FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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第64話 機械の侵略

ギルドマスター同士が報告会で使われるクローバーの会場は以前ハルトの猛攻で倒されたララバイが倒れたせいで潰れたがハルトが賠償金を払ったことですぐに建て直された。

その時ハルトは余りの金額に震えていた。

そして今回は緊急で各地方のギルドマスターが集められ、集会が行われた。

そしてそれはマカロフにも呼びがかかり、カミナを連れて参加した。

 

「あらぁ?マカロフじゃな〜い」

 

「おう、ボブ。久しぶりじゃのう」

 

「お久しぶりです。マスターボブ」

 

「お久しぶり!カミナちゃ〜ん!!相変わらずイケメンね〜!!どうウチでホストとして働かない?」

 

いつもより数倍猫撫で声でカミナに詰め寄るが、カミナは即座に距離をとって殺気をぶつけ、刀に手をかける。

 

「お断りします」

 

「相変わらずトゲトゲしくて、クールね〜………タマンないわ」

 

一瞬真顔になって呟くボブにカミナは刀を抜きかける。

 

「まあ、落ち着け。ボブにも悪気はないんじゃ、多分……。それはそうとボブ、今回の緊急の呼び出しの案件は何か知っておるか?」

 

「わかんないわね〜。各マスターはギルドの魔導士1人を連れてくるってのもわかんないし」

 

「そういえばお主のところの連れはどこにおるんじゃ?」

 

「それが何処かに行っちゃったのよ〜社会見学のためって連れ出したけど、これじゃ意味がないわ」

 

ボブは頬に手を困った顔をした。

会場の廊下を進んでいくと廊下にある人物が立っていた。

 

「おおっ、ゴールドマイン。お主も来ったのか」

 

「当たり前だろ。それより今回ちょっと不味いみたいだぜ……」

 

ゴールドマインの言葉にマカロフは怪訝な顔をしながら、会場に入り説明を待っていると、上座にメガネをかけてキリッとした男が現れた。

その男は白を基調とした豪華なマントを羽織っており、フィオーレ王国の紋章が大きくあしらってある。

 

「皆様。今回緊急にも関わらず集まってもらいありがとうございます。私は王国諜報部隊所属のキース・サイカスと申します」

 

「王国?フィオーレ王国自体が今回私たちを集めたのですか?」

 

マスターの1人が手を挙げて質問した。

 

「現在ギルドを統括する評議会が存在しておりませんので、フィオーレ国王の命により私たちが動いております。さて、それでは本題に参りましょう。細かい説明を抜きにして言いますと現在フィオーレ王国は危機的な状況にあります」

 

そのひとことにざわつくがキースは構わず続ける。

 

「近頃、小さな村や町が謎の集団に襲撃されるという事件が立て続けに起こっておりますが、その原因が判明いたしました」

 

キースが懐から小型のラクリマを取り出すとテーブルの真ん中に転がした。

ラクリマが真ん中にたどり着くと止まり動きを止め、上空に映像が投影され、そこにはハルトたちが戦った機械の化け物たちが映っていた。

 

「これは……」

 

「機械か」

 

「いったい誰がこんな物を……」

 

「この機械は最近になって突然現れたと思われたのですが、実は以前から存在していたことが分かりました。25年前、フィオーレ王国南西に存在したサリックス国の内戦で使われていたらしいです」

 

「サリックス……あの謎の大爆発で消滅した国か」

 

キースの言葉にマカロフが反応する。

 

「そうです。そしてそれらを作ったのはカルバート・マキナという男だということがわかっています」

 

その言葉にマカロフとカミナの肩がピクリと動く。

 

「で、今回はなんで俺たちギルドマスターが集められたんだ?」

 

「その機械の化け物たちが突然フィオーレ王国中の町や国を囲むように現れたからだ」

 

ゴールドマインが質問すると後ろの扉からある男が現れた。

 

「ジェイド王子!?」

 

現れたのはフィオーレ王国の王子、ジェイド・E・フィオーレだ。

キースが驚き、すぐさま敬礼を取りマスター達も敬礼を取った。

 

