仮面ライダーディケイド エクストラ   作:牢吏川波実

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 注:これは大学に提出する論文ではございません。
 もう、彼の存在なんて構想の前には知らなかったからどうしようもないんですよ本当に……。オールスターズものにいたかな……。
 あと、今回から崩壊が始まっていきます。さらに、当時の制作側があまりにも重くなるからと取り除いた設定を復活させています。


プリキュアの世界chapter22 失恋と実験結果

「おめでとう……めぐみちゃん、相楽……さん」

 

 ゆうこは心の中ではほんの少しだけ、本当に少しだけ誠司と一緒にいる時間が楽しかった。もちろん、浮気心という物ではない。ないはずなのだがそれでも、一緒にお弁当を作っている時間は本当に楽しくて、この時間がいつまでも続けばいいのになと思ったこともあった。だが、そんなの無理。不可能。何故なら、誠司が本当に好きなのはめぐみで、めぐみの側にいるべきなのは誠司なのだから。だから、こんな心残りさっさと捨てよう。彼を子供っぽい呼び方で呼ぶのはもうやめよう。それが、自分の中から彼への心残りを消すことになるのなら。さようなら、私の愛した、相楽誠司……。

 

「選挙の公約に、一夫多妻制制度の法整備とか盛り込んだ方がいいかな?」

「マナちゃん、冗談でもそんなこと言わないで」

 

 と、マナの言葉に分かり切ったような言葉を返す。

 日本は一夫一妻制の国だ。一人の夫を持ち、一人の妻しか持つことができない。裏を返せば、たった一人のために愛を全力で注ぐことのできると言ってもいい。今現在日本は少子高齢化社会と言われている。そのため、その対策の一つに、一夫多妻制制度を取り込めばいいのではないか、浅い考えを持った人たちがいる事だろう。確かにこの日本でも、明治初期には一夫多妻制度の法整備がなされたこともあった。しかし、もし今現在も日本という小さい国でその制度を継続させていたらどうなっていたことだろう。私は思う。きっと、日本は今よりもつまらない国になって、そして今よりも少子高齢化が進み、農村部の過疎化が進んでいたことだろうと。

 仮に、法律が変わらないまま、日本が一夫多妻制のままだったとしよう。すると、女性が結婚する相手は比較的に経済的にも余裕がある人間ということになる。女性を何人も養うことができるほどの、人一人の人生を左右するほどのお金、さらにその女性との間にできた子供たちを養うお金。きっと何百、何千、人数によっては何億にまで達するかもしれない。となると、結婚相手はおのずとお金持ち。今の日本経済から考えると、都市部で働くようなエリートに絞られる。ここからはかなり長い話になってしまうため省きながらになるが、日本の結婚適齢期の男女比率はどちらかという男性の方が余ってしまう。仮に女性のほうが多かったのならば話は別になろうが、男性の方が少ない現状では、結婚できなかった男性の分子供の数が減っていくことになり、結婚したとしても子供ができないまま生涯を終えるということも考えられる世の中だ。現に、かつて織田信長は正室であった濃姫との間に、子供できなかったと言われている。実際織田家の家督を継いだ織田信忠は、側室との間にできた子供である。戦国時代当時の男女比など、知る由も方法もないためなんとも言えないのだが。少し話が逸れたが、もしも結婚したとしても子供ができない可能性だって多分にある。結婚という選択をしない女性だっているはずだ。それならば、一夫一妻制から一夫多妻制に変えても何ら変わらないのではないだろうか。逆に、たった一人に注いでいた愛情が分散され、夫婦間での愛情など忘れてしまうのではないだろうか。私たち日本人は、たった一人しか愛せないからこそ、その愛に集中することができるはずだ。そう、私は信じている。信じて、いつか来るだろう恋という物をこの胸に感じたい。

 また、一夫多妻制度、この制度を採用している国は確かに多数ある。だが、それにはあるのっぴきならない理由が、そうしなければならない理由があるのだと私は思う。私が思うその理由……それは、またいつかに話すべきであろう。

 

「私は、また新しい恋を見つけるわ……二人が、羨ましくなるような……幸せな家庭……作れるかどうかも、そんな人が見つかるか分からないけれど……」

「「ゆうゆう……」」

「……二年前に、ううん、十年前にもう諦めてなければならなかったのにね……」

「……」

「御免、ちょっとトイレに行ってくる……」

 

 そして、ゆうこは一人その部屋を出る。その会議室からトイレまでは意外と近い場所にあったため、迷わずに彼女の姿は消えることができた。その後の彼女は、あまりよく知らない。

 残った会議室の面々。士はマナやめぐみに言う。

 

