FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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第60話 鋼鉄の肌

姿勢を低くした男はハルトたちに向かって走り出した。

 

「しゃーねえな!しばらく大人しくして貰うぜ!!アイスメイク!ランス!!」

 

グレイがランスを放つが、男は紙一重で全てをかわす。

 

「火竜の咆哮!!」

 

続けてナツが炎の咆哮を放つ。

その咆哮は男に直撃した。

 

「ちょっ、ちょっとナツ!やりすぎだって!!」

 

ルーシィが火達磨になった男を見てナツにそう言うが、ナツは油断なく男を見据える。

すると火達磨になったはずの男は倒れることなく、腕をこっちに伸ばす。

するとその腕は離れていたナツに向かって伸び、ナツの顎に拳がはいった。

 

「がっ!?」

 

「なっ!」

 

「うそっ!」

 

男はゆっくりと炎の中から出て来た。

至る所が黒く煤けているがそれを全く意にも介してない様子だ。

それよりハルトたちが驚いたのはその腕だった。

ナツを殴った拳は男の腕とケーブルで繋がっていて、その拳と腕は鋼鉄でできていた。

 

「何あれ!」

 

「こいつもカルバートと同じ、体の一部を機械にしてんのかよ!」

 

「なら切り刻んで、動けなくする!!」

 

「ちょっと!?斬ったら犯罪になっちゃうわよ!!?」

 

「峰打ちだ!安心しろ!!」

 

エルザは素早く男の懐に入り、斬撃を繰り出す。

 

「やった!」

 

「決まったでごじゃる!」

 

マタムネとハッピーが喜ぶが、エルザは斬った剣を見て驚いた。

峰打ちだったが剣が激しく刃こぼれし、男の体には服は破れたが一切傷がついてなかった。

 

「なっ!?どういう……」

 

「同じか……」

 

「っ!ぐっ!?」

 

男はエルザの首を掴み、持ち上げる。

 

「離せ!」

 

エルザは蹴りを放つが鉄を蹴ったような音が響く。

 

「〜っ!?」

 

エルザは蹴った足をひどく痛がる。

 

「無駄だ」

 

「覇竜の剛拳!!」

 

ハルトは男の腹に剛拳を放ち、吹き飛ばす。

その拍子にエルザを放し、エルザは咳き込みながらハルトに礼を言う。

 

「ゲホッ!助かった、ありがとう。ハルト」

 

「………」

 

しかしハルトはエルザに反応せず、男を殴った拳を見て黙ってる。

 

「どうした?」

 

「いや、指が折れた」

 

「なに!?」

 

ハルトは男のあばらを折る気で殴ったが折れたのはハルトの拳だった。

 

「凄まじい力だな」

 

ハルトに吹き飛ばされた男はなんともない様子だった。

 

「ならアタシが!開け!金牛宮の扉!タウロス!!」

 

「MOOOOOO!!!!」

 

ルーシィはタウロスを呼び出した。

 

「タウロス!あの男を捕まえて!!」

 

「MOOO!!ルーシィさん!相変わらず素晴らしいお胸ですね!!」

 

「そうでごじゃる!!ルーシィ殿のおっぱいは素晴らしいでごじゃるよ!!!」

 

「しまった……タウロス呼んだらマタムネが暴走すんの忘れてた……

もう!そんなことしてないであの男を捕まえて!!」

 

「了解です!」

 

タウロスは男に抱きつくように捕まえた。

 

「やった!」

 

「MO?」

 

ルーシィは喜ぶがタウロスの様子がおかしかった。

締めていた腕を徐々に開いていく。

 

「ぐぬぬぬ…!この…!」

 

「フンッ!」

 

男はタウロスな腕を掴み徐々に押し広げていき、終いには押し返した。

 

「MOOOOO!?」

 

「そんなタウロスが押し負けるなんて!?なら……」

 

ルーシィは新しい鍵を取り出す。

 

「お願い!開け!獅子宮の扉!レオ!!」

 

ルーシィが呼び出したのは新しくルーシィの星霊になり、現時点でアクエリアスと同等の最強の星霊、獅子宮のレオだ。

 

「ルーシィのピンチに颯爽と参上!!」

 

「ロキ!あの男を捕まえてくれる!?」

 

「任せて!ルーシィのためなら火の中、水の中……」

 

「わかったから!早くお願い!!」

 

「了解!」

 

ロキは拳に魔力を纏わせ殴りかかるが、男はやはりかわしてしまう。

 

「やるね!」

 

ロキは続けて拳を振り続けるが一向に当たらない。

 

「これならどうかな!王の光よ!!」

 

