仮面ライダーディケイド エクストラ   作:牢吏川波実

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プリキュアの世界chapter72 それがおまえらの正義かよ

 なんだ、何が起きている。

 ちょっと前まで確かに優勢だった。楽勝だった。

 なのになんだ、今のこの状況は。

 

 怪人や俺のヒーローたちが次々と倒されていく感覚。

 なんでだ。この世界は、俺の世界だったはずだ。

 どうしてこんなことになった。

 

 俺の欲望が叶えられる世界。

 俺の前世の借りを返せる世界。

 俺が俺でいられる世界。

 それがこの世界だったはずなのに。

 

 どうしてだよ。

 何でだよ。

 こんな残酷なことってねぇよ。

 

 

 

 

 なぁ、神様。

 

 

 

 

 俺は、誰だ?

 

 

 

 

 

「フッ!はぁ!!」

「やぁぁぁ!」

「はぁっ!!」

 

 ちぎっては投げるとはこの事か。

 なぎさ、ほのかそしてひかり。業火のように暴れまわる三人の姿をみる遠藤止は、恐怖に顔をひきつらせていた。

 この場所、自分がテレビの中でよくみていたこの光景、少し前の自分だったら、それを本当にテレビ番組かのように見ていただろう。

 しかし、これは今確実に自分の目の前で起こっていること。それが今の現実。これが、今の自分の状況。

 

「ラストォ!!」

「ハァッ!」

 

 その言葉とほぼ同時に、なぎさとほのかは最後のショッカーの怪人を倒した。

 荒野のような場所。大きな岩盤に囲まれたその立地は、数多くの仮面ライダー、スーパー戦隊が戦ってきたその場所に瓜二つであった。

 平行世界にもそのような場所が合ったことに驚ける人間はこの場にはまだいないが、もしも板とすればその奇妙な一致に驚いたことであろう。

 

「これで残ったのは……!」

「貴方だけです!」

「遠藤止!!」

 

 三人は、遠藤止の前に立つ。何故自分たちだけがこの場所に来たのかは分からないが、しかしここで遠藤止を倒すことができればすべてが終わる。

 だが、男は彼女たちが思っていた通りに往生際の悪い人間であった。

 

「フフフ、残ったのは俺だけだと?笑わせるな!こちらにはまだまだ手駒が残っている!!」

 

 そう言って遠藤止が手を振ると、岩盤に上に多くのスーパー戦隊、そして仮面ライダーの偽物が現れた。

 さらに……。

 

「来い!怪人軍団よ!!」

 

 その言葉と同時にたくさんの怪人たちが出現した。中には別の場所で倒されてしまった怪人たちも混ざっている。

 

 スペース蜘蛛男、ピラザウルス、ヒトデンジャー、ザンジオー、シオマネキング、狼男、スペースイカデビル、地獄大使

 チーターカタツムリ、アリマンモス、ヒルカメレオン、カニレーザー、ザリガーナ、タイホウバッファロー

 スーパーアポロガイスト

 コウモリフランケン

 十面鬼

 ジェネラルシャドウ

 アルマジーグ、ジャガーパン、サドンダス、銀河王

 サタンホーク、ヘビンダー、クレイジータイガー、ストロングベア、ゾゾンガー

 ヤマアラシロイド、タイガーロイド

 シャドームーン

 ドラス

 ズ・グムン・バ、ズ・ゴオマ・グ、ズ・ザイン・ダ、ゴ・ジャラジ・ダ、ン・ガミオ・ゼダ、ン・ダグバ・ゼバ

 ジャガーロード、クロウロード、オウルロード、ファルコンロード、ヘッジホッグロード、バッファローロード

 センチピードオルフェノク、ロプスターオルフェノク、ドラゴンオルフェノク、クロコダイルオルフェノク、スパイダーオルフェノク、アークオルフェノク

 イーグルアンデッド、カプリコーンアンデッド、コーカサスビートルアンデッド

 サブスワーム、レプトーフィスワーム、フィロキセラワーム

 アリゲーターイマジン、スパイダーイマジン、ピギーズイマジン、デスイマジン

 マスカレード・ドーパント、マグマ・ドーパント、ティーレックス・ドーパント、コックローチ・ドーパント、ダミー・ドーパント、ヒート・ドーパント、ルナ・ドーパント、メタル・ドーパント、トリガー・ドーパント

