仮面ライダーディケイド エクストラ   作:牢吏川波実

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プリキュアの世界chapter88 奇跡の光はこの手のなかに

「なんだ、この光は?我らの手の出せない光とでも言うのか?」

 

 光は強さを増して戦士たちを包み込んだ。ハーメルンはその輝きに目が眩んでしまったのか手も出せない様子だ。

 

「凄い……私たちの体が輝いてる……」

「これがPC細胞の光……」

「けどなんやろ……光の大きさが人によって違う……」

 

 ことはの言う通り、光り輝いているのは同じでも何人かの光が弱くなっているのが分かった。また、強く光っている者も数名いる。

 一番大きく光り輝いているのは響やマナ、ありす、めぐみ。その次に当たるのが子供戦士である小太郎やいちかたち。逆に光が小さいのは過去から来たエコーを除くプリキュアの女の子たち、それから海城や飛羽と言った壮年の男性、年齢が高くなるにつれて光が小さくなっているように見える。それどころか全く輝きを放っていない魔法少女となっている過去のめぐみたちと千差万別違いがある。この違いはなんなのだろうか。

 

「恐らく、可能性の違いじゃないかしら?」

「可能性?」

 

 憶測に過ぎないけど。そうほのかが付け加えてから自分の考えを伝える。

 

「さっき鳴滝さんはPC細胞の輝きのことを可能性の光って言ってた。だったらこの光は可能性がより大きい人程輝きが増してるんじゃないかしら」

「それじゃ、マナや響の光が大きいのは?」

「多分、二人分の可能性を宿してるから……」

「あっ……」

 

 そう言われたマナは、自分の懐に触れる。二人分の可能性、自分の、恐らく娘の可能性。それも含めての自分。それも含めての光。それが今自分のことを守ってくれている。

 

「あなたも生まれたいんだね……」

 

 マナは、それを生きたいと言う強い意志のようなものであると感じた。何となくではある、直感である。しかし、マナの感じた想いは紛れもなく本物であった。自分の身勝手でこの世に生を受ける命、でもその命は今もなお生きたいと願っている。だったら……。

 マナや響たちの光が大きいのはわかった。可能性の大きさが光の大きさに比例するのであれば、壮年の人間よりも子供たちの光のほうが大きいという理由も分かる。だが……。

 

「だが何故過去のめぐみやみらいに光がない」

「それに、過去のいちかたちやひめの光も小さい……」

「だけど、あゆみは私たちと同じくらい輝いてる……どう言うこと?」

 

 この世界での現役のプリキュアであるいちかたちの光は強いというのに、過去から来たプリキュアの子供たちの光は明らかに弱い。魔法少女のみらいたちに至っては全くと言っていいほどに光ってない。その点あゆみのほうはこの世界のいちか達と同じく、いやそれ以上ともいえるほどに光り輝いている。どういうことなのだろか。

 

「四葉財閥の本社で検査結果と同じだわ。魔法少女になっためぐみさんたちはPC細胞が体内に全くなかった……」

「魔法少女になった結果、PC細胞……つまり可能性が無くなってしまったということか?」

「おそらく……遠藤止は魔法少女が魔女という怪物になる存在と言っていた。そして、魔女になったら元の姿に戻らないとも……」

「つまり、私たちに未来がないから……」

「まさか、過去のいちか達のPC細胞が少ないのはいずれ、魔法少女になるからとか?」

「……」

 

 なぎさの冗談のような発言に対し、ほのかは黙り込んでしまった。まさか、彼女もそう考えているというのだろか。だが、この仮説を立証する証拠などない。だから、ほのかは何も言えない。

 

「それでも……」

「え?」

「例え、私たちに未来がなくても、すぐそばに絶望が待ってても……私たちは今を生きてる」

「めぐみ……」

「うん、人はいつ死ぬかわからない。この私の中のワクワクがいつ消えるかも、でも……今を生きているっていう可能性が消えることは無い」

「だから、きっと目に見えなくなっているだけ……私たちの中の可能性は、まだどこかに……ううん、必ずある!この手の中に!」

 

 瞬間、汚れていた彼女たちの手の中にあるソウルジェムが淡い光を放つ。

 

