ものぐさ女の成長   作:妄想女子

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第4話

あのあと、原作通りにガラスは消えて、バーノンおじさんにはこってりと怒鳴られた二人は、物置に閉じ込められていた。

 

膝を抱えて何やら考え込んでいるハリーに、ジェシーはそっと寄り添った。

 

きっと、両親の事だ。自動車事故だと教えられているハリーとジェシー(正確にはハリーだけ)には、両親の記憶が無い。ジェシーは、記憶と知識があるため、どうということは無いが、ハリーは違う。

家族は、ジェシーだけなのだ。

いくら、兄弟が側に居てくれても、やはり、親の存在は大きい。

 

だから、ジェシーはいつも寝る前に行っているもう一つの日課を優しくハリーを包むように抱きしめながら、優しく、優しく言った。

 

「ハリー、愛してる」

 

それは、家族愛。双子として、たった一人の血の分けた兄弟への愛。

 

ジェシーはこれを、欠かしたことは無かった。

 

ハリーは、ゆっくりと自分を抱きしめているジェシーを抱きしめ返した。

 

「ありがとう。僕も愛してる。お姉ちゃん」

 

いつも甘える時、ハリーはジェシーの事を『お姉ちゃん』と呼ぶ。

だから、ジェシーもその時は

 

「私の可愛い弟」

 

と呼んで、思い切り甘やかしてあげている。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

それからも、居心地の悪い物置生活は続いて、やっと出してもらえたと思ったら、もう夏休みで次にはダドリー軍団のイジメが加速した。

 

ジェシーは、もうすぐホグワーツに入学できることを、ハリーはそんな強い姉を頼りに頑張っていた。 

 

そして、7月に入ってしばらくたったとき。

 

「ダドリーや、郵便を取って来てくれるか?」

「ハリーに行かせろよ」

「ハリー、郵便を取りに行け」

「ダドリーに行かせてよ」

「ダドリー、スメルティングズの杖で突いてやれ」

 

ハリーが嫌々郵便を玄関に取りに行った。何枚か手紙を持って居間に戻ってきたハリーは何か黄みがかった分厚い封筒二通をじっと見つめていた。

 

あれが…、ホグワーツからの手紙。

 

だが、それらはすぐにバーノンおじさんによってハリーの手から奪われた。

 

後でハリーに相談されたが、自分たちにはどうにもできない。と、時を、ハグリッドの迎えをまつことにした。

 

 

とうとう痺れを切らしたバーノンおじさんは、一家で家を出ることを決意したようだ。

 

 

もうそろそろ…

 

 

どんなところへ行っても、届く手紙。

それに恐怖すら感じたバーノンおじさんはある荒波の中の小屋に拠点を移した。

 

日付は、7月30日。

ハリーは、「明日は最悪の誕生日なりそうだ」と行っていたが、それはどうかな?

 

その夜、ダドリーの金ぴかの腕時計を見て、一つのボロボロの毛布を二人で使いながら、カウントダウンをしていた。

 

 

「5ー4ー3ー2ー1」

 

バーン!

 

大きな音に、ハリーとジェシーは勿論、バーノンおじさん達も起きてきた。おじさんに至ってはライフル銃を持ってきている。

 

雷のなる中、大きなシルエットで現れたのは、ヒゲもじゃの大男だった。


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