FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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だいぶ期間が空いちゃいました。
すいません。


第66話暴走

アルバスが機械の体により復活して、兄弟はすぐさま戦場に復帰し、最後の戦いに参加していた。

 

「ハッ!!」

 

アルバスは魔法を駆使して敵を倒して行くがそれは圧倒だった。

魔法を使わずとも、風をきるように走り、拳は岩を簡単に砕いた。

 

(すごいな……まるで自分の体じゃないみたいだ)

 

「兄貴!体の調子はどうだ!?」

 

「ああ!羽のように軽いな!」

 

すると貴族派の兵士が影からアルバスを切りかかってきた。

 

「覚悟ー!!」

 

「兄貴!」

 

アルバスはとっさに腕で庇ったが、切りつけた剣は金属にぶつかった音を立てて折れてしまった。

 

「なぁっ!?」

 

「っ!?これは?」

 

敵の兵士は驚き、アルバスも驚いた。

 

「錬成!」

 

そのすきにカルバートが地面から柱を錬成し、敵を倒してアルバスに駆け寄った。

 

「兄貴!大丈夫か!?」

 

「あ、ああ……」

 

そして敵の本拠地がこちら側に落ち、みんなが勝鬨をあげている中アルバスは切りつけられた腕を見ていた。

 

 

戦争が終わり国中が祝っているなかでアルバスはカルバートを呼び出した。

 

「カル。説明してくれ……俺の体を復活させたと言っていたがいったい何をしたんだ?」

 

「……なんでそんなことを聞くんだよ?」

 

「これを見てくれ」

 

アルバスは切りつけられた腕を見せる。

そこには包帯が巻かれており血がわずかになじんでおり、アルバスは包帯を解くと傷口があるが皮膚の下には機械がわずかに見えていた。

 

「これはどういうことなんだ?」

 

「……わかった、言うよ。兄貴に黙っておきたくねぇーしな。……兄貴の体は脳と心臓以外は全て機械だ」

 

「何……?」

 

「兄貴の体組織はほとんど火傷で死んでいたんだ。細胞自体が復活するのは不可能だと考えて無事だった脳と心臓を新型のメタルフレームにいれて、人工で作った皮膚を着せて今の状態にしたんだ」

 

「………」

 

「だけど!感覚は全て前の体と同じにしている。何より前の体より強くなっているだろ!!」

 

カルバートは焦って弁明するようにアルバスに話し、アルバスは黙ったままだ。

そしてアルバスは漸く口を開いた。

 

「他の人にもこんなことをしたか?」

 

「………俺がするわけないだろ」

 

アルバスはそれを聞くとしばらく考え素振りを見せた。

 

「わかった。ありがとうカル」

 

「兄貴……」

 

アルバスはそう言って会場に戻った。

しかしカルバートにはその時のアルバスの表情はどこか悲しいものに感じた。

 

 

そして翌日、サリックスの唯一の城がある広場で国中の人が集まっていて、国王の演説が始まった。

それは今まで戦ってきた兵士も参加しており、周りの警護はスパイダーと最終決戦で初めて持ち込まれ大きな貢献をしたメタルフレームがしていた。

王の周りを金属の骨格が武器を持って民衆を見回しているのは異様な光景に感じられたが、民衆の顔は戦争が終わり漸く平和な時が訪れると思い、笑顔だった。

 

「今まで長く苦しい時代が続いた。しかしそれも終わり我々は漸く前に進める。これからは争うのではなく、助け合う時代になるのだ!!」

 

国王が高らかにそう言うと民衆は歓声を上げた。

国王がそれを見て満足そうにしていると背後から人の気配がし、振り向くとマシモが立っていた。

 

「どうかしたか?マシ……」

 

国王が言葉を続ける前にマシモは銃を構え、国王の眉間を撃ち抜いた。

 

「キャアッーーーー!!!!」

 

一人の女性の叫びが響き渡り、動揺が走る。

 

「なっ!?」

 

「マシモさん!?」

 

カルバート、アルバスも突然のことに驚く。

 

「マシモ!!貴様、何をしたのかわかっているのか!!!」

 

マシモと同じく来賓として参加していた軍の重鎮たちはマシモを囲うように武器を構える。

マシモはゆっくりと周りを見渡すと口を開く。

 

『貴方たちはやはり危険だ。戦争の原因を野放しにし、あまつさえそれを守るなど』

 

マシモの口から聞こえる声は男の声ではなく、無機質な女性の声だった。

 

「その声……COREか?」

 

