FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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第20話 人を喰らう洞窟

ハルトは評議会が寄越した馬車で今回の依頼をだした村、マロウ村に着いた。

使者であるクルシェは危険なため、名残惜しくも評議会に戻り、ハルトは門から入る。

 

「ようこそいらっしゃいました!魔導士殿!私はこの村の村長をしていますルベトと申します」

 

「どうも依頼を受けて来ました。妖精の尻尾のハルトです。さっそくですが、詳しいことを聞いてもよろしいでしょうか?」

 

「ええ、では私の自宅で」

 

ハルトはルベトに連れられ奥に見える大きな屋敷に連れられた。

その途中で村人がハルトを見るがあまり期待しているわけではなさそうだ。

 

「また来たぜ」

 

「どうせすぐいなくなってしまうわ…」

それが聞こえたハルトはこの村は相当参っていると思った。

 

「申し訳ありません…皆もこの事態に相当参っているのです」

 

「いえ…」

 

村長の家に着き、家に入るがハルトは足を止める。

 

「どうなさいましたかな?」

 

「いえ、なんでもありません」

 

ハルトは横目で部屋を隅々まで見ながら応接間に案内され、詳しい情報をもらった。

 

「事の始まりは1年前でした。村のはずれにある小さな山の洞窟に入っていった子供が帰らなくなってしまったのです。最初は大人が探しに行きましたが、その大人たちも戻って来ず、不気味に思った私たちはギルドに頼み、魔導士殿が来てくれたのですが、その魔導士殿も戻って来ませんでした。何度も頼みましたが全員が戻って来ませんでした。ついには評議会の調査員の方々も来てくれましたが結果は……」

 

「戻ってこなかった」

 

ルベトは静かに首を縦に振る。

ハルトはしばらく考え、立ち上がった。

 

「その洞窟までの道を教えてもらえませんか?ちょっと見て来ます」

 

「えぇ、よろしいですが…夜までには戻って来てください。あの洞窟でいなくなるのは決まって夜ですから…」

 

その後、ハルトは村人の1人に案内され、洞窟にやってきた。

森に囲まれた小さな山にある洞窟だが、何故か洞窟付近の木は全て枯れ木で薄暗く不気味だった。

 

「ここか…」

 

「魔導士様、夜までには戻ってきてくださいよ…俺らも助けにはいけないんで…」

 

「まだ日も高いし、大丈夫だろ?」

 

ハルトがそう言うと村人は顔が青ざめ、体が小刻みに震え始めたのだ。

 

「いや…この洞窟の恐ろしいところは人がいなくなる他にもあるんだぁ…この洞窟に入ったら時間の感覚がなくなっちまう… この洞窟に入って百年の時が過ぎたっていう伝説があるぐらいだぁ…」

 

ハルトはそれを聞き、洞窟の奥を見つめる。

 

(特に怪しい感じはしないけどな)

 

「とりあえず行ってきます」

 

「お気をつけて…」

 

洞窟は一本道でハルトは道なりに進んで行く。

中は暗く何も見えないが、滅竜魔導士特有の鋭い五感でなんとか洞窟の中が見えていた。

しばらく進んで行くと開けた場所に出たが、先に続く道が無く、ここで行き止まりだった。

 

「ここまでか…」

 

ハルトは周りをよく見てみると、隅に何かを見つける。

 

「これは…」

 

拾ってみると、それは子供用の靴だった。

恐らく行方不明の子供の靴だと思い、それを持って洞窟の外に出る。

 

「お待たせしました」

 

「何やってたんだぉ!心配しただよ!!」

 

「はぁ? っ!?」

 

ハルトが洞窟に入ったのは正午を少し過ぎたくらいだ。

ハルトは洞窟を探索したのは1時間くらいだと感じていたのに、外はもう日が沈みかけている。

 

「どうなってんだ…」

 

ハルトの呟きが静かに響いた。

 

 

その後、ハルトは村に戻った途中で拾った靴を案内してくれた村人に見せると、酷く怯えた様子を見せた。

 

『それは行方不明になった子供の靴に違ぇねぇ……やっぱりあの洞窟は伝説通り『人を喰らう洞窟』なんだぁ!!』

 

「人を喰らう洞窟、か…」

 

ハルトは難しそうな顔をして村長の屋敷に戻ってきた。

 

「おぉ、ハルト殿。遅い帰りでしたな」

 

「えぇ、ちょっと…」

 

ハルトは村長に調べてわかったことを話す。

 

