それに関しては現在の作品に合わせた影響です。
前編
それは一人のマッドがとあるデジモンのデータを手に入れた時から始まった。
そのデジモンのデータは正に前人未踏、誰もが辿り着く事が不可能だった場所へと誘う事が出来る最高のデータだった。
今回の話は、そのマッドが完成させてしまった恐るべき道具に寄って災難に塗れた世界の話である。
暗い部屋の中、僅かな明かりしかない部屋で青い髪に赤い瞳を持った白衣を着た女性-『フリート・アルハザード』-が、何かの作業に没頭し続けていた。
そして最後だと言うようにフリートは慎重に工具で持った部品を組み立てていた機械に組み込み、作成していた物が完成する。同時に狂気の笑い声がフリートの口元から零れ出て、研究室内に響き渡る。
「フフフフフフフフフッ! ハハハハハハハハハハハハッ!! 遂に! 遂に完成しました! あのデジモン! パラレルモンのデータを手に入れてから、苦節八年と三ヶ月と五日の日にちを掛けた上に! 他の研究に誘惑されながらも、このアルハザードの技術を総動員して完成させた傑作!」
フリートは作り上げた銃の様な物を掲げ、その銃の名を高らかに叫ぶ。
「『平行世界に行っていらっしゃいガン』!! 我ながら素晴らしい出来栄えと名前です!!!」
フリートは銃を抱えながら自身の作品の出来栄えとネーミングを褒め称えるが、もしこの場に他の者が居ればこう言うだろう。
『ネーミングセンス無さ過ぎ』だと言うほどに、フリートにネーミングセンスは無かった。そんな事を知らずに、フリートは右手に持った銃を掲げ、自身に撃とうとするが、突如として動きは止まり、絶望に染まった顔をする。
「……しまったぁぁぁぁ!? 平行世界に行こうにもそっちとの送信手段が無い! つまり、私は平行世界に行く事が出来ないんだった!?」
フリートは本来ならば自分の居る場所である、アルハザードから外に出る事が出来ない存在。
研究の結果、道具を使えば外に出る事は可能になったが、行く先は平行世界。流石に其処まで外に出られる機能は造った道具には無い。
例えフリートの言葉どおり平行世界に行く事が出来るだったとしても、平行世界までは流石に無理だった。
「クッ! 我が身が呪わしいですね! 誰も行った事が無い平行世界に行く事が出来る道具を作ったと言うのに、この体は行く事が出来ないとは! 全く持って悔しいですぅぅぅーーー!」
そう言いながらフリートは自分の体に付いて悪態を述べ続け、二十分ほど悪態を付き続けている。
だが、突如として何かを思いついたのか、悪そうな笑みを浮かべて部屋を出て行った。
そして研究室を出たフリートが司令室に辿り着くと、その部屋の中に居たブラック、リンディ、ルイン、ティアナ、クダモン、クイント、なのは、ガブモン、ヴィヴィオ、ギルモンの全員に内心で悪そうな笑みを浮かべながら声を掛ける。
「皆さん、素晴らしい物が出来たんですけど?」
「……そう言えば、今日は食材を買いに行く日だったわね」
「そう言えばそうだったわね。リンディ、行きましょう」
リンディとクイントは関わりたくないと思い、指令室から急ぎ脱出しようとした。
その行動も仕方ないだろう。リンディとクイントはフリートのマッドな部分を嫌と言うほどに知っている。本人にとっては素晴らしくても、他人にとっては録でもないものに決まっている。二人は今回も碌でもない事だろうと思ったのだ。実際に碌でもないので二人の行動は正しい。
しかし、フリートは逃がさないと言う様にリンディとクイントの襟首をガシッと掴む。
「そう逃げないで下さいよ。今回は本当に良い事なんですから、日頃頑張っている皆さんに休暇を与えようと思ったんですよ」
『休暇!?』
