映画 プリキュアオールスターズVS魔法少女まどか☆マギカ 悠久の絶望は永久の希望に   作:牢吏川波実

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一回危なく二話ぐらいすっ飛ばして投稿しそうになった…。
あと、お待たせしたと書いてるけど、待ってくれている人なんているのだろうか・・・。


お待たせしました!プリキュアと魔法少女初対面です!!

色とりどりな景色、だが惑わされてはいけない。甘い香りの誘惑、だが取り付いてはいけない。そこは実際には存在しない虚像。だが、ある一定の人物には見える実像。そこにあるのは菓子、医療器具、そして人間。そこにいるのはこの世のものではない動物、物体、異物。その空間の異物である人間と、妖精は何を思う。

 

「これは、いったい何です!?」

「周りの様子が変わっちゃったです!!」

「まさか、これが魔女の結界…えり、かぁ!?」

「このケーキおいしそう…」

 

シプレとコフレは周りが一変してしまったことに戸惑い。つぼみは魔女の結界のことをマミやえりかから聞いたため、えりかに確認を取ろうとした、が、そんなえりかはすぐ近くにあるケーキの臭いに誘われていた。

 

「えりかぁぁぁ!!」

「わっ!!ごめんって、だってお腹すいちゃってさぁ…」

「だってじゃないです!!」

「こんなところのお菓子を食べたら何が起こるかわからないです!!」

「とにかく、これが魔女の結界なんですね?」

「うん、私が見たのとは違うけど…たぶんそう」

 

前回えりかがみた魔女の結界が芸術をモチーフにした結界だとすると、今回の結界はお菓子、そして病院のすぐそばだからか医療がモチーフになっているようだった。その内、見たこともない生き物がわらわらと出て来た。その様子を見ながら二人は冷静に状況を見て。

 

「どうしますかえりか?」

「決まってるでしょ…つぼみ!」

 

そう言いながら、二人は懐から香水のビン、アトマイザーに似た小道具を取り出す。

 

「シプレ!」

「コフレ!」

「はいです!」

「まかせるです!!」

 

それは、希望、光、そして夢。

 

「「プリキュアの種っ!行くです!!」」

 

それは愛、未来、思いの結晶。そして…

 

「「プリキュア!オープンマイハート!!」」

 

シプレとコフレから出て来た宝石、それはプリキュアの種。つぼみたちをプリキュアにするための核である。それをアトマイザーに装着し、二人が香水状の気体を身体に吹き付けていくと、服が形づけられていく。最後につぼみの髪が今よりもきれいなピンク色に、えりかの髪が済んだ青に変化し、変身が完了した。

 

「大地に咲く一輪の花、キュアブロッサム!!」

「海風に揺れる一輪の花、キュアマリン!!」

「「ハートキャッチプリキュア!!」」

 

誰も見ていないはずなのに名乗りを上げた二人、彼女たちは世界中にいるプリキュアの内の一組、ハートキャッチプリキュアであった。…知ってたといわれてしまえばそれまでだが。

 

「行きましょう!マリン!!」

「やるっしゅ!!」

「「ハァ!!」」

 

魔女対プリキュアの戦い、その前哨戦が始まった。右から左から、上から下から、様々な方向から現れる使い魔。だが、それは彼女たちにとっては有象無象に過ぎなかった。ある時は蹴り上げ、またある時はパンチで吹き飛ばし、またある時はヒップアタックでぶっ飛ばす。なお、その技の名前は‥。

 

「プリキュア、お尻パンチ!!」

 

お尻なのに、パンチ?

