FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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第49話 万能の錬金術師

カルバートの猛攻によってナツは窮地に立たされたが、グレイが助けに入った。

 

「だらしねぇな。こんなとこで何やってんだよ?」

 

「うるせえ!!ここから反撃するつもりだったんだよ!!」

 

いつものようにケンカ口調だが、2人とも緊張した顔を崩さない。

 

「1人増えたか……まあ、雑魚には変わらねえか。焼夷弾4錬成」

 

カルバートはグレイが現れても驚いた様子はなく、魔弾を錬成し放った。

 

「アイスメイク“シールド”!!」

 

グレイはまた盾を作り出し、弾を防ぐ。

 

「火だ!いただきます!!」

 

ナツは爆発で発生した炎を食べ、カルバートに向かって頬を膨らませる。

 

「火竜の……咆哮ォ!!!」

 

ナツの咆哮は真っ直ぐカルバートに向かうが、カルバートはヒラリとジャンプしてそれをかわし、ナツたちの背後におりた。

 

「アイスメイク“ランス”!!」

 

その瞬間、グレイの氷の槍がカルバートに迫るが、カルバートの足元から床がせり上がり、壁となって防ぐ。

 

「火竜の鉄拳!!」

 

「ちっ!」

 

カルバートの視界が壁で塞がれたのと同時にナツは壁に走り、それに向かって拳を振るい、壁ごとカルバートを吹き飛ばし、目立ったダメージはないが体勢を崩させ、膝をついた。

 

「攻撃させる暇を与えんじゃねえぞ!!アイスメイク“ハンマー”!!」

 

「わかってるよ!!火竜の咆哮!!

 

グレイとナツの怒涛の攻めにより、カルバートの頭上に巨大な氷のハンマー、眼前には炎の塊が迫ってきていた。

両方がぶつかりそうになった瞬間、カルバートの手元が光る。

ハンマーは落ち、ナツの咆哮がカルバートを襲った。

 

「やったか?」

 

「どうかな?」

 

煙が晴れるとそこにはカルバートはいなかった。

すると、カルバートのいた地面に扉ができ、開くと少し上着がよごれたカルバートが出てきた。

カルバートは2人の攻撃が当たる瞬間地面に穴を開け、もう一度塞いで防いだのだ。

 

「んなのありかよ……」

 

「ちくしょーめ」

 

「ちっ……お気に入りだったのにな」

 

カルバートは上着を見て、ため息をつき眉を寄せて怒りの表情を見せた。

 

「ガキどもが……調子に乗るなよ!!」

 

カルバートは勢いよく地面に両手をつけるとそこから地面が柱となってナツとグレイに伸びていく。

 

「ぐっ!」

 

「うおっ!?」

 

ナツたちは体をひねってなんとかかわすが柱は左右に分かれてナツとグレイをそれぞれに追う。

 

「ナツー!!」

 

「グレイ殿ー!!」

 

そこにハッピーとマタムネが現れて、それぞれを抱えて飛ぶが、柱は縦横無尽に追いかけてくる。さらには壁からも柱が伸びナツたちを襲う。

 

「うわわっ!これじゃあかわしきれないよ!!」

 

「ハッピー!かわすんじゃなくてアイツに突っ込めるか!?」

 

ナツはカルバートを指差しそう言う。

 

「うん!頑張ってみる!!」

 

「マタムネ!俺らも行くぞ!!」

 

「ぎょい!!」

 

ハッピーとマタムネはそれぞれかわしながらカルバートに迫る。

そして間近になった瞬間、ナツとグレイは魔力を込め攻撃を放とうとするが、

 

「馬鹿め」

 

その瞬間、カルバートの側の地面がせり上がりその壁にナツとグレイは激突してしまう。

 

「がっ!?」

 

「な、なんで……」

 

「錬金魔法は1つの物資を作るのにそれ相応の知識とそれを作る過程を考える思考力がいる」

 

壁はナツたちの首、手首、足首に枷をつけるように変形する。

 

「俺は他の錬金魔法を使う奴らとは違うとこがあるんだよ。それはな……」

 

ナツたちに迫っていた石柱は細かく分解され、多くの弾丸に変わっていく。

 

「同時にいくつもの思考ができるってことだ。つまり同時にいくつもの物を錬成できるってことだな。頭が弱そうなお前たちにもわかったか?まあ……今更わかっても意味がないか」

 

