Treasures hunting-パンドラズ・アクターとシズ・デルタの冒険-   作:鶏キャベ水煮

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小説初執筆。
一人称視点、三人称視点、地の文など難しい。
変なところがあったらご指摘お願いします。


旅立ち
プロローグ


 おぞましい姿をした悪魔たちが、いくつもの煌びやかなマジックアイテムを運んでいる。その様子を、白いドレスを着た女とスーツ姿の細身の男が注意深く窺っていた。男の方は、僅かに苛立ちを隠せない様子だ。

 

「本当にマジックアイテムの仕分けなどという低劣な事をお任せしてもよかったのか?」

 

 身長は一・八メートルほどもあり、肌は日に焼けたような色。顔立ちは東洋系であり、オールバックに固められた髪は漆黒。かけた丸メガネの奥には、糸目というよりは閉ざしたような目。

 着ているものは三つ揃えであり、ネクタイまでしっかりと締めている。弁護士などの職に就いているような切れ者という雰囲気がある。

 ただ、紳士の姿を見せていても、その邪悪な雰囲気は決して隠しきれない。

 ナザリック地下大墳墓第七階層の守護者であり、防衛時における指揮官の役割を果たす悪魔。

 デミウルゴスは不快感を滲ませながら、傍にいる率直な意見を述べた。

 

 「ええ、第一妃である私に間違いはないわ。」

 

 純白のドレスをまとった美しい女性。ドレスと正反対の黒髪は艶やかに流れ落ち、腰の辺りまで届いている。

 金色に輝く虹彩と縦に割れた瞳孔が異様ではあるが、非の打ち所の無い絶世の美女。ただ、その左右のこめかみからは、山羊を思わせる太い角が曲がりながら前に突き出している。いや、それだけではない。腰の辺りからは黒く染まった天使の翼が広がっていた。

 首には蜘蛛の巣を思わせるような黄金に輝くネックレス--肩から豊かな胸元までを大きく覆うようなもの--をかけている。すらりと伸びた腕から先には、絹のように光沢のある手袋をしていた。

 ナザリック地下大墳墓階層守護者統括であり、全階層守護者をまとめ上げている存在だ。

 アルベドは母性を感じさせる僅かな微笑を浮かべて、デミウルゴスに答えた。

 

 「答えになっていない気がするのだが?」

 

 納得できないといった様子で、デミウルゴスは食い下がる。

 

 「あら? わからないかしら?」

 

 丸メガネの奥にあるデミウルゴスの閉ざしたような目が、うっすら開かれる。それに対して、素直にいたずらを辞めた子どものように、アルベドは態度を改め、諭すように話し始める。

 

 「アインズ様には、未知なるものに対する強い警戒がおありだったことは覚えているわね?」

 「ええ、かつて未知のプレイヤーという強者に対する姿勢がそれでしたね。」

 

 アルベドの言葉に対して、デミウルゴスは苛立ちを残しながらも、緊張を解した様子で頷く。

 

 「でも、未知なるものに対する気持ちが警戒だけではなかったようにも思えるの。」

 

 アルベドは、何か大事なものを抱き込むように両手を胸に当て、どこか遠くを眺めるようにして話を続けた。

 

 「もちろん、私たちを脅かす力には強い警戒を感じられていたわ。でも、エ・ランテルで無骨なインテリジェンス・アイテムを手に入れられた時。リザードマンの集落で入手なされた、青白い鎌のような抜き身の武器を模造されているとき。カッツェ平野で没国の戦士と一騎打ちした話を聞かせてくださった時に、御身を傷つけることができるという忌まわしき剣のこと。それらの話をされているとき、警戒とは別の・・・・・・そう。私たちがアインズ様に何かを頂けるときに見せるような気持を感じたわ。」

 

 アルベドの言葉を静かに聞いていたデミウルゴスは、射るように言葉を発する。

 

 「勘違いではないのかね?」

 「女の勘よ」

 

 射られた言葉の矢を叩き落す勢いで、アルベドは自らの意を示す。二の矢を許す隙を与えずに、アルベドは続ける。

 

 「デミウルゴス、あなたにもあるはずよ。アインズ様から恩寵を頂いたことが。」

 

 アルベドの問いに対して、デミウルゴスは熟思するように腕を組み、思考の波に身を任せた。

 その様子をアルベドは優しく見守る。

 やがて何かを掬い上げたのか、びくりと身を震わせたデミウルゴスは、閉ざしたような目を大きく拡げてアルベドに向き直った。

 

 「たしかに! 私にもアインズ様からご恩寵を! 我が創造主である、ウルベルト・アレイン・オードル様がお作りになり、アインズ様に託されたアイテムをこのデミウルゴスにご下賜くださいました!」

 

 興奮したデミウルゴスを、アルベドは微笑み見つめる。創造主が作ったアイテムという言葉に、こめかみから伸びた太い角が僅かに揺れたようだが、雰囲気を崩さずに口を開いた。

 

 「今回献上されたマジックアイテムに対しても、アインズ様に先ほどの話と同様の興味の色が見て取れたわ。だったら、妻として夫の望みは叶えて差し上げたいの。」

 

 アルベドは上気した顔で、黒い天使の翼をぱたぱたと動かしながらそう告げた。

 

 「なるほど、そういうことならば止める理由はありませんね。しかし、アインズ様が玉座の間にて直接お手に取るもの。最低限の忠義としてあらかじめ危険な物は排除すべきでしょう。」

 「ええ、当然ね。」

 

 デミウルゴスの考えにアルベドは同意を示した。

 デミウルゴスはアインズ・ウール・ゴウン魔道国の首都エ・ランテルに集められたマジックアイテムを、ナザリック地下大墳墓に運び入れるために、僕たちに指示を出していった。


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