「1号ライダー!貴方も仮面ライダーJのように巨大化できたんですか!?」
「あぁ、と言っても彼のように一度だけの奇跡の力だったがな」
そう言いながら、彼は思い出す。自分と共に戦ったあの光の巨人の事を。彼とはあの戦い以降一度も会わず共闘したことはない。そして、今も彼が戦い続けているのかも分からない。だが、彼とあの時誓った約束を、この世界のために戦い続けると言うあの約束は一度たりとも忘れたことがない。再びこの姿になったことで、かつての姿に戻らなくてはならなくなり、それに伴ってパワーダウンしてしまったが、そんな事はどうとでもない。彼の中に人間の自由のために戦うと言う、その決意がある限り、彼は戦うことを、争い続ける事をやめないのだから。
こうしてここにカンゼンゴーカイオー、ゴーバスターオー、ゴーバスターパーフェクトアニマル、トッキュウオーキョウリュウジンfeat. デンライナー、キュータマジン、仮面ライダーエグゼイドマキシマムゲーマーレベル99、仮面ライダーディケイドコンプリートフォームジャンボフォーメーション、ハッピーロボ、そして仮面ライダー1号が並び立った。
「みんな……行くぞ!」
「はい!」
「あぁ!」
「おう!」
1号のその号令によってそれぞれの戦士達がマンティストロフィーとその配下であるスゴーミンに向かっていった。
十数体のスゴーミンはその腕から光の弾を発射して戦士達を牽制する。だがそれで止まるはずもなく、カンゼンゴーカイオー、トッキュウオー、そしてゴーバスターパーフェクトアニマルの攻撃がスゴーミン達を蹴散らしていき、大きな道が一つできる。
「ライダーパンチ!!」
ゴーカイジャーたちが作ったその道の上、トッキュウオーの上空へと飛んだ仮面ライダー1号が拳を握ってマンティストロフィーにライダーパンチを放った。山をも砕くであろう破壊力により、マンティストロフィーの顔にヒビが入り、後ろへと退く。
「フッ!はぁっ!」
「はっ!」
怯んだマンティストロフィーにエグゼイドとキュータマジンによる連携攻撃がつかさず襲う。さらにそれに対応すふために意識の逸れたマンティストロフィーに対してディケイドが駆け寄り、その胸にマゼンタ色のエネルギーを纏った拳が襲った。
先ほどまでとは打って変わり戦士側の優勢で戦いは続いていた。1号ライダーによってエネルギーが、特に転生者のエネルギーが奪われた影響は大きかった。まだマンティストロフィーの内側にはジョーカーの闇の力が残ってはいるものの、闇の力が相手であるのは戦士たちにとってはいつものことと言って良い。こうなってしまえばもういつもの巨大戦と同じであるのだ。
「!」
マンティストロフィーは、後ろに下がって再び鏡を呼び出し、その中へと入り逃走を図る。だが……。
「逃がしません」
「!!」
現れたのはキバがその頭に乗ったキャッスルドラン、ゼロノスのゼロライナーやブースタートライドロン、それぞれに鏡に向かって攻撃を加えた。
「はぁっ!」
「はぁぁぁぁ!!!」
そしてキャッスルドランの上にいたプリキュア達がマンティストロフィーに向けて飛び込み、同時にパンチを加えた。マンティストロフィーは踏ん張ったものの、その勢いのある攻撃によって後ろへと滑るように後退りした。
戦うことのできるのは巨大化できるもの達や人型ロボだけではない。地上から見守っているしかなかった戦士達の下に、個人で操縦するマシンや相棒である者たちがこの世界へとやってきたのだ。戦士側の戦力は増すばかり、これは不利と見たマンティストロフィーは大きな羽を広げ大空へと逃げ出す。
「あ!逃げた!」
「俺たちに!」
「任せて!ハッピージェット!!」
「行きます!!」
「「「うわぁぁ!」」」
すぐさま追うのはロケットステイツをその腕に出現させたゴーバスターオーと天使デコルによって飛ぶことができるようになったハッピーロボだ。
