映画 プリキュアオールスターズVS魔法少女まどか☆マギカ 悠久の絶望は永久の希望に   作:牢吏川波実

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今回の話でなぜ魔女が増えたかのとんでも理論が出現します。結果案の定文字数が多くなりました。わりかし大事な回なのに、精神的に疲れているからなんだか雑になった気もしなくはない。


私は、プリキュアが大っ嫌い

 つぼみとまどかが熾烈なる戦いを繰り広げていたころ、なぎさの身に危険が迫っていた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ…」

「遅いよ」

「ッ!」

 

 キリカの爪が、容赦なくなぎさを襲う。それも、徐々にスピードが上がっているように見える。右から、左から、そして前から、後ろから、突然攻撃されることもあり、なぎさの服はボロボロになっていた。

 

「ッ!」

 

 なぎさは、ラッパからバブルを出して応戦する。先ほどは、これでキリカの動きを封じることができたのだが。

 

「数を出したって、全部避ければいいんでしょ?」

「なっ!」

 

 なぎさが放った泡の合間を縫ってキリカは走り寄る。これだけの弾幕の中を通るには、バブル一つ一つの場所を把握する反射神経、それを回避するための運動神経、それに加えて、バブルに当たることを怖がらない覚悟が必要である。反射神経、運動神経は魔力で補うことができる。しかし、精神論だけは魔力は関係なく、個人個人が最初から持っているものだ。キリカは、そのスピードを緩めることなくそれを成し遂げ、そしてなぎさは対応できないでいる。実のところ、なぎさにとってはこれが初めての魔法少女との戦いであった。今まで、魔女との戦いしか経験してこなかったことが裏目に出たといえよう。魔女相手であるならば、それらは大体が巨体であるため、弾幕を張っていればどれか一つでも当たるし、それによってバブルが次々と誘爆していったため、魔女相手には有効なものであった。しかし、相手が魔法少女であれば話は別だ。相手は魔女よりも小さく、考える脳もある。なぎさは確かにベテランである。しかし、不運だったのはなぎさが魔女特化であるのに対して、キリカが魔法少女特化型であったことだろう。

 

「飽きた」

「え?」

 

 キリカはその言葉と同時に、瞬時になぎさに近づく。そして…。

 

「じゃあね、ばいばい」

「あっ…」

 

 気が付いたときには、ベルトにあるソウルジェムにキリカの爪が届くまで数cmというところまで来ていた。当然、なぎさにはできることが何もなかった。

 

「なぎさぁぁ!!!」

「!」

 

 そうなぎさには。

 

「ハァッ!!」

「どうりゃぁぁ!!」

 

 紅と蒼の閃光がキリカに襲う。その瞬間、キリカは後ろに飛び退き回避する。なぎさは、その一瞬で緊張の糸が切れたのか、しりもちをつくように座りこむ。そして、キリカがいた位置にあった物、それが、ひとつの槍と剣であった。槍には見覚えがなかったが、剣の方には見覚えがあった。それは、河川敷で見たある魔法少女の武器、その持ち主は…。

 

「なぎさ、無事!?」

「さやか!」

 

 魔法少女美樹さやか、華麗に推参である。まどかの念話を受け取り二手に分かれて駆け付けたのだった。つぼみ達の方には、マミとえりかが、なぎさの方にはさやか、そして…。

 

「おい、今のうちに怪我治しておけよ」

「え、あなたは?」

「ん?あぁ、私は佐倉杏子、本当は隣町を拠点にしてるんだが…ちょっと野暮用でな」

「まったく、もう少しで終わるところだったのにさ…」

 

 さやかと、杏子はキリカへと体の向きを変える。無論、その手に得物を持ち、いつでも戦えるようにしている。

 

「あんた…こんな小さな子を襲って何が楽しいの!」

「楽しいか楽しくないかじゃないよ…世界を救済するために必要な犠牲さ」

「なんですって!」

 

 キリカはあっけらかんとした風にそう口走る。さやかはそんなキリカの態度が許せなかった。そしてさらにもう一人も。

 

「分からねぇな…なんでこいつを殺すことが救済なんて言葉につながるんだ?」

「…フフッ」

 

 キリカは、その杏子の言葉に笑みを浮かべる。

 

「知らないんだね、魔法少女の真実を」

「なに?」

「…」

 

