幸福と不幸は女神様次第!?   作:ほるほるん

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夜の頼みごと 【挿絵】

 夜も更け、食事を終え、入浴を済ませた俺はレアに話しかける。

 

 「レア、俺ちょっとナタリアのところ行ってくるわ」

 

 「ナタリア…?あのメイドの子ですか。なぜこんな時間に…?」

 

 レアは訝しげな顔をしている。

 

 「ちょっと頼みたいことがあってさ。どうしても自分だけだとできないことがあるからナタリアに手伝ってもらおうと思って」

 

 そう言って俺はレアに紙の束を見せる。それを見たレアは納得したようだ。

 

 「そういうことですか、私は先に寝ていますよ」

 

 レアはそっけない態度だ。まぁ自分に関係のないことだから当然か。そして俺は廊下に出てナタリアの部屋を目指して歩き出す。

 

 

 

 「おーい、ナタリアー。入ってもいいかー?」

 

 俺はナタリアの部屋の扉をノックしながら尋ねる。少し時間が空いたあと、

 

 「ど、どうぞ」

 

 ナタリアから返事があった。だが少し声が震えてる…?

 

 俺が部屋へ入るとナタリアはベッドに腰掛けていた。それを見て俺は隣に座る。ナタリアは俯いたまま何も話さない。というか何か緊張してないか?おかしいなぁ、夕方は普通だったのに…。俺は困惑しながらも用件をナタリアに伝えることにする。

 

 「なぁ、ナタリア。じゃあ早速なんだけど…」

 

 「…分かりました」

 

 俺が言い切る前にナタリアが立ち上がり俺の前に移動する。そして、俺の肩を掴み…なんで肩?俺が疑問に思う間もなく、俺の肩を掴む手に力が込められる。

 

 俺はベッドに押し倒された。えっ、なにこれ。俺が状況を飲み込めずに固まっているとナタリアが俺の上に跨がってきた。結構重い…。

 

 「私に任せて下さい…旦那様との夜伽もメイドの仕事ですから…私も経験はありませんが精一杯やりますので…」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 そう言ってナタリアは俺のズボンのベルトに手をかける。

 

 「いやおかしいでしょおおおお!?」

 

 俺は思わず声を上げる。隣の部屋の人、うるさかったらごめんなさい。

 

 「夜伽?で、しかもなんで俺が下になってんの!?逆じゃねーの!?」

 

 「旦那様はその…マゾの気があるとレア様に聞いたので」

 

 アイツ…俺がいないところでなんて風評広げてんだ…部屋に戻ったら覚えとけよ…。って今はそんなこと考えてる場合じゃない

 

 「いや、別に俺夜伽とかいいから!」

 

 「嫌々なところを無理矢理襲われるシチュエーションですか…?中々高度な内容ですね…」

 

 ダメだこのメイド。頭がピンクになってやがる。

 

 「だから違うんだって!俺が頼みに来たのは別の…」

 

 俺がナタリアの誤解を解こうと声をかけようとした時、部屋の扉が開かれる。

 

 「あの~、これないと困るんじゃないですか…」

 

 レアが扉を開ける。忘れ物を届けてくれたようだ。そして、今の現状を確認し、言葉を失った。

 レアは俺とナタリアを交互に見つめ、

 

 「あっ、お邪魔しちゃいましたね。夜の主従プレイですか?ごゆっくりどうぞ」

 

 そう言って扉を閉めようとするレアに

 

 「待ってくれええええええ!」

 

 

 

 「つまり俺はナタリアに文字を教えてもらおうと思ったんだよ」

 

 俺は必死でレアとナタリアに説明する。俺がメイドに夜伽を強要するような変態だと思われたくないからだ。

 

 「はぁ、そうですか。がんばって下さい」

 

 レアはどうでもようさそうな態度だ。ちゃんと分かってんだろうなコイツ。

 

 「私ったらなんて早とちりを」

 

 ナタリアは顔を赤らめながら反省している。良かった、誤解だと分かってくれたようだ。俺も言葉足らずなところがあったな、次からは気をつけよう。

 

 「まぁでもだいぶ遅くなっちゃったな、また明日に頼むよ。」

 

 俺はナタリアにそう告げ、レアと一緒に部屋に戻ることにする。部屋から出ようと扉を開け、ふと思う。

 夜伽か…ナタリアを俺の専属メイドにしたが今までそんなことは全く考えてなかった。俺はちょっともったいないことをしたか?なんて考えていた。それがナタリアにも伝わったのだろうか

 

 「…でも本当にシたくなったら言って下さいね」

 

 耳元でナタリアにささやかれる。おいやめろよ、冗談でもその気になっちまうだろうが。そして俺達はナタリアの部屋から出た。

 

 「…?最後何か言われてました?」

 

 「べ、別になんでもねーよ!」

 

 レアに質問された動揺した俺は、どもりながら誤魔化すことしかできなかった。メイドってのはみんなあんなに積極的なんだろうか、俺は疑問に思いながら暗い廊下を歩いて行った。


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