日曜日
今週はずっと男子から逃げ回ってたから身体が重い。
「我が盟友よ、休息の刻はいつも駆け回っているが何をしているのだ?」
貴方と二人きりで遊んでいたのがバレて男子から追われているなんて言えません。
しかもあいつら途中から鬼ごっこ自体を楽しんでるだろ………
「オーディションはどうだった?」
「堕天使の世界の扉を叩く者は数知れず、この試練で我が力は通じるか否か………」
へー、意外にも不安を感じてるんだ。
通って当然みたいな振る舞いが来るかと思ったけど。
「武内さんが居たなら問題ないと思うよ、………それに神崎は普通に可愛いし、そんなことなくても普通に通りそうだけど」
「………そんなことないもん」
最近可愛いっと言っても必死になって否定することはなくなったがジト目でこっちを睨むようになった。
藤井さんは「あぁ、もうあのジト目が可愛いんだよねー」と机をドンドン叩いてる様子は流石の俺でもドン引きだった。
「うんじゃ、俺はこれから仕事の説明を受けるからまたな」
「闇に飲まれよっ!!」
「はいはい、やみのまー」
さて、確かこの辺に部屋に呼ばれたんだが………
「あら?君何処から来たの?」
振り向くと緑色の事務服(?)を着た女性に声をかけられた。
「武内さんに呼ばれて来たんですけど」
「武内プロデューサーに?………何か忘れ物でも届けに来たとか?」
「いえ、仕事の話です」
「………ねぇ、君もしかして高梨君?」
「はい、そうですけど?」
「なるほどねー………年は?」
「14ですけど?」
そう言った途端に千川さんはガッと俺の手を掴んでツカツカと歩きだす。
えっ、何コレどういう状況?
ある扉の前で止まるとしっかりとノックをして開ける。
意外と冷静なのか?
「プロデューサーっ!!新しいマネージャー候補ってこの子ですかっ!!」
「ちひろさん?それに高梨くんも来てくれましたか」
この部屋の惨状を一言では言えば「紙の山」だろう。
チラッと見てみると女の子の写真とプロフィールのようなものが見える。
「(今回のオーディションの資料かな?それにしちゃ随分と多いけど………)」
「って事はやっぱりこの子なんですね………どうするんですか、中学生に働かせることなんて出来ませんよ」
「いえ、高梨くんに名目上ではお手伝いという事になりますね」
「うわぁ………労基法ギリギリのことしますね、でもそれだと雇用してませんからお金払えませんよ?」
「私のポケットマネーで雇う形にしようかと」
「……この人は本当に……でもこれ以上プロデューサーに負担が掛かるのも馬鹿になりませんし、猫の手でも借りたい状態ですけど」
なんか思いの外面倒くさいことになってるな。
「分かりました、この件については何も言いません………それにプロデューサーの我儘らしい我儘もこれが初めてですし」
「ご迷惑かけてすみません」
「いえ、私もまさか中学生が来るとは思ってなかったので」
「えっととりあえず自分ここに居ても大丈夫ですか?」
「えぇ、そういえば自己紹介してなかったわね、事務員の千川ちひろです、特技は計算、趣味はコスプレとパーティです」
「えっと、自分は高梨和也です、特技は神崎の通訳で、趣味は………哲学?」
「おおぅ、中々キャラが濃い子が出てきたね」
「千川さんのコスプレが趣味も中々濃いですって」
「まぁ、とりあえずマネージャーとして色々頑張ってもらうからビシバシ鍛えていくわね」
「よろしくお願いします」
「ではプロデューサーこの子ちょっと借りてきますね」
「本来なら自分が指導するんですが」
「いいですって、プロデューサーはオーディションの資料で手一杯ですから」
「よろしくお願いします」
「任せてくださーい」
プロデューサーの仕事の邪魔にならないよう別の部屋に移る。
「さて高梨くん、これから貴方にはアイドルのマネージャーの仕事を教えますけど、実際アイドルのマネージャーってどういうことやるか知ってる?」
「えっと、アイドルのスケジュール管理とかマスコミの出演交渉とか宣伝活動、あとオーディションの準備とかですよね?」
流石にマネージャーの仕事を知らずに行くのはアレだと思って調べてはきたが………
「おっ、ちゃんと前知識はあるみたいね、他にもマネージャーは担当アイドルの悩みを聞くとかアドバイスしたりするとか、仕事関係だけじゃなくて人間関係としても重要なお仕事なんです」
「そんな重要な仕事、中学生に任しちゃっていいんですかね?」