「まさか!」

「そうか、その中に彼女たちの可能性が閉じ込められているのか!」

「人の可能性は絶対に消えはしない。生きている限り、生きたいと願う限り、誰の中にもプリキュアの心は、宿ってる!だってプリキュアは……ううん、女の子は誰だってプリキュアになれ……」

「あゆみちゃん?」

 

 この時、あゆみの頭の中でなにかが弾けた。未来への可能性、それは誰でも持っている。PC細胞の多い者がこの世界ではプリキュアになることができた。けど、今ここにいるプリキュアではない士たちもまた、その光を輝かせている。つまり、PC細胞は誰もが持っている物。

 

「まさか……」

 

 瞬間、世界の闇が四散した。

 

「え?なに!?」

「なんだ、これ……」

「PC細胞の光……」

 

 明るくなった世界。しかし、その光は月明りという薄暗い物などではない。まぎれもなくPC細胞の光だ。しかし、何故いきなりそうなったのか。

 

「みんな!あれを見て!!」

「え?」

 

 ハカセの指さしたほうを見る戦士たち。そこにあったもの、それは天高くまで伸びる光の柱であった。それも一つや二つじゃない、遠く、遠くにも何本も、何本もの光の柱があった。

 

「あれも、PC細胞?」

「あれだけプリキュアがいるって事?」

「違うな」

「え?」

「うん。きっとあれは……この世界に住んでいる人たちの光……」

「可能性は誰だって持っている。つまり、PC細胞もそうだってことだ」

「あっ……」

「プリキュアだけが持っている特別な物なんかじゃない。本来は人間全てが持っているはずの力だったんじゃないのか?」

「そう、女の子はみんなプリキュアになれるんじゃない。人間はみんな、プリキュアになれる。その可能性を秘めている……」

 

 ほのかは、この時自分が行った実験で見落としていたものがあったこと気にが付いた。そうだ。自分が検査したのは全員がプリキュアのOGだけ。それは、プリキュアであったものだけがPC細胞を持っていると思い込んでいたから。だから、プリキュアではない男性を調べるということをしなかった。プリキュアではないからと言って、男性であるからと言ってそのような可能性を見落としてしまうなど、科学者としては失格なのかもしれない。ほのかは、そう自分を恥じた。

 

「この力、この星の可能性の力を全部集めれば神にも勝てるかもしれないな」

「集めるって、どうやって?」

「……」

 

 士は、おもむろにライドブッカーから一枚のカード、ブランクのカードを取り出した。今だに柄のないそのカードに剣のアンデッドのように力を入れることができればあるいは。

 だが、もしもカードに力を入れることができたとしても、今の自分はディケイドライバーを持っていない。海東も同じく、ディエンドライバーを所持していないため、そのカードを使うことは不可能だ。

 

「ディケイドォォォ!!!」

「ん?」

 

 士は、鳴滝の方を見る。鳴滝は、一度自らの手の中にある物を一瞥した後に、それをディケイドに投げ渡した。士はそれをキャッチするとみる。

 

「これは……」

 

 まぎれもなく、それはディケイドライバーだ。だが、色が違う。いつも自分が使用しているディケイドライバーは真っ白であるが、今見ているそれはピンク、いやマゼンタ色だ。それに、書かれている仮面ライダーの模様も倍に増えている。

 

「それはネオディケイドライバー。今回、我々に協力してくれた男から託された物だ」

「……大体分かった、フッ!」

 

 士は、ブランクのカードを空高くに投げる。すると、まるで砂鉄が磁石に吸い込まれるかのようにそのカードに向けてPC細胞の光が集まっていく。今この場にいる戦士たちの光だけじゃない。世界中の光がカードに集まっていくようだ。

 十数秒後、光を失い暗闇に戻った世界に、一枚の光り輝くカードが落ちてくる。士はカードをつかむと、ネオディケイドライバーを腰に巻く。そして……。

 

≪ATTACKRIDE MIRACLELIGHT≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「暗いよ……寒いよ……」

「このまま、死んじゃうの?」

「やだ、そんなの、怖いよ……」

 

 この地球のどこかで、ハーメルンの作り出した闇に心が蝕まれている人々がいた。さっきまで家族と一緒にご飯を食べていた。さっきまでテレビを一人で見ていた。さっきまで車を運転していた。なのに、今では目をつぶっているかのように目の前が黒く塗りつぶされ、何も感じない。何も考えることができない。ただただ恐怖の時間が人間を襲う。先ほどなど、恐怖により一瞬だけ自分が光り輝いた幻覚を見たほどだ。

