まさか書いてる途中に寝落ちするなんて。しかも、起きたら朝の5時。本当にすいませんでしたああああ!
では第9話どうぞ!
「まずは自己紹介からしようか。あたしはクリス。見ての通りの盗賊だよ。で、こっちの無愛想なのがダクネス。昨日ちょっと話したんだっけ?この子の職業はクルセイダーだから、キミに有用そうなスキルはちょっと無いと思うよ。」
「ウス!俺はカズマって言います。こっちのアークウィザードがめぐみんで、こっちの白髪が有馬さんです。」
「我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操る者...!」
いつもこれやってんのか...
「久しぶりだなエリス。覚えているか俺の事?」
え?クリスじゃないの?
「ええ、お久しぶりですね、有馬さ...ちょっとこっちに来てください」
あ、有馬さんがクリスさん?に連れていかれた。
「どうしたんだエリス?というかこんな所で何してるんだ?」
「いつ気付きました?」
正体を見破られたクリスもといエリスは有馬に尋ねた
「こっちで最初に会ったときからだ」
「どうして気づいたんですか?」
「気配だな。他の奴らとはオーラのようなものが違っていた。アクアと同じようなものだな。それが出ていたから、カマをかけてみた」
当然のことのように言う有馬にエリスは。
「おかしいですね。隠してるんですが...分かる人には分かってしまうんですかね」
「さあな。それで、なんで俺をここに連れてきたんだ?」
「あ、ああ、そうでしたね。まずは有馬さん。私のことはクリスとして扱ってください。私、こっちでは正体隠してるんで...」
「そうか。そういうことなら分かった」
「ありがとね。貴将!」
話を終えて二人は元の場所に戻った。
あ、戻ってきた。
「じゃあ三人とも外に出よっか」
「有馬さん、クリスと何話してたんですか?」
「ああ、顔見知りだったんでな。昔の話をしていた」
...昔?
「生前のですか?」
「いや、こっちに来てからだな」
「そうですか」
「二人とも何話してるの?じゃあまず『敵感知』と『潜伏』をいってみようか。『罠解除』とかは、こんな街中に罠なんてないからまた今度ね。じゃあ...ダクネス、ちょっと向こう向いてて?」
「...ん?...分かった」
ダクネスが、言われたとおりに反対を向く。
すると、クリスはちょっと離れた所にあるタルの中に入り、上半身だけを出す。
そしてダクネスの頭に、何を思ったのか石を投げつけ、そのままタルの中に身を隠した。
...ひょっとして、これが潜伏スキルだとか言う気だろうか。
「...」
石をぶつけられたダクネスが、無言のままスタスタと、ぽつんと一つしかないタルへ歩いていく。
「敵感知...。敵感知...!ダクネスの怒ってる気配をピリピリ感じるよ!ねえダクネス!?分かってると思うけど、これはスキルを教えるために仕方なくやってることだからね!?お手柔らかにああああああああああああ、やめてえええええええええええええええ!」
隠れていたタルごと横に倒され、ゴロゴロと転がされ、クリスが悲鳴を上げている。
...こ、これでほんとにスキルを覚えられるんだろうな...。
「さ、さて。それじゃあたしの一押しのスキル、窃盗をやってみようか。これは対象の持ち物を何でも一つ奪い取るスキルだよ。相手がしっかり握っている武器だろうが、鞄の奥にしまいこんだ財布だろうが何でも一つ、ランダムに奪い取る。スキルの成功率はステータスの幸運値に依存するよ。強敵と相対した時に相手の武器を奪ったり、大事に隠しているお宝だけかっさらって逃げたり、色々と使い勝手のいいスキルだよ」
タルに転がされ、目を回してクリスが復活し、窃盗の説明をしてくれる。確かに、窃盗スキルはなかなか使えそうだ。
しかも、成功率が幸運値に依存ってことは、俺の唯一高いステータスを活かせるってことだ。
「じゃあ、キミに使ってみるからね?いってみよう!『スティール』ッ!」
クリスが手を前に突き出して叫ぶと同時、その手に小さな物が握られていた。それは...
