仮面ライダー〜アサシン〜ゴースト   作:ファルコン・Σ

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威風! 力を求める転校生!

梅雨時、大雨の日。

律に続く二人目の転校生が来る日である。

 

「律、何か聞いてないの?」

 

律と特に親しい原寿美鈴が訪ねた。

 

「はい、少しだけ」

 

初期命令では律と"彼"は同時投入で連携して殺せんせーを追い詰める予定だったが二つの理由でキャンセルされました。

 

「ひとつは"彼"の調整に予定より時間がかかったから。もうひとつは、私が彼より暗殺者として圧倒的に劣っていたから」

 

殺せんせーの指を吹き飛ばした律がその扱い。

どんな怪物が来るのかと緊張が走る。

 

と、その時教室の扉が開く。

現れたのは……真っ白装束の謎の人物だった。

 

「ごめんごめん驚かせたね。転校生は私じゃないよ。……まあ白いし、シロとでも呼んでくれ」

 

ちなみに殺せんせーは液体化して天井に逃げていた。

 

「ビビってんじゃねーよ殺せんせー!!」

 

「い、いや……律さんがおっかない話するもので」

 

どうやら性格やらが特殊な転校らしく、シロが直で紹介するようだ。

彼はクラス全体を眺める。

 

「皆いい子そうですなぁ。これならあの子も馴染みやすそうだ。では紹介します。おーいイトナ!! 入っておいで!!」

 

 

ゴッ

 

 

ストン。

 

 

「「「ドアから入れ!!!」」」

 

まさかの壁を破壊して入ってきた。

 

「俺は……勝った。この教室の壁より強いことが証明された……それだけでいい……それだけでいい……」

 

「「「(なんかまた面倒くさいの来やがった!!)」」」

 

殺せんせーもリアクションに困り中途半端な顔をしている。

 

「堀部イトナだ。名前で呼んであげてください」

 

今まで以上に波乱が起こりそうである。

 

「ねぇイトナ君。今、外から手ぶらで入ってきたよね。どしゃ降りの雨なのになんでイトナ君一滴たりとも濡れてないの?」

 

いつもの挑発を行うカルマだがイトナは全く意に介さない。

 

「…………お前はクラスでもかなり強い。けど安心しろ。俺より弱いから……俺はお前を殺さない」

 

「…………!!」

 

「俺が殺したいと思うのは俺より強いかもしれない奴だけ。この教室では殺せんせーと………お前だけだ」

 

その対象は、神代タケル。

 

「……………」

 

そもそもタケルは既に死んでいるのだが。

 

「…………勘違いするな。俺の力は守るための力だ」

 

「強い弱いとはケンカの事ですかイトナ君? 力比べでは先生と同じ次元には立てませんよ」

 

ニヤニヤと笑う殺せんせーだがイトナは衝撃の返答を返す。

 

 

「立てるさ。だって俺達、血を分けた兄弟なんだから」

 

 

「「「き、き、き、兄弟ィ!!?」」」

 

 

◎◎◎◎◎

 

その後、生徒達に一斉に質問攻めを食らう殺せんせーだが本人には勿論覚えが無い。

その日は一日中、考察やら観察やらで何処か居心地が悪い殺せんせーだった。

 

そして放課後。

机がリング状に並べられ、そこに殺せんせーとイトナが入った。

 

「ただの暗殺は飽きてるでしょ。ここは一つルールを決めないかい。リングの外に足が着いたらその場で死刑!!」

 

生徒達の前で決めたルールを破れば先生としての信用が落ちる。殺せんせーに意外とこの手の縛りは聞くのだ。

 

「……いいでしょう。受けましょう」

 

「では、暗殺…………開始!!」

 

 

ザクッ!!

