映画 プリキュアオールスターズVS魔法少女まどか☆マギカ 悠久の絶望は永久の希望に   作:牢吏川波実

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 やっぱり、心理描写が下手になっている……どうしようかな。この小説の大部分を占めている心理描写がダメになったらまずい。ただでさえないようにそんな面白みがないというのに……。


姿や形がどれだけ変わっても

耳に聞こえるは無数の音楽

彼が奏でたであろう神聖なる音楽

私はそれを汚してしまった

私の耳に聞こえるは踊り狂う狂騒

こんなの彼の音楽じゃない

集めましょうオーケストラ

右に用意したのはグランドピアノ

10の音を奏でるグランドピアノ

奥に見えるのは木管楽器

フルートオーボエクラリネット

小鳥のようにさえずる木管楽器

その近くにいるのは金管楽器

トランペットトロンボーンホルン

遠い空まで響く金管楽器

隣にいるのは打楽器隊

ティンパニ小太鼓大太鼓シンバル

身体を震わす打楽器隊

コンマスはもちろんバイオリン

彼の奏でる素敵な素敵なバイオリン

そして指揮は私

全てを繋ぐこの私

感動喝采万来追懐

 

 

誰かが音楽の邪魔をする

コンサートはお静かに

私たちの音楽会はお静かに

座り目をつぶり耳を澄まして

私たちの音楽を聞かせてあげる

指揮棒が奏でる最高の景色を見せてあげる

そして静かになった後は

 

 

 

 

 

私のために奏でてね

 

 

私だけの音楽を

 

 

ここは私のためのコンサート

 

 

他のお客さんなんていらない

 

 

だから静かにそこにいて

 

 

 私の友達は、優しい子供でした。

 友達は、子供のころから仲良しで、いつも明るくて、たまにドジもするけどそれすらも愛おしくて。

 落ち込んだ時やへこんだ時には、何も言わずにただじっとすぐそばにいてくれて、そんな彼女と友達であること、を私は誇らしいとまで思っていた。

 ついこの間、友達から戦友という間柄に代わってもそれは変わらず、彼女が一緒にいるだけでどんな大きな壁ですらも乗り越えることができる気がする。そんなことも思っていた。

 でも、純粋すぎた。彼女は。深海の奥深く、人類があまり手を出していない海の底の水のようにきれいすぎたのだ。

 分かっていたはずだった。こうなってしまうかもしれないという事を。過去の彼女がそうだったように、今の彼女がそうなってしまったように、ちょっとしたことですぐに心がおれてしまう。周りにはいつも明るく見せてはいるけれど、でも本当は心の底ではいつも悩んで苦しんでた。自分も、彼女も、ただどこにでもいるような女の子だった。

 辛かったら、苦しかったら、どうしようもなかったらすぐに泣いてしまうか弱い女の子。そんな女の子の中でもよりか弱い女の子、それが彼女だった。だから、もっと慎重に接すればよかった。もっと彼女の心に寄り添えばよかった。

 だが、何度考えたって後の祭り。何故ならもう彼女は。

 彼女の心は、異形の姿に代わってしまったのだから。

 

「さやかちゃん……」

 

 まどかは、呆然となってただ座り込むだけだった。今自分の目の前にあるのは親友の身体、そして親友の心だった怪物の姿。

 無駄だと分かっている。しかし、まどかはゆっくりと彼女の手を取って脈拍を確認する。当然、脈打っているわけがなかった。こんなにも暖かいのに、彼女の脈だけが、彼女が死んでいるという事実を表していた。

 こんな事、医者や看護師ぐらいしか経験できない事だろう。脈のない人間の脈を蝕知するなんてこと。

 彼女の身体が暖かいという事、それは当たり前のことだ。しかし、彼女の心臓が動いていないという事実は、全く当たり前のことではなかった。いや、それは人間の死としては当たり前のことなのだ。

 まどかは、自分の胸に手を当てて自らの鼓動を感じる。自分の心臓はこんなにも規則的に動いているというのに、彼女の心臓はもう動くことがない。命というものが、どれだけ尊い物なのか。彼女は親友の死を持ってそれを知ってしまったと言って過言ではない。

