そして次回から始まる世界は、原作の設定+自分が精神的にヤベェ時期に思いついた設定+ここ最近二次創作執筆に関して思うことがあってのやや鬱気味の精神状態で書いた=これなんかやべぇっていう作品となっています。もう、次回予告でやべぇ雰囲気漂っているんだが……。
すべてが終わった。士たち光写真館組と、あやかたち麻帆良ガールズは光写真館に帰ってきた。
「いやぁ、今回も派手に騒いだねぇ」
「ねぇ」
あのエキシビションマッチの後行われた織斑一夏の帰還を祝したパーティー、織斑マドカとクロエの歓迎パーティー、そして士たちとIS学園の生徒たちとのお別れパーティーは盛況のうちに幕を閉じた。
やはり自分たちは祭りごとやパーティーという物が好きな人種のようだ。考えてみるとSAOの世界以外ではずっとパーティーをしている気がする。プリキュアの世界も世界で、あやかたちは参加していないが大規模なパーティーをしていたし、おかげでパーティーでの作法というものはほぼ熟知することが出来た。
因みに、エキシビションマッチの結果ではあるが、最終的には織斑千冬が勝者となった。正確に言うと、最後まで残っていた千冬と士の二人で密約が交わされた結果、千冬を勝者とした方が後々面倒を残さなくてもいいということになったのだ。
海東大樹も追い払うことが出来たし、未来ノートはこの世界においておくということにもなった。これでもう次の世界へいくための後顧の憂いという物はない。
少しだけ寂しい気持ちはあるが、しかしこの世界にいればいるほど世界と別れるのが寂しくなる。ならば、もうここから離れなければならない。全員の思惑はすでに一致していた。
「あっ、そういえば……」
「ん?」
「どうしましたか、桜子さん?」
「いや、オルフェノクの一夏君の名前、教えてもらってなかったなって」
「あっ……」
そういえばそうだ。まぁ、正確に言えば一夏のオルフェノク態としての名前、モチーフ元が何だったかということであるが。
ワームの一夏(クロエ)のモチーフはハサミムシ、オルフェノクの千冬はカッコウがモチーフだった。ワームの千冬(マドカ)はまだ蛹体だったので何がモチーフであったのか分からない物の、ここまで知ったのだから織斑一夏のオルフェノクとしての姿の時の名前が何なのか気になる。
「確かに、気になりますね」
「どうします? 聞きに行きますか?」
「でも、あれだけ騒いだあとなんだから、もう皆寝ているんじゃ……」
時刻はすでに真夜中。そして、一連の騒動の疲れで皆疲れてパーティー会場となった学園の食堂で眠ってしまっている。そんな中で一夏に個人的に気になるという理由で聞きに行くのも酷であろう。
残念ながら、知らないままにして次の世界に行くということでいいのではないだろうか。と、妥協しようとしたその時だった。
「ダマリスギガスオルフェノクだ」
「ん?」
窓を開けながら現れた女性。織斑千冬だ。恐らく、本物の。
「モチーフはステラーカイギュウらしい」
「ステラーカイギュウ?」
「確か、既に絶滅した動物の名前に、そのような物が……」
「その通りだ。さすがは委員長を務めていることだけはある」
ステラーカイギュウ。あやかの言う通り、かつては地球上に存在していたが人間によって駆逐されてしまい姿を消した大型の動物だ。見た目はジュゴンに似ていたらしい。
「……ずいぶんな皮肉、だがアイツらしいな」
「? どういうことですか?」
「……」
士は、鳴滝姉の質問に答えなかった。それぐらい自分で調べなければ意味はない。他人から教えられた知識という物はもちろん大切であるが、もっと大切なのは自分で調べる努力をするということだ。
士が皮肉、といった理由はステラ―カイギュウが絶滅した二つの理由にある。一つが、人間に駆逐されたということ。そして、もう一つが……。いや、この先は自分たちで調べてもらったほうが良いだろう。そして、分かるはずだ。彼が皮肉と言った意味が。
「ところで千冬先生、わざわざそのことを伝える為だけに来たんですか?」
「いや、士に束からの贈り物があったからだ」
「俺に?」
「あぁ」
因みに千冬が窓の外から訪問したことに関しては、もし部屋の中に入って件の背景ロールが降りるということになったら、あやかたちのように別の世界に行ってしまって戻ってくることが困難となるからだ。自分経由で色々な面倒ごとに会ってきた千冬は、そう言った面倒ごとを回避するにはどうすればいいのかすでに熟知していたのだろう。
