FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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第5話 覇竜の旋拳

現れたハルトはデュラガに一気に詰めより、マタムネとルーシィを掴んでいる腕に一撃ずつ加えることで解放させ、みぞおちに魔力を込めた一撃を放った。

 

「覇竜の剛拳!!」

 

ドガアァァァァァン!!!!

 

吹き飛ばされたデュラガは壁を巻き込み、瓦礫の下に埋もれた。

ハルトはルーシィとマタムネに駆け寄った。

 

「ルーシィ! マタムネ!

大丈夫だったか!?」

 

「けほっ… なんとか」

 

「無事でごじゃるぅ〜」

 

すると、今まで横で見ているだけだったアソットが喚き始めた。

 

「ふんっ! 貴様ぁ!一体どうしてここがわかった!!?」

 

「親切な奴が教えてくれたんだよ」

 

「ふんっ!? 何ぃ!?」

 

 

春がルーシィ達と別れた後、傭兵ギルド鋼鉄の人形の魔導士、ランチア、テティと戦っていた。

 

「暴蛇烈破!!」

 

ランチアは巨大な鉄球を掌底で打ち、勢いをつける。

すると鉄球は蛇のような気流を作りながらハルトに突進してくる。

ハルトは見切って横に避けてかわすが、鉄球が不自然に軌道を変えて

ハルトを襲う。

ハルトは驚き、躱し損ねてしまい受けてしまった。

そのまま森に向かっていき何本かの木をなぎ倒し止まったが、すぐに

ハルトは上空に高く跳んだが、またランチアが鉄球を放つ。

 

(バカめ、上空では躱せないだろう… これで終わりだな)

 

ランチアはこれで終わると思っていたが、ハルトは腕を横に向けて魔力を放出した。

それによりハルトは空中での移動を可能にし、一気にランチアに詰め寄ったが、目の前にベアーMk4が2体立ちふさがった。

ハルトは足止めされ、ベアーが襲ってきたが、体をよじり躱しながら

ベアー2体を倒す。

その時にはランチアは遠くに移動し、テティの側には新たなベアーが数体現れていた。

ハルトは内心、焦っていた思った以上に2人の連携が取れており、中々攻撃が入らないからだ。ランチアに攻撃しようとすればテティのベアーが止めに入り、テティを攻撃しようとすればランチアが止めに入る。

ハルトはどう攻撃するか考えていた。

すると、テティが

 

「う〜ん、思った以上に強くはないかな?

ねぇ、ランチア。 一気に倒してしまおうよ?

あんまりデータも取れないし」

 

「そうだな…

先に行った女と猫も追いかけないといけないしな」

 

「好き勝手言ってくれるじゃねぇか?

そんな簡単にやられるかよ」

 

すると、ランチアは鉄球を自分の頭上で振り回し始めた。

徐々に巻き起こされた風は勢いを増し、竜巻のようになった。

直感で危険だと感じたハルトはランチアから遠ざかろうとするが、風がランチアを中心に集まろうとし、引き寄せられてしまう。

その勢いは周りの地面をめくりあげる程だ。

めくりあがった地面に足を取られ、バランスを崩してしまったハルトにベアーの多勢がハルトに襲いかかった。

ハルトは捌き、カウンターなどで応戦するが、ベアーの数が多すぎて目の前が見えなくなってしまった。

すると、ベアー達は一斉にハルトから離れて行った。

ハルトの目の先には今まさに鉄球を放とうとするランチアがいた。

 

「嵐蛇烈破!!」

 

ランチアが放った鉄球は風を嵐のように纏ってハルトに突っ込んできた。

ハルトは避けようとした瞬間、後ろからベアーがつかまってきた。

 

(しまった! 目の前の攻撃に集中し過ぎた!)