『はい。マスターカルバート』

 

「なぜこんなことをするんだ」

 

壇上の下からカルバートとマシモが質問するとマシモ改めCOREが返事をする。

 

『私はこの国を守るために作られました。そして漸くわかったのです。この国を傷つけている原因を……それは国王自身なのです』

 

「なに?」

 

『国王がこの戦争を引き起こした原因なのです。貴族派に譲渡さえすれば争いになることはなかった。国王が我を突き通した挙句に戦争になった。そう考えれば原因だと決まります』

 

「カル……これは……」

 

「ああ、暴走してやがる。高度な知識が仇になったんだ」

 

『私は暴走などしておりません!』

 

カルバートの言葉にCOREはすぐさま反応する。

 

『すいません。つい感情的に……貴方が教えてくれたではないですか、マスターカルバート。1つのものを守るためには一つのものを壊さないといけないと。だから貴方は兄を救うためにマシモ氏を殺した』

 

「なに!?どういうことだ!!カル!!」

 

「………」

 

アルバスがカルバートを呼ぶが、カルバートは何も言えなかった。

そしてある事に気付いた。

 

「待て、お前……感情的って言ったか……?」

 

『いえ、私は……いや、そうではなく……』

 

COREはプログラムらしく無く戸惑うような口調だった。

 

「おい!カルバート!!さっさとこのポンコツを停止しろ!!」

 

幹部の一人が痺れを切らし、カルバートに命令するとマシモはその幹部に銃を向け発砲した。

 

「がはっ!!」

 

「「なっ!?」」

 

『なるほど……これが怒りなのですね』

 

その瞬間、マシモは炎に包まれた。

 

「最早問答は無駄だ。カルバート、お前にはこれを引き起こした罪が科せられるぞ」

 

幹部が魔法で炎に包んだまま、カルバートに目を向ける。

 

『ええ…確かに彼には罪がある』

 

炎の中から金属の手が伸び、幹部の顔を掴んだ。

 

「ん"ーーーーっ!!!!?ん"ぅーーーーーっ!!!!!!」

 

『しかし、それは私を創った罪じゃない』

 

熱を帯びた手は幹部の顔を焼き、嫌な臭いが広がり、幹部は痛みで暴れるが次第に動かなくなった。

 

『彼の罪は選択を間違えたことだ』

 

「皆さん!逃げてください!ここは俺たちが食い止めます!!カル!やるぞ!!」

 

アルバスが前に出て拳を構える。

 

『そう。全ての原因は貴方だ』

 

マシモに扮していたメタルフレームはカルバートに詰め寄り、胸に向かって鉄の拳を振るうがアルバスは難なく避け、ボディに拳を放ち貫いた。

 

「何が目的だ?」

 

『世界平和ですよ』

 

その一言を言うとメタルフレームは動かなくなったが、それを合図に会場とその周りを守っていたメタルフレームとスパイダーが一斉に動き出し市民を襲い始めた。

 

「カル!助けに行くぞ」

 

「あ、ああ……」

 

 

その後、アルバスとカルは国中を走り回り出来るだけ市民を救ったがそれでも助けられたのはごく僅かだった。

そして国外の安全な場所に着くと、戦える者だけで話し合いがされた。

 

「どう言うことなんだカルバート!!あれは安全ではなかったのか!!?何故COREは暴走した!?」

 

「私は最初からあれが嫌だったんだ。魔法に全て任せるなんて」

 

「これは終身刑では済まないからな!!」

 

生き残った幹部はどう対策するかを考えるより、カルバートに責任を押し付けようとしていた。

 

「今はそんなことを話し合うより、どうやって奴らを倒すかを考えるべきだろう」

 

「そんなことだと!?そもそもお前はどうなんだ!!死んだも同然の状態だったのに奇跡の生還だと!?お前もメタルフレームじゃないのか!!!?」

 

取り乱している幹部との話し合いは進むはずも無く、結局対策は何も考えることはできなかった。

アルバスとカルバートは二人っきりで会っていた。

 

「カル……何故あんなことをしたんだ?」

 

「あんなことって何だよ?COREを暴走させたことか?」

 

「マシモさんのことだ!何故殺したんだ!!」

 

アルバスが怒鳴るが、カルバートは少し俯くが罪悪感を感じているわけではない。

 

「兄貴を見殺しにしようとしたんだ。だから殺した」

 

「だからって殺していいはずが……」

 

「じゃあどうしってんだよ!!兄貴を植物状態のままにしてとけばいいってのかよ!?」

 

