FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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第90話 ウェンディとレイン

青髪ロングの少女、ウェンディ。

水色セミロングの髪を後ろで纏めて、自分の身の丈以上の槍を背負っているレイン、2人は同い年くらいで背丈も似ている。

この2人が化猫の宿の魔導士である。

2人ともどこか緊張した表情だ。

 

「女!!?」

 

「子供!!?」

 

「ウェンディ……レイン……」

 

全員が予想していた人物と違うのか呆然としてしまうなか、ジュラが口を開いた。

 

「これで全てのギルドが揃った」

 

「話進めるのかよっ!!」

 

「この大掛かりな討伐作戦にお子様2人をよこすなんて……化猫の宿は何を考えいるのかしら!」

 

シェリーが少し不満そうにそう言うとまた新たな声が聞こえてくる。

 

「あら、1人じゃないわよ。ケバいおばさん」

 

そこにはハッピー、マタムネと似たドレスを着た白い猫と同じくドレスを着たミント色の毛並みの猫が立っていた。

 

「シャルル!付いて着たの!?」

 

「ミントも!!」

 

ウェンディとレインが驚く。

 

「当然よ。アナタ達2人じゃ不安でしょうがないもの」

 

「アタシは楽しそうだからきたんだぁ」

 

「全くアンタは能天気ね!」

 

シャルルはどこかきつそうな性格をしており、その反対にミントは間延びした声で朗らかな性格をしている印象がある。

 

「!!」

 

その瞬間ハッピーの心臓に衝撃が走った。

ハッピーは胸がドキドキしながらシャルルを見つめるが、シャルルは素っ気なくそっぽを向く。

それでもハッピーは諦めずにルーシィに頼み込む。

 

「ねえルーシィ。あのコにオイラの魚あげてきて」

 

「ダメよー、きっかけは自分で作らなきゃ」

 

ルーシィはハッピーにそう言い、ハッピーは恥ずかしそうにモジモジしだすが、その隣でマタムネは黙ってシャルルとミントを眺めていた。

ルーシィはハッピーと全く違う反応なので聞いてみた。

 

「マタムネはなんとも思わないの?」

 

「何をでごじゃる?」

 

「いや……かわいいとか」

 

「胸がないから論外でごじゃる」

 

「………あっ、そう」

 

そういえばこいつ、こんな奴だったなとルーシィは改めて軽蔑した。

 

「あ、あの…私…戦闘は全然できませんけど……みなさんの役に立つサポートの魔法いっぱい使えます……だから仲間はずれにしないでください〜!」

 

「あの!僕が戦闘用の魔法使えるのでウェンディの分まで頑張ります!!」

 

ウェンディが不安そうにしながら最後には泣きそうになってそう言い、レインがそれを庇うように気合が入った声で言うと、エルザが微笑みながら2人の前に出てくる。

 

「すまんな……少々驚いたが、そんなつもりは毛頭ない。よろしく頼むぞ。ウェンディ、レイン」

 

「うわぁ…レイン!本物のエルザさんだよ!」

 

「うん!カッコいいなぁ!」

 

「思ったよりいい女ね」

 

そこに便乗してハッピーもシャルルに自己紹介をする。

 

「オ…オイラのこと知ってる?ネコマンダーのハッピー!」

 

しかしシャルルは見向きもせず、そっぽを向く。

 

「てれてる…かわいい〜!」

 

「相手にされていないだけじゃないでごじゃろうか?」

 

「シャルルも無愛想だよね〜」

 

「……なんでこっちに来たでごじゃる?」

 

ハッピーはシャルルの態度に勘違いし、マタムネがそれにつっこむとミントがマタムネに話しかけていた。

 

「あの娘たち……将来美人になるぞ」

 

「いまでも十分かわいいよ」

 

「さあ、お嬢さんたち……こちらへ……」

 

「え、あの……」

 

「えっと僕は……」

 

ヒビキはさっそくエルザのようにソファに座らせて、もてなそうと誘導するが、ソファに目を向けるとそこにハルトが上を向いて座っていた。

 

「おっかないお兄さんが座ってるからあっちに行こうか?」

 

「おい、聞こえてるぞ」

 

ハルトがヒビキを睨むと、レインが途端に笑顔になってハルトに近づき、緊張した表情でハルトに話しかける。

 

「あ、あの!ハルト・アーウェングスさんですよね!!?」

 

「そうだけど……」

 

「覇王のハルトさんなんですよね!!」

 

「うぐっ……久しぶりにハイじゃない状態で聞くと結構くるな……そうだよ。俺が覇王って呼ばれてるハルトだ」

 

「うわぁっ!!僕、ハルトさんの大ファンなんです!!」

 

