このGOD編のクライマックスは並行世界の彼女の曲とマリアさんの新曲を使うと決めていましたので。
一夏が瀕死の重傷を負い、意識不明になった。
それだけでも千冬は発狂しそうになるがグッと胸の奥に押さえ込む。
血相を変えたクロノが病室に駆け込んできたのを見て只事ではないと感じた千冬は一夏をラウラと箒に任せてブリッジに向かった。
「不味いことになった。砕けえぬ闇の覚醒と同時に各地に闇の書の欠片と千冬さん、貴方方がノイズと呼ぶ正体不明の物体が出現した。幸いな事に大半は市街地等から離れているがノイズは真っ直ぐ市街地に向かっている。闇の書の欠片はこちらの局員で何とか抑えているがノイズだけはどうしようもない。・・・僕とてこんな事は言いたくは無いのですがこの状況です。千冬さん、貴方達の力を貸してください」
「・・・クロノよ」
「は、はい・・・」
「・・・私とて状況くらい分かる。アレらを殺れるのは私だけだ、私情は挟まんよ。・・・一夏の事、任せたぞ」
「!は、はい!」
「先に準備に入っている。・・・ああ、そうそう箒達に伝えておいてくれ、今回は私1人でやる、とな」
「そんな!皆で行けばすぐに!」
「その間誰が一夏を守る?他の場所にノイズが出てきた場合誰が行くんだ?なら、私1人で行った方が万が一の時すぐ対処出来るだろう?」
「そ、そうですが・・・しかし・・・」
「・・・行かせてくれ。私の我儘だということは分かっている。嘗て、守りきれなかった弟がまたボロボロになって生死の境を彷徨いながら戻って来たのを見るのはもう嫌なんだ」
「・・・分かりました。ただし!無事に帰ってきてくださいよ」
「ふっ、分かっているさ」
千冬はそういうとブリッジから出ていき一夏の眠る病室に向かった。
ドアをノックするが返事がない。
「箒、ラウラ、いるか?・・・入るぞ?」
千冬が入ると一夏の手を掴んだまま寝ている2人がいた。
片腕しかないためか2人とも寄り添っていた。
そんな2人を見た千冬は近くにあったシーツを2人に掛けてやり一夏の隣に座る。
未だ目を覚まさず眠り続ける一夏、そんな弟に千冬は声を掛ける。
「全く、また無茶をしよって愚弟め・・・。だが、お前が無茶をする時は決まって大切な何かを守ろうとする時、助けようと手を伸ばす時だ。その点は私はお前を誇りに思うよ一夏。・・・だから、今度は私に守らせてくれ。私の大切な家族であるお前を」
頭を撫で笑みを浮かべる千冬。
名残惜しそうに撫でた手を離し近くにあった紙とペンに寝ている箒とラウラにメッセージを残す。
『ここは任せた』と・・・。
アースラの甲板に愛機の暮桜を展開し佇む千冬。
背部の非固定ユニットには以前束から渡された新装備が付けられていた。
「マルチコンテナユニット」と名付けられたそれは通常時は大量の刀を格納したウェポンコンテナ兼全方位を覆う大型シールドユニットとして機能する。
もちろん刀以外にもライフルやマシンガンなどの銃火器や非常時には衣服や医療品などの様々な物資を格納することも可能である。
他にも機能はあるが割愛。
もっとも、現在はIS学園から離れている為補給は出来ておらず刀以外は入っていないのだが。
(見た目は思いっきり色が少し薄い蒼色になったラインバレルのヴァーダントのコンテナだが)
「・・・」
『・・・マスター、大丈夫ですか?』
「・・・暮桜か」
『何があっても私は貴女の側にいます。離れません、決して』
「ありがとう、嬉しいよ」
『千冬さん、聞こえますか?』
「クロノか」
『目標ポイントに到達しました。いつでも行けます』
「ありがとう。・・・一夏の事、頼む」
『はい。・・・お気をつけて』
「ああ。・・・暮桜・疾風、織斑千冬、参る!」
千冬が全速力で降りていると急に殺気を感じ右に避ける。
周りを見渡すと多数の飛行型ノイズの姿があった。
千冬はすぐさま暮桜のサブアームを展開、両手とサブアームにライフルを持たせてノイズに向ける。
「私は急いでいるんだ・・・だから・・・退けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
地上では管理局の武装局員が必死にノイズの進行を食い止めていた。
しかし多勢に無勢であり徐々に推され始めていた。
だが彼らは引かない。
後ろには守るべきこの世界の住民がいるのだ。
ノイズはそんな彼らを嘲笑うかのように次々と迫る。
防衛ラインが崩壊すると思われたその時、巨大な壁が目の前に現れ巻き込まれたノイズが何体かやられていた。
しかも一つだけではなく2つ、3つと次々と落ちてきて自分達を守る様に刺さっている。
局員達が上を見上げると真ん中の壁、否巨大な剣の上に誰かが立っていた。
襲いかかってきた飛行型ノイズを全て斬り伏せて、撃ち抜いてきた千冬だ。
「すまない、待たせた」