フリートの告げた事実にブラック、ヴィヴィオ、ギルモンを除いた全員が疑問の声を上げ、フリートを見つめると、フリートは持っ ていた銃の力に付いて説明し始めた。
そして数分後にフリートの説明を聞き終えたリンディは頭痛がすると言うように頭を抱えながら、クイント達と話し合いする。
「まさか、本当に平行世界に行ける道具を作ってしまうなんて」
「呆れてものも言えないわね」
「パラレルモンのデータを手に入れた時から怪しい行動をし始めていましたけど」
「こう言う事だったんですね」
リンディ、クイント、なのは、ティアナはそれぞれ困った表情を浮かべて言葉を交し合うが、その間にブラックが詳しい事をフリートに質問していた。
「ほう、つまり行ける世界はこの世界に良く似た世界だけと言う事か?」
「そうですよ。流石に完全に違う平行世界には行けませんが、例えばブラックが居なかった世界や、ブラックの前世の記憶どおりの世界に行く事は可能です」
「……良いだろう。平行世界には興味が在る。貴様の言うとおり平行世界に行ってやろう」
「ブラック様が行くのならば私もです!」
「ヴィヴィオも行く!!」
「ギルモンも!!」
ブラックの言葉に追随する様にルイン、ヴィヴィオ、ギルモンは自分達もと言うように手を上げ、リンディは頭を更に痛ませる。
「何を言っているんですか!? 私達が此処を離れたらどうなると思っているんですか!?」
リンディがそう叫ぶのも当然だろう。休暇が何時までなのかは分からないが、リンディ達が今居る世界から離れてしまえば、デジモン達やルーチェモン達が好き勝手に暴れる可能性が高い。
その事が在るからこそ、リンディはブラック達-平行世界に行こうとしている者達-を止める為に意見を述べる。なのは、クイント、ティアナもリンディの意見に同意なのか深く頷く。
だが、怪しげな笑みを浮かべながらフリートがリンディ達-平行世界に行かないと言っている者達-に近づく。
「大丈夫ですよ。あちらの世界で何日居ても、此方の世界では一日程度の事です。そういう風に作りましたからね」
((((何気に時間操作も行っている!?))))
フリートの告げた事実にリンディ達は驚愕に満ちた叫びを内心で上げながら、フリートを信じられないと言うように見つめた。
【平行世界への移動】。【時間操作】。どちらも魔法では実現不可能とされているものなのに、フリートはそれを平然と成し遂げた。このまま行けば全盛期のアルハザードでも、オファニモン達でも不可能だった【死者蘇生】の領域にまで踏み込んでしまいそうだとリンディ達は内心で恐怖するが、ブラック達は構わずに平行世界に行く準備を始めていた。
「ヴィヴィオちゃんは久しぶりのお外ですから、今まで着る暇がな かったお洋服を沢山着ましょうね」
「うん! ルインお姉ちゃん!」
「……休暇か。そう言えば訓練や捜査などでゆっくりする暇が無かったなガブモン」
「そうだね。たまには良いかもしれないねクダモン」
「ギルモンも楽しみ! グラニも行って良いのかな?」
平行世界に行く事を決めていた者達はそれぞれ準備をし始め、ガブモンやクダモンまでも行く事に乗り気だと分かったなのはとティアナは頭を手で押さえながらリンディに声を掛ける。
「……リンディさん。もう止めるのは無理ですよ」
「寧ろ止めたら、私達が白い目で見られそうな気がします」
「……止めるのは無理ね」
目の前の光景にリンディも、もう反論する気も起きないのか、呆れたように呟きながら自身も平行世界に行く準備をし始めた。
その様子を見たなのは、ティアナ、クイントも顔を見合わせると、リンディと同じようにそれぞれ準備を始め、一時間後にはフリートを除いた全員が平行世界へと旅立って行った。
平行世界。その世界ではブラックが現れず、正規の歴史どおりに事は動き、当然ながら機動六課も歴史どおりに設立されていた。
