FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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第83話 覇王VS雷神

向き合うハルトとラクサス。

ハルトはラクサスを睨み、ラクサスは凶悪な笑みを浮かべてハルトを見る。

 

「ウオオォォォォッ!!!ラクサース!!!」

 

そこにナツも現れた。

 

「あれ?ハルトが先に来てたのか!!」

 

「ナツも来たのか。だが先にハルトだ」

 

「待てやラクサス!!俺と戦え!!」

 

ナツがラクサスに指差し、そう言うがラクサスは見向きもしない。

 

「ナツ、エルザを頼む」

 

「待てよ!俺が先に戦うって……っ!!」

 

ナツがハルトに文句を言おうとするがハルトの顔を見て、言葉を途中で止めてしまう。

 

「頼む」

 

ハルトはまっすぐラクサスを見ており、その目には怒りがこもっていた。

長年一緒にいるナツでもこんなハルトを見たことがなかった。

ハルトはラクサスに向かって歩くと、ラクサスもエルザを端に蹴り飛ばしハルトに向かって歩く。

やがて二人はお互い目の前の位置で止まった。

 

「ラクサス。今すぐ神鳴殿を止めろ」

 

「つまらないこと言うなよハルト。ゲームにはルールが付き物だろうが」

 

「これがゲーム?違うな」

 

ハルトとラクサスは拳を握り、お互いの頬を殴る。

その衝撃はカルディア大聖堂全体に渡り、揺れる。

二人は距離をとって構える。

 

「潰し合いだ」

 

ハルトは魔力で強化した脚力でラクサスの懐に入り、魔力を纏った拳で腹を殴るがラクサスはそれを掴む。

 

「っ!?」

 

「おいハルト。何やってんだ?さっさと……」

 

ラクサスはハルトの拳を掴んだまま上に持ち上げ投げる。

 

「本気を出せよ!!!」

 

投げられたハルトに向かってラクサスは雷を放つが、ハルトは剛腕で防ぐ。

雷で弾き飛ばされたハルトはすぐに体勢を整えるがラクサスは雷を体に纏い、凄まじい速さでハルトの元にたどり着き、雷を帯びた蹴りをくらわせた。

 

「ぐっ!!」

 

ハルトは蹴りの威力で柱に打ち付けられるくらいまで飛ばされ、柱を半ば埋まる形で叩きつけられた。

柱に吹き飛ばされたハルトにラクサスは雷を纏った状態での高速移動で近づき、殴りかかる。

 

「オラオラッ!!どうしたハルト!!!お前の力はそんなもんかァッ!!!」

 

ラクサスは連打を浴びせ、ハルトを追い込む。

ハルトは拳を掴み、ラクサスの攻撃を止めると魔力を貯め、至近距離で咆哮を放とうとした。

 

「覇竜のほう……ぶっ!!?」

 

しかしラクサスはハルトの口を掴み、電撃を浴びせる。

 

「ああああぁぁぁぁっ!!!」

 

「オラァッ!!!」

 

ラクサスはハルトを叩きつけ、ハルトは地面にクレーターを作って陥没した。

ハルトはすぐに立ち上がりラクサスに向かっていく。

 

「覇竜の断刀!!」

 

ハルトが横薙ぎの断刀を放つがラクサスはそれをしゃがんでかわし、しゃがんだ状態でハルトに飛びかかり、ハルトの鳩尾に電撃の拳を叩き込む。

 

「かはっ……!!」

 

「ボルトショット!!」

 

吹き飛ばされたハルトに雷が凝縮された電球をいくつもハルトに打ち出す。

 

「ぐぅあああぁぁぁぁぁっ!!!」

 

全てくらったハルトは倒れてしまう。

 

「ぐっ……うぅっ……!!」

 

「マジかよ……!ハルトが手も足も出てねぇ……!」

 

「今のラクサスは……強過ぎる!!」

 

ハルトが手も足も出ない状況を見てナツは戦慄し、実際戦ったエルザはラクサスの実力に戦慄する。

 

「本気を出さないならそのまま死んでしまえ!!鳴り響くは招雷の轟き!天より落ちて灰燼と化せ!」

 