「貴方が援軍の協力者か?随分と遅かったな。遅刻か?」
「少々手荒い歓迎を受けてね。・・・後は任せろ」
「この数を一人で相手する気なのか!?危険すぎる!」
「すまんが貴方方を巻き込まずに戦える自信がない。離れていてくれ」
「・・・了解した。全員退避!最終防衛ラインまで退がれ!」
局員が退避したのを確認した千冬は大型化させた剣はそのままにして地上に降りた。
降りると同時に収納していた非固定ユニットのサブアームを展開しスラスターに鞘ごと取り付けられている剣を抜刀させ、持たせる。
自身もアームドギアを構え背部のマルチユニットコンテナもいつでも使えるようにしている。
「さて・・・ここから先には通さんぞ雑音ども。今の私は少々虫の居所が悪い、楽に消えれると思うなよ・・・!」
腕を横に真横にして某劇場版砂岩ガンダムのようにノイズの群れに突貫する千冬。
一気に数匹のノイズを両断、直後周りのノイズが殺到するがサブアームに握られた剣を一閃し斬り裂く。
直ぐにまたノイズが現れ千冬を取り囲もうとするが慌てずにコンテナを展開、全方位をコンテナで囲んで防ぐ。
コンテナに衝突したノイズを弾き飛ばし中から現れた千冬はアームドギアを仕舞い新たにコンテナから片手に3本ずつ刀を握った状態で出てくる。
「普段はこういう刀の使い方はしないんだがな・・・たまには良いだろう」
コンテナが完全に閉まるのも待たずにノイズに突撃する千冬。
殺到するノイズが一瞬で塵と変わる。
その様子をモニターで見つめているリンディ達。
まさしく鬼神と言わんばかりに一騎当千の活躍を見せている千冬が敵でなくて一安心すると共に無事に帰ってくる事を祈った。
戦闘開始から1時間、千冬の活躍でかなりのノイズは排除されたが終わりが見えない。
黒い煤のような物が漂い、そこかしこに積もっている。
それに混ざって折れた刀や弾切れを起こしたライフルが突き刺さったり転がっている。
そこに追加とばかりに刃こぼれし、ヒビが入った刀が飛んできて突き刺さる。
刀が飛んできた方向を見るとボロボロになった千冬が大型のノイズを斬り捨てたところだった。
髪留めは壊れて髪型は乱れ、バリアジャケットもズタボロ、コンテナも片方が壊れて外れている。
非固定ユニットに握っていた剣も片方が真ん中から折れており、もう片方は某ソウルライクゲーム3作目DLC2のラスボスの武器みたいな折れ方をしている。
だがまだ目からは闘志は消えていない。
両手に握るアームドギアもヒビが入っているがまだ戦える。
「まだだ、まだ私は戦えるぞ・・・!掛かってこい!」
その声に反応するかのように1体の4つ足のエレキングみたいなノイズが突っ込んできた。
回避しようとする千冬だったが予想以上に早いノイズの突進を見て回避するのを諦め腰の後ろにつけていたシールドを掴み、展開する。
いつぞやに一夏の武器をへし折った巨大なペンチである。
頭を下げてこちらを突き上げる体制になったノイズをそのペンチで真正面から頭を受け止める千冬。
更にサブアームでペンチを掴みパワーアシスト全開でペンチを押し込み、頭部をねじ切る。
エレキングノイズが消滅すると同時に向かって来たノイズはペンチをぶん回し吹き飛ばす。
そのままペンチは放棄、残った刀を握り締めて残るノイズに向かって突撃しようとしたその時、後ろから2本の光条が伸びていき前方のノイズを薙ぎ払う。
何事かと後ろを振り向く千冬。
そこには左腕のキャノンを突き出したままの箒とアームドギアを構えたままのラウラが飛んでいた。
「お、お前達・・・何故ここに・・・?」
「千冬さん、後でお話があります」
「ですが、その話の前にコイツらを片付けてからです義姉さん」
「ああ、そうだな・・・!」
アームドギアを握り直す千冬。
イノセントモードを起動し両腕に長剣を展開する箒。
アームドギアを頭上で回転させ構えるラウラ。
向かってくるノイズの大群に向かって3人同時に突撃し、蹴散らす。
辺りに灰の山が積もる頃、ノイズの大群は消え失せ、肩で息をしている3人が立っていた。
片付いたことに安堵し、力が抜けた千冬が倒れそうになるが箒とラウラが支える。
何とか立とうする千冬だったが脚に力が入らない。
仕方なく箒が背負い、ラウラがアームドギアを持ってアースラへと帰還した。
「あ奴らはいま何処に居るのだ・・・ええい!王の手を煩わせおって!見つけたただでは・・・チッ、欠片どもか」
白夜の書を持ち、一夏達が乗るアースラを探すディアーチェ。
しかしその道中で闇の書の欠片に取り囲まれる。
「我は急いでいるのだ・・・邪魔を・・・するなぁ!」
次回、マテリアルズ・ストラトス
「受け継ぐ撃槍」
「一夏、お前の槍を借りるぞ」
気づいたらACもデモエクもピクミンも新作出てるとか時間が経つのが早いなぁ