 カマキリヤミー、アゲハヤミー、ネコヤミー、プテラノドンヤミー、ショッカーグリード、ウヴァ

 スコーピオン・ゾディアーツ、リブラ・ゾディアーツ、ヴァルゴ・ゾディアーツ、レオ・ゾディアーツ、サジタリウス・ゾディアーツ、キャンサー・ゾディアーツ、アリエス・ゾディアーツ、カプリコーン・ゾディアーツ、アクエリアス・ゾディアーツ、タウラス・ゾディアーツ、ジェミニ・ゾディアーツ、ピスケス・ゾディアーツ、ヘラクレス・ゾディアーツ

 ミノタウロス、ヘルハウンド、ヒドラ、フェニックス、ザタン、イール、ガーラ

 ハート、ブレン、メディック、下級ロイミュード軍団

 刀眼魔、ブック眼魔、マシンガン眼魔、ダヴィンチ眼魔、アレクサンダー眼魔

 ラヴリカバグスター、グラファイト、ソルティバグスター、リボルバグスター、トーテマ

 マグマン将軍、野球仮面

 アタックノイド・アッシュ

 オンブオバケ

 ラクシャーサ

 アクドス・ギル、ワルズ・ギル、バッカス・ギル、バスコ・タ・ジョロキア、アシュラーダ、ワレドナイヤー、ダマラス、バリゾーグ、スニークブラザーズ、キアイドー、ジェラシット

 他戦闘員が多数。

 ふと見ただけでもこれだけの敵がいる。いや、それだけじゃない。

 並んだ怪人たちの前に黒い煙が舞い降りた。それはどす黒く、そして悪意に満ちた煙だ。

 

「まさか、私の事をお忘れですか?」

「ジョーカー!」

「私からは、これをプレゼントしましょう!」

 

 その瞬間、ジョーカーの手から離れた黒い煙がそれぞれ怪物の姿に変わっていく。

 

「あれって!」

「ザケンナー!それにウザイナーもいるメポ!」

「コワイナーにホシイナーもいるミポ……」

「私たちプリキュアが倒してきた怪物が……」

「でも待って!確か、ジコチューやデザトリアンは……まさか」

「そうです。あなた方が戦っている間に集めてきたのですよ。この星にはまだまだ心に闇を抱えた人間が沢山いますからね」

「ッ!」

 

 ザケンナーからヨクバールまでの怪物たち。日が落ちてよく見渡すことができないが、数多くいるようだ。

 

「さて、これだけの敵を相手にどう戦いますか?」

 

 このどこから見ても劣勢と言える状況。普通であれば絶望的である。しかし、彼女たちはそれでも笑っていた。

 

「これだけの敵?何言ってんの?私たちは、その敵と戦って、勝って!今があるんじゃない!」

「遠藤止、貴方が出した敵だって仮面ライダーやスーパー戦隊の人たちに一度は倒された敵……そんなものに私たちは負けないわ!」

「どれだけ敵が多くても、巨大でも、それでも私たちは勝ってきました。今までも!そしてこれからも!」

「行くよ、ほのか、ひかり、メップルミップルポルンルルン!」

「メポ!」

「ミポ!」

 

 怯えることはない。一度戦ったことのある、そして一度たおされたことのある敵ばかりなのだから。怖がることはない。

 なぎさたちは、一歩たりとも下がることなく、数多もの敵を前に立ちふさがった。

 その時、ふと彼女たちの耳に爆音が響いた。

 