空中に飛んだマンティストロフィーは、2体のロボに任せ、戦士達は地上の巨大戦力を無効化させるべく戦闘を開始する。その戦場の激しさは、等身大で戦っていたときとは比べならないほどの迫力であった。ジェットファルコン、ジェットホーク、レッドサルダー、ホワイトカーク、ガオライオン、風雷丸、マジフェニックス、マジガルーダ、マジフェアリー、獅子折神、キューブイーグル、ドラグレッダー、NEWデンライナー、キャプテンゴースト。サイバースライダーに乗ったメガレッド、マシントルネイダーに乗る仮面ライダーアギト、茜鷹に乗る仮面ライダー響鬼、カブトエクステンダーエクスモードに乗る仮面ライダーカブト、スイカアームズとなった鎧武。そしてプリキュア達全ての戦士が戦っていた。
「フッ!ハッ!」
「オリャーーー!!」
「はぁぁぁぁぁ!!!」
一方空中で戦いを続けている怪物と二体のロボット。遠くから見るとその軌跡が光の線にしか見えないほどの速さで、自分たちの体にかかるGなどお構いなしの空中戦、しかし生き物であるマンティストロフィーの方がやはり若干ではあるが分が良さそうだ。
「互角か……」
「せめて地上に落とせれば!」
「あぁ、そうすれば数の暴力でなんとか!」
「え?それ言っちゃうの?」
「いやまぁ確かに敵の数にしてはこっちの戦力過多なんは否定できんけど……」
「心配するな!俺たちは一つの力を沢山に分けているだけだ!」
『「なるほど!」』
「「なるほどじゃ(や)ない!」」
レッドレーサーのある意味身もふたもない提案ではあるが、しかし現実的意味ではそうしたほうがいいとは誰もが思っている。だが、果たしてあの怪物の羽をどのようにもぎ取ろうか。前述の通りマンティストロフィーのスピードはかなりの物の上にあまり空中で止まっていると言う場面もない。ハッピーロボかゴーバスターオーどちらかがその身体を抑えている間にもう一方が羽を切り落とすと言う方法もなくはないが、しかし力強いマンティストロフィーを短時間でも抑えていられるかどうか。
「どうすれば……え?」
その時だ。彼女は聞いた。僕に任せてと言う声を。
「もしかして、ドリー?でもどうやって……」
それは、自分の胸にあるキュアモジューレに刺さっているピンクのフェアリートーンのドリーの声に間違いなかった。フェアリートーンはハミィと共に響達の下にやってきた妖精である。そしてソレが刺さっているときにキュアモジューレをオカリナのように吹くと様々な効果をもたらすのだ。現在刺さっていふドリーの場合は、傷ついた心を癒し、夢を見る気分にさせる効果がある。だが、それを使ってどうすると言うのだろうか。
メロディは、その意味が分からなかった。しかし、何年来の仲間であるフェアリートーンが主張してきたのだ。何か奥の手があるのかもしれない。メロディはゆっくりと胸のキュアモジューレを取り外して口元に持ってくると、その吹き口に唇を近づかせる。そして……
【♪〜】
瞬間ゴーバスターオーの身体が虹色に光だし、その背中に大きなト音記号が現れた。それは彼女達がプリキュアに変身する際に現れる物と同じ形をしていた。そしてそのト音記号から伸びる5線譜と音符が飛び回るマンティストロフィーを追う。怪物はそれから逃れるために縦横無尽に動くものの、楽譜はそれでも追う事をやめなかった。そしてついに翅をその楽譜は捉えたその直後、動きが鈍くなる。
「マンティストロフィーの羽の動きが!」
「どう言うこと?」
よく見ると、マンティストロフィーの翅が先ほどまでのような小刻みに震えているのではなく、なんだか不規則な動きとなってしまっている。あの音が当たったからなのか。その時、地上にいたキュアホワイトが気がついた。
「分かった、共鳴ね!」
「共鳴?」
「外からの震えが、その物体が震える周波数に合致した時、震えをより大きくする現象のことよ」
「虫の翅は鳥とは違って薄くて脆い、飛ぶ原理もデリケートな物だから、少しの邪魔が入ると思ったように飛ぶことができないのね」
