やはり俺のReLIFEは間違っている。 作:世間で言うジョージさん
ReLIFEの続きになりやっす。
気分が乗ればまた更新していきます。
本日の天気は快晴。
早朝、タバコを吸うためにベランダに出る。朝の一服は清涼な風と共に俺の鼻腔をくすぐる。
まだまだ桜が残る季節だ。
その証拠に道中でたくさんの桜が花を咲かせていた。新入生には不安と期待がいっぱいの桜並木となるだろう。かくいう俺も期待と不安でいっぱいだった。
だってオッサンなんだぜ?27歳のオッサンが高校生の格好して、電車に乗ってる時の周りからの視線に(自意識過剰)敏感になるのは仕方がないだろ?いくら見た目が高校生とはいえ、意識は27歳なんだから。痴漢やセクハラに間違われないかヒヤヒヤドキドキしてしまう。
「うわぁ……ガキばっかかよ。」
学校へ続く一本道の通学路には、右を見ても左を見ても高校生しかいなかった。俺もその一員だと腹を決めて前へと歩き出す。校門をくぐり、編入が決まっている教室へと入る。
「三年三組かぁ」
独りポツリと呟いた。新学期でまだ席も決まってないだろうと思ったので、とりあえず一番後ろの空いている席に座ることにした。知り合いもいない俺は絶賛挙動不審中だ。あまりに不審人物過ぎて三回は通報されるまである。
通報されちゃうのかよ……。
「あの、そこ私の席なのだけれど。」
「え…マジかよ?ご、ごめんな。てっきりどこでもいいのかと思ってたわ。」
急に黒髪の美少女JKに声をかけられて、驚いてしまった。咄嗟の事だったので立ち上がる時にガタガタッと派手な音を立ててしまった。いかん!挙動不審じゃないよね?落ち着け……正常心、正常心。とかやってたら親切なことに席順について教えてくれた。
「……黒板に席順の貼り紙がしてあるわ。」
「そりゃどうも。サンキュな。」
あぁ~マジで驚いたわ。まさかJKに話しかけられると思わなかった。しかも話しても合法なんだよな。それにしても席順書いてあるのかよ。そんな説明受けてないんだけど。
俺が慌てて席を立ち上がると、右方向よりかすかな笑い声を確認した。ここで本日2度目の驚きがやってくる。
葉山隼人がそこにいた。
「ちょ、おま!葉山隼人!」
「声が大きいですよ、比企谷さん。にしても……プックククッ!」
何故だ?どうして葉山がここにいる?待てよ…この前に会った時より若くなってないか?まさか……!
「だいたい比企谷さんのご想像通りですよ。ただ、ReLIFEの事を口外しなくてもバレてしまう事と同じと考えていますので、あまり騒ぎ立てないで下さいね?」
「急に見知った顔がいたら普通は驚くだろ!困るんなら先に知らせとけよ。」
葉山め……こいつには聞きたい事が山程ある。あとで聞き出してやるからな。
とりあえず席順を確認しに黒板へ行き、自分の席を確認すると窓際の真ん中辺りだった。席に座ると丁度予鈴が鳴って、先生が教室へと入ってきた。
チョークを手に取り、黒板に自分の名前らしきものを書き込んでいく。
「おはよう諸君。今日からこのクラスの担任となる、平塚静だ。まずは皆の自己紹介を聞かせてもらおうか。では、一番最後の出席番号から順にいこうか。雪ノ下、自己紹介をしろ。」
平塚先生が自身の紹介を終えると、今度は生徒の自己紹介を促してきた。つまりは自己PRだろ?フッ……伊達に数多の面接を受けてねぇぜ!
トップバッターとして先程のJKが自己紹介を始めた。例の黒髪ロングの女の子だ。
「雪ノ下雪乃です。前は二年三組でした。部活はやってません。以上です。」
あれ?終わり?とりあえず名前を覚えるくらいはしておくか。黒髪美少女、雪ノ下、雪ノ下、と。うん、覚えた。
俺はボッチだが、エリートボッチだ。対人スキルは皆無に等しいが、名前を覚えるのは社会人になって営業マンやってたから得意である。営業マンにとって名前を覚えるのは必須スキルなんだぜ?
……とか思ってた時期が私にもありました。次々と自己紹介をこなしていく生徒達の名前を覚えるのは困難極まりなかったので、とりあえず周りの席の奴だけに絞って覚える事にした。必須スキル?バーロォ…そんな事が出来てたらもっと営業成績良かったっつーの。
「葉山隼人です。前も三組でした。部活はやってません。ヨロシクお願いします。」
「は?」
思わず声に出てしまったが咳をして誤魔化した。ゲフン、ゲフン。
つーか、前もってなんだよ!去年もコイツ通ってたのかよ。聞いてねえぞチクショーめ!そらコイツ余裕あるわ。楽しげに余裕のある顔しやがって!
とか恨み言をツラツラと考えていたらいつの間にか自分の名前を呼ばれていた。あ、やべ。
「次は比企谷だぞ。おい、比企谷。」
「は、はい!」
足元を揃え、背筋と手足をピンと伸ばして起立する。そして声はハキハキと、伝えたい事は簡潔に。これが自己PRの基本だ。
「比企谷八幡と申します。今年から編入して来たばかりで、至らない点も多々あるかと思いますが、どうぞ宜しくお願いします。」
フッ……決まった!完璧だな。自己PRとかチョロ過ぎんぜ。
とか思っていたら周りの反響は全くの別物で、やれ堅いだとかざわざわされていた。言っておくが、お前らも将来やるんだからな?と、心の中でだけ忠告しといてやる。俺は大人だからな。
独りブツクサと考えてる間に周りの自己紹介はどんどん進んでいた。これは聞き逃すといけないと思い、耳を傾ける事に集中する。
「三浦優美子です。ゴホッ、ケホッ。すみません。ちょっと風邪ひいてます。バレー部です。」
三浦ね、三浦。風邪の人と。
「海老名姫菜です。私も編入してきたばかりで…今日は道に迷っちゃいました。テへへ…」
おぉ~!俺以外にもいたんだ編入者!
驚きと同じ境遇の人間を見つけた喜びで眺めていると、海老名と名乗る女の子はこちらを向いて小声で囁いた。
「編入仲間だね♪ヨロシクね。」
ニコッとされて軽くトキメキかけたけど、すぐさま自分の実年齢を思い出して冷静になる。危なかった……並のボッチなら勘違いしてウッカリ告白して振られてたまである。…振られるのかよ。
とりあえず名前を記憶しよう。編入仲間、海老名、海老名と。うん、覚えた。
続いて俺の前の席の野郎が立って自己紹介を始めた。
「戸部翔っす。俺も2年の時は3組で~部活は入ってないっていうか~、つーか1年間ヨロシクな!」
チャラい、チャラい戸部、チャラトーベか。うん、覚えた。
ある程度のクラスメイトの名前を覚えた俺は、このReLIFE生活は無難にこなせそうだと思っていた。リア充共の仲間入りはしないけど、高校生相手ならある程度のコミュニケーションぐらいならこなせると。平穏無事に学生生活を送れると思っていたんだ。次の平塚先生の一言までは。
「それではこのあと、休み時間を挟んで実力テストを始めるぞ。」
は?実力テスト?聞いてないんだけど。
こうして、波瀾万丈のテストが幕をあけたのであった。
ようやく話が進んだと思ったら
ほんの少しだけでした。
また続きを書きますので、
感想オネシャス!