そしてその世界の機動六課-部隊長室では、聖王教会から送られてきた機密文章を険しい顔をしながら見つめているはやてが存在していた。
「……今更追加の詩文やて? 公開意見陳述会も間近に迫ったこの時期に?」
聖王教会から送られて来た聖王教会に居る在る人物のレアスキル【
【
しかも本来ならば年に一度しか使えないレアスキルなのだが、今回は偶然にも発動条件が再び舞い降りて来たので、聖王教会は最初に書かれていた予言を寄り具体的に明らかにしようとした。
だが、逆に疑問が増える状況に成ってしまった。新たな予言が出現してしまったのである。
「『天に死せる王の嘆きが響き渡る時、交わる事無き、異界の者達は怒り狂い、無限の欲望の野望は砕け散る。
不屈の心を胸に宿す蒼き鉄の狼、星を打ち砕く光を解き放ち、死者達を沈黙に伏させる。
絆の果てに現し、赤き鎧にその身を包み込んだ聖なる騎士、全てを撃ち抜き、人々を脅威から護らん。
王をその身に宿す聖騎士、赤き鎧船にその身を乗せ、天に浮かぶ翼の内より、死せる王を救わん。
世界に否定されし深き闇を従えし黒き竜人、その身の因子を宿しし異形、古の地より与えられし力を宿す者と共に、世に出す事さえ憚れる深き闇を打ち砕く。
されど、彼の者達は法の味方に在らず、彼の者達は自身の胸に宿る真の思いのままに、動く者達なり』」
手に持つ詩文の内容を読み上げ、はやては内容を少しでも解読しようとするが、その意味さえも分からず頭を更に抱える。
「あかん……文章の意味さえも分からんわ……それにしても、まるでヒーローが駆けつけて、全部解決してくれるみたいな内容やけど。法の味方や無いって、如何言う事や?」
文章の最後の一文に書かれた文字を見ながら、はやては首を傾げる。
法の味方ではない。つまり法を管理局だとすれば、管理局の味方ではないと言う意味になる。
しかし、はやてが知る限り、今回の事件には他の犯罪組織が関わっている様子は無いし、犯罪組織が好き好んで人々を護るとは、はやてには思えなかった。
「……ハア〜、全く分からんわ。まあ、解読に付いては聖王教会とクロノ君に任せて、私らは目の前に迫った公開意見陳述会に付いて考えようか」
そうはやては呟くと、持っていた詩文の書かれた紙を机の上に置き、目の前に迫った公開意見陳述会の警護に付いて考えるのだった。
一方、平行世界へと渡ったブラック達はミッドチルダに程近い世界で元の世界では出来ないようなバカンスを楽しんでいた。
「キャハハハハハハッ! ギルちゃん! 冷たいよ!!」
「ヴィヴィオだって!」
泊まっているリゾートホテルの内部に在るプールではヴィヴィオとギルモンが嬉しそうに遊び続けていた。
その様子をプールサイドからなのはとカブモン、ティアナとクダモンは苦笑を浮かべながら見つめていた。
「ヴィヴィオやギルモンは楽しそうだね」
「そうだね。このホテルは使い魔も自由にして良いって言う場所だから、ヴィヴィオ達も嬉しいんだよ」
「それにしても、良くこんなホテルをリンディさん知ってしましたよね?」
「元々リンディは以前から休暇を取れる場所を探していたらしい。 平行世界とは言え、場所は変わらんから、このホテルに滞在する事にしたのだろう。最も行けたのはブラックとルイン、リンディを除いた我々だけだろうが」
ティアナの疑問にクダモンが答え、ティアナ達は納得したように頷くと、プールサイドに置かれている椅子に座る。
そのまま持って来た機器に映るミッドチルダの状況に付いて話し合いを始める。
「ミッドは大変ですね。スカリエッティの玩具のガジェットの大軍に公開意見陳述会場が襲われ、阿鼻叫喚の絵図だったらしいですよ」