 思えば、今まで自分は危険な戦場に足を踏み入れていた。いつ死んでもおかしくない。いつこの身が亡びるか分からない。そんな戦場で戦ってきた。でも、それでも自分はいつでも生き残れてきた。その経験が逆に彼女の心の中の死という現実を薄めていたのかもしれない。

 だが、今彼女の目の前に現れた死は、紛れもなくその薄められていた死を現実にさせた。

 

「ッ……」

 

 まどかの口から嗚咽な漏れ始める。それは、親友の死に対してだろうか。それとも、自らに訪れるであろう死に対しての恐怖なのであろうか。もしも自分に死が訪れるというのであれば、それはどのようになのだろうか。彼女のように絶望しながらの死なのか、それとも絶望も感じることなく心を壊されての死であるのだろうか。だが、彼女のような死は嫌だ。彼女のように醜い怪物となって、誰かを同じように絶望させて、殺すような人間にはなりたくない。いや、もうそのころには人間としての自分は死んでいるのか。自分は……。

 

「さやか……ちゃん……」

 

 まどかは、ゆっくりと立ち上がると、自らの武器である弓矢を取り出すと、その先をさやかだった魔女に向ける。

 彼女は確かに聞いた。彼女の最期の言葉を。ゴメンネという謝罪の一言を。あれはきっと、親友であるはずの自分を、殺すことになる自分に対しての謝罪。化け物として大勢の人を殺す前に自分を殺してほしいという懇願。だったら、自分は親友の願いを叶えなければならない。

 今、右の指でもっているツルを離したら、弓はまっすぐに魔女へと向かうだろう。自分の力なら、その一撃で彼女を葬ってしまうことが可能だ。

 視界が悪い。目の前がにじんで、よく魔女の姿が見えない。まどかは、一度弓を下すと、顔を拭く。まだ彼女の命に未練があるようだ。こんな事、いつだってしてきたことではないか。そう、いつもと同じこと。ただ、元魔法少女だった親友の命を奪うだけの事。それなのに、そのはずなのに一度下げた弓が上に上がることはなかった。

 

「ごめん、ごめんね、さやかちゃん……」

 

 まどかは、魔法少女の変身を解くとさやかの亡骸を抱きしめる。彼女の心が接していたその抜け殻を。

 

「やっぱり、私にはできないよ……友達を殺すなんて、姿や形がどれだけ変わっても……あなたは、私の友達だから……」

 

 この時、まどかは決心した。大丈夫、自分がいなくてもこの街にはつぼみやえりか、マミ、杏子、それにほむらや織莉子たちがいる。自分が手を下さなくても彼女たちの誰かがそれを成してくれるだろう。だから……。

 

「さやかちゃん……私はさやかちゃんがどんな姿になっても……ずっと、さやかちゃんの友達だからね」

 

 まどかは、迫りくるそのさやかの大剣に対して、微塵も避けようとすることはなく、ただ彼女に向けて笑顔を向けるだけだった。涙にぬれた、その笑顔を。

 

 

「まどか?」

「つぼみ、どうしたですか?」

「……いえ、なんでも」

 

 さやかを探していたつぼみは、まどかの悲しい声を聞いたような気がした。多分、気のせいだろうが。

 ともかく、はやくさやかを探さなければならない。事は一刻を争うのだろうとつぼみは思っていた。多分、さやかの心は最悪の一途をたどっているはず。それこそ、すぐに魔女になりそうなほどに。今自分の手持ちのグリーフシードでその絶望を吸い取ることができるだろうか。

 

「もう夜が明けてしまいました……」

「はい。人も増えてきて、探すのも難しくなりそうですね……」

 

 思えば、今日は平日。普通の人間であれば学校に行っているのだ。見た目からも実年齢からも中学生である自分たちが歩くだけでそこはかとなく目立ってしまう。だが、それはさやかも同じこと。なので、これからは表の通りではなく裏の通りを中心的に探っていけばその内……。

