FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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第95話 エンジェルVS………!?

ハルトがエンジェルの罠に嵌り、動けなくなってしまい、マタムネを逃がそうとするが、突然マタムネが叫んだ。

 

「もう無理!!限界でごじゃる!!!」

 

「ど、どうしたんだゾ?」

 

マタムネは荒い息で叫びんで、流石のエンジェルも動揺を隠せない。

 

「この前のファンタジアで女性たちにゴミやら物を投げられて流石に大人しくしていなきゃいけないと思ったでごじゃるが、もう我慢の限界でごじゃる!!!」

 

(あ、あいつ……今回大人しいなって…思ってたけどそれでか)

 

ハルトは乗り物酔いで気持ち悪そうにしながらもマタムネの言っていることに気づいた。

確かに今回はいつものセクハラが少ないように感じたのだが、その理由がファンタジアの最中にそんなことがあったとは気づかなかった。

 

「ま…マタ……ムネ」

 

「今回だってギリギリ我慢しようと思ったでごじゃる!シェリー殿みたいなキャバ嬢っぽい服着て胸元がチラつこうが我慢したでごじゃる!!だけどもう無理でごじゃる……!!だって……!!!」

 

マタムネはエンジェル、もといエンジェルのだいぶ解放的な胸元を指す。

 

「明らかに誘っているでごじゃる!!!」

 

「誘っていないゾ!!!」

 

エンジェルは手で胸元を隠して、少し顔を赤くする。

自分でその格好しといてマタムネに言われて恥ずかしいらしい。

 

「マタムネ……俺をここから……下ろしてくれ」

 

「あとでやるでごじゃるから待つでごじゃる」

 

「この……アホネコ……うう……」

 

マタムネは仲間の窮地より自分の欲望が優先らしく、ハルトは苦しそうに呻きながらマタムネに罵声を浴びせた。

 

「まったくとんでもないネコだゾ。開け。彫刻具宮の扉、カエルム」

 

エンジェルは少し呆れながらカエルムを召喚し、さっさと終わらせようとする。

カエルムは砲台形態になり、マタムネを狙う。

しかし今のマタムネは普通のマタムネではない。

長い間(本当はほんの数日)、欲望を押さえつけられたマタムネが欲望を解放し、通常の3倍動けるのだ。

 

「フハハハー!!!今のせっしゃには当たらないでごじゃる!!!」

 

「ウソ!?」

 

カエルムの砲撃をマタムネは余裕でかわす。

そしてマタムネの目にはエンジェルの胸しか写っていない。

 

「クッ!!カエルム!!!」

 

エンジェルがカエルムに声をかけるとカエルムの砲台が連射式の砲台に変わる。

 

「マタム……ネ」

 

「撃て!!」

 

エンジェルの合図でカエルムから砲撃が連射で放たれる。

エンジェルもこの連射ならマタムネを捉えられると思ったが、マタムネは残像を作りながらカエルムの弾幕をかわす。

 

「はあっ!?」

 

「フヘヘヘヘ……!!」

 

エンジェルはありえない動きに驚き、マタムネの口から涎が滴る。

もはやどっちが悪人かわからない。

 

「クソ!!ならこれならどうだゾ!!!開け!双子宮の扉!!ジェミニ!!!」

 

「「ピーリ、ピーリ!」」

 

「ジェミニ!あの女に変身だゾ!!」

 

「りょうかーい」 「わかったよ」

 

ジェミニは煙に包まれ、そこからルーシィが現れた。

しかもそのルーシィは胸元がはだけて、煽情的だ。

 

「マタムネぇ〜あたしのおっぱい触ってぇ♡」

 

偽ルーシィが胸を持ち上げてマタムネを誘う。

これならマタムネも誘われて偽ルーシィの胸に飛び込み、その時に倒そうとエンジェルは考えた。

しかし……

 

「偽チチに用はごじゃらん!!!」

 

「いたっーー!!!」

 

マタムネは偽ルーシィの頭を愛刀 魂平刀で叩く。

偽ルーシィ、もといジェミニはマタムネに叩かれて星霊界に帰ってしまった。

エンジェルはその隙にイカダから飛び退いて対岸に降り立つ。

 

「せっしゃが欲しいの偽チチではごじゃらん!!オッパイでごじゃる!!オッパイ!!!わからんでごじゃるか!!?」

 

「マタムネ……俺を…イカダから……」

 

「今いいところだからちょっと待つでごじゃる!!」

 