「なに、この音?」

「これって……」

「バイクポポ!」

「ルル?」

 

 振り向いた彼女たち。その目線の先に合ったのは左右からくる二台のバイク。

 その運転テクニックだけ見てもただものではないと分かるような二人が、ほぼ同時になぎさたちの前に止まった。

 そして、なぎさたちは一歩下がった。怪物たちを前にしても下がらなかった彼女たちを下がらせたものの正体。それは、壮年の男性二人の発するオーラのような物。

 自分たちがそこまで出すのにあと何年いるのだろうか。歴戦の戦士のような、いや実際に歴戦の戦士であろうオーラを放つ二人の男性。ただその場に立っているだけで押しつぶされそうになってしまう。この二人の方が敵ではなくてよかったと、なぎさは思う。

 

「どうやら、間に合ったようだな……」

「あの、あなたたちは?」

「俺は本郷猛……またの名を、仮面ライダー1号」

「そして、秘密戦隊ゴレンジャーのアカレンジャー、海城剛」

「仮面ライダー……1号」

「そして、アカレンジャー……」

 

 そう、彼らこそ仮面ライダーそしてスーパー戦隊の元祖である仮面ライダー1号、本郷猛とアカレンジャー海城剛である。

 IQ600とも呼ばれるその頭脳と、強靭な肉体を持っていたがゆえにその才能に目を付けたショッカーによって拉致され改造された本郷猛。しかし、脳改造を受ける直前に脱出した彼は、その後人間のために戦い続ける戦士となった。その戦歴は40年を優に超え、今でも進化を続ける最強の漢なのである。

 そしてもう一人の男。海城剛は黒十字軍によって壊滅した5つの秘密防衛機構イーグルの支部の生き残りで結成されたスーパー戦隊の元祖、秘密戦隊ゴレンジャーでリーダーを務めていた。そして、黒十字軍を倒した後もそのたぐいまれなるリーダーシップで後輩の戦士たちを教え導き、レジェンド大戦の際にも34のスーパー戦隊の先頭に立ち、最後にザンギャク艦隊に向けて自分たちの全ての力をぶつける指示をしたのもまた彼である。

 

「始まりの仮面ライダー、そしてスーパー戦隊……」

「遠藤止!もはやこれまでだ!」

「我々が、お前たちの野望を壊して見せる!」

「……それが、正義の味方かよ」

「なに?」

 

 そうつぶやいた遠藤止は、仮面ライダークロノスの変身を解く。そして、本郷猛を見ながら言った。

 

「見ての通り、俺はただの人間だ。お前たちが倒してきたショッカーのような悪の組織でも、改造人間でもない普通の人間だ。お前たちが守ってきた人間を!ただ気にくわないという理由だけでお前たちは殺そうとするのか!」

「……」

 

 それは、あまりにも支離滅裂な発言と言ってもよかった。まるで被害者面。自らが正しいと信じて疑わないがゆえに、自らの事を否定されればまるで子供のように駄々をこねる。これが、遠藤止という男の本性だった。

 だが、男の言葉はその裏ではこの戦いの理由を問うような物。

 確かに彼はショッカーや黒十字軍のように世界を征服しようとは考えていない。それらが作った改造人間でもない。そして、遠藤止と戦う理由もまた、広義的に見れば彼が気にくわないからというもの。

 これがもしも若い戦士たちが来たら、ちょっとでも戸惑ってしまうだろう。本当に、自分たちは戦ってもいいのかと考えてしまう事だろう。

 しかし、あいにくここにそこまで若い者たちはいなかった。

 

「フッ、正義の味方か……我々は、もとより正義のために戦ってはいない」

「なに?」

「俺は、人間の自由のために戦っている。そして、お前自らの欲望のために数多くの子供たちの自由を奪った……」

「俺は、緑の地球を、愛する地球を守るために戦っている。お前は、その地球に住む命を傷つけた……」

「そして、私たちは未来のために……皆の明日のために戦っている!あなたに、皆の明日は奪わせない!」

 

