SAOの世界1-1
「3―Aの担任のネギ・スプリングフィールドです」
―これまでの仮面ライダーディケイドは―
「そんな危険なことがあって、もし死んでしまったらどうするつもりだったんです!?」
「先生は、過ちを子供たちにさせないように教え導いていくのです」
「ここで何もしないことが正義だと言うなら、私、『立派な魔法使い』になんてなりたくありません!」
「これからの未来は…ここにいる小さな光達が決めていく」
『この世界のあいつらのこと……まかせたからな………』
「麻帆良学園女子中等部3-A 担任英語担当教師『ネギ・スプリングフィールド』です!!」
「でだ、今回の世界はなんだ?」
そう言いながら士達はいつもの写真館から前の世界で仲間、というより一緒に連れてきてしまった女子中学生4人と共に出て来た。
「というか、その恰好こそなんだよ?」
「これか?」
ユウスケの指摘を受け、改めて自分の身体を見てみる。
「なんでしょうかその服装?」
「さあな」
ファッションチェックではないが、士の現在の服装を下から説明していこう。まず靴はブーツである。ズボンは普通の長ズボンであり、ブーツの中にズボンの裾が入っている。腹にはベルトが巻き付いている。無論ライダーベルトなどといったようなものでなく、普通のベルトだ。服の上からベルトをしているのでややきつめである。また肩から腰にかけても細いベルトがタスキかかっているがこれは何だろうか?服はディケイドの色と同じマゼンダ色をした長袖Tシャツ。胸当てのようなものもしている。小物としては手袋を装着しているぐらいであった。これといって特徴となるものがないため、その服装から役割が何なのかを確定することはできなかった。
「うわ~きれいなところですね!」
「ホント…でもなんかおかしいような…」
「えぇ、まるで作り物のような…」
確かに彼女たち麻帆良組の言う通り、周りの風景はどことなくおかしなものであった。何かに張り付いているかのような空、草を揺らす風は感じられず、そして踏みしめている地面も感触がおかしい。言葉に表せられないが、踏んだ心地がしないのだ。と、その時士が近くにあった木を触る。
「これは…本物の木じゃないな、偽物だ」
「え?あっ本当だ!」
そう言われて他の者たちもまたその木に触れる。確かに見た目は木のようだ。が、実際に触ってみると、そこにある物は本物の木のようにひんやりとした冷たさはなくて、まるで観賞用の植物を触っているかのようだ。しかし、本当の木のように存在している物であった。本物であるようで本物でないと言うのは考えてみると頭がおかしくなりそうである。真実の中の嘘、嘘の中の真実。実像のようで虚像、虚像のようで実像。見るものすべてを疑い始めたとき、人間の頭は混乱し何が真実なのか分からなくなる。
「では…あの空も、この地面も、そしてあそこにある池も…偽物……」
「今度はいったいどんな世界に…!」
夏海がそう士に聞こうとしたその時、森の奥の方から轟音を耳にした。
「あれは!!」
すぐに向かった彼らの目に飛び込んできたのは、一方はサルのようなゴリラのような姿をしたモンスター、手には棍棒と酒壺を持っている。そしてもう一方は碧の服を着て羽が生えた少女。その尖った耳を見て誰もがそう思うだろう。妖精であると。
「ハァハァハァ…」
なぜこんなことになったのだろうか。自分はいつも通り『ゲーム』を始めようとアミュスフィアを頭にかぶってあの世界に入ったはず。なのに気が付いたのは前回セーブした場所でなくどことも知らない森の中。最初はバグが発生したのかと思い、位置を知るために空を飛ぼうとした。しかし羽は開くものの飛ぶことはできず、これは絶対におかしいと思っていったんログアウトしようと左手を上から下にスライドし、メニュー画面からいつものログアウトボタンを押そうとした。本来、宿等でセーブ、ログアウトしないと色々と不利益を被るのだが、今回ばかりは仕方がない。しかし、またもおかしなことが分かった。メニュー画面の一番下。そこにいつもログアウトのボタンがあるのだが、それが全く見当たらないのだ。どういうことなのか、困惑している彼女に突如モンスターが襲ってきた。其れもあのゲームでは見たことのないモンスターが3匹。上に書いてある名前は『ドランクエイプ』。やっぱり聞いたことがなかった。訳も分からなかったが、とにかく一目散に逆方向に逃げた。途中で追いつかれそうになった時もあったが、その時は自分の剣と魔法を使い、何とか2匹までは倒すことができた。しかし魔法を使うためのMP(マナ)も底をつき、剣による攻撃もあまり効果なしと分かり、今はとにかく逃げているだけであった。
「きゃぁ!」
その時である、地面の木の根っこに躓いたのは。
「イタタタ…!」
ゲームの中ではそう言った感覚はない。しかし、つい現実のような感覚で物を言ってしまうのはそのリアルすぎる風景から来るものだろうか。しかし、今の彼女がその事について考える暇などなかった。
「グォォォォォ!!!!!」
ドランクレイプはその手に持つ棍棒を振り上げ、彼女を襲おうとする。通常ならゲームの中で死んでも、自分の種族の領土に飛ばされるだけで済む、しかし今はバグの発生している状態のため、どうなるのかわからない。彼女は恐怖に襲われていた。
「お兄ちゃん…」
もうだめだ…彼女の脳裏に最期に移ったのは2年前のあの日、あの事件以来眠り続けている兄の笑顔であった…。
《ATTACKRIDE BLAST》
「グォ!!」
「え?」
正直、ここで彼女がやられたら物語の進行上大いなる問題が発生してしまうわけなので、助っ人が登場するのは必然である。
「大丈夫ですか!?」
「は、はい…私は平気です……」
「よかった…」
間一髪、士たちが到着した。倒れている少女はあやかから差し出された手に掴まり立ち上がった。
「なんなのでしょう…野人というのでしょうか?」
「けど襲ってくるのなら!」
そういうとユウスケが士の前に立ち、腰に手を当てる。するとベルトが出現し、彼はポーズを決める。
「変身!!」
ユウスケはクウガに変身し、ドランクレイプに向かっていく。その様子を見て、なにがなんだか分からなくなった少女にできることと言ったら。
「なに…これ……」
そう驚きと困惑の声を上げるぐらいであった。
現実とは何だろう、真実とは何だろう、世界とは何だろう。それは鎖、それは幻想、それは箱庭。世界のすべてを蹂躙しつくした人類は冒険の地を失い、そして好奇心は別の物を求める。それは現実以外のもの。現実に存在しない世界、それは箱庭の中。現実を直視せず、いや直視したくないものたちの楽園。その世界は仮想世界、真実から目を逸らした世界、現実から逃げたいものたちの世界。その日、それは虚像を失い、現実となり、逃げることもできない処刑場となった、待っているのは生か死か、逃げることのできなくなった世界で人はどうやって生きているのだろう。
ー世界の破壊者ディケイド、いくつもの世界を巡りその瞳は何を見るー
本当は、もうちょっと待ってからあるライダーを入れようか迷ったのですが、その時期になってくると大学で忙しくなるので無理と判断して今から投稿しました。
因みに今回の士の役割、というか衣装はSAOのキリトの初期装備の絵を参考にさせてもらいました。