「ハァ!タァッ!!」
クウガはマイティフォームでドランクレイプにパンチや蹴りを繰り出し、時には距離を開け、時には距離を詰めて戦いを優位に進めていく。その内、ユウスケはあることに気が付いた。
「なんだ、この右のやつ?」
視界に入った物、それはドランクレイプの横にある黄色のゲージであった。ユウスケは今までそのようなものを見ることなどなかったので、ソレがなんなのか分からなかった。さらに、そのゲージはほかの者にも見えているようだった。
「これって、ゲームでよくある体力ゲージじゃない?」
桜子が一般女子中学生の見解を言うとそれに続いて鳴滝姉もまた言う。
「ということは、あれをゼロにすれば!」
そう、体力ゲージであるのでゲージの緑色の線がなくなる=死であることは間違いない。しかし、ユウスケにとってはそれは有利以外の何物でもなかった。なぜなら、ドランクレイプの体力ゲージは先ほどの少女が戦っていたおかげで半分以下になっており、あともう少し攻撃を加えれば勝つことができる。何より、ここまで減らせば倒せるという目標があることは、今までの敵に比べると分かりやすい。
「よし、それならやりようはある!」
「グルァ!!」
その言葉と同時に右手を握りしめて気合いを入れる。ドランクレイプは右手に持つこん棒を振り上げてユウスケを攻撃する。しかし、ユウスケはその手を両手で掴んで封じ、モンスターの右わき腹を蹴りこむ。
「フッ!ハァ!!」
「グファ!!?」
その衝撃でドランクレイプはこん棒を落とす。ユウスケはそれを拾うと、変身した時と同じようなポーズを取る。
「超変身!!」
その掛け声と同時にクウガの姿が変化する。アイカラーや腰のベルトの宝石の色は赤から紫へと変化し、体は銀色に紫のラインがはいった仮面ライダーとなった。それに加え、敵から奪ったこん棒は剣、タイタンソードへと変化する。
「グルォ!!」
ドランクレイプはそれに動じずにクウガに向かって腕を伸ばしパンチを繰り出す。しかし、そのパンチには全く動じず。それどころか、ドラゴンクレイプの体力ゲージが少し減るほどであった。タイタンフォームは機動力や運動性はほかの形態よりも劣り、重量も重い。だが、その分攻撃力、防御力に優れているためちょっとやそっとの攻撃じゃ通らないのだ。
「ハアアアァァァ!!!」
一呼吸をおいて、ユウスケはとどめとしてタイタンソードをドランクレイプの腹に突き刺す。
「グォォォォォ!!!!」
ドラゴンクレイブの体力ゲージは瞬く間に減っていき、黄色だったゲージも赤になり、そして全てのゲージが消えた瞬間、ガラスが割れるような音と共にポリゴン状に砕け散った。そして周りを見て、安全が確保できたことを確認してユウスケは変身を解く。
「倒した…のでしょうか?」
「みたいだな…ユウスケにしてはやるじゃないか」
あやかのその言葉に士はそういう。
「してはって何だよ、し・て・はって」
「まぁ其れは置いとくとして…」
「おいおい…」
ずいぶんぞんざいな扱いをされているユウスケだが、仮面ライダーの世界を回っていた時にはもう少し扱いがあれだったたのでこれでもまだいいほうだ。そして士は先ほど助けた少女の方を向く。
「え?…あっ助けてくださいましてありがとうございます!」
改めてその姿を見る。緑色を基調とした服に金色で長い髪。しかしやはり特徴的なのはそのとんがった耳、それと…。
「その後ろについているのは…羽、ですか?」
「あっはいそうですけど…あなた達にはないのですか?」
服と同じ緑色をした透明な2対の羽、彼女の言い分だと、どうやら本来羽がある方が普通であるようだ。
「え?何それ、この世界じゃそれが普通なの?」
「はい。あっそうだ。私はリーファ。種族はシルフです」
少女改めリーファは思い出したようにそう言う。
「シ…シルフ?」
「ファンタジーの世界…か?」
士はリーファにカメラを向けていつも通りに写真を撮った。
彼らがこの世界に現れた時、ある一つの張り紙が全ての町に現れた。そこに書かれていたのは…。
『緊急クエスト:世界の破壊者ディケイド』
次回、クエストの詳細な内容が出ますが、書式が原作、ゲーム版の表記と異なる場合があります。