 遠藤止は多くのプリキュアの子供達をさらい、そしてその心を傷つけた。自らの欲望のために、数多くの人間を殺し、傷つけた。そして、その全ての人たちの未来を傷つけた。それだけでいい。戦う理由など、そんな物でいいのだ。

 

「詭弁を言うな!結局は自分のためじゃないか!自分が気にくわないからじゃないか!」

「確かにそうかもしれないわ!でも、そんな私たちを応援してくれている人がいる!」

「そんな私たちを、正しいと言って助けてくれる人たちがいる!」

「正義の味方ってのはね、なる物でもなろうとするものでもない……なってもらいたいって思う人たちの心に芽生える、希望が産むものなの!」

 

 正義とは、偶像崇拝のようなものだ。一人一人が持っている正しいと思う行いをしている人間に対して一方通行に突き刺さる愛のような物。それが正義なのである。正義とは時に人々の夢や目標となる可能性を持っている。だが、自分の正義を追い求めた結果人生を壊してしまいかねない爆弾でもある。この世界のどこに正義があるのか。果たして、誰が正義であるということができるのだろうか。そして、誰が正義を決めるのだろうか。勝てば官軍負ければ賊軍の言葉がある。勝った人間が正義であり、負けた人間が悪である。なら、正しいとは何なのだろう。勝った者が正しいのであると、何故そう言い切ることができるのであろうか。正義の反対は悪ではなく、また別の正義であるとの言葉がある。ならば、悪の反対は何なのだろう。正義の反対の別の正義が、全ての人間を必ず救うことになるというのだろうか。この世界はあいまいなもの。今にもほつれて切れてしまうような細い一本のロープのようなもの。いつだって人は矛盾という言葉と背中合わせに生きている。正義もまた同じ。自分自身が信じた正義が、別の人間から見たら悪だと論じられるものかもしれない。自分から見た他人の悪行が、もしかしたら正義なのかもしれない。薄氷の上をゆっくりと進むしかないような、今すぐにも割れてしまいそうな矛盾という恐怖が目の前にあって、自分自身を信じることができなくなってしまうかもしれない。本当に自分のしていることは正しいのか。本当に、敵が悪いのかと。そうなってしまえば、人は動くことを、歩むことを止めてしまう。立ち止まって、歩き出すころにはまた別の正義との葛藤が待ち受けている。正義の味方というのは、簡単なものではないのだ。だからこそ、人は自らを正義の味方と言ってはならない。人は、自分自身を正義だと信じてはならない。他人を悪だと拒絶してはならない。ただ、自らの信じるとおりに歩けばいい。ただ、自らが思った通りに戦えばいい。どれだけ他人に嫌われようとも、賛同する者がいなくとも、歩き続ければ答えは必ず見つかる。そして、いつの日にか出会うことができるだろう。自分の事を『正義のミカタ』と呼んでくれる子供に。子供は正直なものだから、何が正しい行いであるのかを傍観者の立場で見てくれる。だからこそ、子供を味方につけた人間は強い。子供を守る大人はかっこいい。子供が未来を作り、育て、そして生み出していく。そう考えた時、本当に正しいこととは何なのかという事が見えてくる。それが、自分の進む道であるなら、たった一人でも自分の事を信じてくれるのならば、どこまでだって歩いていくことができる。そして歩ききった先、つぶやけばいい。『俺は、正義の味方だと』

 

「我々は、我々を信じる者のために戦い、そして勝つ!それが、スーパー戦隊……」

「仮面ライダー……」

「そして……プリキュアよ!」

 

 メップルとミップルはハートフルコミューンに、ポルンはタッチコミューンに変化し、それぞれなぎさ、ほのか、ひかりの手に収まった。そして……。

 