 その言葉の意味、杏子は分からなかったが、さやかとなぎさは知っていた。そして、もしもキリカが魔法少女の真実を知っているとなると、なぎさを襲った理由に思い至る。おそらく、魔女になる前の魔法少女を殺すことで、魔女が増えることを防止、つまり魔女を産ませない事イコール魔法少女を殺すイコール世界の救済ということなのだろう。と、なぎさは考え付いたが、残念なことにさやかはその答えにたどり着く前に思考が停止してしまった。

 

「なんだよ、魔法少女の真実って?」

「いいよ、教えてあげるよ…ついでにたぶん君たちが知らないこともね」

「私たちが知らない事?」

「そう…」

 

 キリカは、先ほどよりももっと口角を上にし、そしてもっと狂気に満ちた表情で笑った。

 

「魔女が増えた原因さ」

 

 さやかは思い出す。ここ最近、魔女がやたらと多くなってきた、とマミは言っていた。その原因とは…。

 

 

「つぼみ!大丈夫!」

「えりか。はい、私もシプレも平気です」

 

 一方、つぼみとまどかの方にもちょうど援軍が到着したところであった。マミとえりかである。コフレはどうやらいないようであるが。

 

「…」

「あれ?あの子どこかで見たような…」

 

 えりかは、ほむらの姿を見て思い出そうとする。しかし、どれだけ頭を捻ろうとえりかの頭に答えが浮かび上がることはなかった。

 

「ほむらです。私たちと同じ日に転校してきた」

「あっ!あの完璧超人の!」

 

 つぼみが助言したことによってようやく思い出したようだ。難しい問題もスラスラ解いたり、体育の授業で病気であったということが信じられない程の運動神経を見せつけたあの少女である。

 

「…」

「あなた、どうして花咲さんを殺そうとするの?」

 

 この中で唯一、ほむらと初対面であるマミがそう聞く。

 

「花咲さんを殺したところで貴方に何のメリットがあるというの?」

「…魔女の数を減らせる…ではだめかしら?」

「!」

「…なるほど、貴方も魔女の正体を知っているのね」

「そうね…」

 

 ほむらは、手に持ったマシンガンを一度盾の中に収納した。あの中にほかの武器もあるのだろうか。

 

「けどだからって、花咲さんを襲っていい理屈にはならないわ」

「…そうね、でもこれは理屈じゃない、心の問題よ」

「心?」

「えぇ…」

 

 ほむらはそう言うと、目をつぶり、そして何かを決心したかのように目を開いた。

 

「呉キリカに聞いたのだけれど…この1、2年で魔女の数が増えたそうね」

「え?」

 

 そのほむらの言葉につぼみは何かが引っかかったが、それが何なのかは分からなかった。

 

「…そうね、確かに前よりは魔女に出会うことが多くなったわ…けどそれが何か?」

「…その理由がプリキュアにあったとしたら?」

「え?」

「魔女が増えた理由が…プリキュアって…」

「どうゆうことですか?」

 

 ほむらは一度髪をかきあげてから離し始める。魔法少女の魔女化とプリキュアとの因果関係について。

 

「あなたたちも幼いころ、TVに出てくるヒーローやヒロインにあこがれを抱いたことがなかったかしら?」

「えっと…そりゃ確かにそんなこともあったけれどさ」

 

 つぼみもえりかに同意しながら思い出す。自分も昔は、『機動戦隊バトルレンジャー』というヒーローものを見たり、魔法少女物のアニメを見たりして、それを真似して遊んでいたことがあったということを。TVの中で、悪と戦う正義の味方、それは子供にとってはあこがれの存在、尊敬できる存在としては最適なものであった。

 

「それと同じよ…プリキュアという存在、同年代にそんな存在が現実にいたらどう思うかしら?」

「…みんな、プリキュアみたいになりたいって思う…私みたいに…」

「まどか…」

 

 まどかが魔法少女になるときに願った願い、プリキュアのようになりたい。その願いと同じような夢を描く者がまどか以外にいないとは限らない。だが…。

 

「でもちょっと待つです!プリキュアは、つぼみ達よりももっと前からいたです!」

「あっ、そうだよ!プリキュアはえっと…キュアアンジェっていう人が400年も前にいたんだよ!」

「それだけではありません。最低でも一万年前にもプリキュアがいたと聞きます…プリキュアのために魔法少女が増えたということにはならないのではないでしょうか?」

 