「えぇっ!?」

 

「ハルトのファン?」

 

「よかったな〜覇王のハルトさんよ」

 

「からかうなグレイ」

 

皆が少し驚き、グレイは意地悪そうな笑みを浮かべてハルトをからかう。

 

「僕、週刊ソーサラーでハルトさんの活躍全部知ってるんです!!特に好きなのが魔獣百体に一歩も動かずに倒したことなんです!!」

 

「だいぶ昔のことだな……6年前だぞ」

 

レインが興奮したようにハルトに話しかけていると、ヒビキがレインの肩に手を乗せる。

 

「レインちゃん。話すなら僕たちも一緒にいいかな?君みたいな可憐な少女を立たせたままなんて僕は辛いよ。怖いお兄さんの隣じゃなくて僕の隣に座って話したらどうかな?」

 

ヒビキがレインにそう優しく話しかける。

まさに女性がキュンキュンしそうな言葉だが、レインはキョトンとし、ハルトは少しイラついた。

 

「お前、俺のことどう思ってるだよ。……てか、そいつ男だぞ」

 

ハルトはレインを指差してそう言うと、全員がキョトンとし、絶叫を上げた。

 

『ハァ〜〜ッ!!?』

 

「嘘!?だって女の子にしか見えないじゃないか!!」

 

「いや、だって男の匂いがするしな。なぁナツ?」

 

「おう。レインは男だぞ」

 

ナツも首を縦に振って同意すると、ヒビキは膝から崩れ落ちる。

 

「そんな……僕の女性センサーが狂うなんてッ……!!」

 

「ヒビキの女性を見抜く目に自信持ってたからな」

 

「僕たちもボーイッシュな子だと思ってたもんね」

 

「あたしより肌がきめ細かい……」

 

「髪なんてすごくサラサラですわ」

 

「えっ、いや、あの……」

 

ヒビキは落ち込み、レンとイヴは落ち込むヒビキを哀れな奴と思いながら見ており、ルーシィとシェリーは今だに信じられないとレインに近づき、肌や髪を触りまくる。

 

「や、やめ……ひゃっ……!」

 

声なんかも女の子みたいに高く、ルーシィたちにあっちこっちを触られるレインはどこかいやらしく見えた。

するとウェンディが少し怒った様子でレインの腕を掴んで引っ張った。

 

「もう!レイン!いつまで触られてるの!!」

 

「ご、ごめんウェンディ……」

 

ウェンディが怒るとレインはシュンとしてしまうが、その仕草がどうしても女の子に見えてしまう。

 

「ねえマタムネ……レインって本当に男の子なの?」

 

「男でごじゃるよ。せっしゃのおっぱいセンサーに反応しないでごじゃるからな。ついでに言うとウェンディ殿もおっぱいセンサーが反応しないでごじゃるから男でごじゃる!!」

 

「ウェンディは女よ!!」

 

「ぐへっ!」

 

「いいな〜……」

 

「あははぁ〜おもしろいね〜」

 

ルーシィが女好きのマタムネに確認すると強気でそう答え、さらにはウェンディも男だと言うがシャルルに蹴りを入れられて、否定される。

それを見て、シャルルに恋するハッピーは羨ましそうに呟き、ミントは面白そうに見ている。

 

「あの娘たち……なんてパルファムだ。ただ者ではないな……」

 

「一夜殿も気づいたか……あれはワシらとは違う魔力だ。ハルト殿、エルザ殿も気づいているようだが」

 

「さ、さすが……」

 

「それにあの槍……まさかあの……?」

 

ジュラはレインが背中に引っさげている槍を注意深く見ていた。

 

「ウェンディ…レイン……」

 

「どうしたナツ?」

 

ナツはウェンディとレインの名前を聞くと何か悩む仕草で考え込む。

 

「どこかで聞いたことがあるような無いような……う〜ん……思い出させてくれねえか?」

 

「知るかー!!」

 

ナツの無茶振りにグレイが吠えるがナツはやっぱり釈然としない表情だった。

 

「さて、全員が揃ったようなので私の方から作戦の説明をしよう………と、その前にトイレのパルファムを」

 

「オイ!そこにはパルファムをつけるなよ!!」

 

一夜は漏れそうなのか小走りでトイレに駆け込んで行った。

 

 

トイレのパルファムが終わり、ようやく説明が始まる。

 

「ここから北へ行くとワース樹海が広がっている。古代人たちはその樹海に、ある強大な魔法を封印した。その名は、『ニルヴァーナ』」

 

「?」

 

「ニルヴァーナ?」

 

「聞かぬ魔法だ」

 

「ジュラさんは知ってますか?」

 