 

ハルトはなんとか脱出し、ベアーを足場にしてジャンプしたが鉄球はまた不自然に曲がりハルトに迫った。魔力を出して逃げようとしても

風が鉄球に寄せられるように集まるので逃げれない。

 

「終わりだ…」

 

ドゴオォォォォン!!!

 

ハルトは鉄球を喰らってしまい、鉄球が蛇のように軌道を変えながら地面に激突した。

そのせいで、土煙が上がりハルトの様子がわからない。

 

「終わったー?」

 

テティがランチアに近づきながら聞いてきた。

ランチアは鉄球を自分の手元に戻しながら答えた。

 

「あぁ、直撃だったからな…

死んでないとしても起き上がってこないだろう」

 

「そっか、じゃああの女と猫を追おうよ」

 

ランチア達が立ち去ろうとした瞬間、

 

「待てよ」

 

土煙の中から声が聞こえて来た。

ランチア達は勢いよく土煙が上がっているところを見る。

その顔には信じられないと言った表情が読めた。

土煙がなくなるとそこには腕をクロスし、袖の部分がなくなっており、その腕の周りには金色の魔力で形作られた竜の腕があった。

 

「覇竜の剛腕」

 

「ありえない… ランチアの嵐蛇烈破を防ぐなんてそんなことできるの

デュラガぐらいしかできないのに…」

 

「いや、すげぇ威力だな、さっきの技。

覇竜の剛腕を出したのに袖が破けた」

 

テティは冷や汗を流すが、ランチアは辛そうな顔をするだけだった。

 

「そうか、なら何回もやってお前を倒すだけだ」

 

「もうやられねえよ。

次からは少し本気になる」

 

「本気? 今まで本気じゃなかったのか?」

 

そう言われ、ハルトは困った顔をした。

 

「俺の悪い癖なんだけど、どうしても人と戦うときは手加減してしまうんだ。

だけど、あんた等強いから、少し本気を出す」

 

ハルトは覚悟を決めた顔をした。

それにより、ランチアはより一層辛そうな顔をした。

 

「やっちゃおうよ、ランチア。

こいつ、ここで潰しとかないとまずい」

 

「あぁ、そうだな… 、ふんっ!」

 

ランチアはまた鉄球を回し始めて、テティはベアーに命令しハルトを襲わせた。

ハルトは体を低くし、スタートダッシュの形をし、弾ける様に走り出した。

ベアー達と交戦するが、その勢いは止まらず、まるで嵐の様に進んだ。

ハルトがランチアの前に出たときには、またランチアが待ち構えていた。

 

「嵐蛇烈破!!!」

 

ランチアが放った鉄球はさっきよりも風も勢いも強く、確実にハルトを倒そうとしているのがわかった。

しかし、ハルトは避けようとせずにそのまま突っ込んで行った。

これには放ったランチアもベアーを待機させていたテティも驚いた。

あの技に突っ込んでいくなんて自殺行為と思ったからだ。

ハルトは拳に魔力を纏って鉄球を殴ったが、それでは鉄球の勢いは止まらない。

 

「覇牙連拳!!」

 

次々と拳を鉄球に叩き込んで行くハルト、すると鉄球は段々勢いがなくなっていき、ついには止まってしまった。

さらにハルトは鉄球に渾身の一撃をぶつける。

 

「覇竜の剛拳!」

 

鉄球は拳が打ち込まれたところを中心に罅が入り、粉々に砕けてしまった。

 

「あ…ありえない…」

 

「くそっ! 化け物には化け物をぶつけてやるよ!!

出てこい!ベアーMk10!!!」

 

テティの合図とともに森から巨大な影が見えてきた。

どことなく今までのベアーに似ているが体長を10メートルは越す巨大でおそろしさは一番だった。

 

「ハハハハハッ!! 僕が作ったベアーの中で最も強い個体だ!!