「そうみたいだね。だけど、責任は管理局の方にもあるよ。相手の力を過小評価し過ぎたのが原因。最悪の状況を常に想像して動かないといけないのにね」
「しかもハッキングした情報に寄れば、ガジェットの対策に動いていたのは一部隊だけ。それも状況に寄ってマトモに動けなかったようだ」
「この世界のなのは達がいる部隊だよね」
全員がハッキングして手に入れた情報を見ながら溜め息を付き、映像に映されている逃げ惑う管理局員の様子に更に溜め息を吐きながら顔を見合わせる。
「……どう見ても逃げてるよね?」
「逃げていますね」
「逃げているな」
「うん、逃げているよ」
なのはの質問に対して、ティアナ達はそれぞれ答え、映像に映し出されているガジェットから逃げ惑う局員に対して険しげに顔を歪める。
「……AMFに対する対策が全然されていないね。この世界の私が居る部隊は何をやっているんだろう?」
「恐らくだが、地上本部にガジェットに関する正確に情報が伝わっていない可能性が高い。私の推測だが、本局は機動六課にこそ、この事件を解決して欲しいのだろう」
「縄張り争いね」
クダモンの言葉に対してティアナは自身の推察を述べ、なのはと ガブモンは嫌な事実に顔を歪める。
本局と地上本部。同じ管理局では在るが、その実は互いにぶつかり合っている状態なのだ。
本局は地上で育った優秀な局員を引き抜いて行き、その為に地上の戦力は減って行く。その事が在る為に地上と本局の中は最悪としか言えない状況。本局の上層部達はこの事件を地上本部ではなく本局の局員に解決させたいのだろう。この事件を地上本部に解決されれば地上の発言力は増し、本局としては色々と地上に無理を言えなくなる事態に成る。
だが、この予言を回避したのが本局の局員ならば、本局の発言力は更に増し、逆に地上の発言力は一気に低下し、地上を本局の意にままに出来る可能性が在る。
「……管理局って何なんだろうね? 私達の世界でもそうだけど、この世界でも人々の平和よりも自分達の権力が大事みたいだね」
「管理局が在るから平和ではなく、平和の為に管理局は生まれた。多分、その事を多くの局員が忘れているんでしょうね」
「そのとおりかも知れないわね」
ティアナの言葉に対して背後から同意の言葉が響き、なのは達が ティアナの後ろを見てみると、水着姿のリンディ、ルイン、クイントに、黒いロングコートを着た人間体のブラックが立っていた。
「ブラック。この様な場所では、その様な服は脱ぐべきだぞ?」
「俺には関係ない」
クダモンの言葉に対して、ブラックは全く気にせずに答え、ブラックを除いた全員が溜め息を吐く。
どこまでも唯我独尊のブラックからすれば、周りの状況など関係ないのだ。
そのブラックにヴィヴィオとギルモンが、無邪気に近づいて来る。
「パパッ!! 遊ぼう!!」
「…後でだ」
「ブウ〜!!」
ブラックの言葉に対してヴィヴィオは不機嫌そうにするが、ブラックは構わずにティアナに顔を向ける。
「ティアナ。それで現在のミッドはどうなっているんだ?」
「ちょっと待って下さい」
ティアナはそうブラックに告げると、映像を映していた機械を操作し始め、管理局の通信を調べ始めると、丁度この世界のスカリエ ッティが演説を行っている所だった。
その演説内容を聞きながら、ブラックはつまらなそうに腕を組み、リンディ達はスカリエッティに演説の内容に気分が悪くなるが、この世界の事に関わる気は無かった。
この世界はリンディ達の世界ではない。例え向かった先の世界で どれだけ巨大な事件が起きようと、その世界の事はその世界の者達に任せる。これが平行世界に渡る前にリンディ達が決めた方針だった。その事が在る為にリンディ達は何が在っても動くつもりは無かった。
そう無かったのだ。しかし、スカリエッティの後に映し出された映像に、リンディ達の心の内で怒りの炎が燃え上がった。
