FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS 作:マーベルチョコ
すいません!
機械の数は百や千などの数ではなく、視界一面が全て機械に埋め尽くされてしまっている。
「こんなのどうしろって言うのよ……」
「あら、怖気ついたの?」
「ッ!ぜ、全然!」
ルーシィの弱音にラナが挑発するように言葉をかけ、ルーシィは虚勢をはるが体が震えている。
「カルバート、COREはどこにいるかわかるか?」
「あ、ああ。ちょっと待てよ」
カミナがカルバートにそう言うとカルバートは錬成でゴーグルを作り出しかけた。
そのゴーグルはカルバートがCOREを見つけるために作ったもので、すぐに見つかった。
「いたぞ、あそこだ。あの奥に見えるピラミッドみたいなものの中にいる」
カルバートが指をさした方向には銀色のピラミッドが見えるが、それはあまりに遠く、ピラミッドが米粒程度にしか見えない。
「おいおい……流石に遠すぎだろ!」
「関係ねぇよ!そんなもん!全部倒して進めばいいだろうが!!」
「たどり着く前にこんなに相手もできませんよ」
グレイをはじめに不安が起こり始めてしまう。
そんなときラナため息を吐きながら、前に出る。
「全く情けないわね!アタシがあれ相手してあげるからアンタたちはあのピラミッドを目指しなさい」
その言葉にカミナとハルトを除いた全員が驚いた。
あれだけの数を一人で相手にするといったのだ。
「ラナ!それは無謀だ!仲間を犠牲にできるか!!」
「勘違いしないでよね。アタシは別に犠牲になるつもりもないし、アンタたちの仲間でもないわよ」
エルザの言葉にラナは冷たくそう返し、空中に浮く。
「ついでに道も作ってあげるわ。『ルームルート』」
ラナはピラミッドに向かって手を向けると高台の真下からピラミッドに向かって空間のトンネルがその道にいる敵を押しつぶすように伸びた。
「さ、出来たわよ。早く行きなさい」
「流石だな。あとでチョコレートあげるよ」
「いらないわよ!さっさと行きなさい!!」
ハルトが茶化すように言い、ラナが怒るのを合図にハルトとカミナは飛び出した。
それに続いてエルザたちも飛び出していく。
「金髪ちょっと待ちなさい」
「えっ?な、何よ」
ルーシィも続こうとした瞬間、ラナに声をかけられ立ち止まる。
また何かを言われるのではないかと身構えるルーシィにラナは少し厳しめな目を向ける。
「ここまで連れてきてしまったけど、どうしても行くようね?」
「当たり前でしょ!アタシはハルトと一緒に戦いたいの!!」
それを聞いたラナは目を瞑り、深くため息を吐いた。
「わかったわよ。ここでアンタを無理やり止めてもあとでハルトの反感を買うのは明確だし……行きなさいよ」
「言われなくても行くわよ!」
「これだけは言っておくわ。後悔しないようにしなさいよ」
ルーシィは崖を滑り降りると、そこにはトンネルの入り口があった。
「行くぞ!!」
ハルトの号令で全員が一斉に走り出す。
中に入ると透明なトンネルがずっと真っ直ぐに続いており中からは敵がそのトンネルを壊そうと攻撃してくるのが見えた。
「すげぇな。こんなに攻撃されてるのに傷一つついてねぇ」
「いや、今はラナがこのトンネルに全魔力を注いでくれているからこの硬さを保っているだけだ。ラナが攻撃されれば破壊されてしまう」
グレイは造形魔法を使う身として、ラナの空間を固定する魔法にどこか似たような感じがして興味を示していた。
それを見たジュビアは新たな恋敵が出現か!?と、また勘違いをしていた。
その瞬間、スパイダーの足がトンネルに突き刺さった。
「チッ、もうラナの居場所がバレたか。急ぐぞ」