偽チチを見せられてかマタムネがブチギレており、ハルトは何故か怒られた。

 

「お、お前……やっぱり……アホ……ガクっ……」

 

「ジェミニがやられるなんて……とんでもないエロネコだぞ。ならコイツだゾ!開け!天蠍宮の扉!!スコーピオン!!」

 

「ウィーアー!!!」

 

蠍の尻尾を元にした巨大な銃を持つ褐色の男が現れた。

彼は黄道十二門の1人、天蠍宮の星霊スコーピオンである。

 

「スコーピオン!!あのネコをやっつけるんだゾ!!」

 

「OK!!くらいな!!サンドバスター!!!」

 

「のわああああぁぁぁっ!!!」

 

スコーピオンの尻尾の銃から砂嵐が発射されマタムネに直撃する。

 

「ふう…やっと始末できたゾ」

 

エンジェルが一息ついた瞬間、スコーピオンは信じられないものを見た。

 

「なあ!!?」

 

「ぬおおおおおっ!!!」

 

スコーピオンのサンドバスターをマタムネは突き抜けてきたのだ。

しかもそのスピードはどんどん早くなってくる。

欲望がマタムネに更なる力を与えているのだ。

 

「覚悟でごじゃるうぅぅっ!!!」

 

サンドバスターから抜け出したマタムネは魂平刀を振り上げ、スコーピオンに攻撃しようとし、スコーピオンは腕を上げて防ぐが、衝撃がこないので目を開けるとそこにはマタムネがいなかった。

 

「どこに……?」

 

「ここでごじゃる!!とりゃああぁぁぁっ!!!」

 

「あぐはあっ!!!?」

 

マタムネの声とともにスコーピオンの肛門に凄まじい衝撃と痛みが走った。

マタムネはスコーピオンが防御した隙に後ろに回り込み、肛門に魂平刀を突き刺したのだ。

相変わらずやることがえげつない。

 

「ぐお…おぉおぉぉ……」

 

スコーピオンは尻を押さえながら星霊界に帰っていった。

 

「ちょ、ちょっと!スコーピオン!!」

 

エンジェルは1人残されて焦る。

 

「ぐへへへ〜、追い詰めたでごじゃるぅ!」

 

「イヤ!来るなだゾ!!」

 

(なんでだ……マタムネのことを素直に応援できない……)

 

ついにマタムネに追い詰められたエンジェル。

恐怖でエンジェルは足元の根っこに気づかず、つまづいて尻餅をついてしまう。

 

「キャッ!!」

 

「今でごじゃる!!!」

 

倒れた瞬間にマタムネはエンジェルの胸に抱きついた。

 

「ちょっ…ちょっと!離れるんだゾ!!」

 

「むふー、エンジェル殿の胸は張りがあってムチムチ系でごじゃるな。ルーシィ殿の柔らかいモチモチ系のオッパイと違ってこれもいいでごじゃるぅ〜」

 

「あっ…!どこ触ってるんだゾ!!んっ…!やん!」

 

マタムネはエンジェルの胸を存分に味わうため動き回る。

 

「それにこの服でごじゃる!!もうエロスの塊でごじゃるな!!たまらんでごじゃる!!」

 

「人の…!!んぅ…!服を勝手にぃ……!!あんっ…!エロいとかぁ…!言うなだゾ!!んんっ!!」

 

エンジェルはマタムネの不規則な動きに淡い快感が走ってしまい、エンジェルの動きは鈍い。

それを見逃さないゲスいマタムネはさらに高速に動きまくった。

 

「トドメでごじゃるうぅぅっ!!!」

 

「ダメ〜〜〜〜〜〜!!!!」

 

エンジェルの叫び声が樹海に響き渡った。

 

 

そのころナツたちはエルザが待つ樹海を走っていたが、地図もなくどこに向かって走ればいいかわからなくなっていた。

 

「くっそー〜!今どこ走ってんだ?」

 

「ええ!?わかってて走ってたんじゃないんですか!!?」

 

ナツのまさかの言葉にウェンディを背負っているレインは疲れた様子で驚いた。

 

「レイン、俺がウェンディを運ぼうか?辛えだろ」

 

ウェンディとレインの体格はほぼ同じで、しかもレインはどちらかと言うと華奢な体つきだ。

辛いと思ったナツはそう提案するがレインは覚悟を決めた目でナツを見て断った。

 

「いえ、大丈夫です!ウェンディは僕の大切な仲間なんです!最後までやり遂げてみせます!」

 

