FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS 作:マーベルチョコ
ルーシィが新しく契約を結んだ星霊ニコラ、もといプルーの提案によりチームを組むことになったハルトたち。
今はチームでの初仕事でシロツメの街に向かっていた。
「考えてみれば随分簡単な仕事よね」
「あれ?あんなこと言っていた割には結構乗る気?」
ルーシィは昨夜あんなに嫌がっていたのが、ウソのように余裕を見せていた。
「だってあたし達チームの最初の仕事じゃない!
ビシッと決めるわよ!」
「お〜やる気いっぱいでごじゃるな」
「頼りにしてるよ」
「任せて!
要は屋敷に潜入して本を一冊とってくればいいだけでしょ?」
「スケベオヤジのところでごじゃるが」
「これでも結構色気に自信があるのよ?」
意識してなのかどうかはわからないが、若干視線をハルトに向けるが、
「ハルトぉ助けてくれ〜」
「相変わらずだなナツの乗り物酔いも」
「なら浮かせてくれよぉ…うぷっ」
ナツの相手をしていて気づかなかった。
「無理だって1人しか浮かせれないからな。
ん? なにか言ったかルーシィ?」
「な、なんでもないわよぉ〜」
「「ぷぷぷぷ」」
ルーシィは自分でも何故、ハルトにあんなことをしたのか分からず、
顔を赤くしてごまかした。
それを見て、側でマタムネとハッピーは笑っていた。
○
シロツメの街はマグノリアと違い、建物が少なく自然が多いところだった。
「ついた〜」
「とりあえず腹減ったからメシにしようぜ!メシ!!」
「お前酔ってたんじゃねぇのかよ…」
シロツメの街に着くと、さっきまで乗り物酔いになっていたと思えないくらいに元気になったナツにハルトは呆れていた。
すると、ルーシィがハルトの腕を取る。
「あたしとハルトは用があるから、先に食べてて
じゃあ、行こう? ハルト」
「えっ? あ、おい!」
そのままルーシィはハルトを連れて行ってしまった。
「なんだよーみんなで食べたほうがウメーのにな?」
「ねー
? ねぇ、マタムネは一緒に行かなくていいの?」
マタムネはハルトについて行かず、ナツたちと一緒にいた。
その目は優しい目でどこかに行くハルトたちを見守っていた。
「せっしゃは応援するでごじゃる」
「あ〜なるほど〜」
「?」
ハルトを連れて行ったルーシィはとても嬉しそうだった。
○
ナツたちはとある店で食事をとっていた。
「うおっ! この肉スゲー脂っぽいな!」
「脂っぽいのルーシィにとってあげなよ」
「だな、あいつ脂っぽいの好きそうだしな」
「じゃあ、せっしゃはこの噛み切れないくらい硬い部分をハルトに残しとくでごじゃる」
「あたしがいつ脂っぽいのが好きって言ったのよ…」
「おぉ、ルーシィ遅かった、な?」
ナツたちが食事をしていると後ろからルーシィの声が聞こえたので振り向くと、
「じゃーん! どう?結構似合ってるでしょ?」
メイドの格好をしたルーシィが立っていた。
その後ろには執事の格好をした男も立っている。
「後ろにいるのはもしかしてハルトでごじゃるか?」
「そうだよ。 ハァ〜」
「似合ってるわよ! ハルト!」
ハルトはため息をついて、疲れた様子だった。
しかし、その格好は燕尾服を来て、いつも無造作にしている短髪をオールバックにして、執事の格好としては不思議と様になっていた。
「なんで執事の格好をしているの?」
ハッピーが聞くとポケットから依頼書を見せた。
メイドの募集が書かれているところの下を見ると、
『ついでに執事も募集中!!』
虫眼鏡で見えるくらいに小さく書かれていた。
「字小っちゃ!」
「そんなこんなで俺は執事になってしまった…」
「あたしたち二人でやればすぐに成功よ!」