「うーん、この業界はぶっちゃけ年齢による上下関係はあんまりないのよ、大手のプロダクションのマネージャーとかの求人は学歴とかあんまり関係ないし」
「良くも悪くも実力主義ですか」
「そうね、それに君は確かにアイドルのマネージャーをやってもらうけど、多分高梨くんには交渉のテーブルには出さないと思うの」
「346プロダクションに雇用されてませんからね」
「そういうこと、アルバイトだろうが社員だろうが雇用されるという事はその会社の名前を背負うことだからね、まぁ、アルバイトと社員じゃ責任の大小は違うけどね」
「名目上お手伝いですからね、自分」
ということは案外やることは少ないかもしれないな。
「まぁ、だから主に君がやることは担当アイドルのマネジメントと私とプロデューサーの雑務のお手伝いかな?」
「分かりました」
「とりあえず今日は私の仕事をなるべく覚えること、メモ帳とか予定表はある?」
「はい、とりあえずアルバイトで必要な物は今日は持ってきましたけど」
「荷物とか指示されたの?」
「なんとなく備えてだけですね」
「中々いい心がけだと思うよ」
「ありがとうございます………それと、346プロダクションってあと他に何人いるんですか?」
顔と名前とか覚えなきゃいけないし。
………ん?千川さんがものすごく目をそらしている。
「私含めて……5人」
「えっと、このプロダクションのアイドルの数ですか?」
「…………これから新しいアイドルが入ると50人は超えるかな?」
「………それを5人で回してるんですか?」
「厳密にはまだデビューしてない子もいるし、楓さんや美嘉ちゃんみたいに活躍してる子もいるから」
こちらを一切目を合わさずにダラダラと汗をかいてる千川さん
「えっと、冗談ですよね?」
「あはは、プロデューサーと部長がものすごく優秀で」
「仕事が回っていると……ならその回ったお金で人材確保でもしたら」
「「皆さんで回ってるし人件費代もったいないからアイドルの為の施設投資とかしちゃいます?」って冗談で言ったら何故かそれが通って、寮とか出来たり事務所が大きな場所に移動したり、専用レッスン場とかできちゃったし」
「………で、人材確保を」
「で、大きくなったし大きなプロジェクトをやろうってなって」
「シンデレラプロジェクトですね、だから人材を」
「確保と思ったんだけどプロデューサーたちが新人を雇う前に女の子をたくさんスカウトして、プロデュースしてたらいつの間にか雇う時期を失い………今に至ります」
「なるほど………正直大人に言うのはアレなんですけど………馬鹿でしょ!!」
「ごもっともです」
「えっ!?じゃあ50人近くのアイドルを千川さんは事務員だから除いて、4人で回して、プロデュースして雑務もやってさらにオーディションでアイドル増やそうとしてるんですかっ!?」
「………そうですね」
「有能過ぎて馬鹿になってませんか?」
「………否定できませんね」
頭を思わず抱える。
「アホすぎるぞこの会社………とりあえず新しい人材を」
「その………プロデューサーたち全員夏まで予定ビッシリで、多分アイドルより忙しいですね………私も事務員だから人事やる訳にはいかないですし」
「………なんでこの会社回ってるだろう?」
「ブラックではないんですよね、皆さん定時には毎日帰ってますし」
「もうなんも言えねぇ………とりあえず千川さん自分に仕事教えて貰っていいすか?」
「えぇと大丈夫ですか、今ならまだ引き返せますよ?」
「引き返すも何もすでに自分担当アイドル決まってるんですけど……」
「………頑張りましょうお互い」
「えぇ、頑張りますか」
こうして、346プロダクションに無事(?)お手伝いすることになった。
地の文を書こうとする→深夜になる→「別になくても大丈夫っしょっ!!」→投稿する→昼くらいに後悔してる→会話から書き始める
以下ループ。
まぁ、アレっす深夜のノリで書いたから自分でも説明できない何かが生まれる可能性がありますから………良い方向にも悪い方向にも。
そして急に増えた高評価!?
無理に高評価押さなくていいですよっ!!
何故なら低評価されても仕方ないスタンスで書いてますから←(安定のアニメを見ていない
だけど感想欄で中々鋭い考察を書いてくれた読者様もいました。
感想欄見て普通に「確かに」って思いましたね。
まぁ、作者は深夜テンションのノリで書いてますから矛盾とかあっても「蘭子可愛い」の精神で乗り切ってくださいっ!!