こいつに勝てるかな!!?」

 

ベアーMk10はハルトに近づき見下ろすとハルトに向かってパンチを出した。

ハルトはこれにも逃げもせずにその場で構え、向かえうった。

 

「覇竜の螺旋拳!!」

 

ハルトは腕をひねり、打つ瞬間に回転させる強力な一撃を食らわせた。

それによりベアーは腕から衝撃が伝わり後ろ吹っ飛んで行った。

 

「えっ…ちょ…うそ…ちょっとまっ」

 

ズドオォォォォン!!

 

テティは吹っ飛されたベアーの下敷きになってしまい気絶してしまった。

それを確認したハルトはランチアに向きなおった。

 

「さてと後はあんただけなんだけど…

ハッキリ言ってあんたとは戦いたくないんだ」

 

「何?」

 

「だって、あんた攻撃するときいっつも躊躇していただろ?」

 

「っ!!

そんなことはない!」

 

「それに攻撃を当てる瞬間、いっつも目を閉じてたし、それって人が傷つくところを見たくないんだからじゃないのか?」

 

「黙れ!」

 

ランチアはとつぜんの殴りかかってきた。

まるで図星を言われたかの様に。

 

「あんたはいい人だ。

ルーシィ達を攻撃しなかったのもそうだからじゃないのか?」

 

「黙れ黙れ黙れ!!」

 

ランチアはやたらめったらと殴りかかるだけで、ハルトには全く届きはしなかった。

ハルトは仕方がないと思い、鳩尾に一発叩き込んだ。

ランチアはたたらを踏み、しゃがみこんでしまった。

 

「仕方がないんだ…」

 

ランチアは声を震わせながら呟いた。

 

「妻や子供、仲間を救うにはこれをするしかないんだ!」

 

「どういうことだ?」

 

ランチアはポツリポツリと話し始めた。

ランチア自身も限界だったのかもしれない。

 

「俺は腕っ節が強かった正規ギルドの魔導士だったんだ。

同じギルドに所属していた女性と結ばれて子供もできた。

しかし、ある日、デュラガが率いる鋼鉄の人形が俺たちのギルドを襲ったんだ。

もちろん俺も戦った。 しかし、負けてしまい。妻と子供、それにギルドの仲間は全員が、奴が持っていた呪いの道具により石に変えられてしまった。

助けて欲しければ俺の部下になれと脅され、今はこんな状態だ。

酷いこともたくさんしてきた。

仲間の為だと言い聞かせてきたが、もうダメだ。

村の人達を傷つけるのはもう俺には耐えられない!」

 

ランチアが流した涙は地面に落ちていく。

 

「こんな弱い俺ですまない… みんな…」

 

ハルトは黙って頂上に続く道のほうを向く。

 

「そのデュラガってのはこの山にいるのか?」

 

「あ…あぁ」

 

「どこだ?」

 

「おそらく工場にいるはずだが…」

 

「どっちに行けばいい?」

 

「お前…まさか… よせっ!

奴は強い! いくらお前が強いからって奴には…」

 

「いいから教えてくれ」

「……左の道に行くと近い」

 

「ありがとな」

 

ハルトは左の道を行くが、途中で立ち止まり、ランチアに話しかけた。

 

「あんたは強いよ」

 

ランチアは何を言っているのかわからなかった。

 

「家族や仲間を救う為にここまで1人で頑張ってきたんだ。

それはあんたが強いってことじゃないのか?

1人でここまでやれる奴なんてそういないしな

少なくとも俺はそう思うぜ?」

 

その言葉にダムが決壊したかの様に涙を流し、震える声でランチアは礼を言った。

 

「ありがとう…」

 

 

「まぁ、そんなことがあったんだよ」

 

「そうなんだ…」

 

「だから、さっさと出てこいよ、デュラガ。

まだ、やられてねぇだろ?」

 

その言葉に反応するかの様にデュラガが埋もれていた瓦礫の山が弾け飛んだ。

 

「ハッハッハッハッハァッ!!!

ランチアのやつぅ家族がどうなってもいいのかぁ?

