この無敗の捜査官に祝福を!   作:ちょこ0720

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有馬さん誕生日おめでとうございます!

...遅れてすいませんでした。
リアルがちょっと忙しくて書く暇がなかったんです。


この無敗の捜査官と機動要塞を!

『デストロイヤー警報!デストロイヤー警報!機動要塞デストロイヤーが、現在この街へ接近中です!冒険者の皆様は、装備を整えて冒険者ギルドへ!そして、街の住人の皆様は、直ちに避難してくださーいっ!!』

 

俺、カズマが自宅の庭で日向ぼっこをしていると、急にこんな警報が聞こえてきた。

急いで屋敷に戻ると、そこは既に阿鼻叫喚と化していた。

 

「逃げるのよ!遠くへ逃げるの!」

 

色んなものをひっくり返し、あたふたしながらアクアが言った。

その隣では、既に荷造りを終えためぐみんが、小さな鞄を一つだけ横に置き、達観したようにお茶を飲んでいる。

 

「もうジタバタしても始まりませんよ。住むところも全て失うなら、もういっそみんなで魔王城にでも喧嘩を売りに行きましょうか」

 

部屋で装備を整えてギルドへ向かおうとしていた俺は、その二人を見て唖然とした。

 

「...えっと。どうしたお前ら。何だこの状態は?緊急の呼び出し受けてるんだぞ、装備を整えてとっとと行こうぜ」

 

最近有馬さんに鍛えてもらってレベルも上がり、俺もそれなりの相手なら遅れを取らないと自負している。故に、今回の緊急クエストでそれなりに活躍したいと思っている。

 

が、二人はその言葉に呆れたように返してくる。

 

「カズマったら何を言ってるの?ひょっとして、機動要塞デストロイヤーと戦う気?」

 

そんな風に言われても俺は状況がよくわかっていない。

強いて言うならアナウンスの慌て具合でヤバイものが接近中ということがわかっているぐらいだろうか。

 

「カズマ。今この街には、それが通った後にはアクシズ教徒以外、草も残らないとまで言われる、最悪の大物賞金首、機動要塞デストロイヤーが迫って来ています。これと戦うとか、無謀も良いところですよ?恐らく貴将でもキツいんじゃないでしょうか」

 

めぐみんの説明だけではピンとこないが、有馬さんでもキツいなんて俺たちじゃ邪魔にしかならないということはわかった。

というか、前からちょこちょこ聞くが、機動要塞ってなんだ、名前からしてデカそうだが。

 

「なあ、そいつはめぐみんの爆裂魔法でどうにかできないのか?名前からして大きそうだし、遠くから丸分かりだろ?魔法で一撃じゃダメなのか?」

 

それに対してめぐみんは。

 

「無理ですね。デストロイヤーには強力な魔力結界が張られています。爆裂魔法の一発や二発、防いでしまうでしょう」

 

何者なんだよデストロイヤー。確かに有馬さんでもキツいってのはわかるかもしれない。

 

俺は辺りを見回し、そこにダクネスの姿がないことに気づく。

 

「あれ、ダクネスとエトはどこに行った?俺が出ていったときはお前らと一緒に、ここら辺で喋ってなかったか?」

 

アクアが依然荷造りをしながら答える。

 

「ダクネスなら警報が鳴った瞬間に部屋に駆け込んでいったわよ。エトは警報が鳴るちょっと前にどっかに行っちゃったけど」

 

どいつもこいつも!

デストロイヤーが何者かは知らないが、この街にはせっかく手に入れた屋敷があるのだ。行きつけの店だって増えており、仲間や友達だってたくさんできた。それに、なにより、俺にはまだ、この街でやり残した事がある。

前回はアクアの結界のせいで失敗に終わったが、次こそは...!

とりあえず武装を整えて俺もギルドへ向かわないと...!

