映画 プリキュアオールスターズVS魔法少女まどか☆マギカ 悠久の絶望は永久の希望に   作:牢吏川波実

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久々にスランプに陥ってしまった…。どうしよ?なんだか、自分がだんだんポンコツになってきていると思っている。


外伝(みゆき編):人を殺す覚悟…あなたにあるの?

 この世界には表向きには3つの種類の人間がいる。一つは『ノーマル』、二つ目は『超能力者』、そして最後に『能力者』。このうち、能力者は存在感を消す、ありえないほどの低確率な出来事を簡単に起こすといったような技を使用する者たちの事で、それはここ十数年の中で突如世の中に出現したのだ。研究者たちは当初、これらは超能力の新しい形ではないかとこの世界の研究者は考えていた。だが、研究者たちが調査したところ、それらは超能力として計測が不能ということが判明。さらに使用される状況が限られることから、能力者という分類ができたのだ。現在、この能力者という分類がてきおうされているのは、全国にいる一部の女子高生がそれに分類されている。そして近い将来、新たに魔法少女、プリキュアが能力者という分類に入ることとなる。これは、能力者魔法少女と、超能力者の公式では初めてとなる対決、その記録である。

 

「行って」

「ガウッ!!」

 

 すずねの周りの炎の剣が初音に向かって放たれる。それを、初音は華麗に避けながらすずねへと向かう。彼女のレベルは2から4、使える能力は多数ある。念力、催眠、遠隔透視、そして予知。高い身体能力や周囲の物質を体にまとわりつかせるのは念力によるもの。その姿をよりリアルに狼としているのは催眠によるもの。遠隔透視並びに予知の応用によって、敵や物の場所を察知することができているのだ。それによって、すずねの攻撃を避けることが可能になっているのだ。そして初音は、素早くすずねへと近づく。

 

「グルッ!!」

「避けた…特務エスパーは伊達じゃないということね…ッ」

 

 初音の蹴りがさく裂する。しかし、それはすずねの剣によって防がれてしまい、彼女自身に当たることはなかった。そこで初音は、さらに腕を斜め上から振り下ろす。もともと鋭かった爪をさらに鋭くし、狼の爪のような状態となったソレによる一撃は相当の物であろう。しかし、すずねはそれを紙一重で背中を逸らして避ける。初音はさらに逆の手で攻撃するが、しかしすずねはそれすらもしゃがんでかわしてしまう。そしてすずねは、刀の刃を初音に向けて切りかかる。

 

「初音避けろ!」

「ッ!」

 

 まさに紙一重、上空にいた初音に向かって下から切りかかる攻撃は、避けれるものではないとすずねは思っていた。しかし、初音は咄嗟に体をひねり、切れたのは服だけであった。初音は一度距離を取る。

 

「ハァ、ハァ、ハァ…」

「強い…」

 

 と、感想を漏らしたのはすずねの方であった。実際、すずねの記憶上では、ここまでもつ者などいなかったから。しかし、目の前にいる彼女は、身体能力と、自分自身の超能力を駆使することによって、すずねを圧倒する寸前までの力があった。

 

「もしもあなたが魔法少女であったら、私はもう倒されていたでしょうね」

 

 だが、魔法少女と超能力者の戦いにおいては、鈴音の方が心理的には有利であった。すずねはそう考えていた。

 

「魔法少女?」

「そういう名前の超能力なの…?」

「いやでも…魔法少女?」

 

 明は改めて鈴音の姿を見る。しかし、どこをどう見ても魔法少女という恰好には見えなかった。同じ特務エスパー仲間に、魔法少女アニメにはまっている者がいるため、明もまたそれを見る機会があった。しかし、どう見積もってもそれと目の前にいる少女は別物である。だから、明は魔法少女という言葉に疑問を持った。

 

「けど、あなたが魔法少女でない限り、私は負けない」

 

 そう言うと、すずねは剣を構える。その瞬間、剣の左から二つ目の模様が光る。

 

「『陽炎』」

 

 瞬間、鈴音の身体は消失した。

 

「消えた!」

「逃げたの?」

 