こんなガキに任せるなんてよぉ!!」

 

出てきたデュラガは多少傷が付いているだけで、健全だった。

そこに得意げなかおをして近づくアソット。

 

「ふん! いや〜先生ご無事でしたかぁ♪

てっきりやられてしまったかと…」

 

それを聞いてデュラガはアソットを睨む。

 

「あぁ? テメェ、俺が負けると思ってんのかぁ?」

 

「ふ、ふん。

そういう訳では…」

 

デュラガはアソットを殴り飛ばした。

 

「依頼人を殴り飛ばしていいのかよ?」

 

「俺が気に食わない奴らはどうなろうがどうでもいいんだよぉ

それよりガキィ、よくもやってくれたなぁ?

覚悟しろよぉ? あぁっ!!!?」

 

デュラガはハルトに突進してくる。

ハルトは身構え立ち向かう。

ここに最後の戦いの火蓋が切られた。

 

 

ランチアはハルトに貰ったダメージを回復させてからアソットの工場に向かった。

ハルトがああは言ってくれたが、デュラガの強さは自分がよく知っていた。

いざとなれば自分が不意打ちか相打ち覚悟で臨む気でいた。

ようやく入口が見えてきて、そこからぶつかり合う音が響いている。

ランチアは重い体を急かしながら、進み、自分の目に入ってきた光景は、

 

「覇竜の剛拳!!」

 

「ぐぅ!!?」

 

「…あのデュラガを圧してるのか?」

 

ハルトがデュラガを圧倒している光景だった。

 

「ちぃ! ただのギルドの兵だと思ったがなかなかやるなぁ!!」

 

「お前も案外大したことないな」

 

「油断するな!! デュラガはまだ本気を出してないぞ!!」

 

デュラガはランチアに気づき、悪どい笑みを浮かべた。

 

「よぉ、ランチアァ? テメェよくも負けてくれたなぁ

お前の家族や仲間が傷つくぞぉ?」

 

「くっ…」

 

「させるかよ。お前を倒せば終わりなんだからな」

 

デュラガはそれを聞き、吹き出してしまった。

 

「ハハハハッ! お前この俺を倒せると思ってんのかぁ?」

 

「さっきまでハルトに圧されてたじゃない…」

 

「そうかよぉ? じゃあ、ほらよぉ? 打ってこいよぉ?」

 

デュラガは上着をはだけさせ、地肌を見せ、ハルトに攻撃させる挑発をしてきた。

ハルトは挑発され、顔を顰めながらも魔力を拳に纏わせる。

次で決着を付ける気だ。

 

「後悔するなよ? 覇竜の螺旋拳!!」

 

ハルトは剛拳より威力の強い螺旋拳をデュラガの鳩尾に放つ!

 

ガキィィィィン!!

 

「ぐぅあぁぁ!?」

 

「「ハルト!?」」

 

倒れたのはハルトのほうだった。

拳を抑え蹲る。

デュラガの腹の部分を見るとダイヤモンドになっていた。

 

「さっきはよくも大口を叩いてくれたなぁ?」

 

デュラガは拳をダイヤモンドに変えハルトを殴る。

 

ドガッ!!

 

ハルトは顔が地面に埋もれてしまう。

立ち上がろうとするが、デュラガは立て続けに拳を叩き込む。

 

「離れるでごじゃる!!」

 

マタムネが木刀をデュラガの顔目掛けて飛び込んでくるが、顔をダイヤモンドに変え防ぐ。

ハルトはその隙に逃げ出す。

 

「ハルト!大丈夫!?」

 

「来るな!」

 

ハルトは頭から血を流しながら、駆け寄ってくるルーシィを手で制する。

マタムネもハルトに駆け寄ってくる。

 

「大丈夫でごじゃるか、ハルト?」

 

「あぁ、まぁな。

マタムネはルーシィを守ってくれ」

 

マタムネは何か言いたそうな顔したが、ハルトが頭を撫でる。

 