「?」
虫は飛行する際に何百回と羽ばたきする。もしもその翅に対して外部からのなんらかの力を与えてその羽ばたきの邪魔をしたら。もし本来の羽ばたきのタイミングをズラされたら。思うように飛べない。それはさしずめ人間が自転車を漕ぐ際に途中でチェーンが外れかかって空回りしていた時のように。
「だったら今がチャンス!ハッピーチョップ!!」
「手刀!行きます!!」
「!!」
とにかく動きが遅くなった今こそが好機と、ピースの指示にビューティは即座に動き、マンティストロフィーの左側の翅を切り落とした。これでマンティストロフィーの飛行能力は失われ、地上へと自由落下する。
「やばっ!」
「逃げろ!!」
戦士達は落下してくるマンティストロフィーを軽やかに避けていくが敵のスゴーミン達は避け切ることができずに墜落した衝撃に巻き込まれて爆散していく。これで残るはマンティストロフィーのみとなった。
ようようの身体で起き上がったマンティストロフィー、それと対峙するは始まりの仮面ライダー、全ての仮面ライダーの幹たる男。
「行くぞ!」
マンティストロフィーは迫ってくる仮面ライダー1号に自らの鎌二つを投げる。
しかし、仮面ライダー1号は前宙にてその二つの鎌の上を超え、マンティストロフィーの前へと降り立った。1号はマンティストロフィーの肩に空手チョップを二度、三度とくらわすと、腹部がめり込むほどの前蹴りを放った直後、1号は突如しゃがんで自らの姿勢を低くした。そして、その1号の真上を先程マンティストロフィーが放った鎌が通り過ぎ、マンティストロフィーの胸を貫いた。
普通、それだけでも致命傷にはふさわしき攻撃なはず。しかし怪物であるマンティストロフィーはまだ動きを止めない。だが、もはや悪あがきにしか見えない。
「よぅし、お前ら!一気に終わらせるぞ」
「あぁ!」「OK!」「よぅし!」「わかりました!」「はい!」
「ド派手に突っ走るぜ!!」
ボロボロのマンティストロフィー、飛ぶ羽も落とされ、配下もなくした最後の敵を前にして、戦士達の最後の攻撃の時が来た。1号が後ろに下がったところを見た。ゴーカイジャーは再び鍵穴にゴーカイジャーのレンジャーキーを差しこんだ。
「「「「「「LET'GO!!」」」」」」
舵の真ん中よりやや上に『LET'GO』の文字が表記された。そして、カンゼンゴーカイオーの腕が飛び出し、マンティストロフィーへと向かっていく。
「「「「「「ゴーカイ!カンゼンバースト!!」」」」」」
ようするに、ロケットパンチである。唸りを上げながら飛んだ拳をもろに受けたマンティストロフィーに対し、戦士たちはさらにその拳の後ろから追い打ちをかけていく。
「「「「「「パーフェクトアニマル斬り!!」」」」」」
「「「「「「「『フミキリケン!ブレイブ参上スラッシュ!!』」」」」」」」
ゴーバスターパーフェクトアニマルと、トッキュウオーキョウリュウジンfeat.デンライナーの二体のロボットによる斬撃が、拳が突き抜けて腹部に穴の開いたマンティストロフィーの身体を切り裂く。
「まだまだ行くぜ!!」
「えぇ!」
「ビューティ、あれを使うよ……」
「えぇ、よろしいです」
「なんやあれって?」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「「「うわぁぁぁぁぁ!!??」」」
メロディの出したト音記号を背中に背負ったゴーバスターオーは、浮かび上がるように、ハッピーロボはピースとビューティーの間で一言二言会話をしたのちに他三名の悲鳴と共に殺人的な速さで空へと飛び、双方とも大気圏を突破する。
「永夢!」
「あぁ!」
≪ガチャン!キメワザ!!ガチャン!!≫
エグゼイドもまた、キュータマジンの腕を踏み台にし、合計三体のロボットが地球から離れて行った。
「行くぞ!ディケイド!!」
