月曜日
「蘭子ちゃん、煩わしい太陽」
「おは……よう」
「えっと、蘭子ちゃん大丈夫?」
「け、契約の反動により、あぅ、言霊が侵食されてしまう………」
「え、えーと、高梨くーん?」
「ん?どした?」
「えーと、契約の反動により言霊が侵食されるっ!!」
「あー、筋肉痛でこの口調が維持できないよぉ……だ」
「………それはそれでアリね」
「そ、それは困る、はうっ!?」
ぷるぷると生まれたての子鹿みたいになっている神崎。
「それと神崎には残念な報告だが、次の理科の授業は移動教室になったから早めにな」
「わ、我が盟友、我を置いていくのか」
「いや、遅刻したくないし」
「せめて肩を」
「いや身長が足りないだろ?」
「うぐぅ、じゃあ腕貸して」
「今日は本当に口調がボロボロだな、ほれ」
男女が腕を組むと言えば恋人のようなイメージが強いだろう。
だが、今回の腕を貸す行為はまるでロマンチックなものや恋人のようなトキメキは感じない。
何故なら、神崎は足に負担をかけないように腰をかなり曲げており、掴んでいる腕は藁にもすがる思いである。
そう例えるなら信号を渡るときのおばあちゃんが若いお兄さんに引っ張られているという感じだ。
[さーて、これから異端審問会を始めるが]
[[[ギルティ]]]
[そうだな、あいつは存在自体が罪だな]
[隊長ッ!!どうして高梨だけあんなにめぐまれているんですかっ!!羨ましいですっ!!]
[確かに羨ましいが、考えてみろ新人、仮に俺たちがアイツの代わりになれるか?]
[そ、それは]
[本当はな、こんな行為は意味がないんだ]
[………じゃあ自分はどうすればいいんですかっ!!]
[確かに俺たちはアイツの代わりにはなれない、しかし胸から込み上げてくる感情も無視できない]
[だから俺たちは考えた]
[決して神崎さんの顔を歪めないように]
[この妬んだこの心で]
[[[アイツに怪我の跡が残らないようにボコボコしようとなっ!!]]]
最低なクズ野郎ばっかりだな!?
「あはは、今日も絶好調ねウチのクラス」
「………そう思うなら代わってみる?」
「いやー、残念なことに蘭子ちゃんが頼りにしてるのは蘭子ちゃんの盟友だから」
「しょうがないよねー」っと言わんばかりに肩をすくめる。
「あ、あと少しで理科室」
「新たなる錬金術の世界じゃなかったっけ?というか蘭子ちゃんどうしてそんな筋肉痛なの?」
「ふふっ、私の才に気づく瞳の持ち主と契約を交わした……が、その代償として生命の雫を流すことに、ふっきゅっ!?」
「あーほらほら、神崎さんや大袈裟に動くから身体に響いちゃうでしょうー?」
「……年寄り…扱いする、あうっ!?」
「………ちゃんと終わった後に柔軟したのか?だから身体に疲れが残るんだよ」
「うっ、………疲れてたからちょっとしかやってない」
「これからはちゃんとやれよ」
「………結局蘭子ちゃんはなんで筋肉痛なの?」
「あー、とりあえず授業が終わって昼休みに話すよ」
「アイドルになったのっ!?蘭子ちゃんがっ!!」
「ふっ、この世界の偶像として、っう!?」
「だから今日は安静にしとけって、あと風呂上がったら柔軟して湿布貼っとけ」
「えっ、いやいやなんでそんなに落ち着いてるの高梨くん、アイドルだよアイドルっ!!」
「いや別に驚かないだろ、神崎だぞ?」
「………確かに」
「自分で言ってアレだけど簡単に納得したね」
[神崎さん、アイドルになったらしいぜ]
[これはファンは必須]
[てことは、羨ましい高梨と神崎さんのイチャコラはもう見なくて済むのかっ!?]
[[[ハッ、ざまぁねぇな!]]]
………やっべぇよ、いまここで「いや実は神崎のマネージャーやってるんだっ☆」なんて言ったら死ぬんじゃねえのか俺?
「でも、蘭子ちゃん本当に大丈夫なの?」
「何がだ?」
「ほら、アイドルって色々とありそうっていうか、それに高梨くんいないから色々大変というか」
まぁ、アイドルって言ったらまぁそんなイメージもあるだろう。
「問題ないぞ、それに我が盟友も共に堕天使の世界に飛び込んだからな」
[[[たーかーなーしーくーん、あーそーびーましょう]]]
なんでこの子はこんな時に限って通訳する必要ない単語でとんでもない発言をするでしょうかっ!!
「悪いな神崎、今から鬼ごっこしてくるから通訳するような発言は抑えろよっ!!!!」
[ヒャッハー、何が跡が残らないようにだ、骨まで砕いてやれ]
[サーチアンドデストロイっ!!サーチアンドデストロイっ!!」
[クリークッ!!クリークッ!!クリークッ!!]
[よろしいならば戦争だ、一心不乱の大戦争だっ!!]
なんか最近ウチのクラスの統率力が上がっているんだけどなんの影響ですかねっ!?
放課後
「こんにちはー」
「お、高梨くんきたね、それじゃあコレとコレの確認とこの企画書の誤字脱字のチェック、それが終わる頃に3人が来るからダンスのチェックね」
「分かりました」
なんか最近忙しいっていうか、仕事が急ピッチというか?
「なんかあるんですか?」
「テレビって夏前に色々と番組が変わったりすることが多いのよ、だから今からピッチ上げないと………地獄を見るハメになるわ」
「そんなにヤバイんですか?」
「私は4日間事務室に缶詰が最長記録かな?他のプロデューサーは外回りしたり、アイドルの送り迎えしたり、色々あってもっと酷かったけど、今年は2日くらいがいいなー」
死んだ目で遠く見つめる千川さんはとても見ていられなかった。
「でも、ここの事務所、寮があるからシャワーとか仮眠とかできるから助かるのよね」
「なんでここで住んでないのが不思議なんですけどね」
「まぁ、一応アイドルの為の寮だから、そこから男性が出てきたら世間がうるさいでしょ?」
「あー、そういうことですか」
「まぁ、シャワーとか仮眠くらいなら問題はないけどね」
「色々と気を使うんですね、あっ、赤羽根さん誤字があった」
「この時期になると赤羽根さんの行動範囲が物凄く増えるから仕方ないとは言え仕方ないんですけど」
「さっき言ってたテレビ関係のことですね、麗華さんと北原さんはライブ前の調整でいないと、武内さんは赤羽根さんとは別の場所の外回り………なんで回ってるだろうこの事務所」
「いやー、高梨くんが来てくれて割と本気で助かってますよ」
「戦力になってるか不安ですよ、それじゃあ仕事終わったんでレッスン見に行ってきます」
「えっ?あっ、うん、行ってらっしゃい………あれぇ、結構渡したつもりなのにもう終わっちゃったの?」
さーて、アイドル3人は来てるかな?
徐々に染まっていく主人公
そして筋肉痛で熊本弁がちょくちょく使えない蘭子は可愛い
クラスの流行りはヘルシング
の巻ですね
やっぱりこういうほうが書いてて楽しい。
だが次はニュージェネです、でも「蘭子は可愛い」は話に入れますっ!!