原に膝蹴りを食らわせた。

 

「出来ないじゃない。やるんだよ」

 

前原を投げ捨て、狂気の顔を見せる鷹岡。

 

「言ったろ? 俺達は[家族]で、俺は[父親]だ。世の中に……父親の命令を聞かない家族が何処にいる?」

 

「!!」

 

タケルの嫌な予感が確信に変わった。

彼は甘い飴で生徒を釣り、後は厳しい鞭でスパルタを施すのだ。

 

「抜けたい奴は抜けてもいいぞ。その時は俺が権限で新しい生徒を補充する。けどな、俺はそういうことしたくないんだ。父親として一人でもかけて欲しくない! 家族皆で地球の危機を救おうぜ! なあ?」

 

神崎有希子の肩を抱き、彼女を従えさせようとする鷹岡。

 

「な? お前は父ちゃんについてきてくれるよな?」

 

「は、はい……あの……私………」

 

震えが止まらない神崎、だがそれでも、

 

「私は嫌です。烏間先生の授業を希望します」

 

しっかりと自分の意思を示した。

そんな彼女に鷹岡は再び拳を振り上げ…………。

 

 

直後、何かがそれを止めた。

 

 

「「「なっ!?」」」

 

「………なんだこいつは?」

 

神崎から飛び出したのはなんとパーカーゴーストだった。

中国の僧侶のような姿で肩が猿と豚、背中が河童のような意匠になっている。

 

「あれは、三蔵法師のパーカーゴースト!?」

 

「まさか……自分の主を護るために自ら飛び出したのか!?」

 

鷹岡の攻撃を防いだサンゾウパーカーゴーストはタケルに向かい、眼魂に変化した。

 

「ちっ、邪魔が入ったな。もう一度だ!!」

 

「させるか!!」

 

そこでタケルが飛び出して神崎を庇った。

 

「なんだ。文句があるなら拳と拳で語り合おうか? そっちの方が父ちゃん得意だぞ!?」

 

「願ったり叶ったりだ。変身!」

 

[カイガン! サンゾウ! 猿・豚・河童! 天竺を突破!]

 

完全にキレたタケルはサンゾウゴーストに変身までした。

そして鷹岡の拳を弾いたり受け流してかわしていく。

 

「なるほど。お前が神代タケルか!! 随分変わった奴だが父ちゃんに逆らうとは感心しないな!」

 

「父親面するな! 俺の父さんは一人だけだ!」

 

サンゾウゴーストは鷹岡の蹴りや拳になんとか応戦する。

やはりプロの軍人である鷹岡は強く、変身した状態でも格闘戦は互角だった。

 

「(それでも………こいつは許せない!)」

 

背中のゴコウリンを外し、それを振りかぶるサンゾウゴーストだが……。

 

「やめろ神代君! 生徒が教師に手を出したら君の問題だけじゃ済まないぞ!!」

 

「!!」

 

烏間の言葉に我に返ったタケルは攻撃を止めた。

 

「どうやら文句があるようだな。だがこれは暴力じゃなくて教育だ。烏間、ここの生徒はお前を望む声も多そうだからどちらが教師になるか対決しようか」

 

「対決だと?」

 

「烏間。お前が育てたこいつらの中でイチオシの生徒を一人選べ。そいつが俺と闘い、一度でもナイフを当てられたら……その時はお前に訓練を全部任せて出てってやる! 男に二言はない!」

 

その言葉にE組の生徒達に希望が浮かぶ。

腕に自信の有る者は対先生ナイフを構えていた。

 

「ただし、神代タケルの選択は認めない。コイツの妙な力を使われたらフェアじゃないからな」

 

「…………………」

 

「もちろん俺が勝てばその後一切口出しはさせないし………使うナイフはこれだ」

 

鷹岡が取り出したのは本物のナイフだった。

 

「殺す相手が人間なんだ。使う刃物も本物じゃなきゃなァ」

 

「寄せ!! 彼等は人間を殺す訓練も用意もしていない!! 本物を持っても体がすくんで刺せやしないぞ」

 

「安心しな。寸止めでも当たったことにしてやるよ」

 

鷹岡の真意は生徒達にナイフを持っても素手の彼に敵わないことを知らせ、格の違いを示すことにあった。

 

「さあ烏間! 生徒を見捨てるか生贄として差し出すか! どっちみち酷い教師だなお前は!」

 

「……………!」

 

「烏間先生」

 

と、変身を解除したタケルが烏間をしっかりと見る。

その目は、自分の仲間を、そして貴方の生徒を信じろと語っていた。

 

「………………!」

 

鷹岡が投げたナイフを拾い、烏間は一人の生徒に近づいた。

 