 明と小鹿はそう言った。しかし、事実は違う。それは初音も気づいていた。初音の遠隔透視能力が、それの姿を捉えていた。それがいる場所は…。

 

「明ァ!」

「え?」

 

 初音は突如明に走りよって腕を伸ばす。少なくとも明にとってそう見えた。しかし、実際に狙っていたのは…。

 

「ッ!!」

 

 明の目の前に迫った初音の手。瞬間、目の前に少女の姿が現れる。初音の爪は、すずねのわき腹に突き刺さる。

 

「チッ!!」

「もう一つ!!」

 

 すずねはさらに畳みかける。しかしその攻撃は避けられてしまったことにより、空を切っただけであった。

 

「私の姿を捉えるなんて…」

 

 それは、初音の遠隔透視能力の応用のようなものだ。これによって、周囲の空間を通しすることによって、姿を消したすずねの形を捉えていた。確かに、心理的な面では初音の方が劣っているだろう。しかし、彼女にはそれを補う能力が備わっていた。

 

「明!無事!?」

「あ、あぁなんとか…」

 

 初音は明の無事を確認し、無でを撫でおろしながらも、後方に退いたすずねを見る。初音の一撃はすずねの左わき腹をえぐっており、一目見てそれが致命傷に近いものと誰もが思う物であった。その傷をみて、みゆきは声を挙げる。

 

「血、血があんなにッ!」

「これ以上の抵抗は止めなさい!はやく止血しないと…」

「そんなものは必要ないわ」

 

 小鹿の言葉に冷たくそう言い放ったすずねは、腹部に手をかざした。すると、鼻にできた大きな傷は、光とともに跡も形も残さずきれいに消えてしまった。

 

「なッ!!」

「せ、生体コントロール?…いえ、それにしたってあんなにきれいに…」

 

 生体コントロールは、超能力の一種である。生体活動や臓器の働きをコントロールする能力で、怪我や病気の治療に使える能力だ。が、流石にそれであったとしてもこれはおかしすぎる。大体、治療と言っても痛みをなくしたり、応急処置がいいところだ。傷がなくなってしまうほどきれいに治るなんてことはありえない。

 

「言ったでしょ?…あなたが魔法少女でない限り、私は負けないって」

「魔法…けがを治す魔法だっていうのか…」

「どれだけ傷を負っても回復されてしまう…なるほど、それならどれだけ危険な行動を起こそうとも傷を治せるという精神的アドバンテージがあるってことね…」

 

 初音にとっては、自分の仲間を守らなければならない上に、一太刀すずねの剣で切られてしまえば、簡単に殺られてしまう。その点、すずねは一人で戦っているため守る物はない。さらにソウルジェムが壊されない限り、身体を治すことも、痛覚を消して無茶なことをすることもできる。だから、もしもすずねと初音、二人ともが魔法少女であれば、元々の力量から言って、倒される確率が高いとすずねは考えていた。だから、確信していた。自分は負けないと。

 

「ならっ!気絶させる!!」

 

 初音は、怪我を自分で治してしまうというのなら、意識を刈り取ってしまえば回復する時間を奪うことができると考えた。しかし結局は攻撃を当てなければ話にならない。

 

「無駄よ」

「!」

 

 それは、あまりにも直線的ながらも弾丸のような速さですずねの身体を貫こうとする。だがすずねはそれを軽々と避けてしまう。

 

「はっ!」

「ガッ!!」

 

 すずねは、刀の腹で横から初音を払いのける。受け身なしで壁に叩きつけられた初音の身体に、激痛が走る。

 

「安心して、私の狙いは魔法少女だけだから」

 

 すずねは、初音に向かってそう言葉を発する。そう、彼女の目的はただ一つ、魔法少女の殺害。だから魔法少女ではない初音を殺すことはしなかった。

 

「そんな……」

「嘘だろ、初音があんな簡単に…」

 

