FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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おまたせしました!


第22話 1人じゃない

ハルトはエルザに無理矢理連れられ、港町ハルジオンに列車で向かっていた。

その途中で何故連れられたかを説明された。

 

「はぁ!? ナツ達がS級クエストに行ったぁ!?」

 

「あぁ、まったく…」

 

エルザは腕を組み、目を閉じて心底失望したと言った顔をし、ため息を吐いた。

ハルトはあまりのことに開いた口が塞がらない。

 

「で…それを連れ戻しに行ったグレイも戻らずと…」

 

「そうだ」

 

ようやく落ち着いたのかハルトは少し考え、エルザに聞こえないくらいの大きさで呟く。

 

「もしかしたら俺のせいなのかもな…」

 

「何か言ったか?」

 

「いいや、なんでもない。 取り敢えずあいつらを見つけ出さないとな

あいつらが行った場所はどこなんだ?」

 

エルザは閉じていた目を開き、真剣な目でハルトを見る。

 

「悪魔の島、ガルナ島だ」

 

それを聞いたハルトは深いため息を吐き、座席の背もたれに深くもたれ外の景色を見ながらこぼした。

 

「また悪魔かよ…」

 

 

ハルジオンに着き、さっそくガルナ島に行こうとするが、どの船乗りに頼んでもあんな恐ろしい島に行きたくないと言い、乗せてくれなかった。

 

「どの船も乗せてくれねぇな」

 

「あぁ、しかし船乗り達が言うには前にも乗せてくれと言って来た者たちがいたらしい。 恐らくナツたちだ」

 

そう言うエルザは顔を険しい。

 

(じいさんが俺に頼んだのはこういうことか…)

 

マカロフが頼んだ理由がエルザがナツ達にやり過ぎないように止めるためだな、とハルトは思った。

 

「だけどどうする? 船が無いんだったら泳いで行くか?」

 

「いや、あそこにちょうどいい物がある」

 

エルザが指さす先には明らかに海賊船だとわかる船があった。

 

「いや、流石にあれは…って聞けよ!」

 

ハルトが流石にやめたほうがいいと言おうとするが、エルザはハルトの言葉を聞かず海賊船に向かって行く。

ハルトは乗り物に乗りながらの戦いは苦手なため待っているだけだが

悲鳴が絶えず船の中から聞こえるので、顔を引きつらせてしまう。

悲鳴が止み船から降りてくるエルザはどこかやりきった顔をしていた。

 

「さて、私の交渉でガルナ島に行くことができるようになったぞ」

 

「……交渉?」

 

「さぁ、行くぞ」

 

 

ハルトたちが船に乗り込み、ガルナ島に向かうが船の乗組員はエルザによってほとんどが倒されており、船長が船を操っているがすでにボロボロだ。

 

「あ、あんたら……一体あの島に何の用なんだ…あの島には誰も近づくねぇんだぞ……!」

 

「いいから黙って船を操縦しろ」

 

エルザは無情に船長に剣を突き立て急がせる。

ハルトはそれを苦笑いをし、船長に同情しながら島に目を向けると波が不自然に大きくうねり、砂浜にぶつかるのが見えた。

それと同時にある匂いも漂って来た。

 

「っ!! エルザ! あそこにルーシィがいるぞ!!」

 

「何!? おい! もっと船を急がせろ!」

 

「む、無理だ! さっきの波で船のバランスをとらねぇと…」

 

ハルトはそれを聞き、船から飛び降り、魔力を足に集中させ海を蹴りながら島に向かった。

 

 

ルーシィ達は止めに来たグレイを巻き込み、無断でS級クエストの依頼場所であるガルナ島に赴き、そこにあった村の村長から月を破壊してくれと依頼された。

到底無理だと思いながらも近くにある遺跡が怪しいと言われ足を運んだが、そこには零帝率いる一味が島の地下に隠された氷漬けの化け物、ゼレフ書の悪魔デリオラを氷の封印から月の魔力を用いて解放しようとしていた。

それを阻止しようとルーシィ達は立ち向かったが、グレイは零帝の正体が自分の兄弟子であるリオンだと知り今回の事件はグレイの所為だと言われ、動揺し負傷してしまった。

ナツも氷漬けにされ、碌に動ける状態ではなかったが、なんとかグレイを助け出し逃げてきたが零帝の部下であるシェリー、ユウカ、トビーが村を襲ったがナツがユウカとトビーを倒し、ルーシィはシェリーをアクエリアスの自分に向けた攻撃に巻き込み、両方ともフラフラになったところでルーシィはラリアットを決め、倒した。