 

「...遅くなった!...ん、どうしたカズマ。早く仕度をして来い。お前ならきっとギルドへ行くんだろう?」

 

屋敷の二階から降りてきたダクネスが、見たこともない重装備に身を包み、俺を見るなり言ってきた。

ダクネスは、普段の全身鎧の上に鎖を編み込んだ重いマントを羽織、左の篭手には着脱式の盾まで着けている。

そこまでしても兜を着けないのは、女としての譲れない何かがあるのだろう。

 

逃げる為に部屋に荷物をまとめに行ってたのではなく、装備を取りに戻っていたらしい。

流石、一応聖騎士なだけはある。

街の住人を放って逃げるという選択肢は無いようだ。

 

「おいお前ら、こいつを見習え!長く過ごしたこの街と屋敷に愛着は無いのか!それに、有馬さんもこの場にいたら、手足を捥がれても戦えって言いそうだろ。ほら、ギルドにいくぞ!」

 

「...ねえカズマ、今日はなぜそんなに燃えているの?なんか、目の奥が凄くキラキラしてるんですけど。ていうか、この屋敷に住んで、まだ少ししか経っていないんですけど...」

 

 

 

 

 

 

「おっ!やっぱり来たかカズマ!お前なら来るって信じていたぜ!って、いつもの白髪の兄ちゃんと、エトちゃんは?」

 

完全武装でギルドに入ると、そこには同じく重装備のダストの姿。

俺も、お前達がいるって信じてたさ。

 

「有馬さんは少し前にクエストに行ったよ。エトは行方不明」

 

「お前も大変だな」

 

ダストは苦笑いしながらそう言った。

 

俺は改めてギルドの中を見渡した。

そこには様々な冒険者達が、それぞれが考えられる限りの重装備で馳せ参じていた。

きっと、彼らもこの街が大好きなんだろう。

何だか、男性冒険者の比率が多い気がするが、きっと気のせいだ。

というか、見知った顔が大半だ。

...と、ある程度の冒険者達が集まったところで。

 

「お集まりの皆さん!本日は緊急の呼び出しに応えて下さり大変ありがとうございます!只今より、対機動要塞デストロイヤー討伐の、緊急クエストを行います。このクエストには、レベルも職業も関係なく、全員参加でお願いします。無理と判断した場合には、街を捨て、全員で逃げる事になります。皆さんが最後の砦です。どうか、よろしくお願いいたします!」

 

ギルド内が喧しくざわめく中、ギルド職員が声を張り上げた。

そして、職員達が酒場になっている部分のテーブルをギルドの中央に寄せ集めて即席の会議室のようなものを作る。

 

「それではお集まりの皆さん、只今より緊急の作戦会議を行います。どうか、各自席についてください!」

 

俺達は職員の指示に従い、他の冒険者に倣って席に着いた。

 

「さて、デストロイヤーには結界が張ってあるため、まず、魔法は効きません。魔法が効かないため、物理攻撃しかない訳ですが...。接近すると引き潰されます。なので、弓や投石などの遠距離攻撃になりますが...。元が魔法金属製のゴーレムな為、弓はまず弾かれ、攻城用の投石も、機動要塞の速度からして、運用が難しいと思われます。それに、このゴーレムの胴体部分には、空からのモンスターの攻撃に備えるため、自立型の中型ゴーレムが飛来する物体を備え付けの小型バリスタ等で撃ち落とし、なおかつ、戦闘用のゴーレムが胴体部分の上に配備されております」

 

...説明だけ聞いてると、もう何も意味がない気がしてきた。

 

 

 

あーでもないこーでもないと、会議は難航していた。

機動要塞に乗り込めないかという意見が出れば、早すぎて無理だと反対意見がでる。

 

そんな中、バンッという音を経ててギルドの扉が開いた。

 

「会議は難航しているようだねぇ〜」

 

「...遅れてすまない」

 

エトと有馬さんが入ってきた。




遅れた分いつもより多めに書きました。
本当にすいませんでした。

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