 二人は、目の前で起こっている状況に驚くばかりであった。自分たちは、共に約2年間、明に至っては生まれた直後から10年間一緒にいた。だから、初音の強さはよく知っている。簡単に負けるような者でないということも知っている。しかし、そんな初音が結果的にはたった一撃で沈んでしまったのだ。初音の容態が気にかかる。しかし、それ以上に現在の状況は、危機的と言っても過言ではなかった。『ザ・ハウンド』は、指揮官でノーマルの小鹿と、エスパーではあるが、戦闘においてはあまり役に立たない精神感応系能力の明、そして初音の三人である。この中で戦えるのは初音のみ。明ができることと言ったら、近くの動物にデレパシーを用いて意識を乗り映し、操ることぐらいである。みゆきを救ったカラスも彼によるものだ。あの時は、不意を突くことが目的であったから何とかなった。しかし、戦いとなると、彼にできることは限られてくる。

 

「危険だけど…やるしかない!」

「明君…」

 

 明は、すずねに向かって走り出す。

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 その雄たけびは、自身に降りかかる恐怖を忘れるために無意識に叫んだ言葉。そうでもしなければ彼は恐怖に打ち勝つことはできなかった。だが、彼とて特務エスパーであり、初音のパートナーである。誰かを守るため、それに迷いはなかった。すずねは、それに気が付いて横に刀を振るう。

 

「くっ!」

「ッ!」

 

 明はとっさに本能の赴くままにかがんでそれを回避し、そしてその手を、すずねの頭に覆いかぶさせる。

 

「へへっ、これでッ!!」

 

 それは、明の最後の切り札といっても過言ではない技であった。精神を動物に移し替えることができるとするならば、人間もまた動物。彼の能力は人間にも有効であった。その場合、意識を入れ替えなければならないという欠点がある物の、犯罪者を相手にする場合は、これほど有利な技はない。

 

「ッ!」

 

 やはり相手が魔法少女でなければの話であるが。

 

(効かない?…なんで!?)

 

 いつも通り、意識の入れ替えを行う明だが、しかしどれだけ能力を使おうとしても、すずねの意識との入れ替えは起こらなかった。そして…。

 

「何をしようとしているのか分からないけれど…」

「しまッ…」

 

 現在、すずねの頭に触れているということは至近距離、刀の間合いに入っている。そして、明の身体能力は初音と違いほぼ一般高校生と同じぐらいである。一気に間合いから抜け出すなどという芸当を成しえることはできもしなかった。

 

「ぐはッ!」

「明君!!」

 

 明は、初音と同じく壁に激突し気を失ってしまい、すずねを止める者は誰もいなくなってしまった。いや、正確にはまだ一人だけいる。

 

「止まりなさい!!動くと撃ちます!」

 

小鹿は、懐から銃を取り出し、すずねに向ける。それは、B.A.B.E.L.が全特務エスパーの、主に指揮官クラスに支給している銃であった。だが、それを今まで射撃場以外で使ったことのない小鹿の腕は小刻みに震えている。

 

「撃てるのかしら…あなたに?」

「ッ!」

 

 スズネは小鹿が人を撃ったことがないと気づいていた。そして、ゆっくりと小鹿の方に向かって歩を進める。

 

「と、止まりなさい!!」

「人を殺す覚悟…あなたにあるの?」

「うッ…」

 

 小鹿はやはり動揺する。ここで彼女の胸を撃ちぬけばすべてが終わる。確かにそうだろう。だが、相手はまだ子供。彼女が殺人犯であったとしても、小鹿は殺すことをためらっていた。

 

「あなたの気持ち分かるわ…私も初めて人を殺したと認識した時、悲しく、苦しかった…」

「…」

「でも、殺さないと誰かが泣くことになる。…なら」

「ッ」

 

 一瞬後、彼女は目の前に現れた。すずねは小鹿の銃を降ろす。小鹿の腕には力が入っていなかったため、簡単に銃口は下を向いてしまった。そして言う。

 

「私が、それを止める」

 

 その目は、悲しげであった。




もともとなかった文才ではある物の、ここまでひどくなると自分でもびっくりである。あと、今回ついでのように設定が出された漫画作品、な~んだ。…なぞなぞかい。
あ、最後に


あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。2017年、これとディケイド、二つとも完結できるように頑張ります。って、これは活動報告に書いた方がよかったかな…?

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