≪FINAL KAMEN ATTACK FORM RIDE DE-DE-DE-DECADE≫
「あぁ!1号!!」
最後に、仮面ライダー1号、仮面ライダーディケイドの二人、そして地上にいた等身大仮面ライダーたちがその姿をカードに変えながら飛び上がった。今まさに、殺戮の限りを尽くした怪物の最期の時が訪れる瞬間である。
「これが最後のスイッチだ!」
≪ドリル オン スーパー≫
はるか宇宙に飛んだゴーバスターオーは、その足にドリルを付け、ロケットドリルゴーバスターオーfeat.メロディとなって地球へ向かいハッピーロボ、炎の球と化したエグゼイドとともに加速する。
「決めるぞ!」
≪スーパーギャラクシー!!≫
「「「「「「「「「「「「キュータマジン!メテオブースター!!」」」」」」」」」」」」
その一方で地上にいたキュータマジンは両腕か9999℃の炎を噴射するキュータマジンメテオブースターを発射する。そして、この後の攻撃による地上への影響を少しでも抑えるために空中へとマンティストロフィーの身体を打ち上げる。一度空から無理やり落としたマンティストロフィーを再び上空へと上げるということはかなり皮肉なことである気がするのだが、この際それは無視しよう。
「行け!みんな!!」
「「「戦隊ライダープリキュア宇宙キック!!!!」」」
「スーパー!」
「ハッピーロボ!」
「「キィィィック!!」」
「「「元ネタやっぱそれか!!」」」
≪マキシマーム!クリティカルブレイク!!≫
「はぁぁぁぁぁ!!!」
「ハァァァァ!!!」
「ライダァァァァァッキィィィック」
宇宙から地球へと戻ってくる三体のロボット、はるか空の上からカードとなったライダーたちを突き抜けた仮面ライダーディケイド、そして地上から斜め上に上るようにライダーキックを繰り出す仮面ライダー1号、5つの攻撃が、奇跡的にほぼ同じタイミングでマンティストロフィーの身体に当たる。
「「「「これが、仮面ライダーと!」」」」
「「スーパー戦隊と!」」
「「「「「『プリキュアの!!!』」」」」」
「「「「「「「「『「「「力だ!!」」」』」」」」」」」」
「!!!!!」
戦士たちの叫びと共に起こった巨大な爆発は、しばらくすると収まり、黒煙へと姿を変えた。起こった地響きはあまりにも大きく、そして熱い物、発生したエネルギーの波は、突風となり近くの町を襲う。そして戦場だった場所に振るのはいったいの怪物を構成していた破片たち。降り立ったのは、何人もの戦士たち。そしてロボットたち。
その場所にもはや敵など存在しなかった。長い長い戦いの決着がようやくついたのである。誰もそのような言葉を発することは無かったが、しかし誰もようやく終わった戦いを思い起こしていた。この一連の戦いでどれだけの人が傷つき、どれだけの被害が出て、どれだけの悲しみが生まれたのか。想像することも計上することもできはしない。しかし、終わったのだ。戦いが。
これでまた新しい明日を踏み出せるのだ。誰もが当たり前のようにくる日常をついに取り戻したのだ。時刻はすでに11時を少し過ぎたあたり。ギンガマンの技のおかげで昼間のように明るかったのだが、本来は夜中であるはずなのだ。だが、クリスマスイブの内に戦いを終わらせることができてよかった。これで、今夜のパーティーは間に合いそうだ。
そう、勝ったのだ。
勝ったのだ。
勝った。
勝利。
勝ち。
だが、それが敗北であったのだ。
「え?」
「なんだ……」
突然周囲が真夜中のように暗く、いや違う。何も見えない、何も感じない、闇の中へと彼彼女たちは飲まれてしまったかのようだ。生きているはず。なのに、まるで死んでいるかのような感覚。そこにいるはずなのに、まるでいないかのような感覚。
空虚
虚無
無間
無
無
無
爆発
衝撃
声が襲う。
お前たちはやりすぎた
お前たちはこの世界を破壊した
あの者の理想郷であった場所を壊した
面白くない
だから我が破壊する
我は転生神
我は