この無敗の捜査官に祝福を!   作:ちょこ0720

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どうも、只今様々なSS、小説を呼んで、どうにか戦闘描写をしっかり書こうと思ってるちょこ0720です。

戦闘描写非常に苦手です。ついでに言えば、このすばってまともに戦ってる描写少ないですよね。
有馬さんってカズマみたいに知略を巡らせなくても勝てるから...


この無敗の捜査官と高級食材を!

「カズマ、お帰りなさい!喜びなさいな、今日の晩御飯は凄いわよ!カニよ!さっきダクネスの実家の人から、これからそちらでダクネスがお世話になるのならって、引越し祝いに、超上物の霜降り赤ガニが送られてきたのよ!しかも、すんごい高級酒までついて!パーティーメンバーの皆様に、普段娘がお世話になってる御礼です、だってさ!」

 

屋敷に帰ると、アクアが満面の笑みで出迎えてくれた。

この世界でも、カニは高級品らしい。

日本に住んでいた頃でもろくにカニなんて食えなかった身なのだが、まさか異世界で食う事になるとは...。

 

「あわわ...、冒険者稼業を生業にしておきながら、まさか霜降り赤ガニにお目にかかへる日が来るとは...!今日ほどこのパーティーに加入して良かったと思った日はないです...」

 

「そんなに高級なカニなのか?...ところでエトは?」

 

「あれ?一緒じゃなかったんですか?」

 

「何か取材がどうとか言ってたわね。そんなことより早く食べましょうよ!」

 

俺達がそんな会話をしている間にも、ダクネスと有馬さんが広間の食卓のテーブルに、調理済みのカニを並べていく。

 

「ただいま〜、帰ったよ〜」

 

丁度エトも帰ってきたようだ。

 

「さて、皆揃ったし食べましょ!」

 

全員で食卓に着き、早速霜降り赤ガニを...。

パキッと割ったカニの脚から取り出した、白とピンクの身に酢をつけて、そのまま頬張る。

 

「!?」

 

そのあまりの美味さに驚いた。

ふんわり甘く、濃縮されたカニ特有の旨みが口に広がる。

見れば他の皆も黙々と無言でカニを食べていた。

カニは人を無口にするとか言うけど、まさにその通りだな。

普段から無口な有馬さんは当然のことながら、あのアクアまでもが喋らないでせっせとカニを食べている。

あかん、これは止まらん!

俺はそのままカニの甲羅をパカッと開くと、そこについていたカニ味噌を...。

 

「カズマカズマ、ちょっとここにティンダーちょうだい。私が今から、この高級酒の美味しい飲み方を教えてあげるわ」

 

言いながら、早々と甲羅についたカニ味噌を平らげていたアクアが小さな手鍋の中に炭を入れ、その上に金網を置く。

言ってみれば、簡単な七輪の様な物を作った。

言われるままに炭に火をつけてやると、金網の上に僅かにカニ味噌の残った甲羅を置く。

そのまま甲羅の中に、高級酒だと言っていた、日本酒の様な透明の酒を注いでいった。

アクアは上機嫌で、軽く焦げ目がつく程度に甲羅を炙って、熱燗にしたそれを一口すすり...。

 

「ほぅ...っ」

 

実に美味そうに息を吐いた。

それを見た皆と共にそれを実行しようとした俺は、はたと気づく。

 

これは罠だ!

 

カニの美味さにすっかり忘れていたが、これからサキュバスのお姉さんが来るのだ。

お姉さんが言ってたじゃないか、酒を飲んで泥酔していたら夢が見れないと。

落ち着け、俺は我慢ができる男だ。

鋼の精神を持ち、耐える力を持つ男だ。

 

「...これは美味いな」

 

惑わされるな!

あの有馬さんが美味いと言っているんだ。

おそらくあれを口にしたらもう止まらない。

そのままの勢いで、いいや、もうどうにでもなれとばかりに飲み続けてしまうだろう。

それぐらいにカニは美味しいし、あの酒もなんだか美味そうだ。

 

「貴将、私にもください!いいじゃないですか今日ぐらいは!私だってお酒を飲んでみたいんです!」

 

「...ダメだ、子供の内から酒を飲むと様々な悪影響がある」

 

その言葉に、めぐみんがふと上機嫌で酒を飲むアクアに目をやり、有馬さんも無言でアクアを見た。

 

「...?何かしら」

 

そんなやり取りをよそに、密かに我慢している俺をみたダクネスが首を傾げ。

 

「...どうしたカズマ。酒を飲んだ事はないのか?...もしかして、家のカニが口に合わなかったか?」

 

そんな事を言って、ちょっと不安そうな表情を浮かべた。

ちがう、そうじゃない、カニは美味い。

 

「いか、カニはすごく美味い、それは間違いない。ただ、今日は昼間に、キース達と飲んできたんだ。それに、俺はまだ酒の味なんて分からないし、今日の所は酒はいいかな。...明日!明日貰うよ!」

 

俺の言い訳に、そうか、と安心した様にホッと息を吐き、屈託なく笑うダクネス。

止めろ、そんな純粋そうな笑顔で笑わないでくれ、普段はロクでもない事を口走って俺をドン引きさせてるクセに、何で今日に限ってそんな...!

そんな...!

 

「ほー?少年、明日までこのお酒が残ってると思ってるのかね?勿論私が貰っちゃうよ?」

 

「えー!エトずるい!私が貰おうとしてたのにー!」

 

くそっ、この二人がこの上ないくらい憎たらしい。

そんな俺に、ダクネスが再び笑いかけ。

 

「...ん、そうか。なら、せめてたくさん食べてくれ。日頃の礼だ」

 

その言葉に、何だか後ろめたい事をしている気がして、胸が傷んだ。

そうだ、皆と一緒に酒を飲んで、もう忘れちまえばいい。

わざわざ来てくれるサキュバスのお姉さんには、明日謝りに行こう。

こいつらと楽しく飲んで、また明日から頑張ろう。

そうだ、たかがあのアンケートの内容が、そのままリアルな夢になって出てくるってだけの話だ。

そして、見た夢は朝起きても忘れる事は無いらしい。たかが、それだけの事だ。

目の前のダクネスの顔を見ろ。そして、皆の顔を見ろ。

一体どちらが大切かを考えろ。

そして、アンケートに自分が何を書いたのか思い出せ!

...そう。最初から悩む必要なんて無かったんだ。

俺はカニをたらふく食うと、立ち上がり。

 

「それじゃ、ちょっと早いけど俺はもう寝るとするよ。ダクネス、ご馳走さん、お前ら、お休み!」

 

俺はエトがニタニタ笑っているのに気づかず自分の部屋へと早々に引き篭った。




有馬さんがカニ食べてるのってシュールですよね

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