ナツはレインの真剣な目を見て、笑った。

 

「そっか!なら頼んだぜ!!」

 

「はい!!」

 

するとナツとレインの頭に突然声が聞こえた。

 

〈ナツ君、みんな、聞こえるかい?〉

 

「!」

 

「これは……」

 

〈僕だ……青い天馬ブルーペガサスのヒビキだ。よかった……誰も繋がらないから焦ってたんだ〉

 

「どこだ!?」

 

〈静かに!!敵の中におそろしく耳のいい奴がいる。僕たちの会話は筒抜けている可能性がある。だから君たちの頭に直接語りかけてるんだ〉

 

「ヒビキさん。ウェンディたちを救出しました」

 

〈よかった!!さすがだよ。これからこの場所までの地図を君たちの頭にアップロードする。急いで戻ってきてくれ〉

 

「アップロード? それって……」

 

レインがそう問い掛けようとすると、その場にいた全員の頭に情報が流れ込んできた。

 

「おおっ!!?何だ何だ!!?」

 

「スゴイです…まるで元から居場所を知ってたみたいだ…」

 

〈ハハッ、これが僕の魔法、情報圧縮魔法『古文書(アーカイブ)』だよ。人に口より早く情報を教えられるんだ〉

 

「とにかくこの頭の中のところに行けばいいんだな!行くぞレイン!!」

 

「はい!!」

 

〈急いで、みんな〉

 

こうして、ナツたちはヒビキの魔法によって頭に流れ込んできた情報を頼りに、エルザたちのもとへと急いで行った。

 

 

 

「ふう〜!いい汗かいたでごじゃる!!」

 

マタムネは額から流れる汗を拭い、いい笑顔でそう言った。

その後ろでは服が崩れたエンジェルが顔を赤くし、息を荒くして、仰向けで倒れていた。

呼吸をする度に形のいいオッパイが揺れている。

 

「マ…マタ……ムネ、早く……」

 

「もう〜せっかちでごじゃるなぁ。慌てなくても助けるでごじゃるよ」

 

「そう……じゃ…なく……て……うし……ろ……」

 

「後ろ?」

 

ハルトが気持ち悪そうにしながらもマタムネの後ろを指差し、マタムネがそれにつられて後ろを向くと、

 

「覚悟するんだゾ」

 

「ウィーアー」

 

胸元抑えて怖い顔をしたエンジェルと抑揚がない声でいつもの決め台詞を言うスコーピオンがいた。

 

「……………ヤバイでごじゃるな!!」

 

樹海にネコの絶叫が響き渡った。

 

「うぅ………」

 

マタムネは顔をボコボコにされ簀巻きの逆さ吊りにされてしまったが、何故だか可哀想と思えない。

 

「ふう、スッキリしたゾ」

 

「エンジェル、俺は星霊界に帰らせてもらうぜ」

 

スコーピオンが尻を押さえながらそう言う。

まだ痛いようだ。

 

「わかったゾ〜」

 

スコーピオンが星霊界に帰るのを確認すると、エンジェルは今だに身動きが取れないハルトのほうを振り向く。

 

「さて、と……邪魔者も居なくなったし、これからお楽しみだゾ♪」

 

エンジェルは唇をペロリとひと舐めしてハルトを誘惑してくるが、ハルトは乗り物酔いの気持ち悪さでそれどころではなかった。

 

「ぐふ……気持ち悪い……」

 

「私のことじゃないってわかってるけどちょっと傷つくゾ……」

 

エンジェルは川に入ってハルトが乗っているイカダに近づいていく。

 

「あのネコ、気持ち悪かったけどなかなか良かったゾ。ちょっと体が火照っちゃったゾ♡」

 

「なら……水浴び……でも……すれば……いいだろ……が……」

 

「そういうことじゃないのに、誤魔化して可愛いゾ♡」

 

エンジェルはイカダに乗り、ハルトを仰向けにして、シャツの下に手を入れる。

 

「ぐ…ふっ……」

 

「我慢しなくてもいいんだゾ♪もっと素直になっても……」

 

エンジェルの手が腹から胸へと少しずつ上がっていく。

手つきは滑らかで少し、くすぐったさを感じてしまう。

 

(くそっ……力が入らねえ……!!)