『うわあーん!! いたいよおー! こわいよー!! ママー!! ママ ー!!』
スカリエッティの後に映し出された映像。古代ベルカ最強の兵器である【聖王のゆりかご】とヴィヴィオの真実を叫んでいるスカリエッティ。
そして玉座のようなものに括られ苦痛と恐怖に泣き叫ぶこの世界のヴィヴィオの姿。
此処で一つ説明をしよう。リンディ達に取ってヴィヴィオはとても大切な存在だ。
リンディ、ルイン、クイントにとっては娘の様な存在。なのは、ティアナにしても妹の様に可愛がり、ガブモンやクダモンにとって親友、ギルモンに取っては唯一無二の大切な自身のパートナー、そしてブラックにとっては何時も否定しているが、内心ではとても大切に思っている存在。
それは、例え平行世界で在っても関係ない。ブラック達には三大天使の世界でのヴィヴィオの悲しみに満ちた叫びを聞いた時に決めた事が在る。
“如何なる存在であろうと、ヴィヴィオを傷つけ泣かせた存在は抹消する”
言葉にはしていないが、全員がその思いを心の奥底に宿している。
では、目の前の映像を見たブラック達の思いは一つしか存在しない。
その場に居る全員が無言で動き始め、それぞれ服を着るとホテルの外へと出て行き、何処かへと転移して行った。
“天に死せる王の嘆きが響き渡る時、交わる事無き、異界の者達は怒り狂い、無限の欲望の野望は砕け散る”
ミッド上空に浮かぶアースラ内部での会議室では、先ほどのスカリエッティの演説とヴィヴィオの姿に怒りに燃える機動六課の面々が存在していた。
「皆、わかっとると思うけど、スカリエッティは必ず捕まえるで!」
「うん! 分かっているよ!」
はやての宣言に対して、この世界のなのはは険しい顔をしながら答え、他の面々も同様に頷く。
それぞれスカリエッティの目的を潰すために出撃準備を始めた瞬間に、緊急通信がはやての下に届く。
「ん? ……どないしたんやグリフィス君?」
自身の前のモニターに映った青年-グリフィス・ロウランにはやては質問すると、モニターに映ったグリフィスが焦りに満ちた声で叫ぶ。
『部隊長!! 大変です!! クラナガンに接近しているガジェットの大軍の前に、巨大な謎の生物が全部で三体出現!! 圧倒的な力で次々とクラナガンに接近して来るガジェットを全て塵一つ残さずに消滅させています!!!』
『ッ!?』
グリフィスの報告にはやて達は驚愕しながら顔を見合わせると、グリフィスが自身が見ていた映像をはやて達のところに映すように機械を操作する。
送られて来た映像に、会議室にいた全員がその映像に目を向けてみると、其処には。
『コキュートスブレス!!!!』
『ビフロスト!!!』
『ロイヤルセーバーー!!!!』
クラナガンの街に接近するガジェットの大軍をチリも残さず破壊し続ける、蒼い二足歩行の機械の狼-【メタルガルルモンX】。
全身を赤き鎧で覆った六本足の獣の様な騎士-【スレイプモン】。背中に赤いマントを棚引かせた白き鎧に全身を覆い包み、右手に巨大な槍-聖槍『グラム』を、左手に聖盾『イージス』を装備したデジモン-【デュークモン】の姿が在った。
メタルガルルモンX、世代/究極体、属性/データ種、種族/サイボーグ型、必殺技/コキュートスブレス、ガルルバースト
全身が機械で覆われたガルルモンの最終進化系メタルガルルモンが『X抗体』に寄って未知の力を得た姿。本来は四足方向だが、『X抗体』を得た事に寄って二足歩行に成った上に、左腕に超高速で打ち出すガトリング砲『メタルストーム』が追加装備されている。必殺技は、口から強烈な氷の息を吹き、相手を凍りづけにする『コキュートスブレス』に、全身に搭載されたミサイル兵器やビーム砲をロックオンした相手に一斉に発射する『ガルルバースト』だ。なのはとガブモンの究極進化体。