 

 このまま自分たちは死んでしまうのではないか。

 

 何もできないで、何も感じないで、寒さの中にその身を横たえてしまうのか。

 

 家族の顔も見れないで、愛する人の温かさを感じれないで、孤独に戻ってしまうのか。

 

 嫌だ。そんなの嫌だ。

 

 だから、彼らは一様に手を伸ばした。

 

 地獄の亡者のように。

 

 天から伸ばされる蜘蛛の糸をつかみたいかのように。

 

 醜くも、それでも生きたいと嘆き、求めていた。

 

 今の暮らしが嫌で嫌でしょうがない、生きているのもしんどくてしょうがない。

 

 辛くて、苦しくて、死んでしまいたい。そう思っている者もまたいるはずなのに。

 

 それでも手を伸ばして生にすがる。

 

 生きたい、死にたくない、ここにいたい。

 

 それは、人間の本能。

 

 最古参の欲望。

 

 誰もが持っている願望。

 

 異世界に行ってみたい、来世に賭けたい。そんな安易な考えなどその時の彼らは心の隅にもなかった。

 

 死の安らぎよりも、欲望の世界よりも、苦しみがあっても辛くとも今の人生を生きたい。

 

 それが今のすべてだった。

 

 誰も次の人生など望んでいない。ただただ生きたかった。

 

 今を、この人生を、未来を、生きることを望んで、そして必死に死の運命と戦っていた。

 

 死にたくない。生きたい。死にたくない。生きたい。

 

 今の人生を生きたい。

 

 今の生活を続けたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本当にそう思っているのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 思っているから、その光に手を伸ばしたのだ。

 

 

 

「光が戻ったか……」

 

 士は、手の中にあるミラクルライトを見るとそう呟いた。

 

「あれは!」

「未来の俺か」

「あぁ……どうやらカードのおかげで見えるようになったらしいな」

 

 未来の士はそう言いながら過去の士に近づきその肩に手を置くと言う。

 

「俺ならわかってるはずだが、ハーメルンが干渉できる物には限界がある。俺がその証拠だ」

「だな、恐らくハーメルンが新たな世界を作るにはこの俺と、未来の俺を殺す必要があった」

「今回俺は応援することしかできない」

「大体分かった」

「なんか、かなり難しい会話してる?」

「大事な要点を抜かしてるんじゃない?」

 

 二人の士の会話を聞いた周りの人間は、時折抽象的にしかかわされることのない会話を耳にしながらその内容を想像で理解することしかできない。だが、ここで士が倒されてしまうと未来の士や未来の士のいた世界が壊されてしまうのだろうということは分かった、気がする。

 未来の士はそれだけ言うと再び自らのいた立ち位置にまで戻る。

 

「士!」

「士くん!」

「先生!」

「ん?なんだ、お前たちも来たのか」

 

 そこには、先ほどまでいなかったはずの過去の士の見知った者たち、見知らぬ子供達がいた。

 

「ユウスケ、夏ミカン」

「夏海です」

「……そのガキどもはなんだ?」

「私たちは、士先生と共に旅をする仲間です」

「先生?俺がか?」

「って言うか、あそこにいるのって……」

「マナ!?」

「みんな頑張れ!私も、ここで応援することしかできないけど、みんなが勝つって信じてる!」

「う、うん……ありがと」

「ルイズ大丈夫か?」

「えぇ、ありがとう才人。ここがプリキュアの世界なの士?」

「あぁ、そういうことだ」

「ずいぶんと大人数で旅をしているようだな」

「いや、こっちのルイズたちは今回だけだ」

「そうか」

 

 随分と大所帯となった物だと感心に近い物を感じる士だが、現れたのはそれだけではない。何もない空間にいくつものミラクルライトが出現した。一つや二つなんて数じゃない、何十、何百ものミラクルライトだ。何だこれは、そう呟こうとした刹那、空間にいくつもの手が現れてミラクルライトを掴んだ。そして、その手の先から人の姿が現れる。

 

「士さん、ユウスケ!」

「士!」

「士……」

「師匠!」

「お前ら……」

「少年君、君たちも来たのか」

「ライダー、トモダチ。タスケニキタ」

 