ロキは魔力を高めて、光を放った。

これで相手の目を潰し奇襲しようとしたが、

 

「俺には効かん」

 

男は目を開いた状態でロキのすぐ目の前に立っており、拳を振り下ろそうとしていた。

 

「ナイスだ!ロキ!!覇竜の旋尾!!」

 

しかし、その瞬間ハルトは男の顔面に回し蹴りをして吹き飛ばし、男は何回もバウンドをして倒れた。

 

「うまく行ったね」

 

「これで倒れてくれると嬉しいんだけどな」

 

ハルトがそう言うが、男はすぐに何ともない様子で立ち上がる。

 

「まるで不死身だね……」

 

「しゃーねー、ナツ!!合わせろ!!」

 

「おう!」

 

「覇竜の……」

 

「火竜の……」

 

「「咆哮!!」」

 

黄金と炎の咆哮はまた男に直撃するが、構わず男はこちらに歩いてくる。

 

「アイスゲイザー!!」

 

すぐさまグレイが氷に閉じ込めるが男はそれを簡単に壊して出てこようとする。

 

「ハアッ!!」

 

エルザは天輪の鎧に換装し、何本もの槍を男の足元の地面に刺し、男の身動きを取れなくした。

 

「今だ!覇竜の剛拳!!」

 

「火竜の鉄拳!!」

 

「レグルスインパクト!!」

 

その瞬間、ハルト、ナツ、ロキは男を殴り飛ばした。

しかし男は表情1つ変えずに立ち上がり、こっちに向かってくる。

 

「な、なんであんなに平然としてんのよ……」

 

「最早ホラーでごじゃる」

 

ルーシィ、またむ、ハッピーは何度攻撃しても平然と立ち上がってくる姿に恐怖を覚えた。

ハルトたちも男の姿に不気味なものを感じて固まってしまう。

しかしその中でハルトはすぐさま次の攻撃に移った。

 

「覇竜の…っ!?」

 

ハルトが殴ろうとした腕を男はそれより早く掴んだ。

 

「もう喰らわない」

 

「ぐあっ!?」

 

男ははハルトの腕を握りしめ捻ると、ハルトは痛さで膝をついてしまう。

 

「天輪!五芒星の剣(ペンタグラムソード)!!!」

 

その隙にエルザは5つの斬撃を放つが、やはり効いた様子はなかったが僅かな隙ができた。

 

「竜牙弾!!」

 

ハルトは竜牙弾を男の腹に放ち、なんとか離れることができた。

 

「ハルト!大丈夫!?」

 

「あ、ああ…なんとかな」

 

ハルトの腕は握られたところが紫色になっており痛々しかった。

 

「くそ…」

 

「ひどい怪我!待ってて今包帯を……」

 

「いや、まだ終わってない」

 

ハルトが見る先には竜牙弾を受けたはずの男が立ち上がっていた。

 

「ハルトの竜牙弾を生身で受けて立ってる!?」

 

「なんつータフさだよ……」

 

「ね、ねえ。あれって…」

 

ハッピーは驚き、グレイがうんざりした様子でそうこぼした。

ルーシィが戸惑いながら指をさしたのは、竜牙弾が直撃したところで、そこは服が破れさらには肉が抉れているが、血が出ていないが皮膚の下は鋼鉄の部分が見えていた。

 

「何だよ……あれ」

 

「カルバートみたいに義手みたいじゃないのか!?」

 

人の皮の下に機械が存在している異様な光景にハルトたちは不気味に感じてしまう。

男がまたハルトたちに向かおうとしたが体から電気みたいなものが漏れ、膝をついて止まった。

 

「チッ……」

 

「効いたでごじゃるか!?」

 

「今ならいけるよ!」

 

マタムネとハッピーはそうは言うがこの人か機械かもわからない男に戸惑い攻撃できない。

それでも男は立ち上がってこっちに向かってこようとし、ハルトたちはようやく身構える。

しかし男が数歩歩くと足元から鉄柱が現れ、男を囲み、電気を発生させた。

 

「グアアァァァァッ!!!」

 

「え?何!?」

 

「これは……」

 

突然のことに驚くハルトたち、男は電撃を浴びて苦しそうにしながらもハルトたちのほうに手を伸ばすが、さらに電撃が強まり男はとうとう気絶してしまった。

 

「何があったの?」

 

「わからねえ……」

 

「ご苦労だったな」

 

ハルトたちが突然のことに戸惑っていると背後から声が聞こえ、振り向くとそこにはカルバートが立っていた。

 

「依頼は完了だ」

 

ハルトたちに多くの疑問を残しながら謎の男との戦いは終わった。


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