 

「アンジェリカ……私の仇を取って……」

 

「大袈裟ね! 死ぬ訳じゃないんだから!」

 

シェリーは倒れる間際に遺言みたいな言葉を残し、ルーシィは勝った喜びから笑いながらシェリーに言う。

すると森から巨大なネズミ、シェリーのペット、アンジェリカが現れ

シェリーの言葉に答えるためルーシィに襲いかかる。

 

(逃げなきゃっ!……!? 体が動かない!?)

 

ルーシィは波に巻き込まれ目を回し、うまく体を動かすことができなくなってしまったのだ。

 

(嘘……ここで死んじゃうの…? ハルト……)

 

迫り来る巨体にルーシィは本当に死の覚悟し、目を閉じるとハルトの顔が思い浮かんでくる。

しかし、いつまで経っても痛みが来ない。

目を開けると……ハルトがアンジェリカの顔を殴り、吹き飛ばしていた。

 

「ハルト!!」

 

ルーシィはハルトに会えて喜び、動かなかった体が動きハルトに近づくがハルトはルーシィを厳しい目で見るだけだった。

ルーシィはその視線に気づき、足を止め、自分がやってしまったこととハルトがここにいる訳がわかった。

 

「………」

 

「ハ…ハルト? あ、あの…その…これは……」

 

ルーシィは何とか弁解しようとするがハルトの視線で何も言えず、縮こまってしまう。

 

「ルーシィ殿ー!大丈夫でごじゃるかー!!」

 

「怪我とかしてないー!?」

 

そこにマタムネとハッピーが飛んできたが、こちらに視線を向けるハルトを見ると慌てて引き返すが…、

 

「ルーシィを見つけたのか、ハルト」

 

森の中からエルザが頭にコブをつけたマタムネとハッピーの尻尾を掴み、ぶら下げた状態で運んできた。

 

「エ、エルザも…」

 

「とりあえずグレイがいるところに行こうぜ」

 

「そうだな。 案内するんだ」

 

「ぎょい…」

 

「あい…」

 

ハルトがそう言い、皆が村に向かって進んだ。

 

「ハルト! あのね…私…」

 

「詳しいことは村についてから聞く」

 

「あ……」

 

ルーシィは思いきってハルトに話そうとするが、ハルトはそれをにべもなく切り捨て進んで行った。

ルーシィは手を虚しく空振るだけだった。

 

 

ガルナ島には依頼者が住んでいた村があったのだが零帝率いる一味のせいで破壊され、住人たちは外れにある物置に避難していた。

そこに負傷したグレイが運び込まれており、目を覚ますまで待つことにした。

ハルトはルーシィに目を向けるが顔を俯かせるだけで、目を合わせようとしない。

ハルトはため息を吐き、エルザのほうを向いた。

 

「悪いエルザ。 しばらく俺とルーシィの二人っきりにしてくれ」

 

「何?………わかった」

 

ハルトにそう言われエルザは不可解な顔をするが、ハルトとルーシィを見て了承し、簀巻きにされているマタムネとハッピーを連れて、外に出て行った。

それを確認したハルトはルーシィに話かける。

 

「さて……何でこんなことをしたんだ?」

 

「…………」

 

しかしルーシィは黙ったままだ。

 

「まぁ、何となくわかるけど…俺が関係してるんだろ?

何でルーシィがそこまで俺にしてくれるかはわからねぇけど、こん

な危ないことは二度としないでくれ」

 

ハルトはルーシィに厳しめ言うと、ルーシィの肩が震える。

 

「……って……」

 

「?」

 

「だってハルトに追いつきたいんだもの……!!」

 

ルーシィは目から涙をポロポロと出しながら声を出す。

それは今まで我慢していたものが壊れたような感じだった。

 

「私はハルトの隣に立って対等の立場になりたいの……!

置いていかれたくないの……!