弾丸は全てナツたちを狙うように動き、止まった。

 

「さようなら」

 

一斉にナツたちに弾丸の雨が降り注いだ。

 

 

「流石は裏世界で『万能のカルバート』と名高いだけはあるな。ナツとグレイを同時に撃破か……」

 

盤上の駒を操りながらジェラールは呟く。

 

「ナツには期待してたんだがここまでか?」

 

ジェラールはそう言うがどこか楽しそうにしていた。

 

 

弾丸の雨で煙が出が立ち込めたが晴れるとそこにはボロボロになったナツたちが倒れており、ダメージが大きくピクリとも動かない。

 

「だいぶ時間を食った。早くエルザを見つけなきゃな」

 

カルバートはそう言い、倒れたナツたちに背を向け出口に向かって行った。

その瞬間、カルバートの耳に砂利を踏む音が聞こえた。

振り向くとナツとグレイが立ち上がろうとしていた。

 

「マジか。いい加減しつこいぞ」

 

カルバートはナツに近づき、その頭を掴んで持ち上げる。

 

「仲間のためにそこまで頑張るか? 俺にはわからねえな」

 

冷めた口調でカルバートはナツに言うとナツはゆっくりとその腕を掴む。

 

「おい、汚いだろ。はなせ」

 

「エルザは俺たちの大切な仲間なんだよ……仲間だから命をかけんじゃねえ……命かけるから仲間なんだよ」

 

頭を掴まれながらもナツはカルバートを睨むが、カルバートは何も感じなかった。

 

「訳が分からねえ。じゃあな、馬鹿なガキ」

 

ナツを掴んでいるカルバートの機械の手から光が漏れ、魔力が溜まる音が大きくなっていく。

ナツに光線が放たれようとした瞬間……

 

「覇竜の断刀ォ!!!」

 

黄金の巨刀がカルバートの腕を真っ二つに切り、攻撃を阻止した。

カルバートは切られた腕の断面を見て、巨刀が伸びている先を見る。

 

「よぉ、待たせたな」

 

そこにはハルトが立っていた。

 

 

時間は少し遡り、ルーシィたちはハルトを吸収した梟と対峙していた。

 

「ホホウ。それでは始めるか」

 

「くぅうう……」

 

「ルーシィ!?」

 

梟が構え始まろうとした瞬間、ルーシィはお腹を抑えて膝から落ち、ジュビアが肩を貸した。

梟に殴られたところが青白く腫れ上がっていた。

 

「チッ、おいそこの女。ルーシィを連れて逃げろ」

 

「え?」

 

「あの鳥野郎の魔力がさっきから上がりっぱなしだ。私でも対抗できるか分からない。私が1番の攻撃を放つ。その隙を見て逃げろ」

 

「だ、ダメよ……」

 

アクエリアスがそう言うがルーシィは苦しそうな顔をしながらも立ち上がる。

 

「アイツ、ハルトを飲み込んで消化しようとしているの……このままじゃハルトが……」

 

「ルーシィ……」

 

ルーシィはまだ戦えると目で訴えてくる。

 

「何だ、来ないのか?ならばこっちから行くぞ!!」

 

梟が駆け出そうとした瞬間、梟の動きは止まり大きくお腹が膨れた。

 

「ホッ!!!?」

 

そして梟のお腹は次々ボコボコと膨れ、暴れ回る。

梟は白目をむいて、立ったままビクビクと震えて、終いには倒れたしまった。

 

「ど、どうなったの?」

 

すると梟の口から手が伸び、そこからベトベトになったハルトがでてきた。

 

「うえ、気持ちワリ」

 

「ハルト!!」

 

「ハルトさん!」

 

「よっ、心配かけたな」

 

「ハルトォ!よがっだぁ!!」

 

「うおっ!?」

 

ルーシィは涙を流しながら、ハルトに抱きついた。

 

「お、おい、ルーシィ!今若干変な臭いがしてまずいぞ……」

 

「うぇ〜ん!私ハルトが消化されちゃうと思ってぇ!!」

 

「あれ?ルーシィはグレイ様が好きで、グレイ様はハルトさんが好きで……あれ?」

 

ルーシィはベトベトになるのも気にせず嬉し涙を流し、ハルトは困ってしまい、ジュビアは自分の恋愛関係図が間違えていることにやっと気づいた。

 

「やれやれ……なんの茶番だよ」

 

アクエリアスが呆れたように近づいてくる。

 