「いい、楽にしろ」

 

「なぜこのような場所に?」

 

「国の一大事だ。国の者が動かなくちゃ不味いだろう」

 

「しかし……」

 

「ここからは俺がやる。いいな?」

 

ジェイドの言葉にキースは下がった。

 

「あなた達を呼んだのはギルド周辺の町や村を守って欲しいからだ。王国も兵を遣わせてはいるが数が足りない。そこで各ギルドには国からの依頼として近くの村や町を守って欲しい」

 

王子ジェイドの言葉に全ギルドは依頼を請け負った。

 

 

解散となったあとカミナがマカロフから離れ、1人廊下を歩いていると柱にもたれかかる男に話しかけられた。

 

「久しぶりに会ったのに挨拶もなしか?」

 

「これはジェイド王子。何用で」

 

「そんな畏まった話し方は辞めろよ。俺とお前の仲だろ」

 

「なら外から狙っている奴に辞めさせるように言え」

 

カミナがそう言った瞬間、窓から見える木からキラリと何かが光った。

 

「あいつは俺に危害がない限り何もしてこないさ」

 

「そうか……挨拶だけが用じゃないんだろう?」

 

「まあな。お前のことだからカルバートの居場所を知っていると思って話しかけたんだが………どうやら当たりみたいだったな」

 

ジェイドは会合の時にカミナとマカロフの肩がカルバートの名前を出した時に動いていた見逃していなかった。

 

「俺というよりハルトが関係しているな。あいつのチームがカルバートの依頼を請け負っている」

 

「あいつは何かと騒ぎの中心にいるな」

 

ジェイドは少し呆れた様子だった。

 

「捕まえるのか?」

 

「いや、カルバートの技術は魅力的だ。少し泳がせるさ」

 

「相変わらずだな……」

 

カミナはジェイドのことを国のためならなんだってする男だと考えている。

フィオーレ王国にとって有益であればなんだって利用するのがジェイドだ。

ジェイドはそれだけを言って去ろうとしたが足を止めた。

 

「そう言えば……」

 

「どうかしたか?」

 

「お前、エリオを最近見たか?」

 

「エリオか?……5年前のあれ以来見てないぞ」

 

「………そうか」

 

「エリオがどうかしたのか?」

 

「いや……なんでもない」

 

「………そうか」

 

ジェイドは今度こそ去って行ったがカミナは怪訝な目を向けていた。

 

 

ラナのおかげで妖精の尻尾にたどり着いたハルトたちはカルバートを医務室に運び、マカロフに今回のことを話そうとしたがマカロフは緊急の定例会に参加して不在だった。

 

「困ったな……じいさんがいないならどうするべきか……」

 

「なんだよハルト!あの機械どもをぶっ倒せばいいだろ!!!やられぱっなしでいられるかよ!!!」

 

「あいつらの居場所がわかんねーだろうが。それくらいわかれよクソ炎」

 

「んだとグレイ!!」

 

「やんのかナツ!!」

 

「やめろ!お前ら!!」

 

また喧嘩が始まり、あっちこっちが壊される。

 

「まったくあいつらは……」

 

「怪我してるのに元気ね……エルザは大丈夫なの?」

 

「ああ、少し体が怠かったが今はもう大丈夫だ」

 

それをカウンターのバーで見ていたエルザとルーシィは呆れる。

そしてその側でも一悶着があった。

 

「ちょっと!なんでアタシにドリンクが出せないのよ!?」

 

「ごめんね〜」

 

ラナがミラに食いかかっており、ミラはそれを困ったように笑顔を浮かべながら対処していた。

 

「どうしたんですか、ミラさん?」

 

「あ、ルーシィ」

 

「この巨乳がアタシに飲み物を出さないのよ!!」

 

「ミラ出してやればいいじゃないか」

 

「だけどこの子が頼んだの度数が高いお酒なの」

 

