FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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第40話 帰れない星

鳳仙花村での一件が終わり、ハルトたちは妖精の尻尾に帰っていたが、ボロボロに傷ついたナツとグレイが睨み合っていた。

 

「あいつらどーしたんだ?」

 

「旅館で枕投げしてたらハルトにボロボロにされたらしいわ」

 

「枕投げでどうやってあそこまでケガをするんだよ……」

 

そして睨み合いからとうとうケンカになってしまい、騒ぐと……

 

「うるさい」

 

ひどく冷たい声でルーシィはナツたちに言うと、ナツたちの背中にエルザにお仕置きされるのと同じ寒気が駆け巡り、素直に謝った。

 

「どうしたの、ルーシィ?機嫌が悪いわね」

 

「いや、ちょっと……」

 

ルーシィはミラに聞かれても何も言わず、ふてくされた表情をするだけで、ミラも何も言えずに少し困った笑みを浮かべると、カミナと話していたハルトが目に入った。

 

「やっと顔色が良くなってきたな」

 

「あぁ……ミラも満足して来たんだが、毎晩の数が少なくなってきただけだ」

 

「………ミラって若干病みが入ってるよな」

 

「いつもなら反論するが………やっぱりそうか?」

 

カミナはミラのことで相談していた。

カミナはミラのことが大切だが最近は命の危険を感じているらしい。

最強ギルドのトップクラスの男の死因が腹上死では笑えない。

 

「やっぱりこまめに帰ってくることだな。ミラはお前が心配で仕方がないんだよ。リサーナのこともあったしな」

 

「……そうだな」

 

ミラはリサーナが死んでしまったことからトラウマができてしまい、魔力が使えなくなってしまった。

そこにミラも混ざってくる。

 

「ねぇ、ハルト」

 

「どうした?」

 

「ルーシィに何かあったの? すごく不機嫌よ?」

 

「あーまぁ、な。ちょっと嫌な事があったんだよ」

 

誤魔化して話そうとしないハルトにミラはこれ以上聞いても話してもらえないと思い、しぶしぶ引き下がった。

 

「そういえば何の話をしていたの?」

 

「え!? いや、そのな……」

 

ハルトはミラが病んでいるということを本人に話せるわけがないので誤魔化すが、ミラはハルトの肩を掴み問いただす。

 

「何を、話したの?」

 

ミラの体から黒いオーラみたいなのが溢れ空気が重くなり、ハルトの額から冷や汗が止まらなくなり、ハルトの肩からギリギリと鈍い音がなる。

ハルトはすぐにでも言って解放されたかったが、カミナが目で下手なことは言うなと訴えかけてくる。

カミナがまた干からびるのは避けたいがそれよりミラに殺される雰囲気がしてやばかった。

カミナをとるか自分の命をとるか……

 

「………カミナがミラのことを愛してるって話をしてたんだ!」

 

「なっ!? お前……!!」

 

やっぱり自分の命が大切だった。

それを聞いたミラは満面の笑みになり、頬を赤らめ両手を両頬にあて体をくねらせた。

 

「もう〜カミナったら〜そういうことは私に直接言ってくれればよかったのに♪」

 

「だよなーハハ」

 

「ハルト、貴様ぁっ……!!」

 

ミラの喜びにハルトは乾いた笑い声で答える。

カミナはそんなハルトを親の仇のように睨んだ。

 

「カミナ♪今晩は期待しててね♡」

 

ミラはスキップでカウンターに戻っていった。

それを見送った瞬間、カミナはハルトに斬りかかり、ハルトは剛腕で防ぐ。

 

「何てことを言ったんだ!今晩もなんて体が持たないぞ!!」

 

「うるせぇ!彼氏なら彼女の愛情ぐらい受け止めてやれや!!」

 

「その愛が重いから相談していたんだろうが!!!」

 

そのまま喧嘩となり辺りの机や椅子を破壊しまくった。

結局この2人もナツたちと変わらない喧嘩早さだ。

 

 

ミラに質問された後、ルーシィは機嫌が悪そうな顔をしていた。

そこにマタムネとハッピーがやってくる。

 

「ルーシィ殿ずっと機嫌が悪いでごじゃるな」

 

「オイラたちのいたずらまだ怒ってる?」

 

「ちがーう!あたしってそんな器の小さい人に見える?」

 

そう答えたルーシィは一息つき謝った。

 

「ゴメン……なんか色々考え事あって……」

 

「せっしゃたちが相談にのるでごじゃる」

 

「あい」

 

「うん…いいの……ありがとう」

 

すると横から考える原因となった男の名前が聞こえてきた。

 

「ねぇ、ロキ来てる?」

 

「ロキは?」

 

「何よアンタたち」

 

「アンタこそ」

 

「ロキ〜どこ〜!」

 

そこには多くの美女、美少女がミラに詰めかけたいた。

 

「何アレ?」

 

「街の女の子たちだよ。みんな自称ロキの彼女みたいだね」

 

「羨ましいでごじゃる……」

 

どうやら彼女たちは昨晩ロキから別れようと言われたらしく、ロキに問いただしにきたのだ。

遂には本命が現れたと考え、ギルド内を探す。

その勢いに圧倒されたミラはルーシィに助けを求めた。

 

「ルーシィ〜助けて〜」

 

「ちょっ……!」

 

その瞬間、自称ロキの彼女たちはルーシィをロックオンする。

 

「何あの女〜」

 

「ちょっとかわいいし…」

 

「まさかロキの本命って……」

 

「い、いやアタシじゃ……」

 