意気消沈としているハルトと違い、ルーシィはやる気を燃やす。
するとナツとハッピーがひそひそと話し始めた。
「どうしよ〜ナツ。 冗談ってのは言ったのに本気にしてるよ〜」
「今更本当のこと言えねぇし… これで行くか…」
「おい、お前ら聞こえてるぞ」
それを聞き逃さなかったハルトはナツとハッピーの頭を掴む。
「げっ! ハルト!?」
「あっ!やば!!」
そのまま力を込めると、ギリギリと嫌な音を立て始めた。
「お前らふざけるのも大概にしろよ…」
「「いだだだだだだっ!!」」
一瞬、やる気に満ちているルーシィに視線を向け、仕方ないといった風にため息をこぼし、手を放す。
「ったく、まっ、ここまでしちゃったし、仕方ねぇか…」
「「ハルト〜!」」
「どうしたの?」
「なんでもねぇよ。 ほら、さっさと準備しろ、二人とも」
「「あいさー!」」
ナツたちが準備している間、マタムネがハルトに話しかけた。
「やっぱり似合ってるでごじゃるな」
「やっぱり? 前にも着たことがあるの?」
「えっ!? いや、その…まぁ、少し、な」
「へーそうなんだ」
「あの時は相当大変で…「おい! マタムネ! それ以上言うなよ」
わかったでごじゃる…」
(なんだろう…すごく気になる…)
どこか鬼気迫る感じでマタムネに言うハルトに気になってしまったルーシィだった。
○
ハルトたちはシロツメの街の丘の上にある大きな屋敷の前に来ていた。
「大きいお屋敷ね… ここがエバルー公爵の…」
「いや、依頼主の家だ」
「あ〜 20万Jも出す人だもんね。お金持ちの人なんだ」
そんな会話している間にナツが扉を叩くと、中から声が聞こえて来た。
「…どちら様ですか? 」
「依頼の件で来た、魔導士ギルドの妖精の…「!! しっ!静かに!」?」
妖精尻尾の名前わ聞いた途端、そんなことを言って来た。
ハルトたちは顔を見合わせ、不思議そうな顔をすると、また声が聞こえて来た。
「すいません…裏口から入っていただけますか?」
その言葉に従い、裏口に回り、ドアを開け中に入ると、
一人の男性にある一室に招かれた。
「先程はとんだ失礼を… 私が依頼をしたカービィ・メロンです。
こっちが私の妻」
「どうも」
「メロンって美味しそうな名前だな」
「ちょっと!失礼でしょ!」
「はははっ! よく言われます」
ナツの失礼な物言いでも笑って許してくれる優しいそうな人だ。
さっそくハルトが依頼の話を始めた。
「それで、依頼の話ですが…」
「はい… 私の依頼はただ一つ。 エバルー公爵が持つ世界にたった一つしかない本、日の出(デイブレイク)の破棄、または焼失です」
「え? あたしてっきり奪われた本を取り返して欲しいとかの依頼だと思ってた」
「……」
ハルトもそう思っていたらしく、黙って説明を待っていた。
「一体何なんですか、その本は?」
「……」
カービィは黙ったまま、なにも話さない。
「細けぇことはいいじゃねぇか! 報酬が20万Jなんだぜ!」
「? 報らせが届いていませんか? 報酬は200万Jをお支払いいたします」
「は?」
「えっ!?」
「に?」
「ひゃ?」
「く?」
「「「「「200万Jーー!!?」」」」」
カービィが軽く言った言葉にハルトたちは騒然となってしまった。
「に、200万つーと5人に分けるにはどうすりゃいいんだ?」
「あい、簡単です…おいら、ナツ、ハルト、マタムネで50万ずつ分けて、残りはルーシィの分です」
「な、なるほどでごじゃる!」
「計算できてないわよ!!」
ハルト以外がそんな漫才みたいなこおをしている側で、ハルトは1人考えていた。
(200万Jなんて難しい討伐系の依頼と同じくらいの依頼料だぞ!?
この仕事何かあるのか?)