ラナの容姿はどう見ても10代前半、もしかしたら10にもいっていないくらいにも見える。

フィオーレ王国では15歳から酒は飲めるがラナはまだ15ではないとミラは判断したのだろう。

 

「それはダメよ!早いころから飲んでたらあんな風になっちゃうわよ!!」

 

ルーシィがラナを叱るように言って指を指したほうにはタルで酒を飲んでいるカナの姿があった。

 

「ん?なんか言った?」

 

「ラナ、君には酒よりジュースとかケーキのほうがいいだろう。さっきのお礼ではないが私に奢らせてくれ。好きなだけ食べていいぞ」

 

エルザが笑顔で言うがラナは顔を赤くして3人を睨んでプルプルと震えていた。

 

「どうしたの?」

 

「痛て……どうしたんだよ。お前ら」

 

「あ、ハルト。ラナちゃんがお酒を飲みたいって言い出して」

 

喧嘩になった2人を地面に頭をめり込ませ、行動不能にしたハルトは少し着崩れた服を戻しながらルーシィたちのところに来た。

そしてルーシィがハルトにそう言うと何かやらかしたような顔をした。

 

「あー、お前らラナの年齢は27だ」

 

「「「……え?」」」

 

「だからコイツは27歳の大人の女性だ」

 

ルーシィたちは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして、ゆっくりとラナを見ると目つきはさっきよりだいぶ険しくなって歯を見せて、明らかに怒っているのがわかった。

 

「……なによ。背丈で判断してたの?」

 

「え、いや、そうじゃなくて……」

 

「いや、違うんだ」

 

「ごめんね。ラナちゃん……あっ」

 

ミラがラナちゃんと言った瞬間、ラナの頭の中でプツンと何かが切れた。

 

「フ、フフ……年下に『ちゃん』呼ばわれ……もう我慢ならないわ……」

 

ラナは手をルーシィたちに向けると服の胸部分だけが弾けた。

 

「「キャアッ!!?」」

 

「なっ!?」

 

「「「「「おおっ!!」」」」」

 

ルーシィたちはとっさに胸を隠し、ルーシィはハルトの後ろに隠れ、周りの男たちは歓喜の声をあげた。

 

「は、ハルト!」

 

「ラナ!落ち着け!お前が小さいのは今に始まったことじゃ……」

 

「うるさい!タンポポ頭!!」

 

ラナが手を反転させるとハルトの体が勝手にルーシィのほうを向き、ルーシィの胸を隠していた手が勝手に外れた。

 

「はぁ!?」

 

「な、なんで!?ハルト見ないで!!!」

 

「す、すまん!」

 

「フフフ………」

 

ハルトは目を閉じるが、ラナは怪しげな笑みを浮かべ手を右から左にスライドさせるとハルトの顔がルーシィの胸に飛び込んだ。

 

「むぐぅっ!?」

 

「ひゃあっ!!?は、ハルト!!?やん!くすぐったいぃ……」

 

ハルトは驚き離れようとするが体が僅かしか動かず、身動きをするとルーシィはくすぐったさを感じてしまう。

 

「はぁ…!はぁ…!はぁ……!ハルト!羨ましいでごじゃる!!!」

 

「むごごごー!!!(言ってる場合かー!!!)」

 

「は、ハルトぉ……喋らないでぇ……!」

 

マタムネがヤバイ目つきでハルトとルーシィの状況を視姦していると突然体が浮き、ラナの目の前まで持ってこられる。

 

「………」

 

「あ、あのラナ殿……?」

 

「あんた昔、アタシに貧乳やらペチャパイやら言ってたわよね?」

 

「な、なんのことだか……」

 

「あんたにも罰よ」

 

そう言ってマタムネを胸を隠している。エルザのほうに飛ばした。

 

「むしろご褒美でごじゃるーー!!!!」

 

「ふん!」

 

「ぐへっ!?」

 

マタムネはヨダレを垂らしながら、エルザの胸に飛んでいくがエルザは容赦なくマタムネを叩き落とした。

 