スレイプモン、世代/究極体、属性/ワクチン種、種族/聖騎士型、必殺技/ビフロスト、オーディンズブレス
セキュリティの最高位『ロイヤルナイツ』に属する聖騎士型デジモン。人型が多い『ロイヤルナイツ』のデジモンの中で獣の姿をした異色の存在。クロンデジゾイドの中で最も硬い『レッドデジゾイド』を鎧として装備し、六本の脚を持って陸海空とあらゆる場所を超高速移動が可能。また、左腕に『聖弩ムスペルヘイム』を右腕に『聖盾ニフルヘイム』を装備している。必殺技は、左手の『聖弩ムスペルヘイム』から灼熱の光矢を放つ『ビフロスト』に、右手の『聖盾ニフルヘイム』で気候を操って超低温のブリザードを発生させる『オーディンズブレス』だ。ティアナとクダモンの究極進化体
デュークモン、世代/究極体、属性/ワクチン種、ウィルス種、種族/聖騎士型、必殺技/ファイナル・エリシオン、ロイヤルセーバー
“四大竜”の一体に数えられる邪竜『メギドラモン』より誕生した聖騎士型デジモン。ロイヤルナイツに所属しており、99.9%の高純度“クロンデジゾイド”を精製して造られた聖鎧を纏い、右手は聖槍『グラム』、左手は聖盾『イージス』になっている。騎士道 を重んじ、主君に対しては忠義の士である。また、世界をも揺るが す混沌の存在へと変貌する危険性を併せ持ち、鎧には危険の象徴『 デジタルハザード』のマークが刻まれている。必殺技は、聖盾『イージス』から強烈な光を放ち、相手を浄化する『ファイナル・エリシオン』に、右手の聖槍『グラム』から、強烈な突きを相手に繰り出す『ロイヤルセーバー』だ。ヴィヴィオとギルモンの究極進化体。
「この程度か? この程度の者達が、例え異世界で在ってもヴィヴィオを傷付けたのか!!」
クラナガンに迫っていた全てのガジェットを破壊し終えたデュークモンは、目の前に存在しているガジェットの残骸を怒りに満ちた瞳で睨んでいた。
デュークモンに取ってヴィヴィオとは自身の絶対の主君で在ると共に、世界よりも大切だと断言出来る唯一無二のパートナー。そのパートナーが平行世界でとは言え、人生を操られ、苦しめられた。
デュークモンに取っては何よりも許し難い。
「赦さんぞ。如何なる理由が奴らに在ろうとも、私は絶対に奴らを赦さん」
そうデュークモンは呟くと、ガジェットの残骸を踏みしめながら 上空に浮かぶ聖王のゆりかごを睨みつける。
その様子を背後で見ていたスレイプモンとメタルガルルモンXが、デュークモンに声を掛ける。
「デュークモンよ。その想いは我らも同じだ」
「僕達だって絶対に連中を赦さない」
「スレイプモン、メタルガルルモンXよ。私はこの世界のヴィヴィオを救いに行く。後は任せたぞ。来い!! 我らが翼!! 【グラニ】よ!!」
スレイプモンとメタルガルルモンXの言葉に答えながら、デュークモンが右手のグラムを空に向けて掲げた瞬間、デュークモンの上空の空間が歪み、その空間の歪みの中から赤い鎧に全身を包み込んだ鳥の形をした物体-【ZERO-ARMS:グラニ】-が姿を現した。
グラニ、世代/不明、属性/不明、種族/不明、必殺技/ドラゴンドライバー、ユゴス
デュークモン専用の騎乗機。その正体は人間が作り出した人工デジタル生体兵器【ZERO-ARMS:グラニ】。デュークモンと融合する事で、デュークモンの真の力を解放する事が出来るデュークモンとヴィヴィオの最強の愛馬。必殺技は、デュークモンを背に乗せながら『グラム』で繰り出す『ドラゴンドライバー』に、対象のデジモンを消去するプログラム球体を放つ『ユゴス』だ。
「ムン!! ……頼むぞ! グラニ!!」
(グラニちゃん!! お願い!! この世界の私の所に連れて行って!!)
