FAIRYTAIL SEVEN KNIGHTS   作:マーベルチョコ

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第135話 グレイ&ジュビア VS ミーシャ

グレイとミーシャ、造形魔導士同士の戦いはその場の地形を大きく変えていった。

ミーシャがまわりの土を使って地形を変え、攻撃するのに対してグレイは攻撃に対して氷を使って防ぎ、また動きを止めて反撃するなど2人の戦いは激しくも美しく見え、ジュビアは見惚れていた。

 

(綺麗……)

 

「ジュビア!何ボサッとしてんだ!!」

 

「はっ!」

 

「遅い!」

 

ミーシャは土の槍を造形し、ジュビアに攻撃するがジュビアは身体を水に変えて無効化する。

 

「無駄です。水になるジュビアには物理攻撃はほぼ無力です!」

 

ジュビアは水の勢いでミーシャに近づき、水の斬撃を放つ。

 

「ウォータースライサー!!」

 

「シールド!!」

 

ミーシャは盾を造形し、防ぐがその隙にグレイが背後から攻撃を仕掛ける。

 

「アイスメイク『ハンマー』!!」

 

「きゃあぁぁっ!!?」

 

横振りのハンマーに吹き飛ばされたミーシャは転がりながら止まる。

利用できる土が多いミーシャの方が有利なはずだが、グレイとジュビアのコンビネーションの方が上手であった。

 

「やっぱりジュビアとグレイ様は相性が抜群ですね♡」

 

「そういう事言うなよ……」

 

嬉しそうにするジュビアにグレイはウンザリしていた。

ミーシャは痛む身体を起こし、2人を睨む。

 

「はぁ…!はぁ…!まだ…!終わってない!」

 

「やめとけ。さっきので分かったろ。お前じゃ俺達に勝てねぇ。それに造形魔法でも俺の方が上だ」

 

「そんな事ない!!」

 

ミーシャは怒り、造形魔法を発動しようとする。

 

「グラウンドメイク……!」

 

「アイスメイク『ランス』!!」

 

ミーシャが魔法を放つより早くグレイは造形魔法を発動し、ミーシャを攻撃した。

 

「あああぁぁぁっ!!」

 

「……」

 

グレイは倒れたミーシャを見据え、話しかけた。

 

「怒りで造形魔法が疎かになっているようじゃ、二流も良いところだ。基本からやり直しな」

 

グレイは倒れたミーシャに背を向け、出口に探そうとすると背後から物音が聞こえた。

振り向くと傷だらけのミーシャが肩で息をしながら立ち上がっていた。

 

「やめとけ!これ以上戦ったらもっと酷い怪我をするだけだぞ!」

 

「私たちは上に行きたいだけなんです!そっちが何もしないなら戦いません!」

 

グレイとジュビアがミーシャに声をかけるが当のミーシャは顔を俯かせたままだ。

 

「…………」

 

何かボソボソと話しているが2人には聞こえない。

 

「………結局頼るしかないのね」

 

ミーシャは顔を上げ、目を閉じた。

そして集中して魔力を高め始める。

 

「何か仕掛けるつもりだ。仕方ねーがやるしかない!」

 

「わかりました!」

 

グレイとジュビアはミーシャに何かされる前に封じようと魔法を使おうとする。

その時ミーシャは目を開けた。

その目にはさっきまでの薄茶色の普通の瞳の色ではなく、はっきりとした爛々と輝くブラウンと光を放っていた。

ミーシャが腕を上に上げるとグレイの背後にあった土が盛り上がり、突然突き上げて天井にぶつけた。

 

「がはっ!?」

 

「グレイ様ー!!」

 

突然のことにグレイは訳がわからず、ジュビアは悲鳴を上げた。

グレイは地面に落ち、ジュビアは駆け寄る。

その2人にミーシャは容赦なく、地面から土の槍を放ち攻撃する。

 

「ウォータースライサー!」

 

水の斬撃で槍を撃ち落とすが撃ち落とした先から土が集まり、向かってくる。

 

(先と違う…!?)

 

「どけ!ジュビア!アイスメイク『シールド』!」

 

持ち直したグレイが盾を造形し、防ぐ。

しかし、威力も上がり、造形された槍の数が次々と増えていく。

次第に盾が耐えきれなくなり、罅が入り、破壊されていく。

 

「押し負ける……!」

 

「………」

 

歯を食いしばって耐えるグレイにミーシャは手を下からグレイに向かって軽く振るうと地面から人を簡単に潰せそうな程の大きさの拳が放たれ、2人を襲った。

 

「ぐあああぁぁぁっ!!?」

 

「きゃああぁぁぁっ!!?」

 

軽々と盾を破壊し、グレイとジュビアを吹き飛ばした。

形成は一気に逆転され、窮地に立たされるグレイとジュビア。

グレイが前を向き、ミーシャを睨んだ時ある事に気付いた。

 