 

「一気に行くよ!」

「はい!!」

「「プリキュア!!大爆発!!」」

 

その瞬間、二人を基点にエネルギーが放出される。それはさながら爆風であり、彼女たちを中心に周りのすべてを巻き込んでいく。エネルギーの伝達が終わった時、使い魔はその姿を消し、残ったのは二人のプリキュアと妖精たちだけであった。

 

「決まったっしゅ!!」

「ブロッサム、マリン!」

「え?」

 

シプレが指差しながら叫ぶ。その方向を見ると、そこに魔法少女の三人が姿を現した。

 

唐突に表れた魔女の反応、それを追っていくと病院にたどり着いた。確か、病院にはつぼみやえりかがいるはずだ。其れだけじゃない、患者やその見舞客が大勢いる。魔女の好物は弱った人間の心、病院では恰好の餌場になってしまう。それを分かっていた3人は急いで病院の駐輪場に到達、すぐさま魔女の結界のある場所を見つけ、突入する。すると結界の奥から聞こえてくるのは轟音、あるいは使い魔が飛んで来る。すでにほかの魔法少女がいるのかもしれない。その考えも持って進んでいくと、そこに待っていたのは…。

 

「ブロッサム、マリン!」

「え?」

「あれ?…まさか、つぼみちゃんと…えりかちゃん?」

「えっ!?二人ともいつの間に魔法少女に?」

 

病院に現れた結界に入ったら、さっき学校で別れて得あった二人に出会って、その二人が魔法少女になって戦っていたなんて、誰が想像できるだろうか。よく周りを見渡すと、地面がやたらとえぐれている。いったいどれだけ派手にやったらこうなるのだろうか。

 

「いや、あの違うんです…」

「なるほど、あなたたちはプリキュアだったのね」

「えっと、はい」

「えっ…」

 

まどか、さやかは勘違いしていたが、ベテランのマミはその魔力の質から魔法少女と異なるものだと理解し、それ以外を考えた結論として彼女たちがプリキュアだと判断したようだ。言うなれば勘である。そしてつぼみとえりかは早々にばれたことに動揺しているのだが、一番動揺していたのはまどかであった。理由は前回申した通り、彼女の魔法少女になった願いがプリキュアのようになりたい、つまりプリキュアはあこがれの的だったからだ。そんなプリキュアが自分のすぐ近くに居たことに驚き、本人は自覚していないが舞い上がっているのだ。

 

「えっ!そうなの!!それならそれでどうして教えてくれなかったの!」

「いやぁ、なんでって…あの、特に理由はございません」

 

この申告に驚いたのは他でもない、ブロッサムと妖精たちであった。

 

「え?なかったんですかっ!!?」

「あんな思わせぶりな顔をしてたじゃないですか!?」

「えっ、だって、なんか秘密を持っているって感じってかっこいいじゃん!!」

 

秘密=かっこいいという単純な考え、中二病か。あ、中二か。

 

「「「マリン…」」」

「アハハハハ…ごめんなさい」

 

ブロッサム、そして妖精たちにジト目で睨まれてマリンは愛想笑いと、謝ることぐらいしかできなかった。

 

「と、いう事です。隠していた理由はありません」

「そ、そう…」

「あの、えっと……」

「まどか、すいません隠していたこと…」

「ううんいいの。其れよりお礼をさせて」

「お礼ですか?」

「うん。私ちょっと前まで自信が持てなくて自分で決断することもあまりできなかった…」

「でも、プリキュアがいたから、あぁこんなかっこいい人になりたいなって…私、目標が持てたの」

「プリキュアはそんな大それたものではありません。プリキュアだって普通の女の子なんです。私も、プリキュアになって、変わることができました。おそろいですね」

「うん!」

 

こうしてプリキュアと魔法少女、禁断のファーストコンタクトが終了した。

 

「さて、改めての自己紹介も終わったし、そろそろ行きましょうか」

「はい!」

 

この後、結界の奥にいる魔女を倒さなければならない。もたもたして、病院にいる人々にいつ影響がないとも考えられないため、5人と2体(匹?)で奥に進むことになった。

 

とりあえず結界の奥まで来たものの、まだグリーフシードは孵ってなかった。手術中というランプが上で明かりを放っている。ここがお化け屋敷であると言われればそうと思われてしまうほど不気味だ。グリーフシードは孵る前でも結界を張ることもあるし、孵るまでこちらからどうこうすることができないそうだ。と、言うわけで。

 

「とりあえずしばらくは大丈夫そうね」

「それじゃ、孵るまでここにいないといけないのですか…」

「何か用事があるの?」

「はい…」

 