ともかく、千冬はそう言うと一つの小包を手渡す。
「なんだこれは?」
「開けてみてからのお楽しみだそうだ。では、私はこれで」
「待て」
「ん?」
そう言い残して立ち去ろうとする千冬を、士は制止する。そして、小包をユウスケに渡すと言った。
「今回は、お前に勝ちを譲ったが……次は俺が勝つ」
「フッ……望むところだ」
最強とは寂しいものだ。自分より上がいないから目標を見失い、競い合う相手が居らず、孤独感にさいなまれる。そして世の中が詰まらんくなった最強は悪の道に走ることもある。千冬は、結局その道を走ることは無く、止まることが出来た。だが、孤独感という物は耐えず続いている。
そんな千冬にもついにライバルが出来た。門矢士という自分と同じ最強である相手が。
これで別れれば、次いつ再開できるのか分かったものではない。だが、またいつか会うことが出来るであろう。最強として君臨している限り。何かを守るために戦っている限り。そして……。
「本当、負けず嫌いですね士君は」
「うるさい」
この男が負けるのが嫌いである限り。
「それで、ユウスケ? 一体何を貰ったんですか?」
「気になるです!」
「いや、俺が貰ったわけじゃないんだけど……なんだろう?」
ユウスケは、小包の蓋をゆっくりと開ける。蓋はただ織化なさっているだけでテープなどで止められているわけではないので開けること自体は簡単だった。
あの天才篠ノ之束の贈り物、一体何が入っているのだろうか。
と、気になるところであるが、ここで恒例となるあれが始まる。
「皆、写真が出来あが、おっとっと!!」
何かに躓いた栄次郎。そして、その先にあったのは背景ロールの鎖。もうこの時点で嫌な予感しかしない。
その時、栄次郎の手から写真が何枚も零れ落ちた。このIS学園で士が撮影した数々の写真だ。そのすべてが微妙にピントが歪んでしまっていて普通の写真ではない。しかし、全てがきれいに映っている。中でも、一夏やクロエ、箒、セシリア、鈴音、シャルロット、ラウラ、簪、楯無、そして千冬とマドカがISを装着して空高くに飛び上がっている写真など、その背後に映った一夏のオルフェノク態、クロエのワーム態の虚像も相まってある意味特別な物を感じる。
みんな、楽しそうにISに乗っている、いつの日にか、本当にISが競技や、もちろん兵器としてではなくただただ宇宙開発のためのパワードスーツとして使用されるようになったら、世界中のIS乗りがこんな顔をするのだろうか。
そのいつかが来るには、当然時間がかかるのかもしれない。しかし、彼らなら、守るということを心に決めた一夏たちであったらきっとそんな世界を作り上げることが出来る。士たちは、そう信じていた。信じて、去ろうというのだ。この世界から。
「これは……」
そして、新たなる世界の扉が開かれた。
映るのは魔法陣。そして交差する黄色と桃色の二つの杖。奥にあるのは何かの本。
「え、これって……」
「まぁ、順番的に次は魔法だろうな」
果たして、次の世界で何を見て、何を感じるのか。
だが、彼らはまだ知らなかった。その世界での事件がまた新たなる事件を産むということを。
彼らはまだ知らなかった。その世界を破壊してしまうということを。
そして、彼はまだ知らない。ユウスケが背景ロールに見とれて落したもの。
≪KTOUCH21!≫
それのために、多くの人殺しを経験しなければならないということを。
多くの死を経験しなければならないということを。
彼、そして彼女たちはまだ知らなかったのである。
次回 仮面ライダーディケイド エクストラ
「魔導師……って何ですか?」「高町さんの首には懸賞金がかけられているわ」「私がもっと強かったら、皆を悲しませたりなんて……」「私には、なのはがいないと……」「何故だ! どうして作動しない!!」「強さを求めて自分が傷ついていたら、意味がないじゃないか!」「私たちも、置いてけぼりにされちゃったから……」「生まれ変わっても、友達でいてね。アリサちゃん」「当たり前よ、私たち三人、ずっと……」「Confirmed the death of the master」
【マスターの死を確認しました】
すべてを破壊し、全てを繋げ!