「そうですか…その靴は私が明日、子供の親に渡しておきましょう」

 

「お願いします」

 

「それでは明日もあることですし、食事としましょうか」

 

食堂に案内されるとそこには、質素ながら豪勢な食事が用意されていた。

 

「申し訳ありません。本来ならもっと豪華な食事を用意したかったのですが、今はこんな状況で収入が少ないのです」

 

「いえ、食事を用意してくれるだけで嬉しいですよ。それじゃあ、いただきます」

 

ハルトはスープからいただこうとスプーンですくって口に運ぶが途中で止めてしまう。

 

「どうかされましたか?」

 

「いえ…」

 

ハルトはそう言い、スープを口に含んだ。

 

 

食事を終えて、ハルトはすぐに眠くなってしまいそのまま寝室に案内され、眠ってしまった。

すると、夜遅くにローブを着た数人の男がハルトが眠る寝室に入ってくる。

ベッドまで近づくと手にもっていた剣や斧をハルトが眠るベッドに勢いよく振り下ろす。

木片や綿が飛び散るが血はまったく出てこない。

男がベッドをめくるとそこには毛布を丸めて、人が眠っているように見せたのだ。

 

「やっぱり来やがったか」

 

後ろから声がしたので男たちは後ろを振り向くとハルトが立っていた。

 

「スープの中から薬の匂いがめちゃくちゃしたぞ。もっと上手く隠せ…」

 

ハルトが話している途中で男たちは武器で攻撃してくる。

 

「最後まで言わせろよ」

 

ハルトはそう言いながら、四方八方から来る攻撃を余裕で躱し、男の1人を殴って窓を割り吹き飛ばし、ハルトはそのまま窓から飛び降りた。

すると、後ろから残りの男たちが降りてくるが、ハルトは男たちが降りてくる場所に先回りし、真上に向かって魔法を放つ。

 

「覇竜の咆哮!」

 

咆哮は残りの男たちを巻き込んだ。

空から服が焦げた男たちが落ちてきて、騒ぎ過ぎたのか村人が集まってくる。

 

「お騒がせして、すいません。すぐに終わらせますから」

 

ハルトが倒れている男たちの中から1人に聞こうとすると、後ろにいた村人が農業用に使われる鎌をハルト目掛けて振り下ろした。

 

「っ!? くそ!」

 

ハルトはとっさに腕でガードするが魔法を使う暇がなかったので、腕から血が出てくる。

 

「どういうつもりだ!」

 

ハルトは切り付けてきた男を蹴り離し、顔を見ると顔に根がはっているような筋が伸びており、目は生気がなかった。

他の村人も全員そのような感じで、囲まれてしまう。

 

「ちくしょうがっ……!」

 

操られてるだけの村人を傷付けるわけにはいかないので、ハルトは躱し、武器を掴み破壊し、退けていた。

すると隙ができたのでそこを縫うように走ると目の前に小さな女の子が現れ、大きなホークをハルトに突き出した。

ハルトは難なく掴むがその顔は怒りに染まっていた。

 

「こんな子供までもかっ……!」

 

ハルトはホークを奪い取り、捨てるが女の子はすかさずハルトに抱きつき、動けないようにすると、他の村人が女の子ごとハルトに攻撃してくる。

ハルトは女の子を掴み、高く跳躍し、女の子を干し草が積まれているところに投げ、ハルトは囲まれたところから離れ村人たちの前に出た。

 

「覇竜の剛拳!」

 

ハルトは土煙が出るように地面を殴り、目くらましをして洞窟に向かった。

 

 

洞窟の中を走っているハルトはひしひしとこの洞窟の異変を感じ取っていた。

 

「やっぱりだ、最初きた時は気にならなかったけど、あっちこっちに小さなラクリマがありやがる。これが感覚を鈍らせていたんだな」

 

洞窟の辺り一面に特殊なラクリマが埋まっており、その影響で感覚ぎおかしくなっていたのだ。

子供の靴を見つけた開けた場所に出ると真ん中まで行き、立ち止まる。

 

「いい加減出てきたらどうだ? 匂いでわかっているぞ」

 

「ふふふふ……」

 

ハルトは辺りに聞こえるように言うとハルトの背後の地面から男が出てくる。

 

「やはり気づいていたか…」

 

「滅竜魔導士の嗅覚舐めんなよ? 村長」

 

なんと現れた男は村長のルベトであり、ルベトは不気味な笑みを浮かべている。

 