 

「ッ!」

「つぼみ……」

「えぇ……」

 

 その時だ。二人が感じたのは魔女の気配。すぐこの近くにいる。

 二人は人が行きかい始めた通りから裏の通りに入り込むと、すぐに魔法少女へと変身し魔女の居所を探りはじめる。この反応の強さからすれば、恐らく魔女は二体、左右に分かれているはずだ。そのため、二人は手分けして魔女を倒すことになった。

 

「では、魔女を倒したらもう一方の結界に」

「わかりました。なぎさ、気を付けてください」

「分かってます。つぼみこそ、気を付けて」

「はい」

 

 しばらくして、なぎさは通りの先に魔女の結界を一つ見つけた。だが、何かがおかしい。今まで自分の通ってきた結界と比べて少し異質な感じがする。何が違うかは、ピンときた例えが出ない物の、だが妙な胸騒ぎを感じる。

 

「この雰囲気……なぎさは知っている?」

 

 そうだ、あの時と同じだ。自分が魔女となってしまったあの時と同じ気持ち悪さだ。まさか、この先にはあの時の自分のように……。

 

「あれ?」

 

 ふと、このときなぎさはなにか違和感を感じた。なんだこの妙な胸騒ぎは。いや、これは、このドキドキはあの時と同じだ。あのチーズケーキに希望を見出した時の自分と同じ。

 だがなんでそのようなものが湧きあがってくるというのだ。どうして、こんなにもあの時のチーズケーキの味が思い出されて。

 

「え……チーズケーキの味?」

 

 これもまた不自然であるという事に気がつく。人間という物は忘れる生き物だ。それがどれだけ大切な思い出だったとしても、徐々に徐々に忘れて行くはずなのだ。そう、自分が絶望して魔女になった瞬間には忘れていたように。それがどうして思い出した途端に、まるで本当にケーキを食べた時のような味が口の中に広がるのか。まるで、チーズケーキの味がコピーされて口の中や脳内を漂っているかのよう。

 まてよ、次々と思い出してくる。父や、昔の友達、神経衰弱で遊んだ時の思い出や、彼女と一緒に笑った時の事。そして母の事。それらが、自分が魔女となった時の絶望と同じ大きさで記憶の中にあるのだ。

 人は、自分に対してショッキングな出来事から思い出すことのできる生き物だ。それは、衝撃が記憶の大きさと比例しているといると言ってもおかしくはないだろう。だったら、なんで自分の絶望と希望が同じ大きさにいて、どうでもいいことまで同じく思い出すことができるのだろう。

 先ほど自分は、チーズケーキの味の事をコピーされたものと評したが、それだけじゃない。まるで百江なぎさという一人の人生を一つの絵画にして、それを自分に押し込んだかのような。そんな気がする。

 

「そんな、どうして……こんな……」

『伊達に魔法少女を5年もやっていませんから』

 

 なんでこんな時に以前まどかと一緒に呉キリカと戦った時の記憶が思い出されるのか。いや違う。自分が魔法少女として戦っていたのはたった一年程度じゃないか。そう、あの時チーズケーキをQBに願って、それから一年後、母が亡くなるまでだ。それから5年間、自分は……。

 

「魔女になって……」

 

 そうだ。5年というのは、自分が魔女になってからの月日の事じゃないか。どうして今の今までこの言い間違えに気がついていなかったのだろう。それに……。

 

「どうして今更こんな事を……」

 

 なんで、このタイミングになってそのことを思い出してしまったのだろう。

 

「教えてあげましょうか、百江なぎささん」

「え?」

 

 なぎさの後ろから現れた白い服装の魔法少女。それは、つぼみとマミから聞いていた容姿とまるっきり同じ姿だった。確か名前は……。

 

「美国、織莉子さん……?」

「私の魔法で貴方について調べている中で……本当に驚いたわ」

「驚いたって……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「百江なぎさが、すでに死んでいるなんて」




 いつの日にか、この話の大幅な改訂を行いたいと思います。自分に心の余裕ができたその時に。

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