「いや……知らんな」

 

ニルヴァーナの名前に、ほぼ全員が首を傾げる。

 

「古代人たちが封印するほどの破壊魔法という事だけはわかっているが……」

 

「どんな魔法かはわかっていないんだ」

 

「六魔将軍が樹海に集結したのはきっと、ニルヴァーナを手に入れる為なんだ」

 

「我々はそれを阻止するため、六魔将軍を討つ!!!!」

 

天馬のメンバーがそう語気を強めて言う。

 

「こっちは14人、敵は6人。だけどあなどっちゃいけない。この6人がまたとんでもなく強いんだ」

 

そう言うと、ヒビキは魔法を展開して、敵の顔写真を空中に映し出す

 

 

「毒蛇を使う魔導士『コブラ』。その名からしてスピード系の魔法を使うと思われる『レーサー』。天眼てんげんの『ホットアイ』。心を覗けるという女『エンジェル』。この男は情報は少ないのだが『ミッドナイト』と呼ばれている。そして奴等の司令塔『ブレイン』」

 

それぞれの顔写真を見せながら説明するヒビキ。

全員がどこか邪悪なものを感じさせる顔だった。

 

「あ…あの……あたしは頭数に入れないでほしいんだけど……」

 

「私も戦うのは苦手です」

 

「アンタはしっかりしなさい!!」

 

「ウェンディ!僕が守るから!!」

 

ルーシィが弱々しく手を挙げて、弱音を吐き、ウェンディも自信がなく、レインとシャルルがフォローする。

 

「安心したまえ、我々の作戦は戦闘だけにあらず。奴等の拠点を見つけてくれればいい」

 

「拠点?」

 

「今はまだ奴等を補足していないが、樹海には奴等の仮説拠点があると推測される。もし可能なら、奴等全員をその拠点に集めて欲しい」

 

「どうやって?」

 

「殴ってに決まってんだろ!!」

 

「結局暴れんのかよ」

 

「集めてどうするのだ?」

 

エルザがそう聞くと一夜は天高く空を指差し、大声で宣言する。

 

「我がギルドが大陸に誇る天馬、クリスティーナで拠点もろとも葬り去る!!!」

 

「おおっ!!

 

「天馬が持つと言われている、あの魔導爆撃艇!?」

 

クリスティーナの存在に全員が驚愕する。

 

「てか……人間相手にそこまでやる?」

 

「そういう相手なのだ。よいか……戦闘になっても決して一人で戦ってはいかん。敵一人に対して、必ず二人以上でやるんだ」

 

ジュラのその言葉を聞いて、ルーシィの顔からサァーっと血の気が失せる。

それを聞いたナツは手から炎を滾らせ、闘争心を高める。

 

「おしっ!燃えてきたぞ!!6人まとめてオレが相手してやらァーー!!!!」

 

ナツは扉から出ずに壁をぶち破ってワース樹海に走っていった。

 

「おい!ナツ!!」

 

「作戦聞いてねーだろ!!!」

 

ハルトとグレイがそう言うがナツはそれを聞かず、走っていってしまった。

 

「仕方ない、行くぞ」

 

「うえ~」

 

「たくっ!あのバカ!!」

 

エルザを筆頭に妖精の尻尾のメンバーもワース樹海に向かう。

 

「妖精の尻尾には負けられんな。行くぞシェリー」

 

「はい!!」

 

「リオン!シェリー!!」

 

ジュラが呼び止めるがリオンとシェリー、蛇姫の鱗もワース樹海に向かう。

 

「オレたちも行くぞ!!」

 

「うん!!」

 

「エンジェルかぁ♪」

 

それに続いて、レン、イヴ、ヒビキ、青い天馬も走る。

 

「あわわわ……」

 

ウェンディがどうすればいいか分からず、固まっているとハッピーがカッコよく見せる。

 

「大丈夫!!オイラがついてるよ!!」

 

しかし……

 

「なにやってんの!!私たちも行くわよ!!」

 

「わっ!わっ!」

 

「ミント!僕たちも行こう!!」

 

「おーけー」

 

誰も見向きもせず、走って行ってしまい、ハッピーが固まっているとマタムネがハッピーの肩に手を乗せ、ドンマイと言った顔でハッピーを見た。

 

「あ!待ってよ〜!!」

 

「せっしゃもいくでごじゃる!!」

 

慌てて、ハッピーとマタムネもみんなを追いかけていった。

結局別荘に残ったのはハルト、ジュラ、一夜だけになった。

 

「あいつら……」

 

「やれやれ」

 

「メェーン」

 

「なにはともあれ、作戦開始だな。我々も行くとしよう」

 