「いいのか、放っておいて?」

「うん……私達、失恋したことってないからアドバイスなんてできない……」

「ただ……たぶんだけど、こういう時は一人で、泣いて……気持ちを整理するしかいないんだろうと思う……」

「……そうか」

 

 世の中には、他人の力を使って乗り越えないといけない悲しみと、自分の力だけで乗り越えないといけない悲しみがある。誰かの死、失恋の悲しみは後者。誰かの助けで乗り越えるのは、それは依存という別物になる。そうなってしまえば、例え悲しみを乗り越えたとしても、待っているのは誰かに頼らなければ生きていけない、それこそただの人形しか残らない。人は、誰かに頼らなければならばいほど憎しみや悲しみを乗り越えることのできない生き物ではない。自分で悲しみを洗い流して、悩んだ先に答えを見出して、一歩歩く。そんなことも知らずに、一つ一つの答えを教えて、それで他人の事を救ったような気になっているような人間は、ただの偽善者だ。偽善が必要ないわけではない。それは必要悪。善、それは悪。悪、それは……人。人からそれを取り除くことができないからこそ、人は、善と悪のバランスが保たれている場所にあるからこそ、正しいと思ったことを考える力を持つ。それが、人なのだ。

 

「それにしても……めぐみちゃんがママになるのか……」

「その事、親には伝えたのか?」

「お父さんには……お母さんは、その……」

「……」

 

 大人のめぐみにとっては、子供のめぐみに配慮しようとした。しかし、無駄だった。というか、このタイミングで口ごもってしまうという行動が、それを完全に表現していたといえる。子供のめぐみは、そのめぐみの顔だけを見て、全てを悟って言う。

 

「そっか……死んじゃったんだね、お母さん」

「……高校の時だったな……でも、苦しまないで……幸せそうな顔をしてたよ……」

「そうなんだ……」

 

 めぐみの母親のかおりは病気のために体が弱かった。当初は、命にかかわるものではないと言われていたのだが、病状が悪化して、めぐみが高校に入る頃にはベッド上での生活を余儀なくされていた。晩年は病院で過ごすことの方が多くなっていて、そして……。めぐみは、最後の最後、自分がプリキュアだったということを彼女に話した。かおりはめぐみに、よく頑張った、自分は幸せ者だ。そう言う旨の言葉を発して、天国に旅だったそうだ。

 

「お母さん……あっ」

「え?」

 

 その時、子供のめぐみが何か思い出したような声を発した。どうしたのだろうか。

 

「そうだ。確かあの日、お母さんが倒れて……それですごく心配になって、お母さんと別れたくないって、まだ、一緒に行きたいところがあったのにって、そう思ったんだ」

「お母さんが倒れた?」

「うん……」

 

 大人のめぐみには、そんな記憶はなかった。子供のめぐみは続ける。

 

「その時、声が聞こえたの」

「声?」

「それが、貴方の願い?って……」

「それは、男だったかい?それとも女?」

「……私」

「え?」

「私の声、そっくり……ううん、そのままだった」

「……めぐみちゃんはどう答えたの?」

「少し驚いたけど、でも、私ははっきりと『そう』って答えた……そしたら、胸から何かが取り出されるような感覚がして……気がついたら空の上に……」

「胸から何かが……確か、ソウルジェムは魂だって奴は言っていた。もしかしたら、その時にソウルジェムが生成されたのかもしれないね」

「たぶん……そうかもしれない」

 

 このめぐみの言葉を聞いて。モニター室にいるプリンセス、魔法使いプリキュアが反応した。

 

「そうだ、たしか私達も……」

「うん、自分たちの声が聞こえた……私たちも、離れたくないって」

「また会いたいって……願った……」

「どういうこと?」

「願い……ソウルジェムが生成された理由かもしれないわね」

「後で、皆様の身体検査を行いましょう。何かしらの変化があるかもしれませんし。ひめさんたちも、あっ、子供のひめさんたちも」

「うん」

 

 ありすの提案にそう返す。このビルには、実は病院も隣接しているのでそこから暇をしている医師や看護師を呼んでくることも可能なのだ。とはいえ、ここには看護師のはるかがいるわけであるが。ほのかも呼んだ方がいいだろうか。彼女は科学者であるし、こういったものの専門家だと彼女は思っている。

 

「めぐみちゃん、これからいろいろ大変だね」

「つわりとかもう来てるの?」

「少しは、でもまだそれほど……ただ最近はイライラしたり、だるかったりはするかなって」

 

 妊娠初期、二か月はまだ腹部は目立って大きくなっていない。ただ、主な症状としてだるさや眠気、熱っぽさ、情緒不安定になったりするという。

 

「なるほどな、イライラしてたのはそう言うことか」

「みたいだね」

「そっかそっか……この世代で最初に結婚するのはめぐみちゃんだと思ってたけど、妊娠するのが一番早いのもめぐみちゃんだったか」

「意外とめぐみは奥手だと思ってたからもう少し後だと思ってたな」

「あはは」

「それじゃ、しばらくしたらただの友達からママ友にランクアップだね」

「うん」

「そうですわね」

 

 と、マナ、レジーナ、ありすが言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ん?