「………渚君。やる気はあるか?」

 

「「「!?」」」

 

渚は、同じように烏間の目をしっかりと見据える。そして、意を決したように頷いた。

 

「やります」

 

「クク、お前の目も曇ったなァ烏間。よりによってそんなチビを選ぶとは」

 

鷹岡同様にイリーナも烏間の行動を不審がっていたが殺せんせーには分かっている様子だった。

 

「いずれにせよ。勝負は一瞬で決まるでしょうね」

 

「さあ、来い!!」

 

「………………」

 

渚は烏間からの言葉を思い出していた。

鷹岡にとってはこの勝負は戦闘だが渚の場合は暗殺、一回でも当てれば勝ち。

鷹岡はしばらくは渚に反撃はしない。そこを突けるのは渚だけだと言う。

 

「(……………そうだ)」

 

 

戦って勝たなくてもいい。

 

 

タケル君みたいな力は無いけど、今はそれでもいい。

 

 

殺せば、勝ちなんだ。

 

 

 

~いいねその気合。僕も見させてもらうよ~

 

 

 

渚は、笑って、通学路を歩くみたいに、普通に、歩いて近づいた。

そして、全力で振るう。

ここで初めて鷹岡は自分が殺されかけていることに気付いた。

体勢が崩れた鷹岡を服を引っ張って転ばせ、背後に回って、確実に。

 

 

「捕まえた」

 

 

ピタッと、ナイフを当てた。

 

「「「………………!!!!」」」

 

「(渚………!)」

 

普通の学校生活では絶対に発掘されることのない才能。

殺気を隠して近づき、また殺気で相手を怯ませ、本番に物怖じしない才能。

 

即ち、暗殺の才能。

 

「そこまで! 勝負あり!」

 

と、殺せんせーがナイフを取り上げた。

 

「うおぉ!! やったじゃんか渚!!」

 

「ホッとしたよもー!!」

 

「大したもんだよ。よくあそこまで本気でナイフ振れたよな」

 

「鷹岡先生強いから……本気で振らなきゃ驚かす事すらできないかなって」

 

と、タケルが渚に近づいた。

 

「すごいよ渚。よく頑張ったな」

 

「うん。皆の為にやらなきゃいけないって思ったから………少しはタケル君に近づけたかな」

 

「いや、それはどうかな」

 

「タケル君は別次元だよね」

 

「何気に酷いな…………」

 

と、激昂した鷹岡が渚の背後に立った。

 

「このガキ……父親も当然の俺に刃向かって、まぐれの勝ちがそんなに嬉しいか! もう一回だ!! 今度は絶対に油断しねぇ。心も体も全部残らずへし折ってやる!!」

 

「………確かに、次やったら絶対に僕が負けます。………でもはっきりしたのは殺せんせー」

 

そんな鷹岡に臆さず、渚は応えた。

 

「僕らの担任は殺せんせーで、僕らの教官は烏間先生です。これは譲れません。ごめんなさい。出ていって下さい」

 

堪忍袋の緒が切れた鷹岡は渚に殴りかかる。

が、それを烏間が肘鉄で止めた。

 

「……俺の身内が……迷惑かけてすまなかった。後の事は心配するな。俺一人で君達の教官を務められるよう上と交渉する」

 

「交渉の必要はありません」

 

と、そこに浅野理事長が現れた。

彼は鷹岡に近付くと冷酷に告げた。

 

「鷹岡先生。貴方の授業はつまらなかった。自分より強い暴力に負けた時点で恐怖の授業は説得力を完全に失う」

 

そういって理事長は鷹岡に解雇通知をくわえさせる。

 

「解雇通知です。以後貴方はここで教えることはできない」

 

「(くそ……くそくそくそ……くそおおおぉ!!)」

 

悔しさのあまり鷹岡は走り去った。

 

「鷹岡クビ……てことは今まで通り烏間先生が……」

 

「「「よっしゃあ!!!」」」

 

こうして、渚の活躍と烏間の英断によって、E組は救われた。

 

「(……俺も負けていられないな)」

 

タケルもサンゾウ眼魂を握り、気持ちを新たにするのだった。

 

 

 

神代タケルの所有眼魂

[01 ムサシ(対話済)][02 エジソン(対話済)][03 ロビンフット][05 ビリー・ザ・キッド]

[06 ベートーベン][15 サンゾウ]

=六個




大幅に飛んでのサンゾウ魂の登場
ここ逃すと当分出せないので………

神崎有希子の理由は修学旅行時の殺せんせーの言葉から「前に進む」ということを連想して

眼魂入手のペース早いですがグレイトフルを二学期の早めの段階で出したいので

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