詰め寄ってくる彼女たちにルーシィは後ずさる。

そこに割り込む男が……。

 

「ちょっと待ってくれよ。ルーシィはロキの彼女じゃないんだ」

 

「ハルト!」

 

カミナと喧嘩をしていたハルトだがルーシィがピンチだと思い、駆けつけたのだ。

 

「何よ!地味男は黙っててっ!!」

 

「地味……!?」

 

「タンポポ頭は引っ込んでなさい!」

 

「タンポポ!?」

 

初対面の女性からの罵倒にハルトは膝をついて落ち込む。

確かにハルトはロキやカミナと違い、美形じゃないがそこまで言われるとは思ってなかった。

 

「ちょっ…ちょっとアンタたち!いくら何でも……」

 

「待てハルト!まだ話は終わってないぞ!!」

 

そこにカミナがやって来ると女性たちの目は変わった。

 

「あら?いい男じゃない」

 

「かっこいい…」

 

「ねぇ、お兄さん。お名前は?」

 

ハルトに精神的ダメージを負わせた女性たちはカミナのほうに寄っていく。

 

「何だお前たちは?邪魔だ」

 

「もう、そんなこと言わずに」

 

「ちょっとお茶しましょう?」

 

カミナが冷たくあしらうが、それが拍車をかけ、どんどん詰め寄っていく。

すると、地獄の底から響いてきたような声が聞こえてきた。

 

「カミナ……」

 

「なんだミラ……っ!?」

 

カミナがそっちを向くとさっきと打って変わって黒いオーラを纏ったミラが俯いて立っていた。

どうやらカミナに他の女性が話しかけるのが気に入らなかったようだ。

 

「今晩は覚悟しておいてね……」

 

「なに!?」

 

「貴女たちも邪魔だからさっさと消えなさい……」

 

『ハ、ハイィィィィィィッ!!!!』

 

カミナに話しかけた女性たちはミラの迫力に涙を流しながら逃げて行った。

 

「今のうちに逃げるでごじゃる」

 

「え?でもハルトが……」

 

「ハルトはせっしゃが見ておくでごじゃる。まだロキの彼女はいるでごじゃるから早く行ったほうがいいでごじゃる」

 

「う、うん……じゃあ行くね」

 

ルーシィは被害が及ばないうちに家に帰った。

 

「地味って……」

 

「まぁまぁ」

 

 

自宅に帰ったルーシィはロキと関係があった星霊魔導士を調べるために自身が持つ星霊の1人、南十字座のクルックス、通称クル爺に頼んで調べてもらうと星霊界にも個人情報保護法が適用されており、詳しくは教えられないがロキと関係があった星霊魔導士はカレン・リリカだと教えられた。

 

「カレン・リリカですって!? めちゃくちゃ有名な魔導士じゃない!!」

 

「そんなに有名なの?」

 

一緒に来ていたハッピーが尋ねた。

 

「すっごい美人で昔はソーサラーのグラビアとかやってたんだけど、何年か前の仕事で亡くなっちゃたの」

 

「ギルドの魔導士だったんだ」

 

「うん……確か青い天馬(ブルーペガサス)だったと思う。ねぇ、そのカレンとロキがどう関係してるの!?」

 

「ほマ、これ以上は申し上げられません」

 

「ちょっと!」

 

そのままクル爺は星霊界に帰ってしまった。

ルーシィは頭の中でロキが言ったこと、そしてクル爺の言ったことを推理していく。

 

「あれ?」

 

そして何かに気づく。

 

「どうしたの、ルーシィ?」

 

「ううん……でも、もしかして……」

 

何かに気づきかけたルーシィの部屋にグレイが滑り込んできた。

 

「ルーシィ大変だ!!」

 

「キャアっ!?ど、どうしたのよ!」

 

「ロキが妖精の尻尾から出て行っちまった!!」

 

グレイの突然のことに驚くルーシィ、グレイも慌ててるようだ。

 

「え!? な……何で!?」

 

「知らねえよ!今みんなで探してんだ。あいつ……ここんトコ様子おかしかったからな……とりあえず辺りを探すぞ!」

 

グレイ、ハッピーと別れてルーシィも探すがなかなか見つからない。

ルーシィは途方にくれてしまう。

 

「せめてあそこの場所が分かれば……」

 

「ルーシィ」

 

声をかけられたほうを向くとハルトが神妙な顔で立っていた。

 

「ハルト、どうしたの?」

 

「ロキがどこかにいるか知りたいか?」

 

「知ってるの!?」

 

ハルトの言葉に驚くルーシィだが、そこである疑問を覚える。

 

「知ってるなら何でハルトが行かないの?」

 

「………俺じゃダメなんだ。だけどルーシィなら……星霊に真摯に向き合えるルーシィならもしかしたら……」

 

「知ってるんだね。ロキのこと」

 

「ああ、それじゃあ行くか」

 

 

崖が滝と対面するようにある場所に1つだけ墓があり、そこにロキはいた。

すると背後から足音が聞こえロキが振り返るとルーシィとその奥にハルトが立っていた。

 

「ルーシィ、ハルトも!!」

 

「みんな探してるよ」

 

「……っ!ハルト、君だね。ここを教えたのは」

 

「………」

 

ロキはハルトを責めるように睨む。

 

「カレンのお墓でしょ?ここって……」

 

ロキの頬に汗が垂れる。

 

「星霊魔導士カレン。あなたの所有者(オーナー)よね。星霊ロキ……ううん……本当の名は獅子宮のレオ」

 




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