 現れたのは、士が旅の最初で出会ってきた仮面ライダーたち、ワタル、芦河ショウイチ、ソウジ、アスム、山本ダイスケ。その後ろにも沢山のライダーの姿が見える。全員、士がこれまで回ってきた世界のライダーたちだ。しかし、何故彼らがここにいるのか。夏海が言う。

 

「皆さんどうして?」

「キャッスルドランでヴァイオリンを弾いていた時、目の前にこのライトが現れたんです」

「俺も似たような物だ。そして世界崩壊の危機が迫っているとも聞いた」

「世界が壊れたらマユやおばあちゃんのおでんが食べれなくなる」

「変身はできませんが、僕たちも戦います!」

「アマゾン、オウエンスル」

「お前ら……」

 

 何故彼らがここに現れたのか、まだまだ疑問は尽きないがしかし、これだけで終わらなかった。まだまだミラクルライトは浮かんでいるのだ。もしかすると、そう考えていた士の前に一つの手が出現し、一人の人間となった。

 

「先生!」

「お前らも来たのか……」

 

 そこにはメガネをかけ、その身長に不釣り合いな長い棒を持った少年の姿。いや、それだけではない。その後ろには同じ制服のような物を着た少女たちの姿。それを見た鳴滝姉妹はすぐさまその集団に飛び込んだ。

 

「あっ、ネギ先生!!」

「みんなも来てくれたんですね!」

「来てくれた、というか気が付いたらいたと言うかな……」

「明日菜さん……」

「委員長……もう、勝手にいなくならないでよ。心配したじゃん」

「ごめんなさい。でも、また会えて良かった……」

「私もよ、委員長」

「円!美砂!」

「桜子、本当に先生について行ってたんだ……」

「全く、あの後色んなところ探したんだからね」

「あはは、心配かけてごめん」

 

 麻帆良学園女子中等部。士がごく最近立ち寄った世界の子供達。

 

「士!」

「和人、いやキリトか」

「え?」

「これ!SAOの時の格好だよ、キリト君!」

「あ、本当だ。でもなんで?」

「それより、お前たちも来たんだな」

「あ、あぁ……戦う力は無くても、応援だけならできるからな」

 

 デスゲームを生き抜いた子供達。無論声を出してないが彼女たちもいる。

 

「だが……夏海やルイズだけじゃなく、なんでこいつらも……」

「それは、君がつなげてくれたんだ」

「何?」

 

 そう言いながら現れたのは、まったく別の白い服を着た二人の男性。制服と、軍服だろうか。ユウスケたちは、その二人の、いやその後ろにもいる大勢の男女を知らない。いや、知っている人間も何人かいるのだが、しかし大多数は全くと言っていいほどに知らない面子だ。

 

「お前ら……」

「黒子の時じゃないあんたと会うの、初めてだな」

「……それより、俺がつなげたってのは……」

「言葉の通りさ、士君がつないでくれた絆、友情、思い、そして世界。それが全部集まってこの世界への道を広げたんだ」

「そして、その繋がりはこれから先も生まれる。例え世界が離れていても、近くても、遠い過去でも未来でも……その繋がりは決して消えることがない」

「確かにこの世界は俺達の世界じゃないかもしれない。けど、そこに悪がある限り……悪が無くなるその日のために、俺たちは戦い続ける……だろ?士君」

「……大体分かった」

 

 たかが応援。なのかもしれない。だが、それでも、それだけでも、その思いだけでも……。

 

「ウフフ……なら、エスコートは私にお任せ」

「キバーラ!」

「今まで一体どこにいたんですか?」

「ウフ、いいところ。それよりも……」

 

 そのいいところから戻ってきたばかりのキバーラ。果たしてどこに行っていたのかは後で聞くにして、キバーラは応援に来た面子に対して言う。

 

「皆!ミラクルライトを振って、ヒーローヒロインの皆を応援してあげて!」

「振るって……これをですか?」

「そうシャル!こうやって振るシャル!頑張れ~プリキュア!!」

「いつもは応援してもらう方だけど……頑張れ~プリキュア!!」

 

 シャルル、マナがミラクルライトを振る。

 