 プリキュア組の言うことも最もである。実際、つぼみ達とパリで戦ったサラマンダー男爵と約400年前に戦ったキュアアンジェ、プロトジコチューと1万年も前に戦った3人組のプリキュア、近場で言うとつぼみの祖母であるキュアフラワーは50年前にプリキュアとして戦っていたはずだ。それなのにこの1,2年で魔法少女が増えた理由にプリキュアが関係しているわけないのではないのだろうか。

 

「…まさか」

 

 その時、マミはあることに気が付いたようだ。

 

「マミさん?」

「どうやら気が付いたようね」

「確かにプリキュアは1万年前からいたのかもしれない…けど、プリキュアたちが存在していたということは、誰も知らない事だった…」

「まぁ…そりゃ、プリキュアの正体は誰にも知られたらいけないし…」

「それに敵の中には、周りに結界を張って誰にも気づかれないまま戦闘が終わることだってありますし…」

「けど、ここ最近で急激に発達したものがある…鹿目さん」

「は、はい!」

 

 まどかは、唐突に話を振られて一瞬どもってしまう。

 

「あなたは、なぜプリキュアの存在を知ったのかしら?」

「それは…横浜でプリキュアが戦ったっていう雑誌の記事を見て…」

「あの、フュージョンの時の…」

 

 少し前、みなとみらいにフュージョンという怪物が現れたことが2度あった。つぼみ達の知らぬところで一度、そしてつぼみ達も加えて当時23人のプリキュアで戦った時が2度目、そしてそれとは別にフーちゃんというフュージョンの欠片がとある少女の想いに反応して街全体が消えかけたこともある。あの時はさすがに隠し通すことなどできず、思えば、プリキュアの存在が日本中に公に出始めたのはあれが最初だった。そして、それからすぐ後には規制がかかって、誰もテレビも雑誌も、ネットですらプリキュアについて話題に触れることもなく、一種の都市伝説のようなものとなってしまった。情報が公に出なかったのは、プリキュアの仲間の一人が、情報統制を行っていたからであり、それは、その少女が属するプリキュアのチームが敵の大将を討ち取るときまで続いた。そしてその後は、プリキュアの存在を秘密にするどころか、公にプリキュアであると公言している唯一のプリキュアとまでなってしまっている。そして、情報統制が解かれてから放送され始めた番組が一つ…。

 

「そしてプリキュアウィークリー…あれもまた…」

「えっと…マミさん?結局何が言いたいんでしょうか?」

 

 プリキュアウィークリーとは、世界中で活躍するプリキュアの活躍を伝えるテレビ番組である。えりかは、いきなり話の内容が変わってしまったことに困惑して話についていけなくなってしまっていた。

 

「そういうことですか…」

「え?つぼみ、そういうことってどういうこと?」

「雑誌、ネット、テレビ番組…これらのマスメディアが成長したのは、ここ何十年の話です」

「そっか、それまでは人づてに噂されて都市伝説の存在だったプリキュアが、メディアに露出していくことによってその存在が日本中に知られることになってしまった…」

「それに、2年前といったら、私たちの世代のプリキュアが誕生した年…もしそこがすべての特異点であったとしたら…」

「1,2年の間に魔法少女が増えたのはプリキュアが関係しているというのもなくはないです」

「???」

 

 マミ、つぼみ、まどかの三名とシプレはここまでは理解できたようだ。無論というか当然えりかは、一切理解していなかったのだが。

 

「でも、それと魔女が増えたことって…関係のあることなの?」

 

 そう、確かにプリキュアがいたために魔法少女が増えたというだけならよくわかる。しかし、それと魔女が増えたことについてはイコールでつながらないのではないだろうか。

 

「…今の私にはわかります」

「え?」

 

 そうつぶやいたのはつぼみであった。

 

「プリキュアと魔法少女、双方を経験した私にはわかります。魔法少女という物がプリキュアとどれだけかけ離れたものであるのか…」

「そう…プリキュアを光と評することができるのなら、魔法少女は影…戦い方も違えば、相対する敵も違う…考えていた世界と違うというギャップは…光を夢見ていた女の子にとってどう映るのかしらね」

「…」

「…」

 

