今回はカズマや有馬さんは登場しないので悪しからず...
唐突だが私、入見カヤはお猿さんこと古間円児と共に喫茶店『あんていく』を経営している。
最近ではコーヒーを入れるだけではなく、芳村さんと同じように喫茶店を訪れる冒険者やお客さんの相談を受けるようなことをしている。
最近ではゆんゆんというアークウィザードの娘がよく相談に来る。勿論コーヒーも飲んでもらうが。
...と噂をすれば。
「あ、あのぉ、今日も来ちゃいました...」
「あら、いらっしゃいゆんゆんちゃん。いつものでいいかしら?」
「あ、はい。お願いします」
ゆんゆんをカウンターへ案内してコーヒーを入れる。
何と言うか、ヒナミちゃんを思い出す。
ゆんゆんはズズーっとコーヒーを啜る。
「ふぅ...やっぱり美味しいですね」
「ありがとうね」
こういう感想はシンプルながら実は一番嬉しかったりする。
「やあやあ、ゆんゆんちゃんじゃないか。今日は一体どうしたのかな?」
...出たよ猿。
「ああ、古間さん。実は今日も相談があって...」
「うんうん。この魔猿になんでも言ってご覧」
「いえ、私が相談したいのは入見さんの方なんですが...」
「はは、手厳しいね。まるでトーカちゃんのようだねぇ...」
「トーカさんですか?」
「いや、こっちの話だよ」
「ゆんゆんちゃん、ところで私に相談って何かしら、またお友達のことかしら?」
「いえ、今日はちょっと違うことでして...」
「違うこと?何かしら?」
「あ、あの...私と一緒にクエストを請けていただけませんかッ!」
...クエスト?
「えーっと...ダメ...ですよね。いえ、いいんですよ、お二人はお店で忙しいでしょうし、私が一人でクエストを請ければいいだけですしね」
はぁ...
「わかったわ。いいわよ。明後日ならちょうどお店もお休みだし、私達も一応冒険者の資格はあるしね。お猿さんも大丈夫よね?」
「勿論!僕も問題ないよ!この魔猿に是非とも頼ってくれたまえ!」
「そ、それじゃあ明後日のお昼くらいにここへお伺いしますね!」
「はいはい。また明後日ね」
「ゆんゆんちゃん、じゃあね」
「ふぅ...さて、後はもう片付けだけだからちゃっちゃと終わらせちゃいましょう。私は洗い物をするから、あなたは掃除をよろしくね」
「そうだね。魔猿スペシャルクリーニングサービスだよ」
...ところで、何のクエストを請けるのかしらね?
私達が人じゃないってゆんゆんちゃんにバレなければよいのだけれど...
「どうした入見、考え事か?」
「ええ。ゆんゆんちゃんに正体がバレないとは限らないじゃない?」
「大丈夫だよ。仮にバレたとしてもゆんゆんちゃんならなんとかなりそうじゃない?」
「はぁ...楽観的すぎないかしら?」
「そんなことないよ...もしかして楽しみにしてるのかい?」
「...あなた程じゃないわよ」
クエストなんて『あんていく』を建てる前に稼ぐために少しやったくらいだから久しぶりね。
...まぁお猿さんの言う通りなんとかなりそうね。
たまにはカズマや有馬さん以外の話もいいかなと思って書きました。
多分次回で終わりますかね?