 

 

殺せんせーの腕が切り落とされた。その凶器は、イトナの髪……否。

 

 

「「「触手!?」」」

 

 

雨に濡れずに来たのもこの触手で弾いてきたのだろう。

 

「何処で………どこでそれを手に入れたッ!! その触手を!!!」

 

殺せんせーは真っ黒な怒りの表情を見せる。

 

「君に言う義理はないね殺せんせー。だがこれで納得しただろう。この子と君は兄弟だ」

 

「………どうやら貴方にも話を聞かなきゃいけないようだ」

 

「聞けないよ。死ぬからね。イトナの力は触手だけではない」

 

 

 

 

[ノブナガ!]

 

 

 

 

「!! まさか!?」

 

途端、イトナの周囲に火縄銃が展開された。

 

「今の音は!?」

 

「アイツ……! 織田信長の眼魂が体内に入っている!!」

 

「なんだって!?」

 

シロが発した特殊光線を食らった殺せんせーが硬直する。

そこにイトナの触手と火縄銃から発射された弾丸が迫る。

 

「死ね。兄さん」

 

凄まじい連激と火砲がヒットする。

一瞬倒したように見えたが、殺せんせーはギリギリで脱皮して回避した。

 

「その脱皮にも弱点があるのを知っているよ」

 

シロ曰く、脱皮直後はエネルギーを消費し、スピードが低下する。加えて再生にも同様に体力を使うらしい。

次々と発射される火縄銃の弾幕と触手に段々とダメージが蓄積する。

 

「更には、献身的な保護者のサポート」

 

再び放たれた光線に固まる殺せんせー。

そこをイトナが狙う。

 

[オメガスパーク!!]

 

輝く光弾が殺せんせーの足を消し飛ばした。

 

「安心した。兄さん。俺はお前より強い。俺は……信長のように強くなる」

 

あと少しで殺せんせーを殺せる。

その安堵と同時に生徒達に悔しさが沸き上がる。

 

"本当なら、僕らが殺したかった!!"と。

 

と、

 

「貴方達に聞きたいことは多いですが……まずは、試合に勝たねば喋りそうにないですね」

 

「………まだ勝つ気かい? 負けダコの遠吠えだね」

 

「……シロさん。これを計画したのは貴方でしょうが……一つ計算に入れ忘れてることがある」

 

「無いね。私の性能計算は完璧だから。殺れイトナ」

 

イトナの触手が滝のように降り注ぐ。

しかし、破壊されたのはイトナの触手だった。

 

「!?」

 

床に対先生ナイフが置かれていた。渚が持っていたナイフを借りたのだ。

イトナが動揺した瞬間に脱皮した皮で彼を包み、リングから放り出した。

 

「先生の勝ちですねぇ。ルールに照らせば君は死刑。もう二度と先生を殺れませんねぇ」

 

ギリッとイトナが歯軋りをする。

 

「生き返りたいのなら、このクラスで皆と一緒に学びなさい。性能計算ではそう簡単に計れないもの。それは経験の差です」

 

「経験………か」

 

偉人達も皆、経験があるからこそ英雄となり得たのだろう。

タケルはムサシ眼魂を握りしめた。

 

「この教室で先生の経験を盗まなければ君は私に勝てませんよ」

 

その直後、

 

「勝てない……俺が……弱い……?」

 

それまで以上の火縄銃が展開し、黒く染まった触手が暴れる。

 

「やべぇ!! キレてんぞアイツ!!」

 

「やらせるか!!」

 

[カイガン! ムサシ! 決闘、ズバッと、超剣豪!]

 

ムサシ魂に変身したゴーストが飛び出す。

凄まじい剣捌きで触手を次々と切り飛ばす。

 

「暴走した触手の対応なら容易い!!」

 

「た、タケル!!」

 

「ガアアァッ!!」

 

火縄銃がタケルを狙うが直ぐ様眼魂を変更。

 

[エジソン! エレキ閃き発明王!!]

 

「はあっ!!」

 

電撃を放ち、全ての銃弾を弾き飛ばす。

 

[ビリー・ザ・キッド! 百発百中、ズキューン!バキューン!]