「え?これをするんですか?」

「えっと、なんというか……」

「やめろ恥ずかしい。小学生の鳴滝姉妹ならともかく、この俺までやったらコントにしか見えん」

「「笑いのツボ!!」」

「アッハッハッハッハッハッ!!!」

「「中学生!」です!」

「と、とにかくやろう!頑張れ~仮面ライダー!!」

「そ、そうですね!頑張れ~スーパー戦隊~!!」

 

 ユウスケ、夏海もまたマナに続いてミラクルライトを振り始める。すると、ライトの先が光出し、そこから粒子のような光がこの世界の戦士たちに注がれていく。

 

「これは……」

「なんだ、この力は……でも、恐怖は感じない……むしろ……」

「暖かい……安らぎを感じる……」

 

 光が注がれるたびに心が満たされるかのような感覚が彼らを包み込む。この力が、この思い、まるで繋がりを直に感じているかのようだ。

 

「よし、僕たちも!頑張れ~プリキュア!!」

「明日菜さん!」

「えぇ!」

「「頑張れ~仮面ライダー!!」」

「なら私たちは!」

「スーパー戦隊を応援しましょう!」

「「「がんばれ~スーパー戦隊!」」」

「俺たちもするか?」

「うん、和……ううん、キリト君!」

「「頑張れ~仮面ライダー!!」」

「ルイズ!」

「分かってるわよ!みんなもいいわね!せ~の!!」

「「「「「「「頑張れ~!!プリキュア(仮面ライダー!!)(スーパー戦隊!!)!!!!」」」」」」」

 

 ネギたちが、キリトたちが、ルイズたちが、そしてその仲間たちが、次々と手の中にあるライトを振って応援する。その様子を見て、未来の士以外の面々が次々にライトを振る。そのたびに戦士たちに入っていく光の量は多くなっていき、その分だけの力が蓄えられていく。

 

「すごい……」

「これだよこれこれ!!」

「私たちを、ずっと守ってきてくれていた力……それがPC細胞。ううん、皆の可能性!」

 

 久しぶりに受ける声援だ。この声を背に、自分たちは強大な敵と戦ってきたのだ。そうか、ようやくわかった。ミラクルライトの意味を。

 ミラクルライトは繋がりなのだ。目に見えない。目の前にいるけどいない。そんな人々の声を届かせてくれるもの。今まで自分たちを、いつだって守ってきてくれていた光。大きな絶望も、どうしようもできないほどの嘆きもすべてを跳ね除けてくれた可能性の力。それが今、ここに、この場所に集まってきている。この力を、プリキュアは希望に変えてきたのだ。

 そして、希望を届ける者たちがまたここにも。

 

「先輩たち、頑張れ!!」

「進兄さん!!」

「タケル殿ォォォォォォ!!!」

「頼んだぞ、戦士たちよ!!」

 

 別動隊のチーム。彼らもまた信じているのだ。どれだけ敵が巨大であったとしても、どれだけ強大な闇を相手としても、自分の仲間たちがやられるわけがないのだと。

 世界は今この時、真の意味でつながっていた。

 

「プリキュアに力を!!!!」

「行け!!仮面ライダー!!」

「負けるな!!スーパー戦隊!!!!!」

 

 道端で、避難所で、家で、病院で……または、別の世界まで。

 

「満……」

「咲、舞お願い……この子の未来を守って……」

「つぼみ……頑張って」

「この番組を見ている皆さん!」

「私たちの世界を守るために戦っている戦士たちに!力を貸してください!!」

「いいのか?束さん……」

「この世界がどうなろうと、私には関係ない……でも、お礼はしとかないとね」

 

 この地球に住むすべての人間が、そして士のめぐってきたすべての世界が、戦士たちに力を与えてくれている。全くの見ず知らずの人間たち、世界のために応援してくれている。

 そんな状況にハーメルンは困惑し、慄いていた。

 

「なぜだ?何故見ず知らずの世界のために、ここまでの人間たちが……未来に絶望していた人間たちが……私が今までに転生させてきた9318人の人間たちと違うというのか?」

「あぁ、違うな」

「何!?」

 

 未来の士は、ミラクルライトをハーメルンへと向けると言った。

 

「この世界の全員が絶望しているなんて大間違えだ。お前が見てきたのは都合のいい人間たちだっただけの事。みんな生きたいんだ。どれだけやりきれないことや理不尽なことがある世界でも……つまらなくていい、思い通りにいかなくてもいい。それでもこの平凡な人生を生きたいんだ」