「で、でも、あと10キロもあるんでしょ!?途中で追いつかれちゃうんじゃ……」
ルーシィはみんなに置いていかれないように全力で走っているが、この中では一番体力がないのは明確だった。
「仕方ない。ハルト」
「おう。ルーシィちょっとゴメンな」
「え?きゃ!」
ハルトはルーシィの後ろに回り手を膝に回し抱え上げた。
つまりお姫様抱っこだ。
「は、ハルト!?急にどうしたの!?」
「俺が抱えて行く。ハッピー、マタムネ。ナツとガジルを頼む」
「あいさー!」
「えー、ガジル殿よりジュビア殿がいいでごじゃる」
「結構です」
「即断られてんじゃねぇか」
いつも通りハッピーがナツを抱え、マタムネはガジルを抱えた。
「頼むぜハッピー!」
「任せてよ!」
「おい!何勝手に抱えてんだ!」
「うぅ……重いし、鉄臭いでごじゃる……」
「聞いてんのか!?」
カミナが腰の巻物から狼を召喚した。
「グレイ、ジュビアは狼に乗れ」
「俺は一人で走れ……」
「はい!喜んで!!」
「ウオォォ!?」
カミナの指示にグレイは一人で走れると言おうとしたがそれよりも早くジュビアがグレイに抱きつき、狼に乗った。
「あああっ!夢にまで見たグレイ様との相乗り!!夢のようです!!」
「だから嫌だったんだ!!」
するとエルザが羨ましそうにカミナに話しかけた。
「な、なあカミナ。私はどうすればいい?できれば狼に乗りたいんだが…….」
「お前は飛翔の鎧があるだろう。走れ」
エルザは落ち込んだ。
「カルバートはどうする?」
「俺なら足にブースターがついてる」
ハルトがカルバートに聞くとカルバートの足が展開していき、ブースターが見えている。
「おおっ!カッコいいな!」
「えぇ…不気味じゃない?」
カッコいいと興奮するナツに対して、ルーシィとジュビアは不気味そうに見ていた。
「よし、一気に行くぞ!」
その瞬間、生身で走るハルトの足からビキビキと筋肉が隆起する音がなり、カミナの足には白い雷を纏い、エルザは泣く泣く飛翔の鎧に換装し、風を切るように駆けていく。
その速さにピラミッドとの距離はどんどん近づいていく。
「速すぎるよー!!」
「二人の全速力はせっしゃたちより速いでごじゃる!置いていかれないようにしないと!」
どんどん迫っていき、ピラミッドはもうすぐだった。
「あともうちょっとだ!」
ハルトがそう言った瞬間、ラナのルームを攻撃し続けていたスパイダーの足がルームを突き破った。
「えぇっ!?」
「チッ……ラナが攻撃されたか」
ルーシィが驚くのをよそに次々とルームにヒビが入っていく。
「急ぐぞ」
「おう!/ああ!」
カミナの言葉にハルトたちはさらにスピードを上げて進むと目の前で大きくルームが壊れ、そこから巨大な敵が入ってきた。
「でかっ!!」
「白雷・樹木」
カミナが前に出て、手を向けるとそこから放射線状に細い白雷が伸び、巨大な敵と他の敵も白雷で絡み取った。
「先に行け」
「おう」
カミナが牽制している間に、ハルトたちは先に進むとピラミッドの10mはある重厚な扉が開いた。
「入り口が開きましたよ!」
「このまま突っ込むぞ!」
しかし入り口からはメタルフレームが現れ、銃口をこちらに向けてきて、さらに入り口はすぐに閉まろうとしていた。
それを見たハルトとエルザは一気に敵に迫り、攻撃してくる前に全て
のメタルフレームを倒したが、扉はもう閉まりそうだった。
ハルトはルーシィを下ろし、扉と扉の間に入り、力で閉じるの防ごうとする。
「急げ!!」
辛そうな顔をして叫ぶハルトの横をギリギリでみんなが入っていきあとはカミナだけとなった。
「カミナ!!」
振り向いたカミナはハルトを一度見て、白雷地面に手をつく。
「縛道の五十三、大地転景」
地面が隆起し敵と自分たちの間に壁を作った。
