今回は千冬さんのお話。
では、どぞー。
「ハァッ・・・」
「おい千冬、ため息ついてないで手を動かせよ」
「ため息も吐きたくなるわこれを見れば」
「・・・またIS委員会からみか」
「一夏のISを引き渡せとうるさいんだ。再三その話は蹴っていると言うのに」
「あの子の機体、普通のパイロットじゃ動かせないものだからねぇ。私達でもアレは無理よ」
「そもそも白騎士が許さんと思うけどな。アイツ一夏以外乗せないし基本的に」
「・・・これ以上引き渡せと言うのならこちらにも考えがあるがな」
「・・・一応聞くわよ?何するつもり?」
「束を攻撃表示で召喚する」
「「あっ(察し)」」
そんな会話をしながら作業をする事2時間、ようやく仕事が終わった千冬達。
疲れ果てた千冬は寮長室に戻った後、そのまま寝てしまった。
「・・・ん?しまった、昨日はそのまま寝てしまったか・・・。急いでシャワーを・・・って今日は休日だったか・・・。とりあえずシャワー浴びてくるか」
千冬は着たままのスーツと下着を洗濯機に放り込み洗剤を入れて洗濯を始めてからシャワーを浴びた。
シャワーを終えた後は簡単に朝食を取り洗濯済みのスーツと下着を取り出して着て寮長室を出た。
休日といっても仕事はあるのだ。
その途中で千冬は場所を借りてステージの練習をしている一夏とレヴィを見つけた。
「「何処までも飛んで行ける♪両翼が揃えば♪」」
「・・・アイツら、休日だというのに精が出るな。さて、私も頑張るか」
練習している2人を後に千冬は校内の見回りを続ける。
しばらくしてアリーナについた千冬はそこで足を止める。
自身のデバイスを握りしめ詠う
「Imyuteus amenohabakiri tron」
身に纏うは自らの剣、蒼を強調としヴァイサーガと合わさった暮桜の新たな姿。
その名は「暮桜 蒼刃」、束が千冬の為にIS学園の地下に封印されていた暮桜を回収、改良された千冬の新たな翼。
だが千冬は未だ心に迷いがあった。
かつての自分は一夏のSOSにも秋羅の凶行にも気づけなかった、ただ力に溺れていたバカな姉だった。
ただ目先の功績や名誉に目が眩みその結果が一夏は行方不明になり私は自暴自棄になった。
だが一夏は帰ってきた、新たな力を手にして。
見違えるほど強くなった一夏はもう私の力は必要ないと思うほどに。
私も同じ力を手にしたがそれでも迷いが常に心の中にあった。
自分が持っていてもいいのだろうか?私はこの力を手にしたあの日から悩み続けている。
そこにオータムとスコールがISを纏って現れた。
「よう、浮かない顔してんな千冬」
「なーに悩み事?貴方らしくもないわね」
「オータム、スコール・・・何しに来たんだ」
「いや何、ちょっと気晴らしにお前と一戦やり合いたくてな」
「2対1だけど貴方ならちょうど良いでしょ?悩みなんて戦って忘れましょうよ」
「・・・そうだな、色々ストレスも溜まっているし・・・やるか!」
スコールはゴールデン・シャクティの槍を、オータムはポイズンブラッディ・アラクネの6本の副腕と両腕にマシンガンを持たせ、千冬はヴァイサーガの剣を構えて突撃する。
アラクネのマシンガンの弾幕を躱し、シャクティへと突撃する千冬。
歌おうとして口を開くが何故か胸に歌が浮かばない。
声が出ないのだ。
「・・・!(何故だ・・・何故歌が浮かばない・・・!?声も出ない・・・!)」
「オラオラァ!どうした千冬!動きが悪りぃぞ!」
「っ!・・・っ!」
「貴方の本気を見せなさい千冬!いつまでもだんまりしてるんじゃないの!」
「・・・っ!(違う!声が出ないんだ!私の胸に歌が聞こえないんだ!)」
その頃、廊下をマドカと歩いていた一夏とレヴィ。
「なんか騒がしいな」
「ちょっと聞いてくるデス。ねぇ、何かあったの?」
「織斑先生とスコール先生とオータム先生がアリーナで戦っているんだって!」
「それで皆が見に行こうとしてるの」
「え?千冬お姉ちゃんとスコールさん達が!?」
「マドカちゃんも行くなら早くした方が良いよー」