ラクサスの体から雷が発せられ魔力が高まっていく。

 

「待てラクサス!!それを打ち込んだらハルトが死んでしまう!!」

 

「お前のあとはあの嬢ちゃんを殺してやるよ、ハルト……レイジングボルト!!!」

 

ハルトに向かってる極大の雷が落とされ地面を穿って大爆発を起こした。

 

「そ…そんな……」

 

「ラクサスッ!!!テメェッ!!!!」

 

「………」

 

エルザはラクサスがハルトを殺めたと思い、ナツは激怒するがラクサスは爆発で巻き起こった煙をじっと見る。

 

「もう一度言ってみろラクサス……」

 

煙の中からハルトの声が聞こえてくるがそれと同時にその場にいた全員にとんでもない威圧感を感じる。

 

「ようやく出しやがったな………!!」

 

突然煙が激しい風邪とともに消し飛び、レイジングボルトが落ちたところには全身から激しく金色の魔力を放出するハルトの姿があった。

ラクサスはそれを見てまた嬉しそうに笑う。

 

「『覇王モード』を!!!」

 

 

ビックスローとの戦いで魔力をほぼ使い切ったルーシィはマタムネたちと少し休んでいると大きな威圧をカルディア大聖堂から感じた。

 

「ひゃっ!!何これ!!?」

 

「なんかカルディア大聖堂からすごい魔力を感じるよ!」

 

「ハルトでごじゃる……」

 

戸惑う二人にマタムネが呟く。

 

「これってハルトの魔力なの?」

 

「でもなんかいつもと違って凄く荒々しい……」

 

マタムネの呟きに二人はいつものハルトの魔力と違ってとても攻撃的な魔力を感じて怖くなってしまう。

ルーシィは心配そうにカルディア大聖堂のほうを向く。

 

「ハルト……大丈夫だよね?」

 

 

フリードを倒したカミナたちはフリードとともにラクサスが待つカルディア大聖堂に向かっているとルーシィたちと同様にハルトの魔力を感じ取る。

 

「うおっ!?なんだこの魔力!!」

 

「大きいとかじゃなくて……なんか凄く荒々しい」

 

「カルディア大聖堂のほうからか」

 

エルフマンとミラはその魔力に戸惑い、フリードはカルディア大聖堂がある方を見る。

 

「ハルトだな」

 

「カミナ。これって……」

 

「ああ、4年ぶりだな。ハルトの『覇王モード』は……」

 

 

全身から魔力を放出しているハルトを見たナツは今まであんなハルトを見たことがなく驚いた。

 

「な、なんだよ。あのハルト?」

 

「あれは『覇王モード』だ」

 

「『覇王モード』?」

 

エルザがそれを見てナツに説明する。

 

「ハルトの魔力は強力で膨大だ。普段からハルトは自分にリミッターをかけて戦っているんだ。でなければ体が壊れてしまう。だがあの『覇王モード』は全身のリミッターを外した状態だ。全ての魔力がハルトの力となる。前はS級クエストの時しか使ってなかったが4年前から使わなくなった……」

 

ハルトはラクサスを睨むがラクサスは楽しそうに笑みを浮かべている。

 

「久しぶりだな。お前のその姿を見んのは!お前が本当の意味で『覇王』って呼ばれてた姿をよ!!!」

 

「そんなの関係ねぇ。お前なんて言った?」

 

「あぁ?」

 

「ルーシィを殺すって言ったのか?」

 

「そんなのどうでもいいだろうが!!俺はその状態のお前と戦いたかったんだからよ!!!」

 

ラクサスの感情が高まると同時に魔力が高まり体から雷が溢れ出る。

 

「どうでもいいか……ルーシィを傷つける奴は許さねえ!」

 

「さぁ戦おうぜ!!ハルト!!!」

 

ハルトがラクサスに近づくために踏み込むがそれだけで地面にヒビがはいるほどでハルトは一瞬でラクサスに近づく。

そのスピードはさっきとは段違いだ。

ラクサスも向かい打つために拳を握る。

 

「オラァッ!!」

 

ラクサスの拳をかわし、ハルトの拳がラクサスの顔に突き刺さる。

 