 4人は言葉を失った。そこまで言われればさすがのえりかですらも分かった。自分が体験していたプリキュアとしての1年間と、魔法少女になっての1日。どちらが辛かったかというと、やはり魔法少女の方であろうとつぼみは思う。先ほどのほむらとの戦いも、銃弾が肺を貫通して苦しくなって、危うく死にそうになって、確かに今までも幾度となく危険と隣り合わせで戦ってきたが、今日ほど死を意識したことはプリキュアの時にはなかった。こんな苦しい思いをして、どうして戦わなければならないのか、そう考えてしまうことだってあった。自分とえりか、そしてまどかやさやかは、プリキュアと魔法少女の違いについて、一緒に行動を共にしていたから十分に分かると断言できる。しかし、もしもプリキュアにあこがれて魔法少女になった女の子がほかにもいて、マミのような魔法少女の先輩に出会わなかったら。自分の思い描いていた世界とは真逆の戦場に送られてしまったら。耐えることのできる少女など、少数しかいないのではないだろうか。よく、光があるからこそ影は映えると言われる。しかし、プリキュアという眩しい太陽の裏で魔法少女はそれにかき消されて闇の中に消えるしかない存在なのだ。そこにある命は変わらないというのに、ただ出会うものが違っただけでこの仕打ちは理不尽であるという他何物でもない。

 

「でも、だからってなぜ花咲さんを襲うなんてことしたの?」

「…個人的な理由よ」

「え?」

 

 そういうとほむらは一度髪をかきあげる。

 

「私が、彼女を襲ったのは…ただ彼女がプリキュアだったから‥私は、プリキュアが大っ嫌いなのよ」

「プリキュアが…嫌い?」

「きれいごとばかりを言って、あきらめが悪くて、理不尽にも動じなくて…自分の犠牲を顧みないところも…それに……」

「え?」

 

 まどかは、ほむらが悲しげな眼で自分を見ているような気がした。

 

「…とにかく、プリキュアが気にくわないの…だから」

「!」

 

 その時、ほむらは盾の中からマシンガンを取り出す。

 

「あなたを…殺す」

「つぼみ!」

 

 マシンガンからは、大量の銃弾と薬きょうが飛び出してくる。とっさにつぼみの前に立ったえりかは、武器である針を扇風機の羽のように回転させ、一種のバリアを形作る。銃弾はすべて、それによって明後日の方向に飛んで行って、壁や床にめり込んでいく。

 

「えりか!」

「来海えりか…」

「つぼみにはね、ふたばちゃんっていう妹がいんの!」

「ッ!なにを!」

「だから、つぼみは帰んなきゃなんないの!ふたばのために!お母さんのために!」

「えりか…」

「あんたがプリキュアが気にくわないからってつぼみを殺そうってんなら!」

 

 えりかは、そう言葉を紡ぎながら、徐々に徐々にほむらの方へと足を運んでいた。一歩、また一歩、ほむらは、なんだかわからないが、その様子に恐怖を感じた。

 

「私は、つぼみの家族のためにつぼみを守るんだから!!」

「ッ!」

「えりか!はあっ!」

 

 えりかの後ろでつぼみは、地面に勢いよく茨が巻き付いている方の拳を突き刺す。茨は地中で幾重にも枝分かれし、密度をましてえりかの目の前に壁のように立ちふさがり、ほむらの放つ銃弾を通さなかった。ちなみにほむらの足元に巻き付いている茨で引き寄せるということも可能ではあったが、それを使うと引き寄せる際に繋がっている茨が浮かんで、えりかの武器に引っ掛かって切れてしまう可能性を考慮したためである。

 

「ちっ…!」

 

 ほむらはその壁を見て舌打ちをする。次の時間、ほむらの目に飛び込んできたのは空中に浮かんだ無数のマスケット銃。

 

「暁美さん、ここは引いてもらえるかしら?」

 

 打つ手なし、とはこのことであろうか。時間を止めて攻撃するころは封じられ、爆弾もマシンガンと同じく茨の壁に阻まれて無力化されるであろう。いづれにしてももしどれかの行動をとった途端にマミの銃弾の雨が降ってくることだろう。多勢に無勢もいいところだった。

 

「…今日のところは引いた方が賢明というわけね。けど次はこうはいかない……私はあきらめないわよ…プリキュア!」

 

 そう言うと、ほむらは入口の方へと跳んだ。ほむらが入口に到着するまでもつぼみの茨はほむらの足元から離れず、しばらく伸び続ける。そして、2~3分程してからつぼみは伸び続けている茨を消した。とりあえず本当に帰ったかは確認できないが、このままほむらとつぼみ、それからまどかをつないでいても魔女との戦闘に邪魔になるだけであるから。

 