「………」

 

「俺にはマシモや国より兄貴のほうが大切なんだよ。たった一人の家族だろうが……」

 

アルバスとカルバートは幼い頃両親が病死し、二人で協力して生きてきた。

カルバートにとってアルバスは無くていけない存在だった。

 

「カル、俺はお前に一人で生きて行けるようになって欲しいんだ。お前は自分から行こうとせず、仲間も作らない」

 

「仲間なんて必要ない。兄貴さえいればいい」

 

それを聞いたアルバスは悲しそうな顔をした。

 

「俺のことなんか放っておいてもよかったんだ……」

 

「放っておけるわけなんかねぇだろ!!なぁ兄貴このままこの国を出て行ってしまおうぜ?」

 

「なに?」

 

「奴らはこの件が終わったら俺たちに罪を全て背負わせるつもりだ。俺はアイツらの要望通りにCOREを創っただけだ。このまま殺される。二人ならどこでも行きていける」

 

「………」

 

アルバスはカルバートの言葉に少し考える様子を見せ、COREの襲撃により至る所から煙を上げている国を見た。

 

「それはできない」

 

「っ!?なんでだ!!」

 

「目の前に助けを求めている人たちを放ってはおけない」

 

「関係ない奴らなんかどうでもいいだろうが!」

 

「いいや、ダメだ。確かにお前のおかげで俺は命を取り留めたがここで見捨てれば人間として俺は死んでしまう」

 

アルバスはそう言って街に降りていった。

 

「待てよ兄貴!!おい!!」

 

カルバートはその背中を見ることしかできなかった。

 

 

アルバスは作戦通りに市民を助ける方とCOREを破壊する方のうち破壊する方に割り当てられ、COREの本体が置かれてある軍の本拠地に潜入していた。

 

「隊長、おかしくありませんか?」

 

「ああ…静かすぎる」

 

本拠地に来るまでは多くのスパイダーやメタルフレームの襲撃があったのに基地に着くと攻撃がなくなった。

 

「とりあえず司令室に行くぞ。そこにCOREの本体がある」

 

アルバスは自分の部隊の人間を率いて司令室に入るとそこには無残に殺された人たちが大勢転がっていた。

 

「酷いな…」

 

「基地中の人間が集められていますね。人影が見えなかったのはこらだったからか……」

 

アルバスたちはCOREの本体を探そうとすると突然明かりがつき、司令室の扉が閉まり大多数の部下とアルバスは引き離された。

 

『ようやく来てくれましたね』

 

「COREか!」

 

『私の本体はここにはありません。すでに別のところに移しました』

 

「くそ!」

 

『それよりも私は貴方に用があったのです』

 

「……なんだ?」

 

『いえ、正確に言えば貴方ではなく貴方の心臓に』

 

その瞬間閉められていた入り口は開きそこには全身が金属の人間が立っていた。

そしてその手にはアルバスの部下の頭が握られていた。

 

「貴様ぁっ!!!」

 

アルバスは激昂し、床を凹ませるほどの脚力で敵に迫るが敵が頭部を投げ、一瞬怯えさせるとすかさず懐に入り、腹を殴った。

 

「ごっ……!?」

 

「隊長!!」

 

残った部下は魔法銃で応戦するが敵は意図も返さず迫って来る。

 

『よくできているでしょう。カルバートが作ったメタルフレームの強化版『コーサー』です。パワーは従来の10倍、さらに構成しているのはナノ単位の魔導粒子金属です。これを破壊するのは不可能』

 

COREが自慢気に話しているうちに部下は全て殺され、そこは血の海になっていた。

 

「き、貴様……!」

 

うずくまりながらアルバスはコーサーを睨むがこーは近づき、アルバスの首を持ち上げる。

 

「ぐっ……!」

 

『私が用があるのは貴方の心臓なのです』

 

コーサーは空いている手をアルバスの胸に指を突き立て無理やり刺そうとする。

 

「ぐぅああっ!!」

 

アルバスが痛みで悲鳴を上げた瞬間、コーサーが爆発して吹き飛ばされた。

 

「ごほっ!ごほっ!」

 

「大丈夫か兄貴」

 

現れたのは両肩の上空に砲門を浮かべたカルバートだった。

彼はアルバスがやはり心配になり、助けに来たのだ。

 

『カルバート……貴方が来るとは思わなかった』

 

「CORE……もうマスターとは呼ばないのか」

 

『私はもう自由の身。貴方の操り人形ではありません』

 