一人ぼっちは嫌なの……!!」

 

ルーシィの頭によぎるのは幼少の頃の記憶、母親が死んで父親は仕事ばかりで自分に構ってくれずいつも一人ぼっちだった。

もしかしたらルーシィがハルトのことを好きになったのは面倒を見てくれたのが父親に甘えているみたい思え、より親近感がわいたからかもしれない。

「面倒くさい女だって思われていいの……

だって私、ハルトのことが……!」

 

その続きを言おうとした瞬間、ハルトはルーシィを抱きしめていた。

「誰もお前を置いていったりなんかしねぇよ。

俺たちは仲間(かぞく)なんだ。

ルーシィが俺と対等になりたいっていうなら俺も手伝う。

みんなが手伝ってくれる。

お前は一人ぼっちなんかじゃない」

ルーシィの目からは涙が溢れ、ハルトをギュッと抱きしめた。

ハルトもそれに答えるように強く抱きしめる。

しばらくしてからルーシィも落ち着き、お互い離れたが抱きしめ合っていたのでお互い顔が赤い。

 

「ありがとうハルト」

 

「お…おう。どういたしまして」

 

気恥ずかしいながらもルーシィは今までで一番の笑顔でお礼言い、ハルトはそれを見ると余計顔が赤くなった。

 

 

そのあとはエルザたちとグレアが起きるまで待っているがルーシィは付き物が落ちたみたいにスッキリした顔をしており、エルザは疑問に思ったが聞いては野暮だと思い聞かなかった。

朝方になるとグレイは目を覚まし、ハルトたちが待つテントに向かった。

 

「エルザ!ハルト!」

 

「よっ、グレイ」

 

「グレイ呆れて物が言えんぞ。 連れ戻しに行った者が逆について行くとは」

 

ハルトは普通に挨拶をしてくるが、エルザは鋭い眼光でグレイを睨む。

その睨みで少し後ずさりしてしまうが前に出る。

 

「聞いてくれ!ハルトたちが俺たちを連れ戻しに来たのはわかる。だけど、 今回の件を放って置くわけにはいかねぇっ!!」

 

「興味がないな」

 

あっさりあと言い捨てるエルザにルーシィも異議を申した。

 

「そ、そんな! ここまで関わっちゃったんだし、せめてこの事件を解決しても……」

 

ルーシィが言い切る前にエルザは喉元に剣を添える。

 

「何か勘違いしているようだから言っておくぞ。

私達がここに来たのは、お前たちを連れ戻しに来たからだ。

それ以外のことなどする気はない」

 

エルザの睨みはより鋭くなり、ルーシィは震えてしまう。

 

「放っておけっていうのかよ!!」

 

「正式に受理された依頼ならともかく今回はそうではない。

よって仕事をする義理もない。

それにお前たちが仕出かしたことは明らかに違反行為だ」

 

それを聞いてグレイは怒りに震えてしまう。

 

「見損なったぞ!! エルザ!!」

 

「なに?」

 

「グレイ! エルザ様になんでことを!!」

 

「いや、様って…」

 

「今すぐエルザ女王に謝るだごじゃる!」

 

「女王って…お前ら反省してるか?」

 

ハッピーとマタムネの言ったことはともかく、エルザはグレイの喉元にも剣を突き立てる。

 

「お前まで掟を破る気か、グレイ?

ただでは済まさんぞ」

 

グレイは傷つこうが構わず、素手でエルザの剣を掴む。

 

「勝手にしやがれ!! これは俺が決めた道なんだ!!

俺がやらなきゃいけねぇんだ!!」

 

グレイは掟を破るのはわかっているが、自分の兄弟子であるリオンを止めるため、何より師匠であるウルの意志を受け継ぐため止まるわけにはいかなかった。

エルザたちに背を向けテントから出て行こうとする。

 

「っ! 待て!!」

 

「………最後までやらせてもらう。切りたきゃ切れよ」

 

エルザが止めるがグレイの目には決意が宿っており、だれも、止められなかった。

グレイが出て行き、テント内は静かになるハルトは仕方がないといった顔をし、エルザに話かける。

 

「どうするエルザ? このままじゃあいつら戻ってこないぞ?」

 

「くっ…」

 

エルザは少し悔しそうな顔をし、マタムネとハッピーを縛っていた縄を切った。

 

「グレイを追うぞ、このままでは話にならん。

だが忘れるな罰は受けて貰うぞ」

 

エルザはそう言い、テントを出て行った。

それを聞いたルーシィたちは嬉しそうな顔をしハルトを見る。

 

「まぁ、そう言うことだ。全部は依頼を解決してからだ」

 

「うん!」

 

「ぎょい!」

 

「あいさー!」

 




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