「ライダー………………変身!」

「行くぞ……ゴー!」

「「デュアル!オーロラ!ウェェェェイブ!!」」

「ルミナス!シャイニング・ストリィィム!!」

 

 男が腕を上げ、男が回転し、二人の女性が手を上にかざし、一人の女性の手が通過した瞬間だった。本郷猛の産み出した風が土を巻き上げ、海城剛の産み出した電気が地面を駆け巡り、そしてプリキュアが生み出した光が真っ暗闇の世界を明るく出らしだした。

 遠藤止にできることはひるむことだけだった。自然が生み出した戦士、仮面ライダーの産み出した台風の風力を超えるのではないかという突風。足の底から頭のてっぺんまで通過していくかのような電気の感覚。見ているだけでも絶望感を与えるような大きな光の柱。彼にそれを止めることができるはずもない。それらの力は大きく、そしてあまりにも力強いものとなって遠藤止を襲う。

 だが、それは遠藤止の思っているような力ではない。それは、希望の力だった。風は自然の力。自然は、仮面ライダーを希望に選んだ。電気は化学の力。化学はスーパー戦隊を希望に選んだ。そして光は、未来の力。未来は、プリキュアを希望に選んだ。自然、化学、そして未来。科学的、非科学的。現実、非現実。それら問わずすべての力が今彼らに味方している。

 今この時に置いて、遠藤止が相手としている者は、人間ではなくなった。遠藤止は、敵に回しては、自分にとっての悪にするものを間違えてしまったのだ。

 遠藤止がこれから戦う者、それは……。

 

「仮面ライダー!!!…………1号!」

「アカレンジャー!」

「光の使者!キュアブラック!」

「光の使者!キュアホワイト!」

「「ふたりはプリキュア!!」」

「闇の力のしもべたちよ!」

「とっととお家に……帰りなさい!!」

「輝く生命!シャイニールミナス!光の心と光の意志……総てをひとつにするために!」

 

 この星の全てを味方につけた、星を守る戦士たちである。

 

「ッ!だが、まだだ……もう日は落ち切っている。暗闇に紛れて戦えば……」

 

 男の前に立った戦士たち。肉体が強化され、過去のソレよりもバージョンアップした仮面ライダー1号を筆頭とするアカレンジャー、そしてプリキュア。しかしそれらを前にしても男はふてぶてしくもまだ勝つ方法を考えていた。

 そう、こうして戦っている間にも日は完全に落ち切っており、今ブラックたちの目には遠藤止たちの姿はうっすらとしか映っていない。光源がほとんど月の光しかないため当たり前ではあるのだが。

 先ほどまでは、ビル街で戦っていたこともあって光源は四方八方あった。だが、それが無くなった今、一度相手の姿を見失ってしまえば、再び目視することは難しいことだろう。

 暗闇を利用し、そして数の利を使えばまだ勝算はあったかもしれない。

 しかし、遠藤止は忘れていた。仮面ライダーは、スーパー戦隊は、プリキュアは、今この場にいる者たちだけではないという事を。彼はあまりにも不利な状況に陥っていたがために失念していたのだ。

 

「「「「「「アース光招来!!」」」」」」

 

 その言葉と同時に、どこからか光の珠が空に向かって飛んでいった。そして、その珠が花火のように弾けた瞬間。空は青空を取り戻す。

 青い空、白い雲、それはいつもと同じ空。いつも、いつでも、そして気がついていなくても必ず人の頭上にある遠く広がる国境なき世界。それが今、遠藤止の頭上に再び出現した。

 

「な、ありえない……どうして……ッ!」

 

 信じられない。そんな顔をしながら辺りを見回した遠藤止は、発見してしまった。キュアブラックたちの後ろに広がる三つの灰色のオーロラを。

 

「ま、まさか……」

 

 自身にとって最悪な未来予知。それが頭によぎった瞬間だった。複数のバイクと、少しばかりの車のエンジン音。おそらくこれが、右のオーロラからだ。左のオーロラは、眩いばかりの光を放っている。真ん中のオーロラに至っては、次第にヒビが入り、今にも壊れそうだ。