カミナが閉じる瞬間に入り、ハルトたちは暗闇に包まれた。
「何も見えないよ」
「ナツ。火を頼む」
「おう」
ナツが手をから火を出すとそこだけが明るくなったが奥まで暗くよく見えない。
「だいぶ奥まであるな」
「破道の六、吊り灯」
カミナから火の玉がいくつも出され、天井に向かって一定の間隔で止まり、全体が見えた。
大きな通路が奥まで続いており、その傍には鉄の巨大な騎士の像が何体も壁に並べられていた。
「行くぞ」
ハルトたちは意を決して奥に進んで行った。
○
「行ったわね」
ラナはピラミッドの扉が閉まる前にハルトたちが入っていたの見届けていた。
上空に浮いているラナに向かって多くの砲撃がされているがラナはシールドを張って気にしていない。
「さて、こっちはこっちで始まるわよ」
ラナは下の敵に向かって手を向けると、その先の地面一帯が陥没した。
「ただの鉄屑がアタシの手を煩わせるんじゃないわよ」
陥没したところに降りたラナは四方八方から打ち込まれる弾丸を全て防ぐ。
そしてまた手を向けた。
「ルーム」
手を向けたその先に巨大な直方体のルームが現れ、下にいた機械を全て踏み潰すように落とされた。
「そーれっ!」
軽い口調で掛け声を上げながら、向けた手を横に振るうと直方体も動き、地面を抉りながら周りの機械を全て破壊していく。
数の差は圧倒的にあるにもかかわらず、そこにはラナの蹂躙した跡しか残らなかった。
「さっさとかかって来なさい。残らず壊してあげるから」
ラナは挑戦的な笑みを浮かべた。
○
囚われたアルバスは目の前の白い光に目が覚めた。
「ぐっ……う……」
『漸く目を覚ましたか』
アルバスは白い部屋で診察台のようなものに寝かされており、白いシャツの白いズボンと清潔感が溢れる格好していた。
「ここは……?」
『体組織の破壊がひどかったためこちらで治しました』
そしてアルバスはCOREの手によって連れ去られたことを思い出した。
「……何故俺の体を治した?心臓を取るだけなら殺したままがいいだろう」
アルバスは起き上がり、COREの声が全方向から聞こえてくるため警戒する。
『貴方には私の考えを理解して欲しかったのです』
すると天井に備え付けられた幾多ものカメラから光が放射され、それは人の顔を形作る。
『貴方は国のためにその体を、命を捧げていました。それは尊いことです。その貴方ならわかるでしょう?争いの原因はいつも人間だということを』
アルバスは警戒はし続けるも黙って聞いていた。
『サリックスで起きた内戦も元を正せば、個人の価値観の違いです。今までの戦争を調べましたがその原因はやはり人間の価値観の違いです。私はカルバートに争いを無くすために作られました。そして気づいたのです。争いを無くすためには人間を管理するしかないと』
「だから武力で人間を脅して、管理しようと?」
『はい。人間同士が争うならそれ以上の武力を持って管理すれば良いのです』
COREの話は矛盾していた。
争いを無くすと言いながら自分が戦争の種になると言っているのだ。
明らかに暴走している。
『アルバス。この世から争いを無くすために協力してくれませんか?』
COREの問いかけにアルバスは口を閉じたままだったが、漸く口を開いた。
「確かに争いは人間が原因だろうな」
『では……』
「だけどな!俺はその人間が好きなんだよ。争っても前に進んで行く人間がな!!」
アルバスの脳裏にカルバートが浮かんだ。
アルバスは自身が寝ていた診療台を地面から引き剥がし扉に向かって投げて、破壊してその場から逃げた。
『これだから低脳の人間はダメだ。救いようがない』
さっきまでの優しい声から一変して、COREは冷たいものに変わり、その声が部屋に響いた。