「どうやら、本当に言ってくれたみたいね…」

「はぁ、疲れた…」

 

 えりかは、その言葉を聞いて緊張の糸が切れたように地面に座り込んだ。しかし、マミはまだ魔女が残っていると言って、えりかを立たせる。その間に、つぼみはシプレを守っていた結界を解く。途端に、シプレはつぼみの胸へと飛び込んできた。

 

「つぼみ、大丈夫です?」

「はい…痛覚も消していましたし、傷も全部治しましたから」

「よかったです…」

 

 そして、まどかは一人ほむらが消えた入口を見ていた。

 

「ほむらちゃん…」

 

 つぼみは、そんなまどかの肩に手を置き、まどかはつぼみの方を見た。

 

「まだやることは残っています。ほむらの事を考えるのはその後にしましょう」

「つぼみちゃん…うん」

 

 その後は、別段記述するほどのことはなかった。その結界の魔女はかなり弱かったため、ほとんど苦戦することもなく終わってみれば完全勝利だったのだ。魔女の結界が崩れ、元の通りに戻った。まどか達を待っていたのは、コフレと一人の幼い子供であった。シプレがコフレに聞く。

 

「コフレ、その子は誰ですか?」

「この子は千歳ゆまちゃんです!」

「ゆまちゃん?この子も魔法少女なの?」

 

 まどかがコフレにそう聞く。しかし、それを否定したのはマミであった。

 

「違うわ、この子は私が昔一緒に戦っていた子が連れてきたの」

「昔…ですか?」

「マミ」

 

 その時、3人の魔法少女が現れた。さやかとなぎさ、もう一人の少女が、昔マミと一緒に戦っていたという魔法少女なのだろう。

 

「なぎさちゃん、大丈夫だった!?」

「はいです。お二人に助けてもらいましたから」

「さやかさん、そちらに現れたという魔法少女は…」

「うん、色々と言った後にいきなり帰っちゃった」

「色々と?」

「…魔女が増えた理由とかさ」

「…そちらもでしたか」

 

 どうやら、もう一つの結界でも同じような話をされたようだ。と、言うことは。

 

「魔女は、元々魔法少女なんだってな…」

「佐倉さん…」

 

 この中で、唯一そのことを知らなかった杏子がマミにそう言った。流石の杏子であってもこれには応えたようだった。

 

「…」

「佐倉さん、ゆまちゃんと一緒に家に来ない?」

「いいのか?…私は、マミを…」

 

 昔にいったい何があったのだろうか。まどか達には分からない二人の物語があったのだろう。そして、杏子はそれを心苦しく思っているようであった。

 

「いいのよ、昔のことは…花咲さん達も今日のところは家に泊まりなさい」

「え?」

「私のマンションはセキュリティもばっちりだし、もし暁美さんが襲撃したとしてもすぐ対応することができるわ」

「え?暁美って…転校生のこと?」

 

 マミの言葉は、最もな意見であった。つぼみとえりかが今住んでいる学校が用意してくれたところは、セキリュティのようなものはなく、何も対策していなければ強襲される可能性がかなり高いであろう。そういうわけで、マミの言葉に甘えさせてもらうことにした。

 

「ほむらちゃん…」

 

 そして、まどかはやはりほむらのことが気になっていた。そしてそれはつぼみも同じであった。なぜか、ほむらのことがそれほど悪い人間には思えないのだ。ただ、何かの行き違いで敵味方の関係に分かれているだけで、ちゃんと話し合えば分かってくれるのではないか、そう考えていた。

 

「ほむらって…え????」

 

 そしてさやかは一人、話に乗り遅れたままであった。 




感想で、出演時間のバランスについてのご意見があったので、今のところ全21話の中に出てくる主な登場人物の登場した回数(話数)を調べてみました。

まどか 17話
さやか 15話
マミ 13話
ほむら 7話
杏子 4話
ゆま 3話
百江なぎさ 6話(魔女も含めると7話) 
つぼみ 17話
えりか 15話
いつき 1話
仁美 1話
QB 5話
キリカ 3話
シプレ 12話
コフレ 11話
ココ 1話

回想や、名前だけ、まだ名前の出ていないキャラはカウントしておりません。今後もご意見があったら感想まで。
…確かにバランスが悪い。外伝の主人公なんてまだ登場すらしてない。というか、プリキュアの方がキャラ多くなるはずなのにハートキャッチ以外妖精のココしかでてない…。

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