FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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遅くなって申し訳ありません。


第16話 ナツVSエリゴール

外の魔風壁に気づいたのはハルトたちだけでなく、エルザとグレイも気づいていた。

さらにグレイが倒した敵から本当の目的に聞き出し、どうするか悩んでいた。

その時、エルザがカゲヤマが解除魔導士(ディスペラー)であることを思い出し、恐らくナツを追っていったと考え、探していた。

二人が見つけたときはちょうどナツがカゲヤマを倒し、あとは解除させるだけだったのだか、その時カゲヤマの背後からカラッカが現れカゲヤマをナイフで刺したのだ。

カゲヤマは重傷でとても魔法を解除してもらえる状態ではなかった。

自分自身の仲間を傷つけたことに激昂したナツは壁に逃げたカラッカを壁ごと殴り倒した。

ハルトたちが合流したのはそんな時だった。

 

「カゲ!しっかりしないか!!」

 

「ダメだエルザ…意識がねぇ…」

 

「死なす訳にはいかん!!やってもらう!!」

 

「やってもらうって、こんな状態で魔法は使えねぇだろ!!」

 

唯一の突破口が閉じてしまい、だんだんとヒートアップしてしまう。

そこにハルトが止めに入った。

 

「落ち着けお前ら」

 

「「ハルト…」」

 

「ナツもそんなやつ放っておけ。 カゲヤマを助けるにはお前の力が必要だ」

 

「…くそっ!」

 

エルザとグレイは落ち着きを取り戻し、ナツは悔しそうに気絶したカラッカを投げ捨てた。

 

「とりあえず応急処置だけはしとくぞ。ナツ、マカオにやったみたいに火で傷口を塞ぐんだ。だけど今回は慎重にな。思った以上に傷がひどい」

 

「お、おう」

 

ナツはハコベ山でマカオの傷を塞ぐために火で傷口を火傷させたみたいにやったが今回は慎重にやった。

そのあと救護室で見つけた包帯を巻き、これからどうするか話しあった。

 

 

 

「エリゴールの狙いはじっちゃん達なのかよ!?」

 

「ああ、だからまずこの魔風壁をどうにかしないとな」

 

事情を知らなかったナツにエリゴールの本当の狙いを伝えると魔風壁に突っ込む。

 

「ぎゃああああっ!」

 

「な?」

 

やっぱり跳ね返されてしまう。

 

「カゲ…頼む…目を覚ましてくれ…」

 

エルザがカゲヤマに頼むが意識を取り戻さない。

 

「くっそぉ!こんな風ぶち破ってやらぁ!!」

 

ナツは諦めず風に突っ込んで行くが跳ね返されてしまう。

 

「バカヤロウ…力じゃどうにもなんねえんだよ」

 

「急がなきゃマズイよ!! あんたの魔法で凍らせたりできないの!?」

 

「できたらとっくにやってるてーの…」

 

グレイの魔法は氷の造形魔法で自分がイメージした物を氷で作り出せるのだ。

ルーシィがグレイに提案してみるがどうやら無理なようだ。

すると、今度はハルトのほうを向く。

 

「ハルトは!? ハルトならこんな魔法吹き飛ばせるんじゃないの?」

 

「微妙だな…もし吹き飛ばせたとしても周りの町の被害がどこまで出るかわかったもんじゃない…」

 

「そんな…」

 

まさに万事休すといったところだ。

みんなが頭を悩ませているなかで一人だけがひたすら行動を起こしていた。

 

「ぬああああっ!!」

 

「ナツ何やってるの!?」

 

ナツはひたすら魔風壁を突破しようと突っ込むが体が傷付くだけだった。

 

「やめなさいって!!」

 

ルーシィがナツのマフラーを引っ張り、強制的に止める。

そのときナツの頭にひらめきいた。

 

「そうだ!星霊!!」

 

「え?」

 

「エバルーの屋敷で星霊界を通って移動できただろ!?」

 

ナツはルーシィの肩を掴み、力説するがそれは不可能だ。

 