「ぐぐっ……な、なんでエルザ殿の体は動くでごじゃるか……」

 

マタムネは鼻血を出しながらそう言うと、再び体が浮きまたエルザのところに飛んで行った。

 

「ふん!」

 

「ぐへっ!?」

 

「ふん!」

 

「はぎゃ!?」

 

「ふん!」

 

「ぎゃー!!」

 

「な、なんて恐ろしいことを……」

 

叩き落とされては飛んでいき、叩き落とされては飛んでいき……

ある意味の拷問にハッピーは目も当てられなかった。

 

「さあ…あとはあんただけよ」

 

「あ、あらー?」

 

ラナは冷や汗を流すミラを追い詰めていく。

 

「うおおっ!!!姉ちゃんには手を出させ……!!!」

 

「邪魔」

 

「ぐはっ!?」

 

エルフマンがミラを守ろうと前に出るが、速攻で壁に激突させられ気絶した。

 

「エルフマン!?」

 

「まったく何よ……なんでこんなに周りには巨乳がいるのよ……不公平だわ……だから、あんたには胸をさらけ出したまま街を一周してもらうわ」

 

「そ、そんな……さっきはごめんなさい!次から気をつけるわ!!」

 

「もう遅いわよ!」

 

ラナがミラに手をを向けるが何も起こらなかった。

 

「あ、あれ?」

 

「ちょっと!なんでよ!!」

 

「それぐらいにしておけ、ラナ」

 

ラナが魔法使うがミラには効かず、後ろから声がかけられた。後ろを見るとカミナが立っていた。

 

「カミナ!」

 

「カミナ!あんた解呪したわね!!」

 

「もうやめろ。ひどい状況だ」

 

カミナは周りを見るとハルトの上着をかけられた顔を赤くし。息を荒くして恥ずかしそうにしているルーシィとその側で顔を赤くしているハルト、肩で呼吸して手が真っ赤になっているエルザとモザイクがかけられたマタムネ、それを見て毛色以上に青くなっているハッピー、壁にめり込んで動かないエルフマン、そして白い電気を浴びて伸びているギルドの男性メンバー。

 

「やり過ぎだ」

 

「男どもはあんたがやったんでしょうが!!」

 

 

そのあと何とかラナの落ち着きを取り戻した。

 

「うー……」

 

「悪かったって……」

 

顔を赤くして涙目でハルトを睨んでいるルーシィ。

ハルトは謝るが許してもらえなさそうだ。

 

「まあ、あんなことがあっては仕方ないでごじゃるな」

 

「……お前は顔がぐちゃぐちゃになってるけど大丈夫なのか?」

 

「大丈夫でごじゃる!むしろ新しい扉が開いたような……」

 

「……逞しいな」

 

ハルトは呆れ半分でそう言った。

 

「ありがとうね。カミナ」

 

「気にするな」

 

「ルーシィがハルトを睨んで、ミラとカミナはいつもの感じでラブラブでエルフマンやら男勢は伸びてる……何があったんだ?」

 

「なあ、ハッピー。なんでマタムネにモザイクがかかってんだ?」

 

「……オイラの口からはとてもじゃないけど言えないよ」

 

グレイとナツは何があったかわからず、ハッピーに聞くが顔を青くして話そうとしない。

 

「で?アンタ、アタシに用があるんじゃないの?」

 

ラナはさっきのことでまだ機嫌が悪いのか、膨れ面でカミナに話しかける。

 

「お前と言うよりお前たちが連れてきた男に用があるんだ」

 

「はあ?カルバートに?」

 

「さよう、お主たちが連れてきたカルバートは今回起こった事件に大いに関係しておるわけじゃ」

 

『じーさん/じぃちゃん/マスター!!』

 

「関係してるとはどういうことですか?」

 

「うむ、実はな……」

 

「それ以上は言うな!!」

 

マカロフが何かを話そうとした瞬間、大きな叫びが響き渡る。

全員が声がしたほうを向くとそこには壁にもたれ苦しそうなカルバートが立っていた。


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