 

「まさか……まさか!」

 

 たった五人だけなら、まだ希望はあった。まだ、勝てる可能性が1%でもあった。暗ければなおさらだ。

 だが今この時、遠藤止の未来は決まってしまった。

 

「まさか!」

 

 そう、罪人が言った瞬間である。

 

「ハァッ!!」

 

 右のオーロラからは、それぞれにマシンに乗った仮面ライダーたちが。

 

「ハァァァ!!」

 

 左のオーロラからは光の珠と共にスーパー戦隊が。

 

「ハァァァツ!!」

 

 そして、真ん中のオーロラのヒビが崩壊した瞬間、プリキュアたちが煙と共に跳び降りて来た。

 様々な世界に飛ばされた戦士たちが、希望の光に導かれて集まったのだ。

 

 キュアブラック

 キュアホワイト

 シャイニールミナス

 キュアブルーム

 キュアイーグレット

 キュアドリーム

 キュアルージュ

 キュアレモネード

 キュアミント

 キュアアクア

 ミルキィローズ

 キュアピーチ

 キュアベリー

 キュアパイン

 キュアパッション

 キュアブロッサム

 キュアマリン

 キュアサンシャイン

 キュアムーンライト

 キュアメロディ

 キュアリズム

 キュアビート

 キュアミューズ

 キュアハッピー

 キュアサニー

 キュアピース

 キュアマーチ

 キュアビューティ

 キュアハート

 キュアダイヤモンド

 キュアロゼッタ

 キュアソード

 キュアエース

 キュアラブリー

 愛乃めぐみ

 二組のキュアプリンセス

 二組のキュアハニー

 二組のキュアフォーチュン

 キュアフローラ

 春野はるか

 キュアマーメイド

 海藤みなみ

 キュアトゥインクル

 天ノ川きらら

 キュアスカーレット

 紅城トワ

 キュアミラクル

 朝日奈みらい

 キュアマジカル

 十六夜リコ

 キュアフェリーチェ

 花海ことは

 二組のキュアホイップ

 二組のキュアカスタード

 二組のキュアジェラート

 二組のキュアマカロン

 二組のキュアショコラ

 二組のキュアパルフェ

 二組のキュアエコー

 アカライダー

 アオライダー

 キライダー

 モモライダー

 ミドライダー

 

 アカレンジャー

 バルイーグル

 レッドファルコン

 レッドホーク

 ニンジャレッド

 ニンジャホワイト

 レッドレーサー

 メガレッド

 ギンガレッド

 ギンガブルー

 ギンガグリーン

 ギンガイエロー

 ギンガピンク

 黒騎士

 ガオレッド

 ハリケンレッド

 ハリケンブルー

 ハリケンイエロー

 デカレッド

 デカブルー

 デカグリーン 

 デカイエロー

 デカピンク

 マジレッド

 マジイエロー

 マジピンク

 マジマザー

 シンケンレッド

 シンケンレッド(姫)

 シンケンイエロー

 ゴーカイレッド

 ゴーカイブルー

 ゴーカイグリーン

 ゴーカイイエロー

 ゴーカイピンク

 ゴーカイシルバー

 レッドバスター

 イエローバスター

 ブルーバスター

 レッドチーター

 ブルーゴリラ

 イエローラビット

 ゴールドビートル

 シルバースタッグ

 キョウリュウレッド

 キョウリュウブルー

 キョウリュウグリーン

 キョウリュウブラック

 キョウリュウピンク

 キョウリュウゴールド

 二組のトッキュウ1号

 二組のトッキュウ2号

 二組のトッキュウ3号

 二組のトッキュウ4号

 二組のトッキュウ5号

 トッキュウ6号

 トッキュウ7号

 アオニンジャー

 シロニンジャー

 モモニンジャー

 ジュウオウイーグル

 シシレッド

 サソリオレンジ

 オオカミブルー

 テンビンゴールド

 オウシブラック

 ヘビツカイシルバー

 カメレオングリーン

 ワシピンク

 カジキイエロー

 リュウコマンダー

 コグマスカイブルー

 ホウオウソルジャー

 