ーーーピィィィィィィーーー!!!
デュークモンとデュークモンと融合しているヴィヴィオの叫びに答える様に、グラニは鳴き声の様なものを上げると共にデュークモンをその背に乗せて、上空に浮かぶゆりかごへと音速を超える速さで飛んで行った。
その様子を見ていたスレイプモンとメタルガルルモンXは顔を見合わせ、自分達の行動について話し合う。
「私はクラナガンに居る逃げ延びていない人々を護る為に動こう」
「分かった。なら僕は、地上本部を目指している戦闘機人達を相手にするよ。ブラックさん達はもうあの場所に着いているだろうしね」
「今頃は戦闘が始まっているだろうな。では行くか?」
「そうだね」
スレイプモンの言葉に対してメタルガルルモンXは答えると、スレイプモンはクラナガンの街に向かって、メタルガルルモンXは地上本部に向かって飛び立つのだった。
スカリエッティの研究所内部に在る一室では、突如として現れたデュークモン、スレイプモン、メタルガルルモンXの存在に慌てているスカリエッティ、ウーノ、トーレ、セッテ、セインの姿が在った。
「何なのだ!? あの生物達は!? 数百機以上いたガジェットが全て消滅しただと!?」
「分からないわ! だけど! 一体はゆりかごに、もう一体は地上本部に向かった妹達の下に向かっている!! これは不味いですドクター!!」
トーレの叫びに対してウーノはコンソールを弄りながら叫び、スカリエッティに向かって叫ぶと、スカリエッティは深刻さに満ちた顔をしながら頷き、ウーノに顔を向ける。
「ウーノ。すぐにゆりかご内部に居るクアットロとディエチに連絡を取り、ゆりかごの防衛を強化したまえ! あの生物を絶対にゆりかご内部に入れてはいけない!」
「了解です!!」
スカリエッティの命令に対してウーノは即座に頷き、ゆりかご内 部に居るクアットロに連絡を取り始めた。
その様子を黙って見ていたセインは何気なく研究所内部を映して いるモニターに目を向け、驚愕に目を見開く。
「ドクター!!! ウーノ姉! トーレ姉!! セッテ!!」
「如何したセイン?」
セインの叫びに対してトーレは険しい声を出しながら質問すると、 セインは自身が見ていたモニターを指差し、全員が疑問の表情を浮 かべてモニターを目を向けた瞬間に全員の表情が驚愕に染まった。
何故ならばモニターにはアジトを護っていた筈の無数のガジェッ トの残骸に、アジトに侵入しようとしたと思われる緑髪の男-ヴェロッサ・アコーズ-と聖王教会のシスター-シャッハ・ヌエラ-を踏みつけている金色の髪に、漆黒の体を機械的な鎧で覆い、背中に二つのバーニアを兼ね備えた漆黒の竜人-【ブラックウォーグレイモンX】-の姿が映し出されていたのだ。
『見ているな? 貴様らもすぐにこうなる。お前達は一人残らず、再起不能だ』
そう告げるブラックウォーグレイモンXの静かな声に、今まで一度も恐怖を感じた事が無い筈のスカリエッティが恐怖を覚え、ウー ノ、トーレ、セッテ、セインも恐怖に体を震わせるのだった。
中編は23日の0時に投稿いたします。