「その前にジュラさん」

 

ハルトたちも移動しようとすると一夜が止めた。

 

「かの聖十大魔道の一人と聞いていますが……その実力はマスターマカロフにも匹敵するので?」

 

「滅相もない。聖十の称号は評議会が決めるもの。ワシなどは末席、同じ称号を持っていてもマスターマカロフと比べられたら天と地ほどの差があるよ」

 

「ほう……それを聞いて安心しました。マカロフと同じ強さだったらどうしようと思いまして」

 

怪訝なことを言う一夜にジュラが怪しんだ瞬間、ハルトが一夜を蹴り飛ばした。

 

「ぐっ!!?」

 

「ハルト殿!?なにを……!!」

 

ジュラがハルトの突然の行動に驚くと、ハルトは一夜を蹴り飛ばした時に一夜の手から落ちた試験管を拾う。

 

「pain……痛みを与えるパルファムか」

 

「ハルト殿!いきなりなにをなさるのですか!!」

 

詰め寄るジュラにハルトは拾った試験管をジュラに見せて渡す。

 

「これは?」

 

「一夜のパルファムだよ。嗅いだ相手に痛みを与えるな。これを俺たちに使おうとしてたからよ、止めたんだ」

 

「なんと!?しかしなぜワシらに……?」

 

「そりゃあ、俺たちに消えて欲しいからじゃねえか?なあ、一夜?いや……一夜に化けてる星霊!!」

 

ハルトが蹴り飛ばされた一夜に向かって、そう言うと一夜はゆっくりと立ち上がる。

しかしその目は怪しく光っていた。

 

「なーんだ。バレてたんだ」

 

「驚きだねー」

 

一夜の声が明らかに一夜のものではなく、幼い子供2人の声だった。

すると一夜の姿から二体の小人のような姿になった。

 

「あれは!!」

 

「ジェミニか」

 

「正解だゾ」

 

すると奥から女性の声が聞こえ、そっちを向くと際どい服を着た女性が立っていた。

 

「エンジェル」

 

「またまた正解だゾ」

 

現れた女は六魔将軍の1人、エンジェルだった。

 

「なんで一夜の偽物ってわかったんだゾ?」

 

「俺の鼻は敏感でな、特に魔法の匂いにはな。星霊の匂いがプンプンしたぜ」

 

「ふーん、なるほどだゾ」

 

「一人で来るとは随分と舐められたものだ。ハルト殿のここは一緒に……」

 

「無駄だ」

 

「何故です!?」

 

「そいつは思念体だ」

 

「それもせーかいだゾ♪」

 

するとエンジェルの姿がブレたように歪む。

 

「なんと……」

 

「こんなところに1人でノコノコと来るわけないゾ。ジェミニ」

 

エンジェルがジェミニを呼ぶといつのまにかボロボロの一夜を引きずってきた。

 

「メェーン……」

 

「この男ダメだね」

 

「エロいことしか考えてないね」

 

「一夜殿!!」

 

「チッ!人質か」

 

するとエンジェルの口から意外な言葉が出る。

 

「こんな奴人質になんて使わないゾ」

 

そう言ってジェミニは一夜をハルトに投げ飛ばす。

 

「イケっ!メェーン……!」

 

「一夜殿!無事か!!」

 

「なんのこれしき……メェーン」

 

「さあ、どうするんだ?思念体じゃ何もできねえだろ」

 

するとエンジェルはわざとらしく少し考える素振りを見せて、何か思いついたように手を叩く。

 

「そーだゾ!お前ら全員、死んでもらうゾ♪」

 

ハルトたちはエンジェルが何を言っているかわからなかったが、ジェミニが何かを運んできた。

ハルトはそれに見覚えがあった。

 

「それは……!!」

 

「とある錬金魔導士が作った魔導核爆弾。爆発すれば内側に吸い込まれて跡形もなくなる。これで終わりだゾ」

 

それはカルバートがコアを破壊する際に作った爆弾と同じもので、カルバートは資金を得るために色々なところに武器を売っていた。

 

「あの野郎……!!」

 

「じゃっ、バイバーイ♪」

 

エンジェルの思念体は消え、ジェミニも星霊界に帰っていき消えてしまった。

それと同時にジェミニが抱えていた爆弾を落とした。

 

「しまっ………!!!」

 

マスターボブの別荘は爆発を起こし、内側に吸い込まれ音も跡形もなくなくなってしまった。

 




レイン・シーレン

容姿 中性的な顔でよく少女と間違えられる。
髪は水色で後ろで纏めている。
解けばセミロングになり、余計女子度が上がる。

服装 青色基調に白色が入っているパーカーと短パン。

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