 

「ん?」

「え?」

「へ?」

「エッ……?」

「……」

 

 今、何か聞こえてはいけないような言葉が聞こえたような気がした。

 

「おいマナ……聞き間違いじゃなければ……お前、子供がいるのか?」

「ううん、産まれてないよ。まだ、お腹の中」

「……」

「あっ、私も」

「わたくしもです」

 

 とレジーナ、ありすの二人も同意する。

 

「え……えぇぇぇ!!!!」

「どういうこと、三人同時にって……」

「一体誰の子供なの!!?」

「えっと……ありす?」

「マナちゃん?」

「マナ?」

「んなわけあるか!!!」

 

 と、おそらくこのメンバーで唯一のツッコミ属性を持っている誠司が突っ込んだ。この様子をモニターしているはずの六花もまたツッコミ属性のはずなのに何も言ってくれないし。

 

「ちょっと待て!お前ら……妊娠している身体であんな激しい運動をやっていたのか?」

 

 流石にこの事実に士は大声で行ってしまう。つい数時間前までパルクールをしていたマナ、レジーナ。さらに激しいアクションでの戦闘行為、ふと考えたらこれは、完全に

身重である身体でやるようなことではない。多分、産婦人科医や助産師、看護師に報告したら激怒されること間違いなしの行為だ。

 

「まぁ、あの時ははっきりわかってなかったし、もしかしたらのレベルだったんだけど……それでも、PC細胞が守ってくれてるって」

「PC細胞?」

「はっきりわかってなかった……まさかあの倉庫で言ってた陽性って!?」

 

 と言って子供ひめが六花の方を見る。確か、陽性だとかなんとかと六花はマナに伝えていた。それが、妊娠検査の事だとすれば……。

 

「えぇ、私は知ってたわよ。あっ、でも勘違いしないでね。私もこのこと知ったのはついニ、三時間前だから」

「因みに、わたくしも知ってました」

「私も、実験にも誘われたけど流石に……」

「実験?」

 

 実験、それにPC細胞。この二つのワードをどこかで見たような。士は思い出す。確か、あれは朝早くの事だった気がする。

 

「まてよ、そういえば……」

 

 そう言いながら、士はポケットを探る。そこから取り出したのはほのかのメモ帳の切れ端。奏のやっている店の住所が書かれた紙に、強い筆圧のために何か変な文言が書かれていたはず。そして、士はそれを見る。クシャクシャにはなっているが、読めないことはない。

 

「『PC細胞、マナ、レジーナ、ありす……殖実験』……これに、何か関係があるのか?」

「……」

 

 マナは、その言葉に無言でうなずく。これが彼女たちの妊娠に関係する、ということは一つのある事実を示していた。それは……。

 

「なら、ほのかが何か関係しているのか?」

「うん……モニターしている皆も、この部屋に来てもらえないかな?」

「そうですわね。外に漏れるリスクは、少しでも減らさなければ……」

 

 外に漏れるリスク。と、言うことはこれからする話は、誰か他人に聞かれたらまずい話ということなのだろうか。モニタールームのメンバー、およびトイレから戻ってきたゆうこも含めての説明がなされることになった。それは、彼女たちの中に巣くう悪魔、並びに天使の話。




 ファンファン(ファントム)、いろんな意味で済まない。
 因みにこの場面本当は、マナ一夫多妻制提案→ゆうこ拒否→同性結婚提案→めぐみが誠司といったん分かれ、ゆうこと結婚した後にもう一度誠司と結婚すればどうか→逆転裁判ばりに議論→議論の結果提案受け入れ
 という一見すれば訳の分からないような展開を得てハッピーエンドになる予定でした。でも、これってハッピーエンドじゃなくて欲望丸出しのカルトエンドだなと、思ってやめた結果それじゃどうするかと考えました。ファンファンというキャラクターについてよく知らないからそれについて掘り下げる何てできないし、というか知っている情報が最終回後もおおもりご飯で料理の勉強をしている元敵ということぐらいだし。
 ぶっちゃけ、ハピネス組とプリンセス組の知識がほとんどプリキュアオールスターズ関連しかなくて、後は最初の十数話ぐらいを知っているだけですし……。

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