「わ、分かったデス・・・」
「何だったの?」
「千冬お姉ちゃんがアリーナでスコールさん達と戦ってるって・・・」
「なんで千冬姉が!?」
「分かんないデスよそんなの!」
「とにかく行ってみようよ!」
アリーナについた一夏達は人垣をかき分け見やすい場所に行った時、目を見開いた。
千冬の暮桜がボロボロの状態になっており、ヴァイサーガの剣を支えにして立っている。
満身創痍であるがスコールとオータムはまだまだ健在である。
なにやら2人は怒っているようにも見える。
「千冬お姉ちゃん!」
「ちっふー!」
『オータム姉!スコール姉!何があったんだこれ!』
『邪魔するな一夏、これは私らの問題だ』
『ねえ、オータム。もしかして千冬、喋らないんじゃなくて喋れないんじゃないの?』
『あん?どういう事だ?』
『・・・まさか!』
『おいどうした?』
『ごめん!後で連絡する!』
「どうしたの?兄さん」
「話は後だ!マドカ、付いて来い!」
「う、うん!」
「イチカどこ行くの?」
「放送室!千冬姉に言わないといけないことが出来た!」
千冬は剣を支えにして立ち上がりながらこんな事を思っていた。
何が世界最強だ、弟1人守れずもう一人の弟の愚行すら見抜けず只々世の中の声援に溺れた結果がこれだ。
いつもなら聞こえるはずの胸の歌が聞こえない、声も出せない。
このまま負けるくらいならいっそイグナイトで・・・暴走しても構うものかと胸のイグナイトモジュールに手を伸ばしたその時。
『千冬姉ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』
『千冬お姉ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!』
「(一夏・・・マドカ・・・?)」
『千冬姉!迷うな!』
『お姉ちゃん!私だって同じ気持ちだよ!私や兄さん!他の皆も今だってこの力を持っていて良いのか悩むことだってあるよ!』
「(一夏も他の奴らも同じ悩みを・・・?)」
『俺も無力な自分を責めたこともあるさ!この力だって元はアイツを見返してやりたいと思って掴んだ力さ・・・。けど今は、過去を振り切って大切な人達を守る為にこの力を使うんだ!』
『お姉ちゃん、1人で抱え込まないで!私達が一緒にいる!』
『皆が、俺たちが付いている!』
『だから、挫けないで、悩まないで』
一夏とマドカは一拍置いてから叫んだ。
『『戦って!!!!』』
「(ああ、私は幸せ者だ。こんなにも心配してくれる人達がいる)」
千冬は涙を流した。
自分が抱え込んでいた心の枷が壊れて崩れ落ちていく。
「(なあ、ヴァイサーガ。聞こえているか?私は不器用だから他人に悩みを打ち明けたり、迷いを打ち明けたり出来ない。だけど一夏達はそんな私を肯定してくれた。迷ったり、悩んだりこれからも何度もするかも知れない、それでも良い)」
<推奨曲戦姫絶唱シンフォギアXDUより「疾風迅雷」>
<get set>
「over drive。イグナイトモジュール、イグニッション」
<Jet drive>
千冬とヴァイサーガ、そして暮桜が光を放ちその姿を変える。
装甲が減り、逆にスラスターが増設された事でまるで真・ソニックフォームや真・スプライトフォームと同様にセカンドシフトした新たな暮桜、「暮桜・疾風」。
「良いんだ、それで。弱い私も、強い私も、それも全部私なんだ。行こう、ヴァイサーガ、いや、天羽々斬」
『Yes.My master』
千冬は両手に片刄の剣を持ち周りにソードビットを6基展開する。
全ての迷いを振り切った彼女は、無敵だ。
「私はもう過去を振り返らない!もう迷わない!今という未来を、明日を!アイツらと、一夏達と一緒に歩んで行くんだ!」
次回、マテリアルズ・ストラトス
「疾風迅雷」
「これが未来を翔ける翼だ!」
皆さん、C.C.C.イベどうでした?
作者は延長期間ギリギリでプロテアもクリアしました。
ガチャ?ダメだったよ。