そしてつぼみは今、自分の妹がこの病院に入る事、重度の心臓病であること、そしてもしかしたら今日、死んでしまってもおかしくないという事を伝えた。

 

「そうだったの」

「もしかして昨日の夜に、それだけで願いが叶うんだったらって…」

「はい…」

「…大変だよ。ケガもするし、恋したり遊んだりする時間も無くなっちゃうし…」

 

まどかとさやかはその言葉に聞き覚えがあった。それは自分たちがマミと初めて出会ったとき、そして魔法少女になると決めたその時のセリフと同じであった。

 

「マミさんは、私が魔法少女になることに反対ですか?」

「そうじゃないわ…ただ、魔法少女になるってことは、人生の楽しいこととかを全部ふいにすることになるのよ。あなたが助けたふたばちゃんと、一緒に遊ぶ時間も無くなっちゃうかもしれないわ…」

「それは…」

「大丈夫ですって!」

 

つぼみの意見はしかし、えりかによって阻まれた。

 

「もし、つぼみが魔法少女になるんだったら、私も同じ、魔法少女になる。其れだったら、つぼみがふたばちゃんと遊んでいるときに、私が頑張ればいいだけでしょ?」

「あなたは…それでいいの?」

「はい、だってつぼみは私の親友ですし!」

「それに、マミやまどかやさやか、それにほかのプリキュアのみんなや僕達妖精のみんながいるです!」

「絆はどこまで行ってもつながっています。私たちは一人ぼっちになることはありません」

「あんた達妖精はいいの?二人が魔法少女になる事…」

「はい、つぼみとえりかが決めたことです。それに魔法少女になったとしても、プリキュアじゃなくなるという事はないはずです」

「そっか…」

「マミさん?」

 

その時、マミの目に涙が浮かんでいることにつぼみは気が付いた。

 

「ごめんなさい…ただうれしくて……」

「うれしい?」

「そう、私ね、魔法少女になって以来ほとんど一人で戦ってきたの…時には私に師事してくれる子もいたけど…その子も私の元を去って行って…」

「一人でずっと戦って、ついこの間、鹿目さんや美樹さんが後輩になってくれて…一緒に戦ってくれる仲間ができきて…」

「こうやってどんどん一緒に戦ってくれる仲間が増えていく事が…私、うれしくて……」

「一人で命がけで戦って、寂しかったんですね…」

「心細くなかったって言ったら嘘になるわね。もし、ここで死んじゃって誰か泣いてくれる人がいるのかなって、魔女と戦ってるなかで何度思った事か」

「でも、今は鹿目さんや美樹さん、花咲さん、来海さん、それにシプレちゃんにコフレちゃん、それからQB…こんなに仲間がいるのよ……わたしもう、一人ぼっちじゃないの」

 

マミは心の底からそう思っていた。そして、今までこのような心の内をさらけ出したことはなかったからか、ついに大粒の涙を流し始めた。今まで、誰にも話したことのなかった気持ちが、嘆きが表に吐き出される。辛く、苦しい時間が何時間、何年もあったからこそ癒してくれる人がいなければならないのだ。彼女には今までそれがいなかった。それがついにできたのだ。こんなにうれしいことはない。

 

「ん?そういえばさ、もしつぼみが願い叶えたとして、えりかは何を願うの?」

「え?…ええっと……まったく考えていなかった」

 

さやかからの質問を受けたえりかの答えがこれである。もしかしたらえりかは頭の中で考えると言うことを放棄しているのではないだろうか。とも思ってしまう。この時、マミに笑顔が戻りある提案をする。

 

「だったらQBにごちそうとケーキを頼みましょう。ふたばちゃんの全快祝いと…私達の友情を祝してね…」

「へ?いやいやいや!ケーキはマミさんの得意分野なんでしょ!!ていうかそういうのに願い使うのも…」

「だったらちゃんと考えることです」

「…はい」

「フフフフ」

 

和やかにガールズトークが繰り広げられているが、忘れてはいけないことが一つ。

 

「!」

「来た…」

 

ここは魔女の結界の中、魔女は目前にいるのだ。




この小説の中のえりかは友情で身を滅ぼすとしか思えない…。

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