FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS 作:マーベルチョコ
機械軍の侵攻を止めハルトたちは無事にギルドに帰り、治療を行った。
そして翌日……
「なんで繭姫やお前の回道で足を治してくんねーだよ」
全身に包帯を巻いたハルトが酒場で不満そうにカミナに話しかけていた。
ハルトの怪我がひどく、カミナに治して欲しかったがそれをしてくれなかったからだ。
「繭姫の治癒力は強力だ。何回も治癒したら体に悪影響が出るから間隔を置かないといけない。回道は俺が苦手だからしないだけだ」
「おい!」
「たまには体を労ったらどうだ?ここ最近、大きな怪我が多い」
カミナの言葉にハルトは意外そうな表情をする。
「……どうした?」
「いや、お前がそんなことを言うなんて思ってなかったからよ……なんか気持ち悪ぃな」
「斬られたいのかお前は」
気持ち悪そうに言うハルトにカミナの額に血管が浮かび上がる。
するとそこにルーシィが何かを探してる様子でハルトのほうに歩いて来るのが目に入った。
「おーい!ルーシィ!こっちで飲まないか?」
「おい、話は終わってないぞ」
「え?あっ、ハルト……」
ルーシィはハルトと目が合うと気まずそうにし、どこかに行ってしまった。
「どうしたんだ?」
「………さあな」
○
ルーシィは一人バーカウンターの席に座っていた。
その顔はとても思い悩んでいた。
「ルーシィどうしたの?」
「ミラさん……」
ミラが心配して話しかけても、顔を俯くだけだ。
「昨日の戦いで何かあったの?」
「……実は」
ルーシィはミラにラナから実力が無ければハルトから遠ざかれと言われ、そんなことはないということを証明するために気合いを入れて戦いに臨んだが敵に捕まってしまい、ハルトはそのせいで傷ついてしまった。
ラナに言われたことを痛感し、打ちのめされていた。
それ以来、ハルトに会うと罪悪感や悔しさが溢れて会うことができないでいた。
「そう……そんなことがあったのね」
「アタシ……ハルトの側にいたいから修行ぽっいこともしてたんです。だけど何の意味もなくて……」
足の上に置いた手は悔しさで力強く握られ、その上にルーシィの涙が落ちる。
「アタシ……やっぱりハルトの側にいちゃいけないのかな……?」
「ねえルーシィ、私にいい提案があるの」
「え?」
○
ルーシィが去ったあと、ハルトとカミナが喧嘩しそうになったところにエルザが来て、なんとか収まった。
そこにカルバートもやってくる。
「カルバート」
「よお、世話になったから挨拶だけはしとこうと思ってな」
カルバートは肩に荷物をかけながらそう言う。
「これからどうするんだ?」
「とりあえずクロッカスに言って、罪を償うさ。評議会より国王に恩を売ったほうが罰は少なさそうだしな」
カルバートはおどけてそう言うのは、自身の技術力を国が買っているのをカミナから伝えられたからだ。
「そのあとはどうする?」
「………もう一度サリックスを復興してみようと思う。あんな更地だが俺たち兄弟の故郷だ。そこに兄貴の墓を建てるよ」
「そうか……」
「そういや報酬を渡していなかったな。少し待っててくれないか?用意するのに時間がかかるんだ」
カルバートがそう言うとエルザは手を前に出して静止する。
「いや、その報酬は国の復興に役立ててくれ」
「は?おいエルザ」
「そうだな。そのほうがアルバスも喜ぶだろうよ」
「お前もか……ハァ、わかった。好きにしろ」
エルザの言葉にカミナは信じられないような顔をして抗議するが、ハルトもエルザに賛同してしまいカミナは呆れる。
「………スカーレット」
「なんだ?」
「今更だがジェラールの件、すまなかった」
カルバートは頭を下げ、エルザはそれに少し面を食らうがすぐに優しい笑みを浮かべる。
「頭を上げてくれ、もういいんだ。人を憎んでいては前には進めない。お前が人のために何かをしてくれるならそれでいい」
それを聞いたカルバートは少し恥ずかしそうに笑みを浮かべた。
「まあ、COREなんて魔法を作ったんだ。フィオーレの王子なら喜んで利用してくれるな」
ハルトが笑いながらそう言うとカルバートは少し悔しそうに頭をかく。
「それなんだがな……本当のことを言うとCOREを作ったのは俺じゃない」
「どういうことだよ?」
「いや、確かに作ったのは俺だがその元の構成はある男に……いや女だったか?まあ、そこはどうでいいが。他人にその構成を教えてもらって俺が作ったんだ」
「それは本当か?」
「ああ」
それを聞いたカミナとハルトは神妙な顔になる。
「じゃあ、俺はもう行くぜ」
「さらばだ。カルバート」
「またな!妖精の尻尾」
カルバートは背中を見せながら手を振ってギルドの出口に向かった。
「またな……か」
エルザの胸に暖かいものが広がった。
○
ラナは一人で二階で下の様子を眺めながら呑んでいた。
そこにカルバートを見送ったカミナがやって来た。
「報酬もらい損ねたわね」
「まぁ仕方ないだろう。あそこで下手に荒波を立てたら面倒なことになる」
「………」
ラナはカミナをジッと見て、カミナはそれに気づいた。
「どうした?」
「いえ、アンタもだいぶ変わったなと思ってね。昔のアンタなら依頼人の事情なんて無視して報酬をもらうのにね」
「………」
「丸くなったわね。アンタ」
「丸くなった……か」
カミナはその言葉に少し顔に顔をを落とす。
ラナはグラスに残った酒を一気に飲み干し、空中に浮く。
「じゃっ、もう行くわ」
「ハルトに挨拶していかないのか?」
「今、アタシが行ったら面倒くさいことになるわ。アイツ、アタシが金髪巨乳に何か言ったの気づいてるぽっいしね」
「そういえばお前、新人に何を言ったんだ?」
「別に……事実を言っただけよ。じゃあね!」
ラナは上空に上がり、天井に穴を開けてギルドを出て行った。
「せめて、扉から出ろよ……」
カルバートは呆れ顔でそうこぼした。
○
COREの基地があった土地にはまだ1日しか経っていないので、残骸もそのまま残っていた。
アルバスが自爆し、大半が崩れたピラミッドも誰にも手をつけていられなかった。
その中を歩く一人の黒ずくめの人物がいた。
その人物はまるで遊びに行くのかでもような足取りで周りをキョロキョロと見渡していた。
「あー結構やられちゃったなぁ。やっぱり機械じゃこれが限界かな?」
男か女かわからない声の人物はピラミッドの中に入り、CORE本体が置かれてあった部屋部分にたどり着く。
爆心地のためかそこは一番荒れていた。
「アルバスのコアは完全に消滅か……」
人物は次にCOREに目を向ける。
COREは原型を留めておらず、瓦礫と残骸だけがそこに広がっている。
人物は瓦礫と残骸に近づき、何かを探す。
「お!あったあった!」
その人物は残骸の中に手を突っ込み、青い宝石のようなものを拾い上げた。
その宝石には何かの紋章が刻まれていた。
「今回はこれがあるだけでも良しとしますか♪」
そう楽しそうに言ってスキップしながら風景に溶けるように姿を消した。
そのとき、側から見るとゾッとするような邪悪な笑みを浮かべていた。
メリークリスマス!
オリジナル編はこれで終わりです。
まだいくつかオリジナル編の考えがあるのでまたやろうと思います。
できれば今年中にあと1話書き上げたいです。