「馬鹿な。そんなはずがない」

「ところが、あるんだな。少なくとも、俺はこの世界に生きる一人の人間として転生なんてものはごめんだ」

「何故だ。新たな世界が欲しくないのか?」

「答えは……アイツらが教えてくれる。だから……」

 

 そして……。

 

「頑張れ……プリキュア、スーパー戦隊、仮面ライダー……そして、門矢士」

 

 士はミラクルライトを振った。

 

「あぁ、もちろんだ」

 

 戦士たちは、その光に身を任せるように目をつぶる。光が、可能性がどんどんと身体の中に入っていく。人々の思いが、心がわかる。助けてもらい。この世界で生きたい。生き続けたい、明日を生きたいという人類普遍の願い。もう絶望が足を踏み入れる場所などない。ここは今日本で、世界で、地球で、宇宙で一番の希望が集まる場所。負けるはずがない。

 

 この世界には生きる価値がある。

 

 この世界を生きる目的がある。

 

 この世界には守る価値がある。

 

 この世界は滅ぶには早すぎる。

 

 だから、この未来を生きらせて。

 

 そんなすべての思いを乗せて。

 

 その時、魂の宝石が砕け光が少女たちの中へと入っていった。まるで、この世界を守ってくれるご褒美のよう。この力で世界を救ってという世界の意志のようなもの。

 

 切なる思いを身に受けて、戦士たちはここに復活す。

 

「みんな、応援ありがとう……」

「行くぞ、お前ら!!」

「うん!」

「はい!!」

「応!!」

「ロジャー!!」

「ディケイド、このカードを……」

「これは……なるほどな……」

「見ててくれ、みんな!」

「これが、俺たちの!!」

 

 戦士たちは復活したそれぞれのアイテムを。相棒の手を取る。そして……。

 

≪≪≪It's morphin' time!≫≫≫

「「「「「「ブレイブ!イン!」」」」」」

≪≪≪≪≪≪ガブリンチョ!!≫≫≫≫≫≫

≪ガブティ~ラ!≫

≪パラサガン!≫

≪ステゴッチ!≫

≪ザクト~ル!≫

≪トリケェェラ!≫

≪プテラゴォォドン!≫

「いざ!尋常に!!」

「「「「「「キョウリュウチェンジ!!」」」」」」

≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪変身いたしま~す!白線の内側に下がってお待ちください!≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

≪アオニンジャーシュリケン!≫

≪シロニンジャーシュリケン!≫

≪モモニンジャーシュリケン!≫

≪≪≪ザ・変化!≫≫≫

≪≪≪ニンニンニン、ニンニンニニン!≫≫≫

≪ホワッツ・アップ?≫

≪サソリ!オオカミ!テンビン!オウシ!ヘビツカイ!カメレオン!ワシ!カジキ!リュウ!コグマ!ホウオウ!サイコー!!キュータマ!!≫

≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪セイ・ザ・チェンジ!≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