「あっ!俺のサイフ!」
俺のなけなしの金が入った薄いサイフ。
「おっ!当たりだね!まあ、こんな感で使うわけさ。それじゃ、サイフを返...」
クリスは、俺にサイフを返そうとして、そしてにんまりと笑を浮かべた。
「ねえ、あたしと勝負しない?キミ、早速窃盗スキルを覚えてみなよ。それで、あたしから何か一つスティールで奪っていいよ。それが、あたしのサイフでもあたしの武器でも文句は言わない。どんなものを奪ったとしても、キミはこの自分のサイフと引き換え。...どう?勝負してみない?」
いきなりとんでもない事を言い出す子だ。
有馬さんがクリスを非難の目で見ている。それを見てクリスはえへへっと頬の傷跡を掻いている。
さて、と俺は考える。
俺は幸運値が高いらしい...。
相手から何か一つ奪ってもいい...。
つまり、スキルに失敗したら何も貰えないって事じゃないだろう。
...やってみるか。
なんというか、こういった賭け事みたいな事はいかにも荒れくれた冒険者同士のやり取りみたいで憧れる!
そう、この世界に来てようやく冒険者っぽいイベントだ!
俺は自分の冒険者カードを確認すると、そこに習得可能スキルという欄が新しく表示されてるのを確認した。
そこを指で押してみると、何個かのスキルが表示される。
『敵感知』1ポイント、『潜伏』1ポイント、『窃盗』1ポイント、『花鳥風月』5ポイント。
...『花鳥風月』?これアクアがやってた、コップに種を入れる宴会芸か?宴会芸のくせに何て大層な技名!え!?これだけスキルポイント高っ!!
おっと、まだスキルが残ってた。
『クインケ操縦の心得』10ポイント、『クインケ修復の心得』5ポイント、『クインケ複製の心得』20ポイント。
...有馬さんのスキル、ポイント高すぎ!!
こんなスキル全部覚えてるのか...
でも、『無敗の捜査官』や『特等捜査官』、『死神』は表示されないんだな。見せてもらってないからかな...?
さて、今は覚えられるスキルだな。
俺はとりあえず、カードの中のスキル、窃盗、敵感知、潜伏を習得する。
3ポイントあったスキルポイントが消費され、残りのスキルポイントが0になる。
なるほど、こんな感じでスキルを覚えるのか。
「早速覚えたぞ。そして、その勝負乗った!何盗られても泣くんじゃねーぞ?」
言って右手を突き出す俺に、クリスは不敵に笑ってみせた。
有馬さんとめぐみんとダクネスはというと、有馬さんの昔の話で盛り上がっていた。
いやこっち見ろよっ!今冒険者二人の賭けがはじまるんだぞ!
そんなことを気にもせずクリスは。
「いいねキミ!そういう、ノリのいい人って好きだよ!さあ、何が盗れるかな?今ならサイフが敢闘賞。当たりは、魔法が掛けられたこのダガーだよ!こいつは四十万エリスは下らない一品だからね!そして、残念賞はさっきダクネスにぶつけるために多めに拾っといたこの石だよ!」
「ああっ!きったねえ!!そんなのありかよっ!」
俺はクリスが取り出した石を見て、思わず抗議の声を上げた。
自信満々だと思ったら、こういう事か!
確かにゴミアイテムを多く持っておけば、大事なアイテムが盗られる確率も減り、スティール対策になる。
「これは授業料だよ。どんなスキルも万能じゃない。こういった感じで、どんなスキルにだって対抗策はあるもんなんだよ。一つ勉強になったね!さあ、いってみよう!」
畜生、確かにいい勉強にはなった!
「よし、やってやる!俺は昔から運だけはいいんだ!『スティール』ッ!」
叫ぶと同時、俺が突き出した右手にはしっかりと何かが握られていた。
成功確率は幸運依存と言っていたが、一発で成功したところを見ると、やはり俺は、運だけには恵まれているらしい。
俺は自分が手に入れた物を広げ、マジマジと見ると...。
「...なんだこれ?」
それは、一枚の白い布切れだった。
俺はそれを両手で広げ、陽にかざして見ると...。
「ヒャッハー!当たりも当たり、大当たりだあああああああああ!」
「いやああああああああ!ぱ、ぱんつ返してえええええええええええええええっ!」
有馬さんそんな冷えた目でこっちを見ないで!めぐみんゴミを見るような目で!ダクネス、なんでお前はクリスだけずるいみたいな顔をしてるんだ!
とうのクリスは自分のスカートの裾を押さえながら、涙目で絶叫していた。
本当にすいませんでしたああああ!
オリジナルストーリーをベルティアかデストロイヤー辺りから出していきたいなっと思っています。
ではまた次回お会いしましょう!