「いつから気づいていた?」

 

「最初は屋敷に入ったときに違和感を感じた。屋敷に染み付いていた匂いがお前の匂いと違っていたからな。確信を持てたのはこの洞窟に来てからだ。あっちこっちにお前の匂いが染み付いていやがる。行方不明の人間を探しに来るのにこの匂いの濃さは異常だ」

 

「なるほど」

 

「今すぐ村の人たちを元に戻せ。そしたら何もせずに評議会に突き出してやる」

 

「フフフ…ハハハハッ! 何を言うかと思えばそんなことか!そんなことする必要なんてないだろう!! お前も私に操られるんだからなぁ!!」

 

その言葉を合図にルベトの背後から村人が全員現れ、ハルト目掛けてて突進して来た。

ハルトは仕方なく迎え討つため構える。

一人がハルトを殴るが難なく受け止められた。

反撃しようとハルトは拳に力を入れるが、拳を受け止めていた腕が徐々に押され始める。

ハルトはなんとかおし返そうとするが相手の腕力が強くなりすぎ、ハルトは飛ばされてしまう。

 

「ぐっ…!」

 

(どうなってんだ? ただの人のはずだぞ?)

 

「気になるか?」

 

ハルトの考えていることがわかっていたかの様にルベトは笑みを浮かべ話しかける。

 

「この村の人間にはある種を植えつけてある。俺の命令に絶対服従する様にな。しかも、身体能力まで俺の思い通りにできる代物だ」

 

「そんなものどこで…」

 

ハルトがその苗の出所を聞くとルベトはより一層笑みを深くた。

 

「全てはゼレフ様のおかげさ!!」

 

「お前ゼレフ教の人間だったのか!」

 

ゼレフ教とは大昔に存在した最悪の黒魔導士、ゼレフを崇める教団のことであり、数々の犯罪を犯している。

 

「あぁ、そうだ。神ゼレフを蘇らせるためにお前の魔力を寄越せ…」

 

ハルトはさらに力が強くなった村人に襲われるが、何とか捌ききる。

しかし、ハルトの背中に魔法弾が打ち込まれる。

 

「があっ!?」

 

目を後ろに向けるとルベトが手をこちらに向けていた。

ハルトは咲きにルベトを倒そうとするが村人が盾になって中々近づけない。

するとルベトは前に村人がいるのにも関わらず、魔法弾を打ち込んでくる。

ハルトはそのことに驚いたがすかさず村人を庇う。

 

「ぐっ!」

 

しかし、村人は庇われたことなんてわからないからハルトに追撃してくる。またそこにルベトは魔法弾を打ち込んできてハルトは守るため

に庇う。

村人を利用した嫌らしい攻撃の仕方だ。

しかし、それはハルトに効果的で身体中が傷だらけになってくる。

 

「ハァ…ハァ…」

 

「だいぶ疲れてきたようだな。これで終わりだ。行け!!」

 

疲労してきたハルトに村人が全員突撃してくる。

村人に隠れて見えないがハルトは抑え込まれて動けないようだ。

ルベトはそこにさっきとは比べられないほどの魔力が込められた魔力弾を作り打ち込もうとした瞬間、村人が全員倒れる。

 

「何っ!?」

 

「ふぅ〜、やっと終わったぜ」

 

ハルトは倒れた村人達の真ん中に倒れていた。

 

「いったい何をした!」

 

「お前、種を植え付けたって言っていただろ? だから種を見つけて壊したんだ」

 

(さっきまで良いようにやられていたのは種を探すためだったのか)

 

「だが、どうやって…」

 

「俺の魔力を直接流したんだよ」

 

ハルトは全員が突撃してきたた時、素早く種が植えつけてあった後ろの首筋に魔力を流し破壊したのだ。

 

「さてと、さっきはよくもやってくれたな」

 

ハルトは不敵な笑みを浮かべながら近寄る。

ルベトの顔には焦るが見え始める。

 

「く、来るな!!」

 

ルベトは大量の魔法弾を放つがハルトは全て拳で破壊し、一気に近付く。

 

「じゃあな、覇竜の剛拳!!」

 

ハルトがルベトを殴り、壁に叩き付けると洞窟の壁にひびが入り崩れる。

 

「何だこれ…?」

 

その先には湖があり、真ん中に葉がなく頂上には木で作られた繭がある白い木があった。

ハルトが見続けるとその木は脈打つように動いた。

 

 




題名変えました。
これからもよろしくお願いします。

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