 

拳に力を入れようにも力が入らない。

 

「……の前に、お仕事をするゾ。開け双子宮の扉、ジェミニ」

 

エンジェルがジェミニを呼ぶとジェミニの額に絆創膏が張られていた。

 

「「ピーリ、ピーリ」」

 

「あのネコどうしたの?」

 

「まだいるの?」

 

「あそこだゾ」

 

エンジェルが指さす方向にいるマタムネを見つけるとジェミニはそこらへんにあった枝や木の実を顔の穴全てに刺していった。

 

「ムガー!!(何するでごじゃるー!!)」

 

「さっきの仕返しだよー」

 

「仕返し、仕返しー」

 

「ハイハイ、お遊びはそこまでにして記憶を覗くゾ」

 

「でもこの人魔力、エンジェルよりだいぶ高いよ?」

 

「自分より魔力高い人には変身できないよ?」

 

ジェミニの能力は変身。

変身したあいての記憶、情報、能力を全て扱えるようになるのだ。

しかし、その相手が自分より魔力が低い者に限られる。

 

「大丈夫だぞ。記憶を覗くだけなら変身しなくていけるゾ」

 

「あれ疲れるよー」

 

「やだなー」

 

「文句言わないゾ。それじゃあ、やるぞ」

 

エンジェルとジェミニはハルトの頭に手を乗せて、目を瞑り集中する。

するとエンジェルの頭に記憶が流れ込んで来る。

 

ボスコで過ごした幼少期

 

妖精の尻尾に入った時期

 

ラクサス、カミナと過ごした時期

 

そしてエンジェルが見たい記憶がやっと見えてきた。

 

「見つけたゾ」

 

エミリアとの出会いの記憶

 

エミリアと共に戦った記憶

 

エミリアと愛し合った記憶

 

そして……エミリアを手にかけた記憶

 

「よ…よせ……!!」

 

ハルトは苦しそうにもがくがエンジェルの手は離れない。

そしてエンジェルがエミリアに関する記憶の中でもとくに注意して見ていたのが、エミリアの持つ金と銀の二色の色を持つ星霊の鍵だった。

そしてその鍵はエミリアと共に埋葬されていったのを最後に見なくなった。

 

「とうとう見つけたゾ……!!オリオンの鍵!!」

 

エンジェルは興奮したようにそう言いながらハルトの記憶を覗いているとあることに気づいた。

最近の記憶ではある少女がハルトの記憶に何度も出ていた。

その少女はルーシィだった。

それを確認するとエンジェルはハルトの頭から手を離した。

 

「ふーん。あの子がお気に入りなんだ?」

 

「ハア……ハア……クソ……」

 

「じゃ僕たち帰るね」

 

「お疲れー」

 

エンジェルはつまらなさそうにハルトを見ると、突然顔を近づけてキスをした。

 

「んっ」

 

「!!」

 

「んう……ぷはっ」

 

「……何しやがる」

 

「別にだゾ……ねえ、ハルト。もしルーシィを殺したら……ハルトはどうなるかな?」

 

「そんなこと……してみろ……タダじゃおかないぞ……!!」

 

ハルトは苦しそうにしながらもエンジェルをあらん限りの力で睨む。

しかし、エンジェルはそれを見てとても嬉しそうだ。

 

「やっぱり、その時のハルトが一番カッコイイゾ。興奮しちゃう♡

………4年前のオルレアンの内戦を思い出すゾ」

 

エンジェルはハルトに跨り、シャツを切り裂く。

そこには鍛えられたハルトの体が露わになり、エンジェルはハルトの体に頬ずりをし、舐めようとしたが視線に気づいた。

視線の出所は穴に色々と詰められたマタムネがエンジェルたちを凝視していた。

 

「………」

 

「べ、別に見てないでごじゃる!!さあ、早く続きを!!」

 

マタムネは目が血走りながらも凝視し、エンジェルはジト目で睨む。

 

「ンーーーー!!!?」

 

「これでよしだゾ♪」

 

エンジェルはマタムネの目と口を布で閉じた。

 

「これで邪魔者はいなくなったゾ♡それじゃあ……楽しむゾ♡」

 

「…………くそ」

 

水面に浮かぶエンジェルの影はハルトの影は一つになる。

 

(ふふふ……せっしゃにかかれば目を閉じていられようが音だけで状況がわかるでごじゃ……ってそんなことまでするでごじゃるか!?す、すごいでごじゃるー!!)

 

マタムネの鼻から赤い線が流れ出た。

 

 




オルレアンの内戦……5年前に起こった内戦。貴族間での内戦で多くの被害が出た。裏で闇ギルドが手を引いている噂もあった。

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