≪カモンザチェンジ!≫

≪スーパ~!セイ・ザ・チェンジ!!≫

≪ドド♪≫

≪レレ♪≫

≪ララ♪≫

≪ドド♪≫

≪≪≪≪≪Ready?≫≫≫≫≫

≪シャルル~!≫

≪ラケル!≫

≪ランス~!≫

≪ダビィ~!≫

≪≪≪≪≪≪≪≪かわルンルン!!≫≫≫≫≫≫≫≫

≪リイイイイイィィィィィィィィィン≫

≪standyng by≫

≪サイクロン!≫

≪ジョーカー!!≫

≪アクセル!!≫

≪3………2………1………≫

≪シャバドゥビタッチヘンシ~ン!シャバドゥビタッチヘンシ~ン!≫

≪フルーツバスケット!!≫

≪Fire!!ALL Engines!!≫

≪ムゲン進化!!ア~イ!!バッチリミナ~!!バッチリミナー!!≫

≪マキシマムマイティエェェェックス!!≫

≪ハイパァァァムテキィィ!!!≫

≪ドッキーング!!≫

≪タドルレガシー!!≫

≪ガシャット!!≫

≪バ~ンバ~ンシュミレーション!!≫

≪I ready for Battleships!I ready for Battleships!≫

≪デュアル!ガッシャット!!≫

≪暴走バイク!≫

≪マイティアクション!エックス!!≫

≪デュアルガシャット!≫

≪The strongest fist! What's the next stage?≫

≪ときめきクライシス!≫

≪仮面ライダークロニクル≫

「ゴー!」

「バル!イーグル!」

「レッド!ファルコン!」

「クロス!チェンジャー!!」

「「スーパー変化!ドロンチェンジャー!!」」

「激走!アクセルッ!チェンジャー!!」

「インストール!メガレンジャー!」

「「「「「銀河転生!!ハァッ!」」」」」

「騎士転生!!フッ!」

「ガオアクセス!ハァッ!」

「「「忍風・シノビチェンジ!ハァッ!」」」

「「「「「エマージェンシー!デカレンジャー!」」」」」

「「「「天空聖者よ、我らに魔法の力を!」」」」

「「「超魔法変身!マージ・マジ・マジ・マジーロ!」」」

「魔法変身!マージ・マジ・マジーロ!」

「「「一筆奏上!」」」

「「「「「「ゴーカイチェンジ!」」」」」」

「「「「「アニマルチェンジ!!」」」」」

「「「レッツモーフィン!」」」

「「「「「「ファイヤー!!」」」」」」

「「「「「「「「「「「「トッキュウチェンジ!ハァ!!」」」」」」」」」」」」

「「「シュリケン変化!」」」

「本能覚醒!」

「「「「「「「「「「「スターチェンジ!」」」」」」」」」」」

「ガリョウテンセイ!!」

「「デュアル!オーロラ!ウェェェェェェイブ!!」」

「ルミナス!シャイニング・ストリィィィム!!」

「「デュアル・スピリチュアル・パワァァァァ!!」」

「「「「「プリキュア!メタモルフォーゼ!!」」」」」

「スカイローズ!トランスレイト!!」

「「「「チェインジ・プリキュア!!ビィィィトアップ!!」」」」

「「「「プリキュア!オープンマイハート!!!」」」」

「「「「レッツプレイ!プリキュア!!モジュレーション!!」」」」

「「「「「プリキュア!スマイルチャージ!!」」」」」

「「「「プリキュア!ラブリンク!!」」」」

「プリキュア!ドレスアップ!!」

「「「「「「プリキュア!くるりんミラーチェンジ!!」」」」」」

「「プリキュア!きらりんスターシンフォニー!!」」

「「「「「「「「プリキュア・プリンセスエンゲージ!」」」」」」」」

「「「「キュアップ・ラパパ!ダイヤ!」」」」

「「「「ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!」」」」

「「キュアップ・ラパパ!エメラルド!」」

「「フェリーチェ・ファンファン・フラワーレ!」」

「「「「「「「「「「「「キュアラモード・デコレーション!」」」」」」」」」」」」

「「ショートケーキ!」」

「「プリン!」」

「「アイス!」」

「「マカロン!」」

「「チョコレート!」」

「「パフェ!」」

「「元気と!笑顔を!」」

「「知性と!勇気を!」」

「「自由と!情熱を!」」

「「美しさと!トキメキを!」」

「「強さと!愛を!」」

「「夢と!希望を!」」

「「「「「「「「「「「「レッツ・ラ・まぜまぜ!」」」」」」」」」」」」

「「「「「変身!」」」」」

「ライダァァァァ……変身!」

「変!……身!」

「変!……身!」

「変身!」

「ハァァァァァァァァァァ……変身!!」

「変身!!」

「響鬼、装甲…………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……はぁっ!!」

「変身!」

「「行くよ、皆……」」

「「「「変身!!」」」」

「変身!!」

「変身!!」

「変身!」

「「変身!!」」

「変…………身!!」

「変身!」

「変身!」

「変……身!」

「変身!!」

「変身!」

「変身!!」

「「変身!!」」

「変身!」

「ハイパー大変身!!」

「術式レベル100!!変身!」

「第50戦術!変身!」

「ゼロ速!変身!」

「変身!!」

「マックス大変身!!」

「変身!」

「ゲームスタート!」

「「変身!!」」

≪3・3・5≫

「サモン・スピリット・オブ・ジ・アース!」

「「「「「フェイス・オン!」」」」」

「「「「「スワッドモード!オン!!」」」」」

≪≪≪マージ!マジ!マジ!マジーロ!≫≫≫

≪マージ!マジ!マジーロ!≫

[火]