「頼むぞ」

 

ハルトの真剣な顔を見て、マタムネはうなづきルーシィに近づく。

 

「安心しろルーシィ。

負けないからさ」

 

ハルトはルーシィを安心させる為に笑顔を見せるが、デュラガに貰った攻撃が効いてるのか疲労が見える。

 

「別れの挨拶は終わったかぁ?」

 

ハルトはデュラガのほうを向き、飛び出し、殴り掛かるがデュラガは攻撃が当たる部分をダイヤモンドに変えて防ぐ。

攻撃が当たるが、鈍い音が鳴るだけだった。

 

「くそっ!」

 

ハルトはデュラガから離れる。

殴った拳はやはり青白く変色している。

 

「次はこっちから行くぞぉ!!」

 

デュラガはハルトに詰め寄り、ダイヤモンドに変えた腕を振るう。

ハルトは避けるが何故か傷が付いてしまう。

 

「ぐっ!?」

 

(何だ!? 何か飛んできた? これは…ダイヤモンド!?)

 

ハルトは傷がついた部分を見ると細かいダイヤモンドが刺さっていた。

デュラガが腕をダイヤモンドに変えて、突進してくるのをハルトは防ぐ。

 

「覇竜の剛腕!」

 

防ぐが剛腕はヒビが入り、砕け、ハルトに直撃する。

 

ドカアァァン!!

 

ハルトは工場の機械にぶつかり、止まる。

 

「がはっ!」

 

デュラガはゆっくりと座り込んでいるハルトに腕をダイヤモンドに変え、振り上げる。

 

「じゃあなぁ!」

 

その瞬間、デュラガの腕に鎖が巻きつく。

 

「やらせないぞ! デュラガ!」

 

ランチアが鉄球に付いていた鎖でデュラガの腕を防いだのだ。

しかし、それを腕を振ることでランチアを引き寄せ、顔を掴み地面に叩きつける。

 

「テメェら弱者はオレの様な強者に搾取されるだけなんだよぉ!!

この村の奴らみたいになぁ!!」

 

その言葉にハルトは起き上がり、デュラガの鳩尾に拳を叩き込む。

 

「そんなことはないぞ!!」

 

「ぐおっ!!」

 

「弱い奴らはな! 何時までもやられてばかりじゃないんだよ!!」

 

ハルトはそう言うが崩れるた

 

「はっ! 弱い奴らは弱いままだろうがぁ!」

 

デュラガはまた腕をダイヤモンドに変え、突進しようとするが、首と腰に鎖とムチが巻きつく。

 

「俺もだ。やられてばかりではいられるか! 家族と仲間は返してもらうぞ!!」

 

「この村の人達だって、いつまでも従ってばかりじゃないわ!!

必ず自分達で立ち上がる!」

 

ランチアとルーシィがデュラガの動きを止める。

 

「ぐぐぐ…」

 

「ハルト! 立つでごじゃる!!」

 

「おう…」

 

ハルトはゆっくりと立ち上がり、構える。

 

「うっとしいぞぉ!! 弱者どもぉ!!」

 

デュラガは鎖とムチを引き離し、腕をダイヤモンドに変え交差し、ハルトに突っ込んで行く。

 

「ダイヤモンドインパクトォ!!」

 

「言っただろうが…、いつまでもやられてばかりじゃねぇてっ」

 

拳、腕に魔力を纏わせる。

その勢いはどんどんと増していき、嵐の様にうねる。

デュラガとハルトがぶつかる瞬間!

デュラガの視界からハルトが消え、自身の体に凄まじい衝撃が襲う。

 

「覇竜の旋拳…」

 

ハルトの攻撃はデュラガの鳩尾に深く刺さっており、気絶し倒れた。

それと同時に機械がハルトが突っ込んだ衝撃により爆発が起きてしまった。

 

「逃げるぞ! この工場は持たないぞ!!」

 

ランチアはアソットを抱え、叫ぶ。

 

「ッ! ルーシィ急げ!!」

 

「ちょっと待って!」

 

ハルトもデュラガを抱え逃げようとするが、ルーシィは工場の奥に行ってしまう。

 

「どうするでごじゃる!?」

 

「…迎えに行くぞ!