「アンタ、彼氏ならルーシィを彼女を泣かすんじゃないよ」

 

「はぁっ!?だ、誰が彼女よ!!」

 

「彼氏って俺か?」

 

「あれ?彼氏彼女ということは……しかしグレイ様とのBLは?」

 

若干1名勘違いしているが、アクエリアスは続ける。

 

「わたしはこれから彼氏と二週間旅行だ。しばらく呼ぶなよ。彼氏とな」

 

「二回も言わなくていいから!!」

 

「か、彼氏と……大人だわ」

 

アクエリアスが星霊界に帰ろうとした瞬間、何かを思い出しかのように付け加えた。

 

「アンタも早く彼氏作んなよ?いいのがいるんだからさ」

 

そう言ってアクエリアスはハルトのほうを見た。

 

「う、うるさい!早く帰って!!」

 

アクエリアスがからかうように笑みを浮かべながら星霊界に帰っていき、ルーシィは顔を真っ赤にして慌てた。

 

 

ジュビアに粘液を洗い流してもらい、これからどうするか話し合った。

 

「2人はこのまま楽園の塔から逃げろ。俺はエルザたちを探す」

 

「そんな!アタシも行くわ!!」

 

「私も行きます」

 

2人は立ち上がるがハルトはそれを止める。

 

「ルーシィはダメージが大きいし、魔力もそこまで残っていないだろう?ジュビアも、操られているだけでも相当なダメージが残っているはずだ。2人ともここから先の戦いに勝てるかわかねぇだろ?それにエーテリオンが落とされそうになった時、誰かが脱出用の船を確保しておかないといけないしな」

 

「そうかもしれないけど……ハルトだって熱が……」

 

「俺なら平気だ。あの梟野郎に吸収されて、消化されたときウィルスも消化されたぽっいんだ。だから後のことは俺に任せて2人は船を頼む」

 

ハルトにそう言われた2人はしぶしぶ頷き、ハルトと別れた。

 

 

「っていうわけだ」

 

「へぇ、ウィルスがなくなったねぇ。梟に消化されてウィルスがなくなったって嘘だろ?今でも立っているのが辛いはずだ」

 

「……バレたか。だけど最初よりは辛くねぇ……よっ!!」

 

ハルトは一気に駆け出し、カルバートに近づく。

カルバートは弾丸を錬成し、迎え撃つがハルトは剛腕で防ぎ、近づいて殴りかかるがカルバートは足のブースターを起動させ、飛び退いた。

 

「しかし正規ギルドのくせに思いっきりやってくれたな。もし生身の腕ならどうするんだ?」

 

カルバートは切られた腕を見せ、挑発するような口調でそう言うが、ハルトは全く気にせずカルバートに近づく。

 

「匂いでわかるんだ。お前から人間の匂いより機械の油臭い匂いのほうが多いんだよ!覇竜の咆哮ォ!!!」

 

「なるほどな……トライデントシールド」

 

ハルトの咆哮はシールドに防がれてしまい、ハルトはウンザリした。

 

「またシールド持ちかよ……」

 

「荷電粒子砲4門錬成。電撃弾10装填錬成」

 

電撃の弾丸が連続で打ち出されハルトを襲うが、これも剛腕で防ぐ、

しかし防いだすきにカルバートはハルトの懐に入り込み、手を胸に押し付ける。

 

「フォースレーザー発射」

 

「がっ!?」

 

レーザーはモロにハルトに当たるが、ハルトは吹き飛ばされずカルバートの腕をつかみ、殴った。

 

「らぁっ!!」

 

「ぐっ!?」

 

受け身を取ることができなかったカルバートは殴り飛ばされてしまう。

 

「痛っ〜!モロに受けちまった……だけどやっと綺麗に攻撃を入れることができたぜ」

 

「レーザーを受けてあの程度なのか……人間をやめてやがる……」

 

「おい。俺だけじゃねえぞ。人間やめてるのは」

 

「なに?」

 

「火竜の煌炎!!」

 

「アイスメイク“ランス”!!」

 

その言葉の直後、カルバートを氷の槍と炎の塊が襲う。

 

「ガアアァアアアアッ!!!?」

 

突然の攻撃でカルバートは防ぐこともできずに受けてしまう。

 

「ぐっ……くそ……こいつらのことを忘れてた……」

 

カルバートの前にナツとグレイが立つ。

 


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