 仮面ライダー1号

 仮面ライダーBLACK

 仮面ライダーBLACK RX

 仮面ライダークウガ

 仮面ライダーアギト

 仮面ライダーデルタ

 仮面ライダー響鬼

 仮面ライダーカブト

 仮面ライダー電王 ソードフォーム

 仮面ライダー電王 ロッドフォーム

 仮面ライダー電王 アックスフォーム

 仮面ライダー電王 ガンフォーム

 仮面ライダー電王 ウィングフォーム

 仮面ライダーゼロノス

 仮面ライダー電王 ストライクフォーム

 仮面ライダーキバ

 仮面ライダーG

 仮面ライダーディケイド

 仮面ライダーディエンド

 仮面ライダー龍騎

 仮面ライダーブレイド

 仮面ライダーファイズ

 仮面ライダーダブル

 仮面ライダーアクセル

 仮面ライダーオーズ

 仮面ライダーバース

 仮面ライダーアクア

 仮面ライダーフォーゼ

 仮面ライダーウィザード

 仮面ライダー鎧武

 仮面ライダードライブ

 仮面ライダーゴースト

 仮面ライダーエグゼイド

 仮面ライダーブレイブ

 仮面ライダースナイプ

 仮面ライダーレーザーターボ

 仮面ライダーゲンム

 仮面ライダーパラドクス

 仮面ライダーポッピー

 ライドプレイヤーニコ

 

 圧巻だった。一つの国の軍隊。そう表現してもいい。しかし、その力は紛れもなく一国の軍隊どころか、世界中の軍隊を集めても勝てるか怪しいほどの力を持っている者たち。今、その三つの力が集い、並び立った。

 

「久しぶりだな、門矢士……」

「お前、1号ライダーか?……なるほど、そっちもパワーアップしたってことか?」

「あぁ……」

 

 少なく言葉を交わした士と本郷。それが終わった後、士は遠藤止を指さして言う。

 

「遠藤止。やっと会えたな……ここで、お前の野望を破壊する!」

 

 自分は今、とんでもない場所に立っている、立ち向かってはならないような者たちを相手にしている。それは重々承知だった。しかし、もう遠藤止の逃げ場などはなかった。

 先ほど、ギンガマンの6人の技によって暗闇は消え去った。もう、真っ向勝負する以外にはない。

 

「ッ!畜生、畜生、畜生ぉぉぉぉ!!!!」

 

 遠藤止は、ただそう叫んだ後、ディケイドライバーを出し、カードを装填する。

 仮面ライダーディケイド激情態。それに変身して戦う事だけが、彼に残された選択肢であった。

 

「殺してやる、殺してやる殺してやる殺してやる殺してやるぅぅぅ!!!!!」

 

 理性なんてものはない。作戦なんてものはとうに破綻している。ここからは……。

 

「いけぇぇぇぇ!!!!」

「いくぞぉぉぉぉぉ!!!!!!」

「え゛?」

 

 ただ、ぶつかり合うのみ。

 蛇足だが、ヒーロー連合側でいの一番に叫び走ったのはレッドレーサーである。今回の話の本題でもある仮面ライダーでもなく、プリキュアでもない彼が、先頭を切って走り出したその一瞬だけは全員が完全に無防備であった。

 

「って!あんたがしきってどうすんのよ!!」

「なんや締まらへんなぁ……」

 

 ルージュとサニーの静かなツッコミが空に溶けながら、決戦の幕は開いた。




 さぁ次回からようやく最終決戦編。とりあえず話数は合流編よりも少なくする予定です。

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