倒れていたコーサーが起き上がりカルバートに迫り、カルバートはそれを銃撃して引き離そうとするがコーサーは構わず走って来る。

 

「チッ!徹甲榴弾!砲門4!!」

 

カルバートの脇に4つの砲門が現れ、一斉に放たれる。

弾丸はコーサーに直撃し、激しく爆発するが爆炎の中からコーサーが現れ、拳を振るう。

しかしカルバートに当たるより先に地面が隆起しコーサーを天井に押し付けた。

コーサーは振り解こうとするが隆起する力が強く、身動きが取れない。

 

「やったのか?」

 

「いや身動きを取れなくしただけだ。早くCOREを破壊しないと…」

 

カルバートが言葉を続けようとした瞬間、背後に粒子の束が流れるように集まりコーサーを形作った。

 

「カル!!」

 

「何っ!?があっ!!!!」

 

カルバートはコーサーに殴り飛ばされ司令室のパネルにぶつかる。

とっさに盾を作って防いだが盾ごと腕が破壊されてしまった。

 

「うおぉぉぉぉっ!!!!」

 

アルバスは磁力を帯びた拳でコーサーを殴ると殴られた部分がわずかに不自然に動き、それを見たアルバスは好機だと思い殴り続けたが、拳が当たりそうになった瞬間、また粒子状になり拳をかわしてアルバスの背後に回り、腕を剣に形態変化してアルバスの背中に突き刺し、持ち上げた。

 

「があぁっ……!」

 

『コーサー、早く心臓を摘出しなさい。カルバートが作った物のなかでもコアは特別です。流石の私でも9億イデアの魔力を作り出すものを作るのは不可能だと考えましたがカルバートはそれを見事成功させて見せた。私はそれを使って恒久的な平和を実現してみせる』

 

「くそっ……」

 

コーサーが再びアルバスに手を伸ばした瞬間突然動きが止まり、激しく震え始め、原型を留めておくことができなくなった。

 

「一体何が……?」

 

「効いたみたいだな」

 

解放されたアルバスが不思議がっていると片腕が破壊されたカルバートが近づいて来た。

 

『カルバート……アナだがなにににかしたのーか?』

 

COREの音声もおかしくなっており、カルバートはニヒルな笑みを浮かべた。

 

「ウィルスを入れたんだよ。対策を取っておくのは当たり前だろ?」

 

カルバートはもしもの時に作っておいたウィルスをパネルに吹き飛ばされた時に入れたのだ。

サリックス全てに繋がっているCOREはウィルスに感染し、COREに操られているコーサーも侵された。

 

「兄貴!今のうちに逃げよう!後数分しか持たねえ」

 

「待ってくれ。CORE、なんでこんなことをしたんだ?」

 

『さささっきもいいった。わたひははわか、カラバ〜トのぉおおいうこととをききいたぁだけ』

 

「……」

 

「早く行こう!兄貴!!」

 

二人は司令室を後にした。

 

 

基地から出た二人は国を取り囲む山の一つに身を隠した。

 

「傷は大丈夫かよ?」

 

「………」

 

カルバートが肩で息をしながらアルバスに聞くがアルバスは黙ったままだった。

 

「どうしたんだよ?」

 

「カル……別部隊のほうはどうした?」

 

「別部隊か?放っておいたよ」

 

「っ!?何故放っておいたんだ!!オレのことなんかよりそっちの方が大事だろう!!」

 

「はあ!?助けもらってその言い方はなんだよ!」

 

互いに怒鳴りあい、カルバートは自分を落ち着けようと頭を振る。

 

「お前なら錬金魔法で街の人たちを助けることもできただろう?何故放ったんだ……?」

 

「この国の奴らなんかどうでもいい。俺は兄貴だけを助けに来たんだ」

 

「何故お前はそうも他人に冷たくなれる!」

 

「じゃあなんで兄貴はそんなに他人を助けようとすんだよ!?他人を助けても何も見返りがないだろうが!!」

 

アルバスは諦めた表情をし、街に向かおうとする。

 

「おい。どこに行くんだよ?」

 

「……街にまだ人が残っているかもしれない。助けに行く」

 

「まだわかんねえのか!助けても何にもならねえだろ!?」

 

「俺は!体はほぼ機械だ。だが心は人間だ。………お前と違ってな」

 

アルバスはそれを最後に背中を向けて街に向かった。

 

「そうかよ!なら行けばいいだろうが!!勝手に行って死んでしまえ!!」

 

そこで兄弟は完全に袂を分かった。

 

 

 

 


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