ランチアは先に行ってくれ!」

 

「あ…おい!

くそっ! 死ぬんじゃないぞ!!」

 

ランチアにデュラガを渡し、ルーシィが向かった奥へと進んだ。

 

 

辺り一面が炎に包まれて、危険な状態だ。

 

「ルーシィ!どごだ!!」

 

「匂いでわからないのでごじゃるか!?」

 

「煙のせいでわからないんだよ!」

 

どんどん火の勢いが増してくる。

このままでは脱出が出来なくなってしまう。

すると、奥から走る音が聞こえてくる。

 

「ハルト!」

 

「ルーシィ! 何してんだ!?

早く逃げるぞ!!」

 

「こっちでごじゃる!」

 

逃げようとするが道が瓦礫が落ちて塞がれてしまう。

 

「きゃあっ!!」

 

「くそっ!」

 

「どうするでごじゃる〜!!」

 

周りは火の海で逃げることが出来ない。

 

「…2人とも俺に捕まれ!!

一か八かだ…!」

 

ルーシィとマタムネはハルトにしがみつき、目をつむる。

ハルトは腕を体の前で交差し、魔力を纏わせる。

爆発が起ころうとする瞬間、

 

「覇竜の剛腕・包!!」

 

爆発が工場を包んだ。

 

 

「ハルト君…!」

 

ランチアはアソットとデュラガを鎖で縛りつけると、工場の爆発が起こった。

それと同時に川が決壊し、水が流れ込み火事が消えていく。

ランチアは火事が消えたのを確認し、ハルト達を探しに行った。

 

「ハルト君! 無事かー!!」

 

何度呼んでも返事が返ってこない。

やはり、爆発に巻き込まれ死んでしまったと思ってしまう。

すると、瓦礫が落ちる音がした。

音が鳴ったほうを見に行くと不自然に瓦礫が積まれていた。

 

「あれは…」

 

瓦礫が徐々に崩れ始めると、そこにはハルトの覇竜の剛腕が何本も地面から、球状になるように生えていた。

徐々に魔法が消えていくと中にはハルトにしがみついたマタムネとルーシィがいて、無事な様子だった。

 

「ふぅ…

なんとかなったな…」

 

「死ぬかと思ったでごじゃる…」

 

「ごめんね…2人とも、私の為に…」

 

ルーシィは2人を爆発に巻き込んでしまい申し訳ない顔をした。

 

「気にすんな、仲間だろ?

それに助けて貰ったら、ありがとうだろ?

 

「そうでごじゃる!」

 

「うん! ありがとっ!! 」

 

「良かった、無事だったのか!」

 

ハルト達はランチアと落ち合い、辺りを見回した。

そこは焼け野原になってしまった。

 

「これじゃあ、クロソ草は全部焼けてしまったかもしれないでごじゃる…」

 

「そうかもな…

なぁランチア、他にクロソ草が生えているところを知らないか?」

 

「悪い、クロソ草はここにしか生えていないんだ…」

 

「そうか…どうしようか…」

 

「安心して! …これを見て!」

 

ルーシィは自分のカバンの中を見せた。

そこにはクロソ草が入っていた。

 

「あの時、クロソ草を取りに行ってたの!」

 

ルーシィは爆発が起ころうとした時、工場の奥で栽培されていたクロソ草を取りに行っていたのだ。

少ないがこれでクロソ草を栽培できる。

 

「よくやったぞ!ルーシィ!!

これで依頼達成だ!」

 

「やったでごじゃる〜!」

 

「うん!これで初依頼達成よ!!」

 

 




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