[火]

[土]

≪スーパーディスク≫

≪≪≪≪≪≪ゴ~カイジャー!≫≫≫≫≫≫

≪≪トッキュウ~1号!トッキュウ~1号!≫≫

≪≪トッキュウ~2号!トッキュウ~2号!≫≫

≪≪トッキュウ~3号!トッキュウ~3号!≫≫

≪≪トッキュウ~4号!トッキュウ~4号!≫≫

≪≪トッキュウ~5号!トッキュウ~5号!≫≫

≪トッキュウ~6号!トッキュウ~6号!≫

≪そして夢の超トッキュウ7号!≫

≪ハイパートッキュウ7号~≫

≪アオジャー!シロジャー!モモジャー!ニンジャー!≫

「超絶変化!」

≪ザ!超絶!!ニンジャ~!!≫

≪ホエール!≫

≪オー!オー!ホエ~ル~!!≫

≪≪≪≪≪go!go!let'go!≫≫≫≫≫

≪happy!≫

≪sunny!≫

≪piece!≫

≪merch!≫

≪beauty!≫

≪≪≪≪L!O!V!E!≫≫≫≫

「キュピラッパ~!」

≪standing by≫

≪complete≫

≪HENSHIN≫

「ハイパーキャストオフ」

≪hyper cast off≫

≪モモ・ウラ・キン・リュウ クライマックスフォーム≫

「ってあぁ!手羽野郎またか!?」

≪ライナーフォーム≫

≪charge&up≫

≪ストライクフォーム≫

「テンションフォルテッシモ!!」

≪Awakening≫

≪サイクロン!ジョーカー!!≫

≪エクストリーム!!≫

≪アクセル!≫

≪タカ!イマジン!ショッカー!!ターマーシー!タマシー!ターマーシー!!ライダァァァァァ魂!!≫

≪カポーン!≫

≪コーズーミィックオン!!≫

≪イーーンフィニティ!!≫

≪ヒースイーフードーボーザバビュードゴーーン!!≫

≪ロックオープン!極アームズ!!≫

≪大!大!大!大!大将軍!!≫

≪ドライブ!ダイプトライドロン!!≫

≪チョーカイガン!ムゲン!!≫

≪KEEPONGOING!ゴ・ゴ・ゴ!ゴ・ゴ・ゴ!ゴ・ゴ・ゴ!ゴッドゴーーースト!!≫

≪ドッキーン!!≫

≪パッカーン!!ムゥゥゥテェェェキィィィ!!≫

≪輝け~流星の如~く~!黄金の最強ゲ~マ~!!ハイパームテキッ!エグゼイ~ド~!!≫

≪ガシャット!≫

≪ガッチャーン!レベルアップ!!≫

≪辿る歴史!目覚める騎士!タドルレガシー!!≫

≪デュアル!ガシャット!ガッチャーン!!≫

≪デュアルアップ!!≫

≪スクランブルだ!出撃発進!バンバンシュミレーショ~~~ン!発進!!≫

≪ガシャット!ガッシャーン!!≫

≪レベルアップ!暴走バイク!!≫

≪ガシャット!≫

≪ガッチャーン!レベルアップ!!≫

≪マイティジャーンプ!マイティキーック!マーイティーアクショーンエックス!!≫

≪ガシャット!バグルアップ!!≫

≪ドリーミングガール!恋のシミュレーション!乙女はいつもときめきクライシス!≫

≪Enter The GAME!Rieding The END!≫

K()A()M()E()N()R()I()D()E()

《DECADE》

《DIEND》

≪KUUGA AGITΩ RYUKI φ's BLADE HIBIKI KABUTO DEN-O KIBA W OOO FOURZE WIZARD GAIM DRIVE GHOST EX-AID BUILD ZI-O FINALKAMENRIDE DECADE≫

 

 戦う力を再び身に纏う戦士たち。光が戻り、人々の心に再び希望の灯が輝きだした世界。そこはすべての希望が集う場所。そこは、全ての未来が集う場所。戦士として戦う者たち。応援で戦う者たち。すべての人生を戦っている者たち。その思いを背負って、代表して、士は言った。

 

「転生神ハーメルン……お前たちの旅をここで終わらせる。俺の……いや」

『みんなの旅を続けさせるために!!!』


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