するとカービィが誰にも聞こえないくらいの声量で独り言をつぶやいた。
「あの本だけは必ず消さねばならない… そう必ず…」
その言葉にはとてつもない恨みがこもっているように感じた。
○
カービィの家で依頼の確認を終え、ハルトたちはさっそくエバルー公爵の屋敷に向かった。
ナツ、ハッピー、マタムネを近くの茂みに隠れさせ、ハルトとルーシィは門を叩いた。
「すいませーん。 金髪のメイドと執事の応募で来た者なんですけどもー!!」
ルーシィが大声で屋敷に向かって言うと地面から音がし、土が盛り上がった。
「え!何!?」
すると、地面からゴリラのようなメイドが飛び出て、現れた。
「メイド募集?」
ゴリラメイドは睨みつけるようにルーシィとハルトを見る。
ハルトは何とも無いが、ルーシィはビビっていた。
「は、はい… あと執事も…」
(ん? こいつもしかして…)
ハルトが怪しんでると、ゴリラメイドは穴に向かって話しかけた。
「ご主人様! 募集広告を見てやって来たそうですが」
「うむぅ」
声がすると、穴から人が飛び出して来た。
「ボヨヨヨーン! 我輩を呼んだかね?」
((出たーーーー!!))
穴から出てきたのは、まるで卵に手足が生えた姿をしていて、今回の依頼で本を盗まないといけないエバルー公爵だった。
「ふむふむどれどれ」
さっそく、エバルーは品定めをするかの様にルーシィをジロジロと見る。
(う〜鳥肌が〜)
(我慢しろよルーシィ)
至近距離でジロジロと見られ、ルーシィは色々と限界だったが、我慢して耐えるが、
「いらん。帰れブス!」
「ブ…!?」
「は…?」
「我輩の様な偉〜〜〜〜〜い男には…」
その言葉を合図に、また地面から穴を作り人が出てきた。
「彼女たちの様な美しい娘しか似合わないのだよ」
現れた女性はお世辞にも美しいとは言えないモンスター級のブサイクだった。
哀れルーシィ。どうやら、エバルーは特殊すぎる美的センスの持ち主らしい。
「えーーーーー!?」
「マジか…」
すると、エバルーはハルトに目を向けた。
「む? 君は執事の募集で来たのかね?」
「は、はい…」
ハルトはこのセンスならどうせ落ちるだろうと思っていたが、
「君は採用だ」
「え!? 何でですか!?」
「君は我輩の若いころに似ている…」
((嘘だーーーー!!))
明らさまな嘘だ。
「さあ、さあ、こっちにいらっしゃい」
「色々と教えてあげるわ。たっ・ぷ・りね♡」
「ちょっ、え!? あ、あーーー!!?」
モンス、もといメイド2人がハルトの両腕を掴み一緒に地面に消えていった。
「ハルトーー!!」
「さっさと帰れブス!!」
「ブッ!?」
またブスと言われ固まってしまうルーシィ。
その隙にエバルーとゴリラメイドは地面に潜ってしまった。
ナツたちが茂みから出てくる。
「あ〜ぁ、ルーシィの方は失敗しちまったな」
「でも、ハルトが中に入れたから成功も同然だね」
「そうでごじゃるな。気長に待っているでごじゃる」
ナツたちは中に入ったハルトにあとを任せるつまりだったが、ルーシィは違った。
「屋敷に潜入してハルトを助けるわよ!!」
「「「なにーー!?」」」
「このまじゃハルトがあのモンスターたちに食べらてしまうわ!!」
ルーシィの頭の中ではハルトが泣きながらメイドたちに服を脱がされる光景が浮かんでいる。
「食べらてしまう…」
マタムネもルーシィの言葉聞いて、頭の中でハルトが調理され、ゴリラメイドに食べらてしまう光景が浮かんでしまう。
「ハルトは美味しく無いでごじゃるーー!」
「多分マタムネとルーシィの『食べらてしまう』は違う意味だと思うなー」
「えー面倒くせーなー」
ハッピーが冷静なツッコミをしている側で、ナツは面倒くさそうにしていた。
それでもルーシィとマタムネのやる気は変わらない。
「いくわよ!」
「「おーー!!」」
ここに乙女の負けられ無い戦いが始まった!
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