 

更にビリー・ザ・キッドの二丁拳銃で全ての火縄銃を弾き飛ばす。

 

「これで終わりだ!!」

 

[ロビンフット! ハロー!アロー!森で会おう!]

 

「がっ……!」

 

最後にロビンフットの弓でイトナを撃ち抜き、イトナを気絶させた。

 

「………信長の眼魂、悪いけど摘出させてもらうよ」

 

イトナに近づくタケル。だがシロが撃った銃がその足を止めた。

 

「!!」

 

「流石の実力だねゴースト。だがまだ信長の眼魂は必要なんだ。何れは君の眼魂も頂くことになるだろう」

 

「…………英雄をお前のような奴の好きにはさせない」

 

と、シロはイトナを担いで退出していく。

 

「待ちなさい! 担任としてその生徒は放っておけません。それにシロさん。貴方にも聞きたいことは山ほどある」

 

「いやだね。帰るよ。力ずくで止めてみるかい?」

 

殺せんせーが触手でシロの肩を掴むがそれが溶ける。

 

「対先生繊維だ。心配せずともまたすぐに復学させるよ殺せんせー。責任もって私が……家庭教師を勤めた上でね」

 

◎◎◎◎◎

 

シリアスな展開に加担したのが恥ずかしい殺せんせーは顔を抱えて悶絶していた。

 

「………ねえ殺せんせー。説明してよ。先生の正体いつも適当にはぐらかされてたけど……」

 

「あんなの見たら聞かずにいられないぜ」

 

「…………仕方ない。真実を話さなくてはなりませんねぇ………」

 

ゴクリと固唾を飲む一同。

 

「………実は先生。人工的に造り出された生物なんです!!」

 

 

「…………だよね。で?」

 

 

「にゅやッ! 反応薄ッ!」

まあ常識的にマッハ20のタコは存在しないのでそれが普通だからだ。

 

「知りたいのはその先だよ殺せんせー。殺せんせーはどういう理由で生まれてきて……何を思ってE組に来たの?」

 

「………残念ですが今それを話した所で無意味です。先生が地球を爆破すれば、皆さんが何を知ろうが全て塵になりますからね」

 

「「「………!!」」」

 

「逆にもし君達が地球を救えば君達は後でいくらでも真実を知る機会を得る。知りたいならただ一つ」

 

 

「殺してみなさい。暗殺者と暗殺対象。それが先生と君達を結びつけた絆の筈です」

 

 

「「「……………」」」

 

「時にタケル君」

 

「はい?」

 

「君の力はどうやら先生に通用する様子。君はゴーストの力を暗殺に使いますか?」

 

その問いにタケルはしばらく考える。そして、

 

「俺の力は眼魔から人を守るための力です。殺せんせーの正体がもし眼魔のようなものなら使いますが………利己的な理由で殺める為には使いません」

 

「結構。中々素晴らしい解答でした。……質問が無ければ今日はここまで。また明日!」

 

◎◎◎◎◎

 

「烏間先生!」

 

「………君達か。どうした大人数で」

 

「あの……もっと教えてくれませんか。暗殺の技術を」

 

それが彼らの答えだった。

他の誰でもない、自分達の手で殺せんせーを殺りたいと。

そして、今までずっと守ってもらったタケルの為にも。

 

「殺して、そして守って、自分達の手で答えを見つけたいんです」

 

「………分かった。では希望者は放課後に追加で特訓を行う。より厳しくなるぞ」

 

「「「はいっ!!」」」

 

 

 

神代タケルの所有眼魂

[01 ムサシ(対話済)][02 エジソン(対話済)][03 ロビンフット][05 ビリー・ザ・キッド]

=四個

 

確認済み眼魂

[12 ノブナガ](堀部イトナ所有)

 

残り十一個/九ヶ月




ノブナガ眼魂はイトナから生成されてました。
理由は力を求める姿勢から。

条件を満たせばゴーストじゃなくても生成した本人なら英雄の力を使える設定です。
(いずれムゲン魂が登場したときの為)

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