「いや…普通は人間が入ると死んじゃうんだけどね…息が出来なくて。それに門ゲートは星霊魔導士がいる場所でしか開けないのよ。つまり星霊界を通ってここを出たいとした、最低でも駅の外に星霊魔導士が一人いなきゃ不可能なのよ。それにもう一つ言えば、人間が星霊界に入ること自体が重大な契約違反!!あの時はエバルーの鍵だからよかったけどね」

 

その言葉を聞きハッピーは何かを思い出しそうになった。

 

「エバルーの…鍵…あーーーっ!!」

 

突然ハッピーが大声をあげ自分の荷物がある袋をあさる。

 

「ど、どうしたのよ…」

 

「これ」

 

近くにいたルーシィはびっくりしながら聞くとハッピーはエバルーが使っていた黄道十二門の一つ、処女宮のバルゴの鍵を取り出した。

 

「これって…バルゴの鍵!!ダメじゃない!! 勝手に持ってきちゃ!!」

 

「違うよ。バルゴ本人がルーシィにって」

 

「ええっ!?」

 

ルーシィが驚くのにグレイとエルザは事情知らないの首を傾ける。

 

「何の話だ」

 

「こんなときにくだらない話をしてんじゃねぇよ!!」

 

「バルゴって…」

 

「あぁ、エバルーが契約してた星霊だな」

 

「バルゴ…あのメイドゴリラか!!」

 

「エバルーが逮捕されて契約が解除されたんだって。それで今度はルーシィと契約したいからってオイラん家を訪ねてきたんだ」

 

「あれが訪ねてきたのね…」

 

ルーシィの頭の中ではあの巨体がわざわざ訪ねてきている光景が思い浮かび、若干顔が引きつってしまう。

 

「ありがたい申し出だけど…今はそれどころじゃないないでしょ!?ここから出る方法を考えないと!!」

 

「でも…」

 

「うるさいっ!猫は黙ってニャーニャー言ってなさい!!」

 

「ひどいでごじゃるな」

 

ルーシィもこの状況に焦っているのか、ハッピーの意見に訳の分からない返しをしてしまう。

すると、ふとハッピーがこぼした。

 

「バルゴは地面に潜れるし…魔風壁の下を通って出られるかなって思ったんだ」

 

その言葉を聞き、ルーシィも合点がいく。

 

「あっ…そっか!地面の下なら抜けれるかも!!」

 

その言葉を聞き、全員が期待の目でルーシィを見る。

 

「そっかぁ!! やるじゃないハッピー!! もう、何でそれを早く言わないのよぉ!!」

 

「ルーシィが遮ったから」

 

ハッピーは皮肉を言うも、ルーシィの耳には届いておらず、鍵を受け取る。

 

「貸して!! 我、星霊界との道を繋ぐ者。汝、その呼びかけに応え門ゲートをくぐれ」

 

ルーシィは鍵を構え、呪文を唱えるとそれと同時に目の前に魔法陣が現れ、輝きを増していく。

 

「開け!!処女宮の扉!バルゴ!!」

 

そこに現れたのは、エバルーの屋敷で見たゴリラではなく、淡いピンクの髪をした可愛い美少女だった。

 

「お呼びでしょうか?ご主人様」

 

「えっ!?」

 

ルーシィは以前との見た目のギャップで目を見開き、驚く。

 

「やせたな」

 

「いや、やせたと言うより別人だろ?」

 

「それに関しましては私はご主人様が望まれる姿になれるのです」

 

「前の方が強そうだったぞ?」

 

「では以前の姿に…」

 

「コラー!余計なこと言わなくていいの!」

 

ナツがバルゴにいらないことを教えるのを無理矢理遮り、さっそく本題に入る。

 

「時間がないの!契約は後回しでもいい!?」

 

「わかりました、ご主人様」

 

「てか、ご主人様はやめてよ」

 

そう言われバルゴの目にルーシィが腰から下げている鞭が映る。

 

「では女王様と」

 

「却下!」

 

「では姫と」

 

「そんなところかしら」

 

「そんなところでごじゃるのか!?」

 

「いいから早くしろよ!!」

 

何だか段々と話がずれてきたので、みんなが催促してくる。

 

「では!行きます!!」

 

バルゴは地面に向かって飛び込むと、全身でドリルのように掘り進んで行った。

 

「よし!あの穴を通ってここから出るぞ!!」

 

