この無敗の捜査官に祝福を!   作:ちょこ0720

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こんにちは!ちょこ0720です。
たくさんのご質問、ご感想ありがとうございます!
これからも頑張らせていただきます!
では第7話どうぞ!


この無敗の捜査官と変態クルセイダーを!

「はい、確かに。ジャイアントトードを三日以内に五匹討伐。クエストの完了を確認致しました。ご苦労さまでした。しかし、すごいですね。ここ数日で辺り一帯のジャイアントトードかなり倒しましたね。」

 

冒険者ギルドの受付に報告を終え、規定の報酬を貰う。ジャイアントトードを狩り尽くしたのはもちろん有馬さんだ。

 

俺も一応有馬さんにギリギリまでカエルを追い詰めてもらって、トドメをささせてもらっている。なのでレベルも4上がった。低レベルな人間ほど成長が速いらしい。

 

「しかし、本当にモンスターを倒すだけで、強くなるもんなんだなぁ...」

 

俺は思わず呟いた。

 

受付のお姉さんは、最初の説明の時に言っていた。

この世のあらゆるモノは、魂を体の内に秘めている。どのような存在も、生き物を食べたり、もしくは殺したり。他の何かの生命活動にとどめを刺す事で、その存在の魂の記憶の一部を吸収できる、と。

こういう所は本当にゲームみたいだ。

 

よく見ると、カードにはスキルポイントと書かれていて、そこには3と表示されている。これを使えば、俺もスキルを覚えられるわけだ。

 

「さて、他のクエストも見てみるか。」

 

俺は報酬を貰った後クエストの貼ってある掲示板に行った。そこにはすでに、有馬さんの姿があった。

 

「あ、有馬さん。何を見てるんですか?」

 

『山に出没するブラックファングと呼ばれる巨大熊の討伐』

 

「熊くらいなら一人で...」

 

この人どんなクエスト受けようとしてんの...

 

「あ、有馬さん。なんか良いクエストありましたか?」

 

俺がそう言うと有馬さんはさっきのクエストを見せてきた。

 

「これなんかどうだ?」

 

「有馬さん。今はみんなで受けて勝てるようなクエストにしましょう」

 

「そうか...」

 

そう言うと有馬さんは少し悲しげにクエストを掲示板に戻した。

 

「さてと、他にクエストは...」

 

『森に悪影響を与えるエギルの木の伐採、報酬はでき高制、迷子になったペットのホワイトウルフを探して欲しい、息子に剣術を教えて欲しい※要、ルーンナイトかソードマスターの方に限る。魔法実験の練習台探してます、※要、強靭な体力か強い魔法抵抗力...』

 

うん。この世界で生きていくのは甘くない。

冒険開始二日目にして、もう日本に帰りたくなってきた。

 

「...すまない、ちょっといいだろうか?」

 

近くの椅子に座り、俺は軽いホームシックになっていると、背後からボソりと声がかけられた。

ちなみに有馬さんはというとまだクエストを見ている。

異世界の現実を見せつけられ、なんだかぐったりしていた俺は虚ろな目で振り向いた。

 

「なんでしょ...うか...」

 

そして、俺は声の主を見て絶句した。

 

女騎士。

 

それも、とびきり美人の。パッと見た感じ、クールな印象を受けるその美女は、無表情にこちらを見ていた。

身長は俺より若干高く有馬さんより少し低い。170くらいだろうか。

頑丈そうな金属鎧に身を包んだ、金髪碧眼の美女だった。年も俺より一つ二つ年上だろうか。

鎧のせいでその体型はわからないが、その美女は、何だかとっても色気があった。クールな顔立ちなのに、何だろう、被虐心を煽ると言うか...。

...っと、いかん、見と惚れてどうする。

 

「あ、えーっと、何でしょうか?」

 

同い年みたいなアクアや年下なめぐみんと違い、年上の美人相手という事で緊張し、若干上擦った声になってしまう。

長い引き篭り生活の弊害だ。

 

「うむ...。この募集は、あなたのパーティーの募集だろう?もう人の募集はしていないのだろうか」

 

その女騎士が見せてきたのは一枚の紙。

そう言えば、めぐみんをパーティーに入れてから、募集の紙をまだ剥がしていなかった。

 

「あー、まだパーティーメンバーは募集してますよ。」

 

「ぜひ私を!ぜひ、この私をパーティーに!」

 

突然、女騎士が俺の手をガッと掴んだ。...えっ。

 

「あ、はい、そうですか。」

 

なんだろう、この女騎士、目がやばい。落ち着いた雰囲気のお姉さんだと思ってたのに!

そして、俺の危機感知センサーが反応している。こいつはアクアやめぐみんに通じる何があるタイプだと。

...美人だが仕方ない。

 

「ちょっと待ってください。色々と問題のあるパーティーなんですよ、仲間二人はポンコツだし、俺なんて最弱職で、すごいのが一人いるけどそれ以外はてんでダメで、さっきだって仲間の一人が粘液まみれいだだだだっ!」

 

粘液まみれと言った瞬間に、俺の手を握る女騎士がその手に力を込めた。

 

「やはり、先ほどの粘液まみれの人はあなたの仲間だったのか!一体何があったらあんな目に...!わ、私も...!私もあんな風に...!」

 

「えっ!?」

 

今このお姉さんなんつった?

 

「いや違う。あんな年端もいかない少女、それがあんな目に遭うだなんて騎士として見過ごせない。どうだろう、この私はクルセイダーというナイトの上級職だ。募集要項にも当てはまると思うのだが」

 

「いやー、先ほど言いかけましたがオススメはしないてですよ。仲間の一人は何の役に立つのか良く分からないですし、もう一人は一日一発しか魔法が打てないそうです。そして俺は最弱職。ポンコツパーティーなんで、他の所をオススメしま...っ!?」

 

さらに女騎士の手に力が込められる。

 

「なら尚更都合が良い!いや実は、ちょっと言い辛かったのだが、私は力と耐久力には自信があるのだが不器用で...。その...、攻撃が全く当たらないのだ...」

 

やはり俺のセンサーは正しかったらしい。

 

「という訳で、上級職だが気を使わなくていい。ガンガン前に出るので、盾がわりにこき使って欲しい」

 

女騎士が、椅子に座る俺に端整な顔をズイとよせてくる。

顔が近い!俺は座っているため相手から見下ろされる体勢なのだが、女騎士のサラサラの金髪が俺の頬に当たってドキドキする。こんなところでも長期引き篭りによる弊害が...!

いや違う、単に思春期の童貞には刺激が強すぎて、ドギマギしているだけだ。落ち着け、色香に惑わされるな!

 

「いや、女性が盾がわりだなんて、ウチのパーティーは貧弱なんで本当にあなたに攻撃が回ってきますって。それこそ毎回モンスターに袋叩きにされるかもしれませんよ!?」

 

「望むところだ」

 

「いや、アレですよ。今日なんて仲間の一人がカエルに捕食されて粘液まみれにされたんですよ!?それが毎日続くかも」

 

「むしろ望むところだっ!」

 

...あぁ、分かった。

頬を紅潮させて俺の手を強く握る女騎士。

それを見て、俺は悟った。

...こいつも、性能だけじゃなく中身もダメな系だ。




第7話どうでしたか?
やはり、有馬さん少ない...
ではまた次回お会いしましょう!

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