「お前、その腕……!」

 

「っ……」

 

ミーシャの肘から下の腕が土に変わり罅が入り始めていた。

グレイに見られたミーシャは顔を顰め、視線を2人から外す。

 

「はあぁぁっ!!」

 

それを好機と見たジュビアは水に変わり、ミーシャに攻撃しようと突撃するがミーシャはそれを見ずにジュビアの前に壁を作る。

 

「無駄です!水のジュビアには効きません!」

 

ジュビアが壁にぶつかり、上に方向を変えて壁を超えてミーシャに攻撃しようとしたが、それより早くミーシャは壁の向こう側にいるジュビアに向かって握る動きをするとジュビアは土に包まれた。

 

「こんなもの!壊してすぐに……!」

 

水のジュビアならば僅かにできた隙間から逃げ出すことができる。

しかし、ジュビアを包んだ土には一切の隙間がなく、攻撃して出ようとするが攻撃されたそばから直っていき、出ることができなかった。

 

「最初から本気を出してなかったのかよ。舐められたもんだぜ」

 

「………」

 

グレイが悔しそうに恨み言葉をミーシャに向けるが、ミーシャはグレイに優越感に浸る訳でもなく、悲しそうにする。

 

「ねぇ、この腕どう思う?醜いでしょう?」

 

ミーシャは土に変わった腕を掲げて見せる。

 

「私がこうなったのは5歳の時、西の大陸で孤児だった私は拉致されて、実験動物された。その実験は人間に亜人の力を加えるものだった。私の他にいた子供達は全員死んだわ。運良く私は研究所が謎の爆発の時に逃げ出せたんだけどね」

 

ミーシャは悲しそうに自身の過去を話す。

 

「だけど、魔法を本気で使う時、ふとした時にこんな風になってしまう。酷い仕打ちを受けたわ。化け物って言われて殺されかけるなんてザラにあったわね。………この姿を見る度に思い出してしまう。されるがままに受けてしまった絶望をね。だから私たちは全ての魔力に関する現象を破壊するアスラの心臓が必要なの。そのためだったら何だってやってやる」

 

ミーシャが何故アスラ復活を助けるのかがわかり、グレイは痛む身体に鞭を打って立ち上がる。

 

「そのためだったら関係ない人間が死んでも良いってのか?」

 

「構わないわ。私のことを化け物って呼ぶ奴らなんだもの、死んで当然よ」

 

グレイは両手に魔力を集め、冷気を発しながらミーシャに構える。

 

「なら、止めてやるよ。お前のその身勝手な願いをな」

 

「身勝手ね……そう……」

 

グレイの『身勝手』という言葉にミーシャは僅かに眉を動かし、手をジュビアが捕まっている土の檻に向け、握り潰すように手を握る。

すると、ジュビアが捕まっていた檻が段々と圧縮され始めた。

 

「せまくっ……!?ぐっ、いや!」

 

ジュビアは抵抗しようと壁に攻撃するがやはり直ぐに直ってしまう。

水に変わろうとしても物量までは変わらず、逃げ場もない状態で潰されてしまえばどうなるかなんて想像もしたくない。

 

「なっ!?止め、がはっ!?」

 

グレイがミーシャを止めようとするがそれより早く、地面から柱を飛び出させてグレイを吹き飛ばす。

 

「何もできずに味わう絶望を感じればいいわ!!それで私の願いが身勝手なんて言えるかしら!?」

 

ミーシャはジュビアを締め付けながら、グレイに攻撃を続ける。

グレイが何か行動しようとすると先が尖った柱を出現させ、ぶつけて攻撃し、一斉に柱グレイを囲うように出現させ、グレイに絡ませて身動きが取れないようにする。

 

「がぁっ……!く、くそ……!」

 

「ぐ、グレイさま……」

 

グレイは連続の攻撃で意識が朦朧とし、ジュビアはグレイの名を呼び、苦しそうにする。

もはや2人とも虫の息だった。

ミーシャがトドメを刺そうとした瞬間、グレイを捕まえていた柱が突如降ってきたレーザーで全て粉々に破壊された。

 

「なっ!?」

 

ミーシャが驚くのも束の間にジュビアが拘束されている檻に人影が近づく。

 

「闇の文字“分解”」

 

檻に文字が高速で書き込まれ、檻が一瞬でバラバラに分解され、ジュビアが解放された。

 

「誰?」

 

グレイとジュビアを助けた2人はミーシャの前に並び立つ。

 

「おいおいグレイ。なーに負けちゃってんだよ?」

 

「しかし、この組み合わせも不思議なものだな。先日の一件で戦った者同士が揃うとは」

 

2人の窮地を助けたのは元雷神衆でグレイ、ジュビアとも戦ったビックスローとフリードだった。

 

「お詫びとはならないがここは我々に任せてもらおう」

 

「ウィーアー!任しときな!」

 

2人はミーシャを見据えてそう言った。


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