「うん!」

 

ハルトの合図でみんなが穴に入っていく。

 

 

穴を抜けるとちょうど後ろに魔風壁に包まれた駅が見えた。

ハルトたちと一緒にカゲヤマも治療を受けさせるために連れてきたのだが途中で目を覚ました。

 

「う…ここは…」

 

「目ぇ覚ましたのか」

 

グレイが気づき、カゲヤマが周りを見ると薄ら笑いを浮かべた。

 

「ふん…今更、魔風壁から出ても意味がない…今から出発してもエリゴールさんには追いつけないさ…僕たちの勝ちだ…」

 

「うるせぇ! とにかくクローバーに急ぐぞ!!」

 

「あれ?ナツは!?」

 

「ハッピーもいないでごじゃる!」

 

周りを見るとナツとハッピーだけがいなかった。

 

「あいつら先に行きやがったな…でも、ハッピーの全速力なら追いつけるかもな」

 

それを聞いてカゲヤマは悔しそうにする。

 

「ハルト! マタムネと一緒にナツの応援に行ってくれ!もしものことがあっては不安だ!」

 

「わかった!マタムネ行くぞ!!」

 

「ぎょい!」

 

エルザの提案により、ハルトとマタムネは先にナツたちを追った。

 

「では私たちをも追うぞ!」

 

「おう(うん)!!」

 

 

ナツたちを追っているハルトたちだが未だに姿が見えない。

 

「線路沿いに行ったの確かだと思うんだけどな…」

 

「ハッピーのMAXスピードはせっしゃより速いでごじゃるからな」

 

マタムネがそう言った瞬間に微かに衝突音と爆発音が聞こえた。

 

「この音はナツ殿ではごじゃらんか!?」

 

「ああ、近いな。飛ばすぞ!」

 

「ぎょい!」

 

マタムネはMAXスピードで音がする方向に向かうと、そこにはエリゴールと対峙したナツがいた。

 

「ナツ!」

 

「おおっ!ハルトじゃねぇか」

 

「ちっ…ハエがもう一匹増えやがった」

 

悪態をつくエリゴールを見定めて助太刀に入ることを決める。

 

「ナツ、一緒に戦うぞ」

 

「ハァ!? ふざけんじやねぇ!!あいつは俺が倒すんだ!!」

 

ナツの言ったことに一瞬呆然としてしまったが、何とか意識を戻した。

 

「バカかお前は!今回の件はじいさんたちの命がかかってるんだぞ!それにお前とエリゴールじゃ相性が悪過ぎる!」

 

「へっ!!そんなの関係ねぇよ!」

 

「あっ待て!」

 

ハルトの言葉を聞かずナツはエリゴールに突っ込んで行ってしまう。

 

「どうするの?」

 

ハッピーも不安なのかナツを心配そうに見ながらハルトに聞いてくるが、ハルトは仕方ないと言った顔をして答えた。

 

「仕方ねぇ…本当に危なくなったら助けに入るか。今割り込んだらナツに殴られる」

 

ほとんどの魔力を使い、立っているのがやっとのハッピーと共にハルトとマタムネはナツの戦いを見ていたが、苦戦になると思っていたがナツの実力がエリゴールより上なのか、属性的には最悪の敵なのだが

攻撃が通用し、ナツが優勢になってきた。

 

「ちっ…ハエがなかなかやるな…」

 

「そんなもんかよ!」

 

エリゴールの顔には若干の焦りが見えてきたが、それと同時にナツと同様に楽しそうな顔をしていた。

 

「どうやら俺も本気にならなければいけないようだな…」

 

「あぁ?」

 

そう言うと風がエリゴールに向かって吹いていき、鎧の様に体にまとわりついていく。

 

「暴風衣(ストームメイル)」

 

「へっ、それがどうしたって言うんだよ!」

 

ナツがエリゴールに火竜の鉄拳を放つが片手で止められてしまう。

止められる直前でナツが出していた火は消えた様に見えたが。

 

「!」

 

「そんなものか?」

 

さっきの意思返しなのかナツと同じようなことを言う。

ナツがいったん離れるが、エリゴールはそれを許さず風の刃を放ち、ナツを追い詰めていく。

 

