いつもより短めです。すいません。
では第24話どうぞ!
二億が手に入った。
なんでも、冬将軍と言うモンスターには二億という賞金がかけられているらしい。
ベルディアより強そうだった冬将軍がなぜベルディアよりも少ないのかと尋ねるとめぐみんが
「冬将軍は、雪精にさえ手を出さなければ何もしてこないモンスターですからね。魔王軍の幹部で、明確な人類の敵だったベルディアは、その危険度から賞金が高かったのですが。冬将軍の場合、本来あまり攻撃的でないモンスターなのに二億もの報酬がかけられています。この破格の賞金は、それだけ冬将軍が強いということなのですよ。」
めぐみんの説明に思わず黙り込んでしまう。
有馬さんはそれを一人で倒したのか。
しかし、ベルディアの三億に続き二億が手に入った。
この短期間で五億だ。
もう冒険者なんてやめて遊んで暮らそうかと考えていたとき不意にめぐみんから声がかかった。
「そう言えば、少し前に知り合いの冒険者に聞いたのですが、なかなか良い喫茶店が近くにあるらしいのです。折角近くまで来たので行ってみませんか?」
「偶にはそういうところもいいわね」
「喫茶店か、確かに偶にはいいかもしれんな」
「...俺も構わない」
喫茶店か。
元の世界では引きこもってたから実際に行くのは初めてだ。コーヒーも嫌いではない。
「よし!じゃあ行ってみるか。めぐみん案内頼む」
「わかりました!」
全員の意見が纏まり、喫茶店へと向かう。
『あんていく』
これがその店の名前らしい。
この店の前についたとき、有馬さんがアタッシュケースを持つ手に力を込めていたような気がするけど多分気の所為だろう。
確かに落ち着いていて雰囲気の良い店である。
普段のギルドの酒場とはまるで違う。
扉を開くとカランコロンと鈴の音がする。
直ぐに女の店員さんが来て迎え入れてくれた。
「何名様ですか?」
と聞かれたので
「五人です」
と答えた。
店員さんは俺達を一瞥した。
有馬さんと目が合った瞬間女の店員さんの体が震えた気がした。
「ありがとうございました」
小一時間ほど休憩してから俺達はその店をあとにした。
有馬さんは
「もう少し休憩していく」
と言っていたので別だ。
「しかし、コーヒー美味しかったですね。今まで飲んだ中で一番かもしれません」
「確かに家の者が入れるコーヒーよりも美味かったな」
「アクアもお代わりしてましたよね」
「あはは...」
アクアがお代わりしていた理由はこいつが水に触れると浄化してしまう能力のせいだった。
注文したコーヒーに間違って指を突っ込んでしまい、ただの水に変えてしまった。
まったく便利なのか不便なのかわからない能力だ。
そんなことを話しながら帰宅した。
「なんであなたがここにいるのかしら?」
私は困惑していた。
なぜ私達を殺した相手が目の前にいるの?
「...そう身構えるな。俺はお前達を駆逐する気はない」
「信じられると思っているのかい?」
「...別に信じて貰わなくても構わない。ブラックドーベルと魔猿」
そう、私達は死んだ。この目の前にいる男に殺された。そして、この世界に来た。
不本意ながら隣にいるお猿さんと二人で喫茶店を開くことにした。
芳村さんの意思を受け継ぐために。
「...俺にはお前達を駆逐する理由がない。手を出してこなければ、こちらも何もする気はない。...そんなことより、アオギリの元メンバーがこっちにも来ているぞ」
...なんですって?
「アオギリ?本当なのね?」
「あぁ。十三区のジェイソンやしっぽブラザーズがいた。俺はお前達がそちらへつかない限り攻撃する気はない。...コーヒー美味かった、また来る」
「できれば来ないで欲しいのだけど」
「入見そう言うなって。一応お客様なんだから」
「あのねお猿さん、あなたわかってないなら言うけど、私達を殺したのはこの男なのよ」
「昔の話だからね、僕はもう恨んでないよ」
「...そうか。一応冒険者をしている。何かあったら連絡するといい」
「...なんかイメージと違うわね」
「それに関しては僕も同意見だね」
カランコロンと音を立ててその男は帰っていった。
今回は入見さんと古間さんを登場させました。
芳村さんのコーヒーのんでみたいなぁ。
それではまた次回お会いしましょう!