「覇竜の剛拳!!!」

 

「ぐっ!」

 

ハルトの拳をくらったラクサスだが後ずさりすぐに体勢を立て直すがハルトはそのすきを与えず、殴る蹴るの連打を与える。

ラクサスもそれを防ぐが対応しきれず、何発か攻撃をくらう。

 

「覇竜の旋尾!!!」

 

回し蹴りを放つとラクサスの横腹に突き刺さり、吹き飛ばす。

吹き飛ばされたラクサスにハルトは走って追いつき、ラクサスの腹に踵落としを放つ。

 

「覇竜の墜尾!!!」

 

「がはっ!!」

 

ラクサスは反応しきれず、もろにくらい倒れる。

圧倒的な身体能力と攻撃力に形成は一気に逆転した。

 

「すげぇ……あんなハルト見たことねえ」

 

「あれがハルトの全力の姿だ」

 

ラクサスは一旦ハルトから離れ体勢を整える。

 

「ハハッ!!流石だな!ハルト!!そうでなきゃ面白くねえ!!!ボルトショット!!!」

 

ラクサスはボルトショットを放つがハルト口を膨らませる。

 

「覇竜の……咆哮ォッ!!!!」

 

放たれた咆哮はボルトショットを搔き消し、ラクサスに直撃した。

激しい爆発音を上げ、煙が晴れるとラクサスが立っていたが服はボロボロになり息が少し荒くなっている。

 

「どうした?お前も本気でこいよ」

 

「ハァ…ハァ…やっぱり本気のお前を倒すには出し惜しみなんてする余裕なんてねぇみてぇだな」

 

ラクサスはボロボロになった服を脱ぎ捨てる。

 

「他のやつらにみせるとジジイがめんどくさかったんだが……まぁ、いいかァ」

 

ラクサスの魔力が高まり、犬歯が鋭くなり筋肉が膨大していく。

そしてその腕には竜の鱗のような模様が入り、全身に雷がまとわりつきコート、ヘッドホン、シャツが雷で焼け消え上半身が裸になる。

 

「なっ!?まさか!!」

 

「ラクサス!お前も……滅竜魔導士だったのか!!!」

 

それを見ていたエルザとナツは驚愕した。

 

「いくぞ!!」

 

「こいよ!!ぶっ潰してやる!!」

 

ラクサスは雷の速さでハルトに近づき殴り、ハルトもラクサスの腹を殴る。

 

「雷竜の放電!!!」

 

ラクサスの手から雷が放たれハルトはそれを受けるが構わず、攻撃を仕掛ける。

 

「覇竜の断刀!!」

 

ラクサスはそれを腕で受け止め、口を開く。

 

「雷竜の咆哮!!!」

 

至近距離からの咆哮にハルトは直撃してしまうが剛腕を出し、ハルト自身が少し飛ばされただけだ。

 

「覇竜の……」

 

「雷竜の……」

 

「「剛拳ッ!!!!!」」

 

二人の拳がぶつかり合い再び、衝撃波がカルディア大聖堂を揺らす。

二人は離れてはぶつかり合うという高速での戦いを繰り広げられる。

 

「ここじゃ障害物が多すぎるな。来いよハルト!!外でやりあおうぜ!!」

 

「待てラクサス!!」

 

ラクサスは天井を破壊して外に出て、ハルトもそのあとを追う。

外に飛び出すとラクサスが両拳を握りしめ、ハルトに振り下ろそうとし、ハルトもそれに対抗するため拳を握る。

 

「雷竜の顎!!!」

 

「覇竜の鎚角!!!」

 

ラクサスの振り下ろしとハルトのアッパーがぶつかると二人は弾け飛ばされて距離を取る。

構えを取るハルトにラクサスは不敵な笑みを浮かべる。

 

「見せてやるよハルト……俺の新しい力だ」

 

ラクサスは腕を広げ、魔力を高める。

 

「滅竜奥義!真・神鳴殿!!!」

 

ラクサスの体からいくつもの雷球が放たれハルトを中心に浮遊する。

 

「さぁ、第2ラウンドだ」

 

戦いは激化する。

 


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