「くそっ!」

 

なんとか風の刃の間を縫って反撃するが、火は風によって消されてしまう。

 

「これでわかっただろう。火は風に勝てねえんだよ!!」

 

突風を発生させ、ナツを引き剥がすとてをナツに向けて構える。

 

「もう終わりにしてやる…この翠緑迅(エメラ・パラム)でなぁ!!」

 

「翠緑迅だって!? そんなのくらったら体がバラバラになっちゃうよ!」

 

「ハルト助けなくていいでごじゃるか!?」

 

マタムネがそう言うがハルトは黙って見守るだけだ。

 

「くらえ…翠緑迅!!」

 

エリゴールから翠色の風刃が嵐のようにナツを襲う。

それと同時に砂塵が吹き荒れ、視界を潰してしまう。

ハルトたちは覇竜の剛腕をだし、しのいだが、視界が明るくなるとそこにはボロボロになって倒れているナツがいた。

 

「ナツー!」

 

「驚いたな…この魔法を受けて原型を留めているなんてな…だが、このガキもここで終わりだな」

 

エリゴールは余裕の表情で言うが、ハルトはそれに耳を貸さず、倒れているナツに話しかける。

 

「ナツ、このままなめられたままでいいのか?妖精の尻尾の魔導士として情けないぞ」

 

「ふっ…無駄だ。そのガキはもう「わかってるてーの!」っ!?」

 

翠緑迅を受けても立ち上がったナツに驚くエリゴール。

ナツは体はボロボロだが力強くエリゴールを指差す。

 

「こっからが本番だ!」

 

ナツは駆け出しエリゴールに火竜の鉄拳を浴びせるが、やはりエリゴールに攻撃は届かない。

焦った顔をしたエリゴールはそれを見て余裕を取り戻す。

 

「はっ! さっきは驚いたがやはり火は風に勝てねぇんだよ!!」

 

エリゴールはまた突風を出し、ナツを引き離す。

ナツは耐えるが飛ばされてしまった。

 

「だぁっーー!!なんで攻撃が効かねえんだよーー!!」

 

全身から炎を出し、怒りを表すナツ。

それを見てエリゴールは不思議に思った。

魔法とは確かに使う人の感情によって力が発揮されるが、ナツの場合はそれが顕著すぎるのだ。

 

「くっそぉーー!!!」

 

とうとうナツの怒りは炎が高く燃え上がり、路線を引きちぎるほどまでに高まっていた。

その時、エリゴールが纏っていた暴風衣の風の動きが不可思議に動いているのにハッピーは気づいた。

 

(もしかして…)

 

「ねぇー!!ナツー!!」

 

「あぁん!?なんだ!!?」

 

「無理無理、ナツじゃ勝てないよ。グレイに任せようよ」

 

できるだけハッピーはナツをなめきった顔で言ったら、ナツの何かが切れた音がした。

 

「んだと、コラー!!!!」

 

今までで1番の炎が立ち上がる。

 

「よーしっ!じゃあ見てろよ!! アイツを倒して俺がグレイより強いってことを証明してやるよ!!」

 

その時、ハルトは最初ハッピーが何故ナツにあんな事を言ったのか、

わからなかったが今、合点がいった。

 

(ナツが最も力が出る感情は…怒りだ)

 

するとエリゴールの暴風衣はナツに吸い込まれる流れていく。

 

「なっ!?これはっ!?」

 

「なにが起こってるでごじゃる?」

 

驚愕するエリゴールもだが、マタムネもまた何が起こってるいるのかわからなかった。

そこにハッピーが得意気に話す。

 

「ナツの炎が周りの空気を温めて、ナツを中心に上昇気流ができて、

そこにエリゴールの風が吸い込まれているんだ」

 

「ははっ…偶然とは言え、流石だなナツ…」

 

ハルトもまさかの戦法に驚く。

とうとうエリゴールを守っていた風は消え失せ、無防備になる。

ナツは立ち上がった炎を纏い突撃する。

エリゴールにはその姿が、炎を纏ったドラゴンが襲いかかってくるように見える。

 

「火竜の劍角!!」

 

ナツの渾身の一撃により、エリゴールの野望は潰えた。

 

 




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