ここのところリアルがかなり忙しくて…。
これからは不定期になっちゃうと思います。
1ヶ月に二本くらいのペースであげられるといいなと思ってます。
こんな作品でも楽しみにしていてくれた人、本当にすいません。
俺は、とある冒険者から教えてもらった遠視という、アーチャー専用のスキルで遠くを見ていた。
ワシャワシャと、蜘蛛のような形をした鉄の塊がとんでもない速度で近づいて来ている。このままでは、俺達どころか、アクセルの街もただではすまないだろう。
そんな、俺達冒険者の前にはエトが腕を組んで立っている。
デストロイヤーの攻略は手筈通りエトが止めてそのまま脚をへし折り、俺達冒険者が突入するということになっている。
その際の掛け声は一応このパーティーを指揮している俺がとることになった。
ちなみに、めぐみんとアクアはこの作戦が決まったとき
「私達の出番がないじゃない(ですか)!」
と、終始不満そうであった。
ダクネスも攻撃が当たらないのでデストロイヤーには突入させないつもりだ。
「みなさん!来ましたよ!」
俺がそんなことを考えていると、受付嬢のルナが大きな声でそう叫んだ。
俺がふと顔を上げると、デストロイヤーはあと数キロ先まで近づいていた。
「エトさん、準備をお願いします!」
ルナがそう言うと、エトは無言で頷いた。
後ろ姿でよくわからないが、緊張や不安は一切感じさせない背中だった。
「嚇者」
エトがそう呟くと、体がどんどん大きくなり、やがて化け物のようになった。
その大きさは、ミツルギを倒した時より数段大きく、丁度デストロイヤーと同じくらいだろうか。
初めてあの姿を見た冒険者は震えていた。
ミツルギもトラウマになっているのか震えていた。
俺もあの姿には未だに慣れない。
ワシャワシャと、全くスピードを落とすことなく、デストロイヤーはエトの方へ突っ込んでくる。
デストロイヤーの前にエトが立ち塞がると、デストロイヤーの上からゴーレム達がバリスタを撃ち込む。しかし、バリスタの弾はエトの体を貫通するとこはなく、その化け物のような体に弾かれて落ちていった。
そして、エトはデストロイヤーを両手で押さえつつ、また別のところから生えた腕のような武器のようなものでデストロイヤーの全ての脚をへし折った。
支えを失ったデストロイヤーは当然のことながら地面に突撃し、停止する。
「ふぅ…」
誰もが安心した。
が、その安心もデストロイヤーから発せられた言葉によって、意図も容易く打ち破られるのであった。
『この機体は、起動を停止致しました。この機体は、起動を停止致しました。排熱、及び起動エネルギーの消費ができなくなっています。登場員は速やかに、この機体から離れ、避難して下さい。この機体は…』
デストロイヤーの中から何度も避難命令が出される中、俺は近くにいた冒険者達を集めていた。
「おい、この警報はなんだ?このまま此処にいたら不味いんじゃないのか?」
一人の冒険者が口にした。
俺もそう思う。というか、ここにいる誰もが気づいていた。
「多分だが。このままポンッてなるんじゃないかと思うんだ、こういった場合だと」
俺の言葉に、居並ぶ冒険者達の顔がひきつる。
この巨大要塞が爆発でもしたら、一体どれほどの被害が出るのか。
そもそも要塞の原動力すら知らない俺達に、これ以上どうすることもできそうにない。
できる事といったらもう、逃げるくらいで…。
俺がこんなことを考えていると、不意にタンッという音が聞こえた。
その音が聞こえた方を見ると、有馬さんがデストロイヤーにフックを掛けてそのまま乗り込んで行った。
それを見て、俺は思い出した。
何の為に此処に来たのかを。
そうだ!あの店を、サキュバスの店を守る為に此処に来たんだ!
俺は拡声器を手に、大声を張り上げた。
『機動要塞デストロイヤーに、乗り込む奴は手を挙げろー!!』
アニメに追い付ける気がしない…。